長い道の先に
投稿遅れてすみません。ちょっと私用とかの関係でまた遅れたらすみません。後、1、2話に少し加筆したので良ければそちらも読んで頂けたら嬉しいです。
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よく分からないまま流れで女の子を家に置いてしまった圭吾。彼女の口から語られる事とは!
「ごめん。そろそろ泣き止んでくれ。」
そう言う僕の前には一人の泣いている少女。別に僕としてはこのまま泣いていてもらっても良いのだがなぜ泣き止んで欲しいのかというと、さっきからご近所からうるさいと苦情が来ている。まあ夜中の2時に泣き叫ぶ大人はそうそう居ない。変質者と思われている。また他にも一人子供ができたのかと言う人も居た。こういう人への対応が非常に面倒くさいのである。
それから小一時間して、やっと泣き止んだシルクだったが、何も喋らない。
「あのすみません。ご飯ならさっきあげましたよね?なんか言ってくれないとこっちも気まずいんで、す、が…」
よく見たらコイツ、寝てやがる。人がどんだけ苦労してたかも知らずに、泣き疲れて寝ていやがる。
…子供か、コイツ。
いやまぁ子供なんだけど中身もう結構歳いってるお婆さんのはずなんだけどなぁ。
とりあえずこのままだと何も出来そうにないし、今日は寝るかな。申し訳ないけど緊急時だから明日は予約分だけ渡して弁当屋を休みにしよう。
そう考えて僕はシルクに毛布をかけてやると、自分の部屋へ行って寝た。
ーー翌日
予約分の弁当だけ渡せたため急いで帰宅した僕は、シルクと面と向かって話をしていた。
「とりあえず気になっていることを順に聞いていくから答えてくれよ?」
「ああそれは別に良いのだが、何だか口調が砕けてないか?別に良いのだけれどどうしてだ?」
「そりゃあ…」
(そりゃああんだけ目の前でギャン泣きでもされたらこうなるよ…)
そう思った途端シルクが赤面した。
「もっ、もうその話はやめろ。悪かった変な事聞いて。なんか質問して気を紛らわせてくれ!」
「じゃあとりあえず一つ目に、アンタはどうしてずっと心が読めるんだ?魔力ほとんど無いんだろ?」
「それはこの唯一持ち出していた値切り財布と呼んでいる財布のお陰だ。前の体の時に普通に売っている市販の財布に心が読める効果を付けたんだ。この効果付いてるの買おうとしたら普通20万は下らんぞ。」
「よし。とりあえずその財布は没収だ。」
「な、何でだよぅ。これは唯一の思い出の品なんだぞ!」
「嫌に決まってるだろうがずっと自分の心の中覗き見されてんの!」
僕がちょっとキレ気味に言うと少しシルクは怖気付いたが、直ぐに弁明を始めた。
「そっ、そりゃ嫌かもしれないけれどこれにだって制約はきちんとある。これは自分に対してその時思考を抱いている生物か対象の体の髪でも爪でも何でも良いから一部が財布に入ってないといけないんだよ。因みに昨日夜採取したあなたの髪の毛も入っています。」
「だったら尚更だ!これからの会話において明らかこっちが不利じゃないか。安心しろ後で返すから一旦それを置いて来い!」
「わ、分かったよ。その代わり後で本当に返せよ。」
奥にある僕の部屋に財布を置いてきてまた向かい合うと、話し合いは再開した。
「じゃあ二つ目に、どうやったら元と同じくらいの力?魔力を取り戻せるんだ?」
「それぐらい常識だろう。年齢とともに才覚に比例して増えていくんだぞ。お前その歳になってまだ知らなかったのか?」
ああ知らなかったさ。そりゃこの世界の人間じゃ無いもん。
「で、だいたい何歳くらいまで育たないといけないんだ?」
「80歳くらい?」
「ふざけんなよお前。それまで面倒見ろってか?デメリットが大き過ぎるわ。」
「まぁ待てまだ話は終わっていない。実は救済措置があってだな、レンスという街に年齢が弄れる薬が売っているんだ。」
「じゃあそれを注文して来るから待ってろ。」
「その薬、薬屋の本店に行かないと買えないぞ?」
は?という事はレンスまで行かないといけないのか?あそこって確か…
「ちょっ、ちょっと待てよ。レンスって大陸の端のここの街から大陸の正反対まで行かないといけない町で合ってるか?」
「ん?そうだが…」
「それ行くくらいなら普通に80年待った方が楽で早いわ!」
レンスはただ遠いだけでなく、俗に言う魔王城に一番近い街なのである。
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ここで異世界なんだし魔法で転移くらいできるでしょと思ったそこのあなた。現実はそう甘くありません。この世界の転移魔法は、肉眼で目視できる範囲にしか移動できず、しかも距離関係なしに大量の魔力が必要なのだ。その為普段使いする分には便利だが、こういう遠方への移動には向いていないのである。
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「ま、まぁ待て。実はこれにも考えがあってだな、私の師匠なら転移魔法で目的地までひとっ飛びできる。だから師匠の所まで行けば良いんだ。」
「で、その師匠はどれくらい移動すれば会えるんだ?」
「大体この街からレンスまで行く道のりの3分の1くらいだな。」
それならばメリットデメリットが釣り合う。
その後、他にも質問を重ねた僕は、
「よし。それじゃ聞きたい事は聞けたし、明日から旅に出るために色々準備して来るからちょっと家で待ってろよ!」
そう言って僕は買い出しに出かけた。
遂に異世界モノの主人公らしく冒険に出ることになった圭吾。まずは準備をすることにするが一方その頃家では?
次回 番外編 おるすばん
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