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ドM転移譚

あらすじ

一人の美少女が亡くなった。しかし、亡くなる寸前に彼女は快楽を感じる。気がつくと目の前にいた女神に対して彼女はあることを頼んだ。それが全ての始まりとなった。


これはドM美少女の物語


──────────────────────


ジャンルはハイファンタジーです。

 ある中世ヨーロッパのような世界で一人の美少女が何の前触れもなく姿を現した。彼女は髪と瞳共に漆黒だ。この世界には存在しない色。彼女はどこかの世界にあるであろう学校の制服を着ていた。


 上は紺色のブレザーで中からは白いシャツが覗いている。第一ボタンの部分には大きな赤いリボンが付いている。でも、そのリボンは彼女の大きな胸のせいで、あまり大きく見えない。腰はくびれている。


 下は灰色のミニスカートだ。さらに無地の黒いニーハイを履いていて、黒いローファーを履いている。さらに彼女はかなりの美脚で高身長だ。なによりもモデルにいても違和感がないほど美しい顔つきだ。


 目も少しつり上がっていて、髪も腰まであるのでかなり大人の色気を感じる。


「もしかして、これって異世界転移?」


 透き通るようなキレイな声で彼女はそんなことを言う。すると、かなり強い風が吹く。しかし、彼女は女子という自覚がないのかどこも押さえたりしない。そのため、大人の雰囲気を漂わせる黒いパンツが丸見えになる。


『ギャッ! ギャッ!』


 この森に住んでいる醜い姿をしている小さな魔物のゴブリンが彼女を見つけると笑う。そして、手に持っている棍棒を振り回しながら彼女へと近づく。そのことに気づいてないのか微動だにしない。


 ゴブリンは今、肉つきのいい彼女の体を見て興奮している。欲望に忠実なゴブリンたちはそのま近づいていき、彼女の体を棍棒殴った。ドッ! と鈍い音がしたかと思うと彼女は吹き飛ばされて、近くにあった壁に激突した。今がチャンスだと思い、ゴブリンはヨダレを垂らしながら彼女に近づく。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 辛いのか彼女は息を切らしていた。その息遣いすら色っぽくてゴブリンの興奮は最高潮に達した。


『ギャッ! ギャッ! ギャッ!』


 ゴブリンは叫び、棍棒を捨てた。すると、彼女は突然、伏せていた顔を上げる。その目には涙が浮かんでいる。それすらゴブリンの欲望を大きくする。


「どうして棍棒を捨てたの! もっと、わたしを(なぶ)って早く! さぁ、そのぶっ太い棒で骨を折る勢いで殴りなさい! さぁ! さぁ!!」


 あまりにも鬼気迫る表情にゴブリンは後ずさり逃げていく。


「あっ! コラッ! 待ちなさい! まだ足りないわよ!」


 彼女の声は虚しく響く。


「どうして誰もわたしのことを苛めてくれないのよ」


 彼女は寂しそうに呟く。でも、誰も反応してくれない。


 ここは深い森の中。魔物しか住んでいない。しかも、今は夜。魔物の時間だ。その時に好き好んでいる者は彼女のようなドMしかいない。だから、どうせ彼女のことを見つけたとしても、ドM同士だ。利害が一致しない。


 それだけでも彼女にしたらショック過ぎるけど、何よりも魔物も彼女のあまりのマゾさに引いていた。そのため彼女を苛めてくれる人はここにはいない。


「もう、自慰(じい)するしかないじゃない」


 辺りを見回したが、使えそうなものがなかったので仕方なく手ですることにした。


 自慰をしながらも彼女は少し前のことを思い出す。



 彼女はある高校に通っていた。しかし、孤独だった。その高校では品行方正で成績優秀。何よりも才色兼備だった。だから、かなりモテていた。そのため数え切れないほどの男子から告白を受けていた。でも、演技をするのが苦手な彼女はすぐにマゾヒストという性癖(せいへき)露見(ろけん)してしまい、誰もが引いて彼女から離れていった。故に孤独だったのだ。


 色々なことに悩んでいた彼女は呆然としながら歩いていると学校から家までの帰路にある河川敷で足を滑らせた。その日は土砂降りの雨で彼女以外は誰も外を出歩いていなかった。さらに気がつくと夜になっていたので辺りも真っ暗だ。だから、氾濫(はんらん)していた川に気づかずに濁流に飲み込まれた。


 普通なら苦しいと感じて助けを求めるが、彼女は快楽を感じて濁流に身を委ねた。


 そして、気がつくと薄暗い空間の中にポツリと一つの椅子がある場所にいた。その椅子には一人の美少女が座っていた。その美少女は彼女と同等……いや、それ以上の美しさを兼ね揃えていた。そして、どういうわけか美しさだけではなく神々しさもあった。


 そんな美少女に「あなたは死にました」と笑顔で告げられた。おかげで、神々しさを兼ね揃えている美少女は女神という存在であろうことを理解した。


「何か望みはありませんか?」

「異世界転移したいです」


 冗談半分で言った彼女の言葉に女神は「かしこまりました」と承諾した。


「でしたら、ドSばかりで魔物とかも山ほどいる世界がいいです!」


 彼女の言葉を聞いた瞬間に女神は不気味さが含まれた笑顔で「()りないのですか?」と聞いてきた。


「懲りないって何にですか?」

「あなたは自分の性癖のせいで死んだのですよ? でしたら、普通はそんな性癖消したりと思いますよ」

「その性癖がなくなったら、わたしがわたしじゃなくなります。それに恐れ多いですけど、その性癖がなくなれば、ただの完璧美少女じゃないですか」

「その言い方イラってしますね。それが間違えではないところがまた憎らしいです」

「わたしの上を行くあなたには言われたくないですね。神々しさも持ち合わせているのに」

「美の女神だからいいのです」

「そんなものですか?」

「そんなものです」


 女神は一通り話し合えると目を閉じる。


『あなたが望んだ異世界にご招待します。そこで優雅にお暮らしください』

「こいつ! 脳に直接!!」

『それではいってらっしゃいませ」


 女神は暗さを含んでいる笑みで彼女を見送った。



 そして、今に至る。


「あの嘘の女神め。ドSが誰一人としていないじゃないの!」


 彼女は自慰をしながらそんなことを叫ぶ。


「んっ……もっと……もっと苛めてください。ご主人様」


 彼女は恍惚(こうこつ)な表情を浮かべながら、そんなことを呟く。そんな時に突然、ドンッ! と何か爆発物が射出される音が聞こえてきた。少しすると、その音が聞こえてきた方から黒煙が上がっていた。


「もしかして!」


 彼女はそちら駆け出す。もしかしたら、痛みを味わえるかもしれないという淡い期待を胸に秘めながら。

いかがでしたでしょうか?

楽しんで読んでいただけたのなら幸いです。


僕はMではないですよ?

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