第2話
「この血、美味しい!ルル、こんなのはじめて!」
奇妙な事を言いながら地面を舐める少女…
(この子、何かおかしい…)
どうすべきか悩みながら立ち尽くしていると、思い出したかのように少女がこちらを向いた。
「人間!この血はあなたの血なの?」
「あ、えと…それ、トマト…」
「トマト?なぁにそれ?」
「…トマト、知らないの?」
(不思議だ、不思議すぎる…一体何者なのだろう)
私の心中を察したのか、少女は自己紹介を始めた。
「あのね、私はルルっていうの!パパとママに言われて、立派な吸血鬼になる為に人間界に修行に来たんだよ!」
吸血鬼…そんなのが実在するのか?
疑問に思いつつも、少女…ルルの背に生えている羽は蝙蝠のようで、唇から覗く歯は尖っている。それに先程の人間離れした動き、吸血鬼の特徴に当てはまる…
「そ、そうなんだ…」
「でもね…ルルを置いてくれるお家を探さなきゃいけないの。お家が見つからなかったらどうしよう…」
ルルは泣きそうな顔になりながら、そう言った。
(少し、可哀想ね…でも…)
吸血鬼、ファンタジーの中だけのはずの存在
何が起こるかわからない
そんな日々は…
(そんな日々は、楽しそうじゃない?)
「ねぇルルちゃん、よかったら家に来る?」
続く