Black Suits —黒服—
デスゲームの裏側で働く「黒服」の物語です。
ボタンを押すだけの簡単なバイト。
日当は10万円。
そんな仕事が、本当にあるとしたら。
短編です。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
モニター越しに女性が叫んでいる。
マイクは切ってあるので何を言っているかはわからない。
ただ、ボタンを押さないでくれと懇願していることはわかる。
周りにいる三人は、彼女から少し距離をとって顔を背けた。
コントロールパネルで6番のボタンが赤く光っている。
強さが4になっていることを確認する。
ボタンに置いた指がわずかに止まる。
それでも、押す。
僕は赤く光る6番のボタンを押した。
モニターの中、6番のゼッケンをつけた女性は全身を痙攣させて床に倒れ込んだ。
先ほどの絶叫が嘘のように静まり返っている。
最初から、こちらには何も聞こえないのだが。
喪服のような真っ黒なスーツとネクタイ。
口角が不自然なほど上がった白い仮面。
階段を降りて廊下を進む。
扉を開錠する。
僕は重く頑丈な扉を開けた。
真っ白なだだっ広い部屋に四人の男女がいる。
四十歳ぐらいの女性が倒れている。
大柄で筋肉質な男。
くたびれた中年男性。
ツインテールの美少女。
三人がお互いから顔を背けるようにして立っている。
女性は眼球を上転させて気絶している。
四十歳ぐらいの綺麗な女性だった。
さっきまではあんなに余裕そうな笑みをたたえていたのに。
今は、長い髪が惨めなほど乱れて顔を覆い、手足を白い床の上に投げ出している。
死んではいないはずだ。
いや、殺してはいけないと指示されている。
失禁しているのか、白いスカートの周りに透明な水たまりが広がっていた。
僕ともう一人の黒服は、手際良く彼女を大きな黒いバッグに収納していく。
バッグの両側には取っ手がついていてそれを二人で持ち上げた。
ずしりと人間の重さが僕の右手を引っ張った。
意外と重いものだ。
入れ違いにもう一人の黒服がモップを持って扉から入ってきた。
失禁した水たまりを拭かなくていけない。
僕たちは生きたまま袋に入れられた女性を部屋から運び出した。
部屋の外にあるストレッチャーに袋を乗せると、長い廊下を進んでいく。
突き当たりの部屋に入ると、直径1mぐらいの鉄製の扉がある。
扉についているハンドルを回すと、鉄製の扉は不快な音を立てて開いた。
扉の奥は暗闇が広がっている。
奥はどのくらいあるのだろう。
以前、泊まったカプセルホテルのスペースぐらいだろうか。
僕たちは女性を入れた袋をその暗闇の空間に押し込んだ。
もう一人の黒服が鉄製の扉を閉める。
扉の横にあるランプが緑色に点滅している。
僕はそのランプの下にあるボタンを押した。
扉の向こうで、ゴゴゴという音がして、すぐに止んだ。
ランプの色は赤になった。
これで、ひとまず業務が終わった。
仮面の黒服と目を合わせる。
お互いに頷くと、僕たちはその部屋を後にした。
扉の向こうがどこに繋がっているかはわからない。
女性がどのようになるのかもわからない。
今までもそうした。
ただ、そうしろと指示されたから、そうしただけだ。
何しろ、僕はバイトなのだから。
*
新宿駅南口に朝7時に集合だった。
スーツを着たサラリーマンや、OLがこんな朝早くから行き交っている。
二十代後半にもなって、僕は日雇いバイトの集合場所を目指す。
集合場所のガード下には、僕と同じくらいの若者が集まっていた。
コンビニの袋をぶらさげた小太りで不健康そうな男。
メガネをかけてスマホをいじるオタク。
寝不足そうな女。
背が高いホスト風のやつ。
少なくともまともな職についているような人はいなかった。
到着したバンに乗ると、運転手に目隠しとヘッドフォンをつけてくださいと言われた。
アイマスクをつけた。
