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天鳥船地下階層

 宝物庫を出た俺たちは、上層へと向かった。


「随分と複雑な構造なんですね」


「かなり改装されてるわね」


「この地下には誰もいないんでしょうか?」


「そうね。城の部分が居住区と政務の場所で、この下層部分は整備なんかの特別なことがなければ人は入れなくなってるの」


「なんのためにこんな広い下層部が造られたんですか?」


「もともとあったのよ。ここは最初からあったの。その外壁を船体に加工して、上に城を建てただけなのよね」


 天鳥船(あめのとりふね)の船体であるこの下層部分は、高天原(たかまがはら)に最初からあったということか。

 もっと詳しく聞きたかったが、これ以上は企業秘密だということでおしえてもらえなかった。


 階段を昇ると、マップの表示が天鳥船(あめのとりふね)地下6層になった。


「城までにあと5層あるんですね」


「あら? なぜ知ってるのかしら?」


「あ、さっき壁に書いてありましたから」


 いけね、カワイキュンにはマップのことは内緒にしておこう。

 どうも珍しい能力みたいだし、変に思われたくないし。


 カワイキュンはとくにどうとも思わなかったようで、鼻歌を歌いながら歩いている。


 ミナとスセリは俺の横を歩いている。


「今、何時なんだろうな?」


「??」


 スセリがきょとんとした顔をした。

 普段がきりりとしているから、こういう顔はかわいいな。

 ギャップ萌えってやつだろうか。


「お!?」


 その時、頭の中に時計が表示された。

 デジタル表示が16:58:36だ。

 16時58分36秒か!


 ムカデ砦で戦ったり、鳴鏑(なりかぶら)の矢に撃たれ、森や町ごと焼き払われたり、スサノオ大王にここに飛ばされたりで、あまりにいろんなことがあったけど、実はそんなに時間はたってないのな。


 まあでも昼食抜いてるからおなかすいたな。

 精神の祝福で精神力が上がってるから耐えられるけど、スセリやミナはどうなんだろうか?


「おなか減ってない?」


「少し休憩しましょうか」


 ちょうどよさそうな部屋があったので、そこで軽食をとることにした。


 万宝袋(まんぽうぶくろ)から、椅子とテーブルを出して配置する。

 弁当とお茶を出してみんなに配った。


 カワイキュンが俺の隣に座ろうとしたが、スセリとミナがガードしてくれた。

 二人とも本当にありがとう。


「あら、おいしいわね」


「とてもおいしいです!」


「美味!」


「ヨドエで作ってもらった弁当なんだよね」


 万宝袋の中の食べ物は、冷めないし腐ったりもしない。

 時間が止まってるというか、時間の概念がない空間なのではないだろうか。

 まあ、考えてもわかりっこないので、そういう感じってことで理解してほしい。


「そういえばハッチはどこへ飛ばされたんだろう?」


 この階層にもハッチの反応はない。

 まあ、ハッチなら大丈夫だとは思うが、スサノオ大王に斬りかかって、身動きできないくらいには重症だったもんな。


「急ごう!」


 地下5層は、区切りのない広い空間だった。


 ただし、死魔であるムカデ兵が空間を埋め尽くすほど動きまわっていた。


「1000や2000じゃねーなこれは!」


生命力強化(オーバーヘルス)!」


「あい」


 すかさず補助魔法をもらい、戦闘に入る。

 数は脅威だが、ろくに連携もできない死魔ならば余裕だ。


 雑草を刈り取るかのように、やすやすと倒していく。


「そいっ!」


 天地理矛(あめつちのことわりのほこ)の一振りで、30体を斬り飛ばす。


 ミナのまわりには、ひっきりなしにムカデ兵の残骸が飛んでいる。


 スセリは床を浄化して、足場を整えてくれている。

 地味だが、しっかりした足場があることで、戦闘力が格段に上がるのだ。


 10分ほどで4000体ほどのムカデ兵のすべてを(ほふ)った。


 地下4層は仕掛けの多いところだったが、カワイキュンの技術(力技)で踏破した。

 ときたまムカデ兵が出てきたが、苦戦することはなかった。


 地下3層は水没したエリアだった。


「おまかせください」


 スセリが結界魔法で5メートルほどの空間を作って、底を歩くようにして移動した。

 水中には魚の魔物がたくさんいて、まるで水族館のようだった。

 巨大な水中生物ににらまれるのは怖かったが、結界を超えてくるものはなかった。


 地下2層は倉庫区画のようで、たくさんの部屋があったが素通りして上に向かった。


 地下1層は住居のような部屋がたくさんあった。

 カワイキュンによると、緊急時の避難や居住に使う区画だそうだ。


 そして、ついに地上に出てきた。


 スセリの案内で城の中を進み、玉座の前までたどりついた。

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