空中要塞『天鳥船』
「絶対防御!」
究極防御魔法を展開する。
どんな攻撃も一度だけ防ぐ魔法だ。
スサノオ大王の放った矢が迫り来る。
スセリがかけてくれた防御障壁は一瞬で抜かれた。
絶対防御の表面に鳴鏑の矢が激突する。
「ぐはっ」
衝撃で後ろに吹き飛ばされる。
なんだと!?
絶対防御があっさり破壊された!
絶対をイメージしたのにどうなってる!?
あわてて防御障壁を連続で展開する。
急げ! 高速で魔法構築だ!
矢の勢いに押されて、俺の体は玉座の間の入り口の扉をぶち破った。
そして、壁を破壊しながら突き抜けていく。
「うおおおおおお!」
体を包むように、球形に防御障壁を展開する。
目の前の矢が防御障壁を破壊しながら、少しずつ近づいてくる。
やばい! 押し戻せ!
張っても張っても、どんどん防御障壁が壊される。
しかし、あきらめずに張り続けるんだ!
俺の中では、死の警告の警報が鳴りっぱなし。
全身の毛が逆立っている。
全力を出すのは今だ!
すべてを出し切らねばならない。
出し惜しんだ瞬間に死ねる。
「うわ!!」
城から空中に飛び出た。
地面からは500メートルは上空だ。
矢の勢いは衰える気配がない。
俺は空中を飛ばされ続ける。
防御障壁が間に合わない。
あと3枚、1枚・・・ダメだ!
「うああああ!」
防御障壁を抜けてきた矢を両手で掴んだ。
全身をひねるようにして、背負い投げのように矢を投げ飛ばした。
「どぉりゃ!」
両手の掌の皮が破れて摩擦で焼け焦げている。
そして、俺は空中に放り出された。
500メートル以上の高さから落ちていく。
放物線を描く俺に、地面が迫ってくる。
風魔法を地面に向けて全力で撃ちだして、落下速度を弱める。
森が迫ってきた。
森に落下して枝に当たる。
はじかれて別の枝に当たる。
その枝が折れる。
地面に叩きつけられた。
バウンドして跳ねる。
「いってええええ!」
二回、三回、土を削りながら転がって、大木にぶち当たって止まった。
死ぬ! やばい回復だ!
「最大治癒!最大治癒!」
どこまで飛ばされた!?
ここはどこだ?
マップで確認すると、スサノオ大王の居城はすぐ近くだ!
すごく飛ばされたような気がしたけど、そんなに飛ばされていないのか?
スサノオ大王の居城の方角を見上げる。
「なんだと!?」
違う! 飛ばされなかったわけじゃない。
空にスサノオ大王の居城、空中要塞『天鳥船』が浮いていた!
「追ってきたのかよ!?」
天鳥船の下部にいくつもの砲門が現れた。
巨大な炎が撃ちだされて、そこかしこに着弾する。
森が燃えた。
「マジか!」
俺は全力で走った。
木に当たろうが岩があろうが、とにかく全力で走る。
後方に風魔法を噴射して、走る速度を上げる。
時速200キロ以上は出てるはずだ!
背後では炎が着弾して爆発している。
森が業火に包まれて追いかけてくる。
どうする? なにができる? 考えろ俺!
隠れる場所は? 無いな! 無駄だ。
心臓が痛い。
どこまで走れる?
そうして、ついに森を抜けた。
町が見えた。
そうだ! 町に逃げ込もう。
町に入れば砲撃は止むだろう。
「とうっ」
環濠を飛び越えて町に入る。
どうだ?
「嘘だろ!?」
天鳥船は、町に炎の弾を撃ちこんできた。
なんだ? なぜ?
なにが起こってる?
家が破壊され炎に包まれる。
町が炎に包まれていく。
「なんで!?」
ここはスサノオ大王のワ国の自国領だよな?
なぜ破壊してる?
なんで燃えてる?
混乱しながら全力で逃げる。
どうすればいい?
神話ではどうだっけ?
そうだ、ネズミに言われて地下の穴に逃げるんだ。
マップを確認する。
地下は無いか?
あ、あった!
壁を破壊して家に入り、その地下への扉をぶち破って飛び込んだ。
「大地の壁」
階段を転がり落ちながらも、上に向かって土魔法で壁を作る。
「ぐはっ!」
階段が終わり、地下室の壁にぶち当たって止まった。
「痛ぅ」
頭を抱えながら顔を上げると、そこにはカワイキュンとミナがお茶を飲んでいた。