ヘッドホンからは大音量で音楽が流れている。
バラエティ番組みたいだなと思った。
さんざんいろいろなバイトをしてきているので、そういうこともあるだろう。
一緒に集合した女は「こんなことさせるのって、やばいバイトなのかな」と呟きながら、目隠しとヘッドフォンをしていた。
確かにそう思う。
このバイトを紹介してもらったきっかけは、誰でも知っているような企業の製薬部門の治験モニターだった。
一か月間、よくわからない薬を飲んで何度か採血をした。
それだけで5万円貰えた。
美味しいバイトだった。
アルバイトで食い繋いでいる僕にしてはそんなバイトは何回でもやりたい。
また、同じようなモニターはないのかとメールで問い合わせた。
一ヶ月ぐらい経ってから、返事がきた。
僕の条件が“適合“しているということでこのバイトを紹介してくれた。
そんな大企業が募集しているバイトだ。
巷で言われているような闇バイトではないだろう、と思った。
一度トイレ休憩なのかサービスエリアに止まったようだが、すぐにバンは走り出した。
多分2時間ぐらい車に揺られていただろう。
バンを降りて、ヘッドフォンとアイマスクを外すと、何かの研究施設みたいな殺風景な建物の中だった。
今日一緒に働くのは僕を含めて四人だった。
さっきの女の姿はなかった。
壁に貼られた案内の通り、進んでいくと更衣室があった。
更衣室のロッカーにかかっていたのは、喪服のような真っ黒なスーツと、口角が異常に上がった仮面、それと無線用のイヤフォンだった。
そしてロッカーには今日の業務内容の説明書が一緒に入っていた。
黒服に着替えた僕たち四人はその説明書に目を通していく。
① 場所、内容については絶対に他言してはならない。
② 業務中、イヤフォンからの指示には絶対に従うこと。
③ 業務内容は、指示されたボタンを押すこと、ゲームの手伝いをすること、重いものを運ぶこと、清掃すること。
④ 業務中は業務内容以外の私語厳禁。
⑤ 日当は10万円。
⑥ 業務に伴う事故・負傷については責任を負わない。
と、いうことだ。
そのほかにも細々と業務内容が書いてあった。
「俺、業務内容、知っってるから、細かいこと教えていくよ」
小太りの男の言葉が頼もしく思えた。
何やら怪しくもあるが、かなり美味しいバイトだ。
日当10万円。
いつものコンビニの夜勤の10倍以上だ。
*
業務が始まると、その内容はすぐに飲み込めた。
モニターの向こう、だだっ広い白い部屋。
首輪をつけられた八人の男女。
ルール説明の音声。
何かのゲームをしている。
見たことがある。
アニメでも、映画でも。
首輪には電流が流れる。
指示に従わないもの、敗者。
コントロールパネルの番号が光る。
その番号を押す。
痙攣する。
気絶する。
袋に入れる。
運ぶ。
鉄の扉の向こうへ送り出す。
それだけ。
思ったより単純だった。
ただ、違うこと。
僕は画面の外にいる。
セーフティーゾーン。
モニターの向こうで、誰かの運命が決まる。
指先ひとつで。
その感覚を、僕は拒絶しなかった。
*
女性を“排除“すると、八人いた参加者は三人になった。
だだっ広い部屋には、白くて丸いテーブルが置かれている。
テーブルを挟んで三人が立っている。
互いに背を向けて。
部屋に連れて来られてすぐに、指示に従わなかった一人が“排除“された。
第一ステージのボードゲームで二人。
その後、指示違反で一人。
第二ステージの縄跳びで一人“排除“された。
さっき“処理“した女性だ。
“処理“を終えて、コントロールルームに戻ると、背の高いやつがハイタッチしてきた。
多分ホスト風のやつだろう。
行動の一つ一つに軽薄さが滲んでいる。
一緒に“処理“に行ったのはオタクっぽいメガネだ。
オタクはメガネがないせいで、モニターに顔を近づけている。
ぶつぶつと小さな声でつぶやいている。
