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大国主になった厨二 古事記世界でチート無双  作者: かぐけん&亜美会長
第三章 イナバの白兎とヤカミ姫編
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第二十六話 チート級女神様に石化攻撃を受けました

ブックマークありがとうございます!

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 参加者とスタッフ含めて2400名超の、すさまじい婚活パーティーがはじまった。


 開幕の乾杯では、歓声で王城が揺れた。


 イナバ国王の一人娘、ヤカミヒメの名を冠する婚活パーティーだ。


 まあ、俺は厨房で、ひたすら皿を洗ってるから関係ないんだけどね!


 なぜ、ミナやルウでさえパーティーに参加しているのに、俺が参加していないのか、不思議に思っている人もいるだろう。


 お互いに求め合う、着飾った美しい紳士と淑女。

 洒落た会話、豪華な料理、優雅な音楽やダンス。


 この日を何ヶ月も待ちわびた人も多いと聞いた。


 イナバという強国の美姫(びき)に求婚できるという、華やかな社交の場。

 この入場券はプラチナチケットとして高騰(こうとう)し、財産を投げ出した者さえいるという。


 そう、誰もが憧れる最上級(ハイエンド)のパーティーなのだ。


 で、それに俺が出ないのはなぜかって?


 そう、俺がコミュ障だからだ!


 彼女いない暦が年齢と一致していて、日々これ絶賛記録更新中(フェアリーチャンピオン)の俺には、婚活パーティーなど負け(いくさ)でしかない。


 女子とろくに話したことがないし、どうしていいかもわからない。


 そういえば、昨夜は女子に吊るされて、棒でトラウマを叩きこまれた。


 あいつらはかわいいけど、俺には毒物でしかないんだ。

 目に毒だし、気の毒な結果しか生まない。


 俺には男女交際のスキルが無い。


 たとえば武器も防具も持たないで、戦士がひしめく戦場に出たいやつがいるのか?


 負けるの確定の戦争なんて、誰だって行きたくはないだろう?

 少なくとも俺は行かない。


 妖精には妖精の生き方がある。


 俺は魔法使いになって、賢者を目指せる器なのだ。


 むしろ大賢者として、伝説にだってなれるかもしれない。


 いっそ、魔王になれちゃうか?


 あ、なんか死にたくなってきたので話題を変えよう。


 で、俺が働いている厨房だけど、ここは楽園ですよ!


 だって、豪華な料理をつまみ喰いできるんだぜ!


 俺の身体能力は飛びぬけているし、素早さもチートだ。


 この能力を駆使すれば、まわりのやつらに気づかれることなく、つまみ喰いをすることなど容易だ。


 しかも、俺レベルになると、皿洗いの仕事を完璧にこなしながらも、隙をついてつまみ喰いをすることすらできる。


 なんと、さっきは料理長に仕事ぶりを褒められて、ここで働かないかと誘われてしまった。


 つまみ喰いしまくってるのにだ。

 少し悪い気もするね。


 でも、人の役に立つっていいもんだな。

 認めてもらえるって、とてもうれしいことだ。


 しかし、さすがにこれだけつまみ喰いすると、おなかいっぱいになってきたな。

 30人前くらいは軽く食ってる。

 俺って育ち盛りだもんな。


 さすがに料理人たちも、料理の減り方がおかしいことに、感づきはじめているようだね。


 あ、すごいこと思いついた。


 万宝袋(まんぽうぶくろ)に料理を入れればいいじゃん。


 そうすれば後でおなかがすいたときに食べられるし。


 俺はリミッターの外れた立派な犯罪者の思考だった。

 踏み越えてはいけない一線を、スキップで軽やかに飛び越そうとしていたが、射るような視線に気づいて、ギリギリのところで踏みとどまった。


「ムイチくん、なにしてるの?」


 調理場の入り口に、ルウが立っていた。


「な、なななな、なにもなん」


 焦りすぎだろ俺。

 なにもなんってなんだよ・・・


 俺のキョドりっぷりに、ルウがあやしんで顔をしかめた。


「違うって!」


 なにが違うのかは説明できないが、そう言ってルウのほうに踏み出した俺は、そこで石像のように固まってしまった。


 ルウの後ろに女神様がいたからだ。


 そこだけもはや空気すら違う感じ。


 背景に薔薇園(ローズガーデン)の幻覚が見える。


 匂い立つような美しさ。


 てか、実際にいい匂いがするし。


「ヤカミちゃんがムイチくんに会いたいって言うから、連れてきちゃいました」


 ルウがにっこり笑った。


 これがヤカミヒメ様!?


 女子の目を見られない俺が、目を離せなくなるってどういうことだ?


 おいおい、ちょっと待て!

 これはもう美姫(びき)なんてレベルじゃねーだろ!


 期待してはいけないなんて言ったの誰だよ!

 そいつは死刑だ極刑だ!


 ああ、いけね、言ったの俺だよ。

 減刑(げんけい)をお願いしますよ!


 え?なに?

 ルウってこのお美しい方と、お知り合いなの?


 時間が止まりっぱなしですよ。


 いや待て、この方って、人間界とは次元が違う方だろう?

 オーラがすごくってやばいよ。


「キミがムイチくん?」


 やべえ、女神がしゃべった。


 声まで美しい。


 いやなんぞこれ!

 ある意味、俺よりチートなんじゃね?

 存在と行動のすべてに、魅了の追加効果がついてる感じですよ。


 そういえば俺って、ツクヨミ様っていう本物の女神様と会ってるんだった。


 しかし、目の前のヤカミヒメ様のほうが神々しいってのは、これはもうどういうことなんでしょうか!?


「ヤカミちゃんがきれいだから、ムイチくん固まってしまってるみたいです」


 ルウが代わりに説明してくれた。


 さすがルウ。

 さすが巫女。

 俺の心を読んだのかな?

 違うか、見ればわかることか?



 とにかく、海で助けて連れてきてよかったぜ。


 てか、このままだと石になってしまいそうだ。


 ヤカミヒメ様って、なんかそういうスキル持ちなんじゃね?

 これは俺には抵抗(レジスト)できないよ。


「これからショーがあるんだよ。ヤカミちゃんもわたしも出るから、ムイチくん見に来てよ!」


「え?でも仕事があるし」


「料理長にはもう許可もらってるよ。ヤカミちゃんに逆らえる人って、この国にはいないんだからね」


「え?そうなん?」


「そうだよ。大ホールでもうすぐはじまるから、絶対に来てよね!」


「あ、ああ、わかった」


 ルウとヤカミヒメ様は、ショーの準備に戻っていった。


 余韻(よいん)呆然(ぼうぜん)としていたら、料理長に早く行ってこいと叱られた。


 俺は小走りで、大ホールへと向かった。

三章クライマックスに向かいます!

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