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女子力高いっていいですね!

「ハッチなにしてんの?」


 山中でまさかの再開、まあ助かったんだけど謎すぐる。


「ん?たまたま通りがかったらおまえらが遊んでるのが見えたからな。混ぜてもらったってわけよ!」


 そんなバカな・・・

 たまたま通りがかるような場所じゃない。

 道なき山奥なんだぜ?

 しかし、とくに嘘をつく理由もないだろうし謎すぐる。


 ハッチは俺の思案など意に介さずといった感じで、ニカッと笑っている。


「あ、そうだ!ハッチあそこの木を斬ってくんない?」


「オッケー!報酬はパフェな!」


 この世界にパフェなんてあるのか?

 そもそも、テマの繁華街ですらカフェとか見たときないんだけどw


「ソイヤ!」


 ハッチは両手の剣を水平に振るって、スセリを閉じ込めている木々を斬りとばした。


 木がなくなると、中からスセリが出てきた。


「ありがとうございます」


 はにかんでほほえむスセリ、かわいい。


「なう!?」


 ハッチが瞬間移動で後ろに飛び、大木に隠れた。

 ブンブンと手招きをして、俺を呼んでいる。


「なんだよ!?」


 大木の後ろでハッチはひきつった顔をしている。


「アバババババババ!アババ!」


 スセリを指差して、わけのわからないことを言っている。

 目を白黒させてあわてているが、いったいどうしたというんだ?


「アバババ!だれ!?アババ!ウバ!」


 俺もコミュ障だが、ハッチはそれ以上のようだ。

 とくに若い女子が苦手なんだな。


「いや、アバでもウバでもねーし!スセリ姫だよ」


「な、何者なんだババババ!?」


「俺の嫁になるらしいよ」


 ちょっとからかってやろう。

 というか、たぶん本当のことだけどね。

 ハッチの顔が驚愕の表情に変わった。


「なんだと!?おめー、イナバのヤカミ姫を嫁にもらっただろうが!?」


 なんで知ってる?

 ハッチは意外に情報通なのか?


「ああ、今は婚礼の支度をしてるみたい」


「兎女と鬼子(おにご)は!??」


「ルウとミナ? ルウは村に帰ってるし、ミナは一人で修行してもらってるよ」


「これが、タラシってやつですか・・・ す・・・捨てたのか? 邪魔な女はドライに捨てたってやつですか? 人間こわい・・人間こわい・・・」


 ハッチは青ざめた顔で、震えながらぶつぶつつぶやいている。


「しかも嫁が二人だと!?」


 ハッチが血の涙を流しながら悔しがっている。


「ダメだ・・活動限界を超えた。パフェを、パフェを頼む」


 ハッチは魂が抜けたかのような顔で言った。


「いや、パフェってどこで?」


「そこ!」


「えっ!?」


 ハッチがスセリの後ろのほうを指差した。

 そこにはカフェっぽい一軒家が建っていた。


◇◇◇◇◇


 ハッチは満面の笑みでパクパクとパフェを食べている。


 俺とスセリはお茶を飲んでいる。


 ハッチはここに来ようとしていたらしい。


 俺とスセリは、この店の庭先で昼食を食べて、イタケルと闘っていたってわけだ。

 まったく気づかなかった。


「ハッチちゃん、ひさしぶりね」


 ハッチのカップにお茶を注いでいるのは、この店のオーナーさん。


 よく手入れされたネイル、きちんとブロウされた髪、潤ったゆで卵のような肌、ピンクのワンピースを素敵に着こなしている・・・おじさん?


「おねえさんのことはカワイキュンって呼んでね」


「は、はぁ・・・」


 カワイキュン・・・存在感がパネェ。


 骨太で肉厚のガチムチでぽっちゃりとした感じの、業界では人気のありそうな人だ。

 おねえさんというより、おねえ(・・・)というか、おばさんというか、おじさんというか、性別も生態もよくわからない感じだ。


 その笑顔は魅力的だが、どうにも鳥肌が立つのはなぜなんだろう。


「さあ、それではお仕事ね。見せてごらんなさい」


「よろしっく!」


 ハッチは二本の剣をカワイキュンに渡した。


「傷んでるわね。まあ、おねえさんにまかせなさい」


 カワイキュンは店の奥に入っていった。

 ハッチと俺たちもそれに続いた。


「俺の剣はカワイキュンしか扱えないんだぜ」


 ハッチが言うには、カワイキュンは凄腕の鍛冶師で、今は引退してカフェオーナーをしているが、天津麻羅(あまつまら)という鍛冶集団の頭領(とうりょう)だったらしい。


 店の奥は工房になっていた。


 炉に入れて赤くなった剣を、金槌(かなづち)で叩いて鍛える。

 カワイキュンは真剣なまなざしで金槌(かなづち)を振るう。

 猛烈な熱さだろう。

 顔を赤くして、額には汗をかいている。

 これは業界ではかなりのお宝映像だと思う。


「できたわよ!」


 カワイキュンが額の汗をぬぐいながら、ハッチに剣を渡した。


 素人目にもすばらしい仕上がりなのがわかる。


 この人は本物の職人だ。

 むしろ、神と呼ばれる部類の人だろう。


「あなたは何を使ってるの?見せてごらんなさい」


 俺はバスタードソードを渡した。


「これはもうダメね。何と打ちあったの? 芯がやられてるわね」


 英雄イタケルの矢を受けたのだ。

 たしかに限界を超えた闘いだった。

 剣が折れなかったのは、俺が魔力を注いで強化しながら闘っていたからだ。

 それでも、やはりダメだったようだ。


「特別に武器をしつらえてあげるわ。ちょっと力を抜きなさい」


 カワイキュンが俺の肩や胸をぺたぺたと触る。

 背筋がゾクゾクとするが、アマの武器屋でもやられたし、普通のことなのだと必死で思い込もうとした。


「骨格や筋肉を見るのは大切なことなの」


 言ってる意味はわかる。

 でも、この手つきっておかしくないか?


 カワイキュンの鼻息が荒くなっているのはなぜなんだ。

 スセリが顔をしかめている。


「そこはダメ!」


 股間に伸びてきた手を叩いてはらう。


「あら、ごめんなさい。手がすべったみたいね」


「どうすべるんですか!ってダメだって!」


 再度、股間に伸びてきた手を叩くと、さすがにあきらめたようだ。


「次に来るときまでに作っておいてあげるわ」


 すでに引退しているカワイキュンが、あらたに武器を作るのはとても珍しいことらしい。


 俺たちはお礼を言って、出発することにした。


 イタケルがいつ戻ってくるかわからないし、こうして居場所も知られてしまったわけだから、なるべく早く二人の姉のところに行きたいからだ。


 ハッチはしばらくカワイキュンのところに滞在するとのことだった。


 俺とスセリは、山中を歩き出した。

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