私語は厳禁だが、独り言ならいいのかもしれない。
コントロールルームには「第三ステージ」と書かれた段ボール箱が置かれている。
全員のイヤフォンに指示がきた。
小太りが箱を開けた。
封筒がいくつか入っていて、それを三人分取り出した。
小太りがそれを無言で僕とホストに手渡した。
“届けてこい“ということか。
ホストは肩をすくめるような格好をして、手で“行こうぜ“と合図をする。
僕とホストが鍵を開けて部屋に入ると、三人の参加者が一斉にこちらを見た。
タンクトップの筋肉質な男は歯を食いしばっている。
憎悪に満ちた視線が、僕たちを射抜いた。
くたびれた中年男性は、視線を泳がせる。
長袖のポロシャツの袖口からのぞく指がカタカタと震えている。
ロリータ服のツインテールの少女は、首を傾げた。
珍しいものを見るような目だった。
僕たちは封筒をテーブルに置いた。
封筒からはカチャリと金属音がした。
部屋を出て扉に鍵をかけた。
コントロールルームに戻ってモニターを見ると、参加者は封筒を開けているところだった。
第三ステージは知恵の輪のようだ。
先に三つの知恵の輪をクリアすればいいらしい。
ゲームをしている間、僕たちは指示が来るまで待機だ。
24インチの画面には、大の大人が必死で知恵の輪をしている姿がうつし出されている。
オタクは画面に顔を近づける。
ホストは少女が一つクリアしたところで、小さくガッツポーズをした。
小太りは少し離れた椅子でふんぞり返って眺めている。
どこか退屈そうだ。
中年が両手を上げて立ち上がった。
クリアしたのだろう。
少女は、あと一つ。
マッチョは、まだ一つも外れていない。
大きな体に知恵の輪は小さすぎる。
少女が両手をあげて飛び跳ねた。
マッチョが持っていた知恵の輪を壁に叩きつけた。
テーブルの上のものが床に散らばった。
一瞬、こちらを見た気がした。
頭を抱えて、テーブルに突っ伏した。
『7番を“排除“してください』
イヤフォンから指示が聞こえた。
コントロールパネルでは、7番のランプが赤く点滅している。
「次はお前が押せ」
小太りがオタクに指示をする。
オタクがコントロールパネルを見つめる。
「あの、あの体格…。強さ4だと、効かない可能性が…」
声が震えている。
オタクはコントロールパネルのダイヤルを5に回した。
「MAXは4までという指示だ」
と小太りが低く言う。
「死んだらやばいって」
ホストが言った。
僕は何も言わなかった。
オタクはダイヤルは5のまま、ボタンを押した。
画面の中のマッチョは弾かれたように跳ね上がった。
全身を弓なりに硬直させて椅子から転げ落ちた。
痙攣が長い。
いつもより、確実に。
床でブリッジをするように体が震え続けている。
一瞬、目があったような気がした。
*
マッチョの“処理“は、ホストとオタクが行くことになった。
僕はモニターをのぞいている。
小太りは再び椅子に座って足を組んでいる。
部屋の中にホストとオタクが入ってきた。
ホストが黒い袋を広げてマッチョの隣に敷く。
オタクがマッチョを丸太のように転がして、ホストが袋をその下に滑り込ませようとした時だった。
突然、マッチョが跳ね起きた。
ホストは驚いて後ろにのけぞった。
マッチョはオタクの首を片腕で締めあげる。
オタクの仮面が外れた。
床に散らばった知恵の輪を握ると、オタクの顔面に向かって何度も振り下ろした。
白い床に赤い血が飛び散る。
『7番を“排除“してください。7番を“排除“してください』
再びイヤフォンから指示が飛んできた。
小太りは椅子から動かずに、コントロールパネルを指さした。
7番のランプが赤く点滅している。
僕はダイヤルを4に戻してボタンを押した。
マッチョは糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。
