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【完結】異世界転生した伊藤は二度捨てられても生き残る  作者: 安ころもっち


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20 双剣はじめます。

レイティアさんに呼ばれ受付へと戻る。


オーガを含め、素材は金貨5枚程になった。

それほど狩ってはいなかったが魔法のバッグのお陰で効率が上がったようで嬉しい。もちろん僕の素材への知識もあってのことだと心の中で自画自賛しておく。


大剣の方は風属性の大剣のようで軽量化がかけられており、通常より軽いらしい。やはり僕たちにとっては無用の長物のようだ。買取価格は金貨3枚で意外と高い。

大盾の方は闇属性が付与されているようで、挑発効果が上がるらしい。こちらは金貨5枚とかなり高額だった。

どうしても大剣とセットであの二人を思い出してしまい憂鬱になる。


予定通り全て買い取ってもらい、金貨3枚、300,000ロゼを活動資金にして、残りの金貨10枚、1,000,000ロゼで装備を新調する流れになった。

僕もカタリナのニッコニコの笑顔だ。

冒険者スゲーと思った。


レイティアさんに各買取価格を伝えられた後、「計算早いのね、実は貴族様か商人の家系?」と言われてドキッとしてしまった。

冷静を装い「内緒です」と答えておいたが、この世界は足し算、引き算ができるのは貴族か商人ぐらいだ。さらに言うと掛け算が無い。あまり早く計算するとそれ系のスキル持ちだと思われるほどだ。


そう言えばカタリナも計算とかすぐに分かってる感じなんだよな?そう思って「カタリナも計算とか早いよね?」と聞いてみると、少し焦った様子で「実家は宿屋で良く手伝ってたから…」と返された。

なるほど。納得してしまった。


そんなこんなで時間も夕刻、今回はウルズの街では有名な鍛冶職人を訪ねることにした。

聞いていた通りだがやはりドワーフ族の親方が、会って早々僕たちを値踏みする様にジロジロと見ていた。


僕は前々から考えていた装備のことを話すと、それなりの興味を持って貰えたようで話が弾んだ。

僕が今回作ってもらいたかったのは僕用に双剣、手足のガードと仕込み武器に胸当てを2人分、カタリナ用のナックル、魔法の箱であった。予算は金貨10枚と伝え、大きさや重さについての話になった。

今使っている剣を渡すと「お前のような体で良くこんな重い奴を使っているな」と不思議がられた。念のためこれより少し重く、炎と氷を付与したものが作れないかと相談する。


作成は可能だが、一振り金貨20枚とのことで今は無理かと諦めた。属性ナシでも双剣分で金貨10枚とのこと。結局今使っているのと同程度の剣を金貨3枚で購入することになった。

手足のガードは重くても頑丈なものをと伝えるが、こちらにも難色を示した。動きが悪くなるから止めておけと…


丁度その話をしていた時に、カタリナが重そうな胸当てを見つけ、付けても良いかと親方に確認していた。


「それは、重戦士などが付けるやつだぞ。身に余るものは逆に邪魔になる」

そう言って笑っていたが、すかさず僕が軽量化で軽くする。それをカタリナが装備してぴょんぴょんと飛んでいたので、可愛い笑顔に見とれてしまう。


それを見た親方はは罰が悪そうであった。


一応2人とも見た目によらずかなりの力持ち(・・・・・・・)という事を強調し、カタリナの胸当てと今のナックルより硬いものを、二人分で両腕部分にパチンコの玉が仕込める隠し武器を仕込んだ手足のガードを発注した。

新しいアイデアと言うこともあり、かなりオマケしてくれたようだが、金貨12枚と少し予算オーバーではあった。

また稼げば良いと思って注文をした。


魔法の箱については完全に予算オーバーということで今回は諦めた。

試しに容量が多く時間停止の付与されたものの相場を確認すると、金貨50枚ほどだと言うので道のりは遠い。

重量については「背中に収まるリュックサイズで200kg近くになる」と教えてくれた。

さらに「備え付け用だろ?」と言われたが、注文の際には背中に背負えるように加工してと伝え、親方も何かを言おうとして諦めたようだ。


早く稼いで注文して、親方をまたびっくりさせたいという思いが湧いてくる。


取りあえずの2本目の剣を左右の腰に差し、カタリナも新調したナックルを装備する。


2人分の胸当てと手足のガードについては調整や新調があるので、3日程時間をくれと言われたので、その間に新しい武器を手に迷宮にこもることにした。


新しい剣もナックルもかなり良い感じであった。

僕も双剣も意外と様になっているようだだが、まだまだ片手剣の状態の方が効率が良いようだ。今後に期待しようと思う。


そして3日後、完成した新装備を受け取りにワクワク気分で親方の元を訪ねた。


「本当に大丈夫なのか?」

そう聞かれるが、構わず胸当てと手足のガードを装備する僕とカタリナ。


もちろん『軽量化』を掛けているので、試しに動いてみると楽に動ける。これで防御力アップで安心だ。

その動きにまた親方が頭を抱えている。


「お前たちを見ていると今までの常識が崩れてく」

「まあ僕たちは特別ということで…」

そんな感じで3人で顔を見合わせ苦笑いしていた。


迷宮へ入る前に、両手のガードに火薬入りの球を10発づつ装填しておく。カタリナは『射撃』スキルが無いが、火薬入りの球は打つとすぐに広範囲ではじけるので、とっさの目くらましに最適だ。


これで装備は整った。

最下層、30階層のボス部屋を目指してさらに迷宮を進んで行く。


◆◇◆◇◆


「良くやった!それこそ家の跡取りだ!」

「はい!父上!魔剣士となりさらに研鑽を詰み、公爵家を盛り立ててまいります!」


ダグラセイド公爵家では、嫡男(・・)であるロウデスの神託の儀が行われ、『魔剣士』のジョブを授かっていた。

授かったスキルは『魔力剣』という物で、剣に魔力を纏わせ、攻撃力を大幅に上げる物であった。これには父であるヘルボメス公爵も大喜びであった。


それに歯噛みして悔しさをにじませているのは、イテイオの母、正妻であるハレルヤである。その内心を隠そうとしているが、こめかみが引くつき、その姿に周りの者達がどのように対処して良いか狼狽えている。

ヘルボメスの隣には、離れで暮らしていたはずのロウデスの母、セリーヌが微笑んでいる。男爵家の令嬢であったが、強い魔力と良い見目により妾として公爵家へ向かい入れられた。


ロウデスを産んでから離れでひっそり暮らしていたが、イテイオが家を出てからはハレルヤの方が離れに追いやられている。その分ハレルヤのイテイオへの恨みの念は強い。

その為か少し顔つきがきつく変わってしまったハレルヤが、実はロウデスがハズレスキルを引くことを願ってこの場に参加したのだが、その目論見が外れ早々にこの場を後にすることになった。


それもまたイテイオへの恨みに上乗せされてゆく。

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