祭りの後の訪問者
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凱旋パレードがはじまった。
レッドギガントボアの巨体がかつぎ棒の付いた台に乗せられ、数百人のかつぎ手が持ち上げて行列の先頭を歩く。
沿道はものすごい人数の観衆で埋め尽くされている。
巨大な魔物の威容に驚き、その脅威が去ったことに歓喜している顔だ。
そして、レッドギガントボアのあとには、笛と太鼓の楽隊がはなやかな音を鳴らして続く。
その後ろにはパレードの主役である櫓のような形の神輿が続く。
その櫓の上に、正装の俺とミナが立っている。
沿道を埋め尽くす観衆からは、俺たちの名前を叫ぶ大合唱だ。
みんな目を輝かせて、町を救った英雄たちを出迎えているのだ。
子供たちが一生懸命に手を振っているので、小さく振り返したら、とても喜んでいた。
俺は恥ずかしくて顔を伏せている。
こういうのは慣れていないし苦手だ。
ミナは誇らしげに胸を張って、腰に手を当てている。
堂々とした幼女と自信なさげな男、町に脅威を与えた魔獣を退治した英雄としては、いささか不思議な組み合わせに映るだろう。
俺たちの後ろに、今回の任務に参加した者たちが続いて行進をしている。
A級チームから順番に並んでいるようだ。
凱旋パレードの行列は、宿屋街のはずれにある広場を目指している。
何万人に名を叫ばれたのだろう?
ついに広場にたどり着くと、記念式典がはじまった。
俺たちは神輿を降りて、ステージに上がった。
そして、テマ町長だという人から、勲章を授与された。
「勇者タケミナカタと従者オオナムチよ!このたびの大儀に、みなを代表して感謝したい」
観衆からは大歓声だ。
ミホさんやミチオさんの顔も見えた。
恥ずかしいけどうれしい。
うっく、しかし、幼女の従者って・・・
まあ、たしかにとどめを刺したのはミナだしな。
それにしても従者って、どう伝わってるんだ?
「師匠!」
ミナが抗議をしようとしたけど、そのままでいいと止めた。
目立ちたくないから、従者くらいでいいし。
勲章は赤い勾玉だった。
火の勾玉らしい。
なんか種類があるっぽいけど、集めたくなっちゃうね。
そして、大きな酒樽が出てきた。
「うお!?ムル教官!」
そして、酒樽の前でムル教官が木槌を振り上げた。
ねじりはちまきに水色のハッピ、裸にさらし、白の半ズボン、まさに祭だ。
「よいしょぉお!!」
勢いよく酒樽のふたを叩き割る。
いやあ、完璧な祭だ。
酒がみんなに配られた。
レッドギガントボアも解体され、焼いた肉がふるまわれた。
夏で保存も利かないので、町がすべて買いとることになったようだ。
競売にかけるより値は下がるが、早く報酬がもらえるのはいいね。
それからは無礼講の祭だった。
おいしい酒と肉、たくさんの人に話しかけられた。
ミナもうれしそうだった。
そして、あたりが暗くなる頃、にぎやかな祭りが終わった。
◇◇◇◇◇
「立派だったわよ」
ミホさんも喜んでいた。
俺たちはミホさんの屋敷に戻ってきた。
今夜は泊まって、明日の朝、出発する予定だ。
ちなみに任務の報酬はなんと、お金だけで5000万円になった。
レッドギガントボアが1億6000万円。
猪の魔獣が一頭あたり3万円×800頭で2400万円。
合計で1億8400万円の5割の8200万円が報酬だが、3200万円は牙や毛皮、それと肉の現物でもらった。
いきなりセレブすぎてびびる。
とりあえず誰にも見られないところで、万宝袋に収納した。
ムル教官はまだ帰ってきていない。
また、飲み屋かもしれないな。
「お風呂に入りなさい」
ミホさんに勧められてお風呂に入った。
いやあ、疲れが吹っ飛ぶね。
やっぱ、お風呂は最高だ。
お風呂からあがると、ミホさんが声をかけてきた。
「ムイチさん、お客さんが来てるわよ」
「お客さん??」
誰だろう?
俺の知り合い?
わかんないな。
「応接室で待っていただいているわ」
「わかりました。行ってみます」
応接室に入ると、若い男と少女が並んで座っていた。
「はじめまして!オオナムチくん」
20代前半の男は、さわやかなイケメンでとても好青年だ。
なんかアイドルっぽい美形で、俺にないものをたくさん持ってる感じ。
意思も強そうだし、行動力もありそう。
存在がすでにくやしい感じだ。
隣の少女は俺と同い年くらいかな。
ツヤツヤの銀髪、目鼻立ちがはっきりした美形だ。
下を向いているが、時折、チラチラとこっちを見ている。
なんだろう?
「は、はじめまして?」
「突然だがうちの妹が、キミに興味があると言っている」
「え?」
「だからオオナムチくん、死んでくれないか?」
「ええっ!?」
どうやらまた厄介ごとがやってきたようだ。