オタクはぴくりとも動かない。
ホストは腰を抜かしたままカメラの方を見ているだけだった。
『7番を“処理“してください』
再びイヤフォンから指示が聞こえた。
「ちっ、まずは7番の“処理“だな」
小太りが椅子から立ち上がって、行くぞと合図をする。
僕と小太りは部屋に入った。
中年男はガタガタと震えている。
少女はニコニコと笑っていた。
黒服のホストはオタクに声をかけているが、ぴくりとも動かない。
オタクの救護はホストに任せて、これまでやってきたようにマッチョを“処理“した。
ストレッチャーで運び出し、鉄製の扉の向こうにマッチョを押し込む。
隣のボタンを押した。
ランプが赤に変わった。
マッチョがどこに行ってしまったのかは知らない。
多分、死んでいない。
ストレッチャーを部屋に戻した。
オタクはかろうじて息はあるようだったが、血だらけの顔面は無惨に腫れ上がっていた。
三人でオタクを持ち上げてストレッチャーに乗せ、部屋の外に運び出した。
同じような黒服が立っていた。
イヤフォンが告げる。
『黒服2番を医療搬送。業務を継続』
黒服にオタクとストレッチャーを託して僕たちはコントロールルームに戻った。
このままにしておいたらオタクは危険だろうなと思った。
違う人たちが搬送してくれるのだろう。
*
コントロールルームに戻った。
誰も仮面の下の口を開かない。
モニターに映る白い部屋には中年男性と少女が立っている。
ホストがモップで拭いたとはいえ、床には拭き取れなかった赤が残っている。
イヤフォンから無機質な指令が聞こえた。
『第四ステージ開始してください』
小太りが段ボールを開いた。
中にはトランプの箱が一つ。
コンビニで売っているような。
どこにでもある。
ホストはトランプの箱を開けてパラパラと中を確認した。
「俺が持っていくよ」
ホストはトランプを箱にしまうとコントロールルームを出ていった。
モニターの中でホストが一人で白い部屋に入ってきた。
テーブルの上にトランプの箱を置いた。
ホストは少女のそばで少しかがんだ。
床に落ちているゴミを拾ったのだろうか。
いや、僕には何かを耳打ちしたように見えた。
モニターの中で中年男と少女が交互にトランプをシャッフルしている。
少し足早にホストが戻ってきて、モニターを確認する。
少女はテーブルの上にトランプを裏返しのまま広げた。
中年男がその中から一枚を選ぶ。
少女は唇に手を当ててどれを引こうか考えている。
その中の一枚を選んで胸の前に当てた。
中年男がカードを開く。
ダイヤのクイーン。
グッと拳を握った。
少女が胸に当てたカードを裏返す。
ジョーカー。
少女は両手を上げ、飛び跳ねた。
中年男は椅子から崩れ落ちた。
イヤフォンから指令が入った。
『2番を“排除“してください』
2番のランプが点滅した。
「え?なんで?」
ホストの声が聞こえた。
僕は強さが4であることを確認して、2番のボタンを押した。
中年男はずり落ちたままだ。
少女が痙攣して倒れた。
「勝ったじゃん…」
ホストが拳を強く握って震えている。
『2番を“処理“してください』
イヤフォンから指令が聞こえる。
震えるホストを残して小太りと僕は、2番の“処理“に向かった。
少女は舌を出し涎を垂れ流して気絶していた。
さっきまで笑っていた顔だ。
ボタンを押した指先が少し熱い。
それが何なのか、考えない。
小太りと一緒にいつも通り袋に詰め込み、少女を運び出す。
テーブルの上に開かれたジョーカー。
端には赤いシミがついていた。
*
コントロールルームの前にくるとホストが仮面を外して中から出てきた。
「俺、今日はもう帰っていいって。さっき指令があったわ」
「そうか、お疲れ」
小太りが声をかけた。
「こんな…バイトやってられっかよ。まあ、バイト代は払ってくれるそうだからいいけどよ」
そう言い残すと、ホストは大股で階段を降りていった。
