第十九話 やっぱり米はうまい
ムル教官に施設内を案内してもらった。
合宿所みたいになっていて、宿泊できる寮まである。
新しくできた国営の施設で、エリート仕官養成所みたいな位置付けのようだ。
バトゥンさんたちが一期生らしい。
「昼にしよう!」
昼になったので、食堂で昼食をとることになった。
「おまかせでいいよな?」
「はい」
俺とミナとムルさんとでテーブルに着くと、ほどなく料理が運ばれてきた。
料金は必要ないらしい。
よかった。アマで全部使っちゃったしお金を持ってないんだよw
「ヨドエは水がいいからな。メシがうまいだろう?」
「おいしいです」
米だよ!
ひさしぶりの米に狂喜乱舞だ!
まあ、雑穀という感じで、白米に比べたらおいしいとは言えないが、それでもひさしぶりの米にテンションが上がる。
村では米のメシは出なかったから、ひょっとしてまだ米が無い時代なのかと思っていたが、このヨドエには米があった。
まあ、交通網も移動手段も発展する前なわけだから、この時代では地域差が大きいのだろう。
「モグミグ、うまいっす」
塩で揉んであるタコの刺身もうまい。
弾力があってモチモチしている。
スープは地鶏だろうか。
薄味のスープに入っているこの肉もうまい。
「うまい! うまいぞ!」
食事に夢中になっていたら、バトゥンさんがやってきた。
「ここ、いいかな?」
「いいですよ」
バトゥンさんは俺の隣の席に座った。
近くで見てもきれいな人だ。
ちょっとヨーロッパ系の顔立ちなのかな。
鼻も高いし、髪も瞳もブラウンだ。
「さっきはすまなかった。取り乱してしまって」
「気にしてませんよ」
そう、まったく気にしていない。
女子に引かれるのは慣れているからな。
あ、自慢になってないな。
「キミは強いんだな」
「いえ、まだまだですよ」
「そうか、この子は?」
「ミナは俺の弟子です」
「師匠!」
ミナが平らな胸を張っている。
元気でほほえましい。
「明日からのイナバ行きでは、よろしく頼む」
「はい。できるかぎりのことはします」
バトゥンさんは軽く手をあげて、去っていった。
「明日からイナバ行きなんですか?」
ムル教官に聞いてみた。
「ああ、明日の早朝に出発する。荷物がかなり多いから困ってたんだが、きみたちが来てくれたおかげで助かったよ」
「え? なぜに?」
「荷物運びが得意なんだろう? オキで大量の品を運ぶ仕事をしてたそうじゃないか。まあ、それだけ力があればそうだろうな」
アマの買出しのことか?
いや、納税の品を運んだことか?
まあ、どちらにしても、たしかに大量の品を運んだ。
しかし、仕事でしていたわけではないが・・・。
まあ、めんどくさいしもうそれでいいか。
「今夜中に荷作りをして用意しておく。あいつらは訓練を受けているとはいえ貴族の坊ちゃん譲ちゃんだからな。荷物を持たせるわけにいかなくて困ってたんだ」
ムルさんは、俺たちを連れてきた船員から、ミナが戦士で俺が荷運びと聞いたらしい。
つまりミナが護衛で俺が荷物運びの仕事をするということだったようだ。
なら、俺には武力のテストは必要なかったんじゃないかと思ったが、荷運びとしての武力をチェックしておきたかったのかもしれないな。
この時代の移動って危なそうだし、山賊とか盗賊とかいそうだしね。
ちなみに俺とミナは、サルダヒコ直属のワ国軍兵士という扱いらしい。
食事が終わると、午後からは自由ということで、ミナに稽古をつけて、俺は回復魔法の練習をした。
攻撃は最大の防御とも言うが、実際のところ俺はよく負ける。
日常生活でも事故やケガもあるだろうし、病気になるかもしれない。
だから、まずは回復魔法なのだ。
ミナは力が強いが魔力は低いので、剣の型をおしえてやった。
さすが武神というか、闘うことが根っから好きなのだろう。
ひたすら剣を振ることが苦にならないようだ。
このタイプは伸びる。
こと武道に関しては、繰り返して体に覚えさせることがとても大事なのだ。
無意識に体が動くまで修練するのだ。
そして夕方になり食堂で晩飯を食べて、明日に備えて早めに眠った。




