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はじまり
私、雛月理緒はどこにでもいる、ごく普通のフリーター
今日は週に一度の買い出しの日
沢山食材を買うため、少々袋が重たいのが難点だ。
しかも、特売のトマト缶をついつい買いすぎてしまったため、普段の2倍は重い気がする。
「はぁ…腕が痛い…」
ため息をつきながら帰り道を歩く
いつもと同じ帰り道、変わったことなど何もない…はずだった。
「……?」
なんだ、あれは?
羽…のようなものが見えた
近づくにつれ、段々とはっきりしてくる
羽の生えた、少女…?
その時、重さに耐え切れなかった買い物袋がとうとう破け、トマト缶が地面に落ち、割れた。
辺りに広がる、赤、赤、赤…
瞬間、謎の少女がありえない速さで飛びかかってきた。
「⁉︎」
咄嗟に避けると、少女はバランスを崩し、トマトだらけの地面に転がった。
思わず、大丈夫?と声をかけようとしたその時…
「この血、美味しい!ルル、こんな美味しい血はじめて!」
これが、私とルルの、少し奇妙な日々のはじまり。