確かに中年がどうなろうとあまり興味がなくなっていた。
彼はすでに僕の指先の外にいる。
だから早く帰れたホストが少し羨ましかった。
モニターを見ると中年がカメラに向かって何か叫んでいる。
さっきまでの怯えた顔が嘘のように。
賞金か、この場所からの解放を訴えているのだろう。
イヤフォンから指令が入った。
「さて、最後の仕事をしてくるか」
小太りがめんどくさそうに椅子から立ち上がった。
最後の段ボールを開くと、封筒が入っていた。
賞金が入っているのだろうか。
厚い。
数百万円といったところか。
封筒を手に取ると珍しく、小太りがコントロールルームから出ていった。
モニターを眺めていると少しして小太りが入ってきた。
中年は小太りのことを罵っているようだ。
小太りが封筒を中年に手渡した。
中年は封筒を頭上に高々と掲げてカメラに向かって何かを叫び続けている。
そして、中年が小太りに唾を吐きかけた。
白い仮面に、唾が垂れる。
まだ、首輪がついているというのに。
イヤフォンから指令が入る。
『1番を“排除“してください』
僕はすぐさま、ボタンを押す。
迷いなどなかった。
画面のの中で中年が崩れ落ちた。
そのあと、コントロールパネルを確認する。
強さは4のままだった。
安心した。
多分、死んでない。
*
中年の“処理“が終わった。
今何時くらいだろう。
夕方だろうか。
夜中かもしれないし、次の朝になっているかもしれない。
『お疲れ様でした。業務は終了しました。コントロールルームの清掃が終わったら、更衣室で着替えて日当を受け取ってください』
イヤフォンから指令が聞こえる。
小太りがイヤフォンを外したのをみて、僕もイヤフォンを外した。
「はあ、まったく、疲れたぜ」
緊張が解けたのか、掃除をしながら小太りが口を開いた。
「まあ、今日は、最後2人になったからな」
確かに、途中でオタクが負傷して搬送されたから、大変だったのかもしれない。
この業務量なら四人で回せば、そんなに大変ではないだろう。
「まあ、一日で二十五万ならラッキーだな」
小太りが言う。
小太りは何回かやっているみたいだから、日当が高いのかもしれない。
「ちょっと、トイレ行ってくるわ」
そう言いのこして、小太りはコントロールルームを出て行った。
*
コントロールルームの清掃が終わったが、小太りは帰ってこなかった。
小太りのイヤフォンだけ残されている。
さっさと更衣室に行ったのかもしれない。
さっき二十五万円と口にしたのが気になった。
僕の分も持っていくつもりか。
急いで、更衣室に駆け込む。
すでに誰もいなかった。
もぬけのからだ。
五つあるロッカーのうち、四つが開けっ放しになっている。
何もない。
小太りの着替えもない。
日当を受け取って帰ったのだろう。
真ん中の閉まっているロッカーを開けてみた。
僕の着替えが入っていた。
ロッカーの棚には五つの封筒が置かれていた。
それぞれの封筒には10万円ずつ入っている。
五十万円。
封筒から、紙が床に落ちた。
僕はしゃがんで紙を拾った。
「お疲れ様でした。バイト代、五人分です。次回開催◯月◯日」
「参加をご希望の場合はご連絡ください。」
僕は、かばんからスマホを取り出した。
スケジュールに予定を入力する。
迷いはない。
僕は振り返って天井を見た。
部屋の隅の監視カメラに赤いランプがついている。
ロッカーにかかっていたヘッドフォンとアイマスクをつけてベンチに座った。
誰かに連れ出されてバンに乗った。
バンの中は僕と運転手だけなのだろう。
車に揺られながら、そう思った。
終
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
選ぶ側と、選ばれる側。
その境界は、どこにあるのでしょうか。
あなたは今、どちら側にいますか。




