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大国主になった厨二 古事記世界でチート無双  作者: かぐけん&亜美会長
第七章 海人族とイト国の女王編
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あらたなる船出

ついに第七章のスタートです。

ブックマークや評価ポイントありがとうございます!

 夏の終わりの太陽が照りつける。

 青い空には雲ひとつない。


 潮風がとても気持ちよくて、心は晴れやかだ。


 俺は今、ヤスギ港に立ち、胸躍(むねおど)心逸(こころはや)る気持ちで海を眺めている。


 船出だ!


 これから、新造した船に乗って航海に出る。


 オウの海を抜けて、日本海の外洋へと船出するのだ。


 スセリとヤカミを娶ることが決まり、イズモ国での俺の地位は確定した。


 遠征中のスサノオ大王が戻れば、即座に婚姻の儀が行われて、正式に大国主に任命される運びとなっている。


 まあ、メディアや通信手段が発達していないので、隅々まで話がまわるには時間がかかるだろうが、国を司る役人や貴族などには話を通すことができた。


 ホヒとムル教官にノキの町をまかせ、ヤエとヒナにミホ港を漁業と交易の拠点として、周辺の港湾を整備するように指示を出した。


 そして俺は、海の一族の拠点があるというツシマに、挨拶に出向くことにしたのだ。


「天気がよくてよかったですね」


 スセリのやわらかい笑顔に癒される。


「ツシマにはわたしも一度行ってみたかったのです」


 海を背景に美少女すぎるヤカミ、海面の反射すらかすむほどまぶしい。


 俺は船の中心よりやや前にある席に座り、操舵輪を握っている。

 気分は海の男って感じで、こうなんていうかグッとくるものがあるね。

 日本海に向けて船出とか、どう考えてもロマンだろ。

 俺の中の厨二がバッチバチに刺激されている。


 スセリとヤカミは、俺の後ろの席に並んで座っている。


「師匠!」


 最後尾にはミナが座っている。


 全長18メートルのこの船は、俺が設計して10日間で造り上げた新造船だ。

 船体は木材を魔法で圧縮した部材の表面に、純度を高めた鉄をコーティングしてある。


 俺たちがいるのは上部デッキ、屋根はあるが吹き抜けだ。

 デッキの下には船室と貨物室がある。


 もちろんこんな船はこの世界にはない。

 俺の現代知識を使って叡智の祝福さんが設計し、魔法の力で建造したスペシャルな船なのだ。


 船の名前はレインボー、そして、いままさに就航するのだ。


「オオナムチさん、この船は帆がないのですが、どうやって進むのでしょうか?」


 さすがスセリ、いいところに気がついてくれるぜ。

 そして、すばらしく的確な質問だ。


「フフ、俺とミナの足元を見てくれ」


「なんですかそれは?」


「ペダルだ。これを踏んでこぐことで、船尾のスクリューが回って推進力(すいしんりょく)が得られる仕組みさ!」


「スクリュー? すいしんりょく?」


 スセリは不思議そうに首をかしげている。

 まあ無理もない。

 スクリューとはいえ、この世界では、圧倒的でありえないオーバーテクノロジーだからな。


 いや、待てよ?

 天鳥船(あめのとりふね)って空を飛んでるよな?

 まあ、あれは別格だ。考えるのはよそう。


「それじゃ出発するぜ!」


 俺とミナが足元のペダルを漕ぐと、船はぐんと加速して沖に向かって進み始めた。


 まあ偉そうなことを言ったけれど、ペダルを漕いでスクリューをまわすというシンプルな造りだ。

 エンジンとか原動機の類は、さすがにまだ作れないし運用できない。

 石油採掘や精製プラントからはじめないといけないし、さすがにそこまでやれるのはいつになるかまだ目処がつかないのだ。

 まあ、いつかやってやろうと思ってるけどな。


「速い船ですね。しかも揺れが少ないです」


 スセリは幼い頃にツシマに行ったことがあるらしい。

 よく覚えていないようだが、船にはよく乗っていたそうだ。


「波や揺れに強い流体設計がしてあるからね。旋回性能(せんかいせいのう)も高いんだぜ!」


 操舵輪を切ると、船体が鋭角に曲がった。


「わ!」


 ヤカミがびっくりして声を出した。

 どうも船に乗ることすらはじめてらしい。

 すぐに体勢を整えて、落ち着いた顔をして小さく咳払いをしているが、あわてたことをあきらかにごまかしている。

 ククク、これはちょっとかわいいぞ。


「俺とミナが漕ぐんだからな。人力とはいえ、これほどの速度が出る船はないだろう。帆船と違って風に左右されることもないしな」


「すごいのですね」


 スセリが感心している。

 いいぞ、もっと俺を讃えろ!

 全力で調子に乗ってやるぜ!


「大神山が遠くなっていきますね」


 ヤカミが振り返って、小さくなっていく山を見つめている。

 黒い長髪がなびいて、白くて細い首にまとわりついている。

 もう、なにしても、どんな状態でも美少女って反則だと思います。


「はうあ」


 ヤカミに見とれていた俺は、スセリの獰猛な視線で我に返った。


「まずはオキに向かうんだよね?」


 船室のハッチを開けて、ルウが出てきた。

 いいぞ、ナイスタイミングだ。

 スセリの注意がそれた。


 ルウはオキ島の隠れ里の出身だ。


「んむ。新造船の試験航海でもあるし、キクムさんやばあさんに挨拶しておきたいんだよな」


 ジジイと庭で死合いをしていて、勾玉を手に取ったら異世界に飛ばされて、女神ツクヨミに祝福を受けてさらに飛ばされた地、この世界に来た最初の地がオキ島の海岸なのだ。


 まだ一月ほどしか経っていないが、なんだか随分と昔のことのような気がするぜ。

 毎日がエキサイティングすぎるんだよな。


 本土が小さくなっていく。

 あっという間に外海に出たのだ。


「計算どおり、調子はいいな」


 船は順調にオキへと向かっている。

 みんな落ち着いていて、船酔いなんかの心配はないようだ。


 水平線の向こうにオキ島が見える。


 海と空、そして俺たち、他には何もいない。


 天気もいいし気持ちがいい。


「イルカ!」


 ルウが指差す方向を見ると、イルカが三頭、俺たちに併走して水面から飛び上がっている。


「すごいです」


 スセリが手を叩いて喜んでいる。


「大きな魚がいるのですね」


 ヤカミはイルカをはじめて見たようで、イルカは魚ではなくて動物だとおしえてやると、すごくおおげさに驚いていた。


 オキ島が大きく見えてきた。

 アマの港には、たくさんの船が停泊している。


 この世界に来てはじめて訪れた町、はじめての宿屋、武器屋のガイムさんは元気だろうか?

 ミナと出会ったのもここだったな。


 ゆっくりと港に近づいていく。

 さあ、オキに帰ってきたぜ!

いつも読んでいただいて感謝しています。

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