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大国主になった厨二 古事記世界でチート無双  作者: かぐけん&亜美会長
第七章 海人族とイト国の女王編
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アマ国王との謁見

 この世界の人々はとても素直だ。

 社会がまだシンプルだからだろうか、基本的には疑うことを知らない。


 事実を受け入れる力も強い。

 たとえばスセリとヤカミを娶り次期大王になるというとんでもない話も、ガイムさんはあっさりと受け止めていた。


 まだまだ貨幣経済が発達していなくて、物々交換が主流だということもあるだろう。

 この港町アマや俺が巡ってきた王都などが特別であって、この世界の多くの村では穀物や鉄がそのまま交換されている。


 シンプルな世界には嘘が入り込む余地がない。

 この素直でやさしい世界は、俺の国造りでも大事にしていきたいと思った。


 アマ王城に着いた。

 交易で富を得ているだけあって、かなり立派な石造りの城だ。

 外国の技術も積極的に取り入れているのだろう。

 衛兵に話しかけると、ルウとミナがいる部屋に案内された。


 部屋に入ると、ルウが立ち上がった。

 ミナは大剣の手入れをしているようだ。


「早かったね」


 黒髪ツインテが揺れる。


「ああ、顔なじみの武器屋に顔を出しただけだからな」


「次期大王と姫たちが来るって伝えたら、お城は大騒ぎだよ。あわてて準備してるみたい」


「そうか、ただの顔見せなんだけどな」


「それがここでは大事件なんだよ」


「そうか。そうだな」


 コミュ障の俺だが、ルウはとても話しやすい。

 まあ、この世界では付き合いも長いほうだしな。

 しかし、ルウからはときおりあざとさも感じている。

 なにげに女としての戦闘力や、スペックの高さを感じさせる瞬間があるのだ。


 スセリとヤカミには座ってもらった。

 スセリがテーブルの上の水差しから、コップに水を入れてくれた。

 まあまあ冷えていてうまい。

 一気に飲み干した。


 兵士が入ってきた。


「王の準備が整いましたのでこちらへ」


 王付きの兵士なのだろうか、洗練された所作で俺たちを案内してくれた。

 このアマ国は諸外国と広く交易をしているからか、ワ国の他の町や村とはかなり感じが違う。

 そうか、ある意味、文化や文明が進んでいるのかもしれない。


 案内されたのは広い部屋で、アマ国王と側近らしい人々は(ひざまず)いていた。

 側近の中には、隠れ里に増税の勧告をしに来た太った男、タキチの姿もあった。

 まだ俺には気づいていないようだ。


 むしろ、スセリやヤカミが気になるのか、チラリチラリと盗み見ている。

 まったくゲスな男だ。


 まあ、スセリとヤカミの美貌は並外れたものだから、しかたないのかもしれない。

 俺が逆の立場でも、気になってしょうがないだろうしな。

 まあ、理解してやるとしよう。


 タキチはいやなやつだったし、隠れ里ではいやな思いをさせられたが、今は不思議となんの感情も抱くことはなかった。

 あまりに小物だからかもしれない。


 俺は急遽しつらえたであろう玉座に座らされた。

 俺の両側の椅子に、スセリとヤカミも座った。

 すごく落ち着かない気分だが、さすがにスセリとヤカミは堂々としたものだ。


「このたびは次期ワ国大王様、および后様方に来訪していただき、恐悦至極(きょうえつしごく)にございます」


 どう答えるのが正解なのかわからないので、スセリのほうをチラリと見やった。

 スセリがアマ国王を一瞥(いちべつ)する。


此度(こたび)は急な訪問であり、非公式な会談となります。オオナムチ様とわたくしワカスセリヒメ、そしてイナバ国の八上姫(やかみひめ)の婚姻がまとまり、次期ワ国大王が内定したことの告知です」


 俺の名を聞いてタキチが顔を上げた。

 ハッとした顔で俺を見て、すぐに顔を伏せた。

 俺に気づいたようだ。

 青ざめて震えている。


 たしかにタキチにはいやな思いをさせられたが、サルタヒコ元帥とともにワ国連合を拡げる職務の中でやったことであって、立場を考えればそこまでおかしなことはしていない。

 交流を拒んできた隠れ里のほうが、社会の流れの中では異端かもしれないしな。

 サルタヒコ元帥へのリベンジも済ませたし、俺の中ではとくにわだかまりはない。


 タキチになにもする気はないし、もうなんの感情もないんだけど、タキチはかなり怯えている様子だ。


「それはおめでたきことにて、婚姻の儀はいつになりますかな?」


 訪問がただの挨拶と聞いて、アマ国王は少し余裕が出たようだ。


「スサノオ大王の遠征が終わり次第、すみやかに行われます」


 スセリがよどみなく答える。

 そういえばスサノオ大王ってどこに行ってるんだろうな。


 すると、慌てた様子の兵士が部屋に入ってきた。


「なにごとか!? 謁見中であるぞ」


 アマ国王が血相を変えて怒った。

 しかし、兵士が小声でなにごとかを告げると、アマ国王は顔色を変えた。


「申し訳ありませぬ。火急の用にて退席をお許しいただきたい」


 アマ国王はすごく焦っている。


「なにごとか? よければ話してくれないか?」


「属領の村が魔物に襲われて大きな被害が出ているようなのです」


「ほう、どこの村だ?」


「ここより北西に半日の村です」


 む、これはなんかいやな予感がする。


「ひょっとして、元は隠れ里だった村か?」


「そうです。ご存知なのですか?」


 いやな予感が当たったようだ。

 キクムさんや村のみんなは無事なのか?


 後で行く予定だったが、予定が早まった。


「俺も行こう」


「なにを!?」


「村の場所は知っている。勝手に行くから気にしなくてよい」


 俺たちはキクムさんたちを救うため、北西の村に向かうことにした。

読んでいただいてありがとうございます!

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