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大国主になった厨二 古事記世界でチート無双  作者: かぐけん&亜美会長
第七章 海人族とイト国の女王編
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巨人対決は大迫力

「ニート?」


 謎の巨人に殺られる、そう思ったときに俺たちを救ってくれたのは、なんと筋骨隆々の巨人に変身したニートだった。


「フンっ」


 ニートは、受け止めている巨人の手を掴んで、小枝を振るかのように軽々と放り投げた。

 巨人は一瞬で200メートルも飛ばされ、頭から地面に落ちて転がった。

 何度もバウンドしながらさらに飛んでいく。

 大音響とともに硬い岩が粉砕され、砂埃が煙のように巻き上がった。


 300メートル以上飛ばされてやっと止まったようだが、倒れている巨人はピクリともしていない。


 なんだこのニートの膂力(りょりょく)は!?


八十禍津日神(やそまがつひのかみ)とおっしゃられましたか!?」


 スセリが血相を変えて問いかけると、ニートは余裕を(たた)えた表情で振り返って答えた。


「いかにも、あれは八十禍津日神(やそまがつひのかみ)、黄泉の穢れより生まれ落ちた災厄の神よ」


 日本神話で黄泉の国から帰ったイザナギが(みそぎ)を行ったときに、祓われた黄泉の穢れから生まれたのが災厄を司る神、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)だ。


 日本神話の神の中でもかなりやばい神で、はっきりいってラスボスクラスだ。

 こいつはやばいという直感は正解だったのだ。


 しかし、なぜここにそんな神がいるのだろう?


 てか、そんなラスボスクラスの神を簡単にあしらってみせたニートって、一体全体何者なんだ?


「ニート、おまえ何者なんだ!?」


 ニートは10メートルを超える巨人に変化しているが、その顔には面影がある。

 しかし、その自信にあふれた表情や見にまとう覇気は、まったくの別物だ。

 弱々しくてやる気の感じられなかったニートが、圧倒的な自信と余裕の塊になっているのだ。


「我は八十禍津日神(やそまがつひのかみ)(まが)を直す神」


「なんですと!?」


 ニートが神?

 おいおい、どうなってんだ。

 ダメ人間の代名詞とも呼べるニートの称号を持つ男が神だとは・・・。

 まったくもって世界は驚きに満ちているぜ。


 すると、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)が、ゆっくりと立ち上がってくるのが見えた。


「ぁぁあああああ」


 まだ300メートルくらい遠くにいるのだが、手に持った棒から黒い矢のようなものを撃ち出してきた。

 そして、恐ろしい形相で走ってくる。


「スセリ、結界を!」


「まだ無理です」


 くそう、魔力が回復してないのか、矢は10本以上飛んできているし、俺だけの結界では対処できそうにない。


「無駄なことを」


 ニートが前に出て、飛んできた黒い矢を素手で弾き飛ばした。


 そして、走ってくる八十禍津日神(やそまがつひのかみ)の前に立つ。


「この先に出口がある。我が止めている間に行かれよ」


 ニートはそう言うと、向かってきた八十禍津日神(やそまがつひのかみ)の両手を掴んで、突進を簡単に止めて見せた。


「なんだこの有能なニートは!」


 災厄の神の狂気の突進を、まるでそよ風に手をかざすかのように優雅に止めてみせるニートに、俺は驚きを隠せずにつぶやいてしまった。


「我のみでは完全に滅することはできぬ。これよりこの空間を破壊する。早く行かれよ」


 ニートは、大きな口を開けて喰いかかりそうな八十禍津日神(やそまがつひのかみ)の右腕を肩の付け根から引きちぎった。


「あがああああああああああ」


 髪を振り乱し絶叫する八十禍津日神(やそまがつひのかみ)の口に、ニートがちぎった右腕をねじこんでいる。

 ニートすげえ、強い、酷い、憧れる。


「無理です。早く行きましょう。浄化魔法が持ちません」


「え?」


 よく見ると、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)の手に持つ棒の先や、ちぎられた肩の傷口から黒い埃のようなものが噴き出している。

 それをスセリが浄化魔法で中和していたようだ。

 どう見ても強烈な毒的ななにかだし、これはさすがに退散したほうがよさそうだ。


「ニート、名前は?」


「また会うだろう。我が名はなお・・」


「あぁぁあああああ」


 ニートが名乗ろうとしたとき、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)が口から黒い煙を吐いた。


「これは・・、飛ばすぞ!」


 ニートが太い腕を振って、俺たちを結界ごと放り投げた。

 マップを見ると、出口に向かっているようだ。


「爆発します!」


 スセリが叫んだ。


 すさまじい勢いで飛ばされ、ニートの筋骨隆々の背中が小さくなっていく。

 次の瞬間、ニートと八十禍津日神(やそまがつひのかみ)が、黒い爆発に包まれるのが見えた。


「うおっ」


 それと同時に黒いもやもやした球体状の出口に飛び込み、俺たちは女王の地下迷宮から脱出したのだった。


いつも読んでいただいてありがとうございます!

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