番外編3「モグロンは、見ている」
モギュー!(僕の名前はモグロン!)
モギュモギュ!(僕は、この農園の土を管理する偉い魔法生物なのだ!)
僕の仕事は土を食べること。
僕が土を食べると、土はフカフカになって元気いっぱいになる。
そうすると、カイが植えた作物がぐんぐん育つ。
作物が育つと、リナが美味しいご飯を作ってくれる。
美味しいご飯を食べると、みんなが笑顔になる。
だから僕の仕事は、とっても大事な仕事なのだ! モギュ!
僕のご主人はカイ。
カイは僕を森で見つけて、美味しい干しポポイモをくれた優しいご主人だ。
カイはいつも土のことばっかり考えてる、変わった人間だ。
でもカイが土を触る時、土がすごく嬉しそうにしてるのを僕は知っている。
カイの周りにはいつも二人の女の子がいる。
一人はリナ。
リナはいつもニコニコしていて、優しい。
僕に特製のポポイモ団子をくれる。あれは絶品なのだ! モギュー!
リナはいつもカイのことを見ている。その目はキラキラしていて、すごく温かい。
カイがリナの頭を撫でると、リナは花が咲いたみたいにふわあって笑う。
それを見ると、僕もなんだかお腹のあたりがポカポカするのだ。
もう一人はセレスティア。
セレスティアは最初はツンツンしてて怖かった。
でも僕の頭を撫でる手つきは、すごく優しかった。
本当は寂しがり屋なのを僕は知っている。
セレスティアもいつもカイのことを見ている。
でもリナとはちょっと違う。
なんだか眉間にしわを寄せて、難しい顔をしていることが多い。
でもカイが笑うと、セレスティアもちょっとだけ顔が赤くなって嬉しそうにする。
素直じゃないのだ。モギュ。
この前、大変なことがあった。
黒い、嫌な匂いのする虫がたくさん畑に来たのだ。
作物たちが「痛いよー、苦しいよー」って泣いていた。
僕もあの虫は嫌いだ。美味しくない。
カイとセレスティアは緑色の不思議な水を作って、虫たちを追い払った。
すごいのだ!
そのあと、みんなで険しい山を越えた。
僕は一生懸命、道を掘った。
セレスティアはピカピカ光る剣で怖い魔物をやっつけた。
カイは一番後ろからみんなのことを見て、大きな声で指示を出していた。
みんなで力を合わせるのってすごい! モギュ!
王都から帰ってきたカイは「豊穣伯」っていうのになったらしい。
よく分からないけど、すごく偉くなったってことだ。
みんなすごく喜んでいた。僕も嬉しい!
偉くなったら、もっと美味しいポポイモが食べられるかもしれない! モギュー!
僕のご主人はすごいのだ。
でもカイは一人じゃここまで来れなかったと思う。
リナがいて、セレスティアがいて、村のみんながいて、そしてこの僕、モグロンがいるからカイはすごいのだ。
これからも大変なことがたくさんあるかもしれない。
でも大丈夫。
みんながいれば、きっと乗り越えられる。
だから僕は明日も一生懸命、土を食べる。
美味しい作物ができるように。
みんながずっと笑顔でいられるように。
それが僕のできること。僕の幸せ。
モギュー!(さーて、お腹が空いたからリナに団子をもらいに行こうっと!)




