てくてくと歩く
ついに第六章になりました!
みなさま、ブックマークありがとうございます!
昨日は朝から英雄イタケルと戦い、蛇の洞窟でオオモノヌシと戦い、ムカデ砦を殲滅し、天鳥船でスサノオ大王と謁見した。
そして、鳴鏑の矢の試練をクリアし、天鳥船の地下階層を踏破、サルダヒコ元帥と戦って辛勝し、ハッチの重い過去も知った。
はっきりいってイベントありすぎで、一日に詰め込みすぎだと思う。
ブラック企業も真っ青なハードワークで、一日でレベルが28も上がってしまった。
作者の人は、もう少し自重してほしい。
そして、一晩空けて今だが、俺たちは川辺の道をテクテクと歩いている。
「天気がいいな」
「そうですね」
「あい」
俺、スセリ、ミナ、そして・・・
「おにぎりうま」
ムル教官だ。
あいかわらずおいしそうにおにぎりを食べているが、まあ今はそのことはどうでもいいだろう。
なぜ、ムル教官がいるのか?
それは、こういう理由だ。
今朝起きて朝食を済ますと、俺の部屋にスサノオ大王の使者だという文官がやってきた。
そして、スサノオ大王の勅命だということで、俺に説明をはじめたのだ。
まず、スセリとの結婚のために、イズモの有力者に挨拶に行けという。
スセリと結婚するということは、いずれはスサノオ大王の後継者としてワ国の統治者になるということだ。
国内の有力者に挨拶に行き、そのお目通りにかなう必要があるのだろう。
俺の場合は現代日本からの転移者であり、この時代の人々からすると、まったくもってどこの馬の骨かわからない得体の知れない男なわけだ。
貴族や豪族の血筋がはっきりとしている者たちからすれば、それだけで批判する材料としては十分だといえる。
次期大王として仕える相手になるのだから、それがどこの誰だかわからない男では、認めたくないのは俺だってわかる。
しかもスセリは美人だしな。
まあ、俺は幼い頃からのジジイの稽古、それにツクヨミ様の祝福があってチート級に強い。成長補正もあって急激にレベルが上がっているし、実戦にて死線をくぐることで、数値では表せない戦闘力も上がっている。
さらに、現代日本の知識や智慧、そしてイメージがある。
この世界の魔法がイメージ力に依存しているからには、アニメやゲームなどで、ありとあらゆるイメージを学んだ厨二の俺は最強なのだ。
だからこその有力者への挨拶だ。
つまり、どこの誰だかわからない馬の骨だとしても、有力者たちと実際に会えば、実力で納得させることができると判断されたわけだ。
まあ、試されるってのはあまりいい気持ちではないが、はっきり言って道はこのひとつしかない。
スサノオ大王に敷かれたレールを外れていく力は、今の俺にはまだないからだ。
まあ、とはいっても大王になれるってのは、厨二的にはアリだろう。
それに何度も言うようだが、スセリは美人だしな。
スサノオ大王の統治するワ国はいくつもの国からなる連合国であり、その中心国がイズモになる。
現代日本では、島根県東部から鳥取県西部の範囲だ。
俺たちがまず最初に会いにいくのは、オウ郡に住むイズモ国主のところだ。
ワ国の在り方とは、スサノオ大王の下にイズモ国主がいて、そのイズモが盟主となる形で、傘下にある国をゆるやかに統治している状態のようだ。
いや、厳格な統治が間に合わないというのが正解だろう。
スサノオ大王とワ国の脅威に恭順する国が増えていて、急激に国土が広がっているからだ。
また、もし逆らったとしても、サルダヒコ元帥率いるワ国軍兵士の軍団が、武力で併合してしまうのだ。
このままだと連合国というよりは、帝國への道を歩んでいるように思える。
一族で暮らしているような集落が、利便性などから町に取り込まれ、その町が集まって国となり、その国がスサノオ大王のもとにまとめられて巨大な連合国になっていっているのが今の現状になるようだ。
イズモ国主の住まうオウ郡は、現代でいうところの島根県東部、松江市から安来市のあたりで、スサノオ大王の居城である天鳥船からは徒歩で半日くらいのところだ。
そのオウ郡の西部、松江市にイズモ国主の居城があるという。
そこへの道案内役として抜擢されたのが、なんとムル教官だったのだ。
「ワ国って意外と人材不足なんですか?」
「おい! それはどういう意味だムイチ!」
「いや、だっていつもムル教官が案内役だし・・・」
「それは俺がスーパーエージェントだからだ。それにイズモ国主は俺の師匠だからな」
なんと、ムル教官はイズモ国主の弟子らしい。
面識がある人が同行してくれるのは助かるな。
「しかし、のどかだな」
「そうですね」
「あい」
ちなみに本来は俺が一人で行く予定だったのだが、スセリがどうしても同行するということで、ついでにミナも連れて行くと言い切った。
スセリは最初はミナを疎んじていたように見えたが、いつの間にか、なかよくなっていたらしい。
そして、なぜこうしてのんびりと歩いているかというと、先触れの伝令兵が先行しているからだ。
相手はイズモ国主であり、日々の執務に忙しいのだ。
俺たちに突然来られても困るだろうし、歓迎の準備の時間も必要になるだろう。
だからこそ、俺たちが来ることを伝えるために、伝令兵が先に出発しているのだ。
それならば、遅れて出発すればよかったのではないかと思う人がいるだろうが、俺は一秒でも早くスサノオ大王の居城である天鳥船から出たかった。
至近距離からいきなり矢を放つような、予測不能の暴君だし、いつ気が変わるかわからない。
だから、すぐに出発して、のんびりと歩いているわけだ。
途中で昼食の休憩をとり、午後もかなり過ぎた頃、ついに目的の町が見えてきた。




