性格が悪いお姫様が女王様になったのに処刑されなかった話。
昔々、ある小さな国にお姫様がいました。
王様とお妃さまは、年をとってから生まれた彼女のことをとても可愛がりました。
お姫様が宝石が欲しいといえば、宝石を与え、
踊りたいといえば、貴族の人達を集め大きな舞踏会を開催し、
美しい湖を見たいと言ったら、その近くにお城を建てて何時でも見れるようにしました。
素直で可愛らしかったお姫様は、段々とわがままな女の子になって行きました。
お姫様は、自分の言うことが叶えられないと許せなくなったのです。
周囲の臣下達は呆れかえり、お姫様のことをと小さな女王様のようだと揶揄することが多くなりました。
しかし、お姫様がお年頃になると状況は一変しました。
彼女と結婚すれば、王様となり国を動かすこともできます。
沢山の貴族の男たちが彼女のことを褒め称え、近づこうと群がってきたのです。
お姫様は、そんな男の人たちが心底気持ち悪いと思いました。
そこで、王様とお妃さまに自分は結婚をしないでこの国の女王になると宣言しました。
彼女に甘い王様とお妃さまは、しぶしぶそれを受け入れました。
びっくりしたのは周囲の貴族の方です。
そうして、あんなわがまま娘に国主が務まるはずもない。
この国を滅ぼす気かと陰口をたたきました。
お姫様はそこから死に物狂いで努力しました。
まず、誰にも逆らわれたくなかったので威厳を身につけました。
そうすると少しずつですが味方になってくれる人が増えて行きました。
彼女は自分の物を蔑にされるのが大嫌いだったので、病院や孤児院を建て、厳しく犯罪を摘発しました。
お姫様の国の治安は良くなり、民衆はお姫様に感謝し始めました。
大国と戦争になった際には、小さなお姫様の国が滅ぼされてしまうと誰もが嘆く中、
彼女は自分の国が負けることを許せなかったので、徹底的に情報を集め敵軍の弱点を手に入れ、少ない兵で勝利しました。これにはお姫様に対し、否定的だった臣下も認めざるをえませんでした。
即位して10年が経つ頃には、彼女は生まれながらの女王として皆に敬意を払われるようになりました。
お姫様は相変わらず結婚せずに、親戚を養子に取りましたが彼女に逆らえる人は誰もいませんでした。
ところがある日、お姫様は平民の男と恋をしました。
男は少し気の弱い普通の男でしたがお姫様のことを心底愛していました。
お姫様と男は身分が離れていたので、結婚はできませんでした。
けれども、末長く男はお姫様を支えました。
男は今日もお姫様のわがままに振り回されています。
君は本当に子供っぽい人だねと言って男は苦笑しました。
あら、私にそんなことを言うなんてあなたぐらいよとお姫様はウィンクをしました。