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【完結】異世界転生した伊藤は二度捨てられても生き残る  作者: 安ころもっち


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18 ウルズの遺跡

「ふう。これで終わりかな?」


ウルズの西の遺跡まで来た2人は遺跡内部につながる階段を降りた。

外から入る光のみで薄暗い開けた空間には、依頼書通り大量の赤毛猿が住み着いていた。


入ってすぐ、僕たちに気づいた猿たちはすぐに奇声をあげ襲ってきたので、なんとか返り討ちすることに成功したところだ。


凶暴と聞いていたので身構えていたが、その強さは10階層のボス部屋、あのコボルトに少し毛が生えた程度に思えた。

数だけが脅威ではあったが、『軽量化』された僕はむしろ乱戦が合っているようで、赤毛猿が殴りかかってきたり石を投げてきたりの攻撃を素早く躱し、次々と鉄剣で撃破していった。

カタリナの方は+5ではあるが敏捷の腕輪を装備したからか、華麗なステップで攻撃を躱し次々にその拳で赤毛猿を屠っていった。


「えーと、18匹?」

「聞いてたより少なかったね。もしかして下にまだいる?」

「あっ!そうかも!」

カタリナの言葉に思わず声をあげる。


登ってゆく迷宮と違い、遺跡は地下へと続いてゆく。

レイティアさんはこの遺跡には地下2階までしかないと言っていた。ならば他のが居るなら地下2階だろう。


「じゃあ行ってみようか。どうせ他の冒険者は来ないだろうし、猿は放置でいいよね?」

「そうだね、あ、イテイオくん、一応あっちの隅の方にまとめておかない?」

「そっか。そうだね」

カタリナの提案で、入ってきた入り口から遠い方に手早く猿たちを投げ集めて行く。


僕は『軽量化』を掛けつつ投げているが、それに負けない程度にカタリナも軽々投げている。ステータスの差が目に見えてつらい。


ようやく18体全てを隅に固め終わると下への階段を見る。

また同じように大量にたむろしているのか、それとも…


緊張しならがも階段へ向かって歩き出す2人。


階段を少し降りのぞき込むが、中はやはり薄暗かった。

僕は買っておいた発光器に魔力を籠めると、そこから光が広がりそれに照らされた内部が見えた。


5体の赤毛猿に守られるように中央に座っているのは、2回りほど大きな赤毛猿?頭に角生えてるけど?僕たちに気づいて奇声を上げ始めたが、すぐに飛び掛かってはこないようだ。


「ねえ、あの中央の、なんか違うのだよね?」

「多分ね。上位種なのかも」

「どうする?向かっては来ないみたいだから今日は戻る?」

僕の言葉に少し考えるカタリナ。


もちろんその間も何時でも動き出せるよう赤毛猿を注意深く観察している。


「戻ってもすぐに迫ってきちゃったら、すぐに逃げないといけないから、上の素材を確保する時間なさそうじゃない?」

「そうだよね。じゃあ、やるしかない、よね」

「だね。行こう!」

カタリナの合図と共に、まずは左右の赤毛猿を目掛けて走る。


先ほどと同じようにあっさりと2体づつ無力化して、一旦下がり距離を取る。どの程度の強さを持っているか情報が無いので警戒はしておく必要がある。


いつもカタリナに先陣を切ってもらっているから、今日こそはと大きい赤毛猿に向かって鉄剣を叩き込む。


だがそれは躱されてしまった。

だが赤毛猿にも余裕は無いようで必死に避けたようだ。これは大丈夫そうだと安堵しながら2撃目を放つ。


それを赤毛猿が肩口に受けながらも致命傷は避けるように躱したが、その体制は大きく横に崩れてしまい、今にも倒れ込みそうな体勢になっっていた。

その隙を見逃すはずもなく追撃を、と思ったが…

そこにはカタリナが待ち構えたように立っていて、すぐに拳が撃ち込まれ赤毛猿のお腹がゴツンと跳ねる。そして倒れ込んだ赤毛猿はピクリとも動かなくなった。


悲鳴を上げる暇もなく絶命した赤毛猿。

ホッとしてからカタリナと笑顔で「イエーイ」とハイタッチ。

レベルも14まで上がったことを確認しつつ、笑顔で計6体の赤毛猿に『軽量化』をかけてから、用意していた大きな布に包み持ち上げる。


途中階段で詰まって動けなくなり、一旦ばらして数体づつ運ぶというハプニングもあったが、上階の18匹についてもバケツリレーのような感じで地上へ運び終わる。

軽いと言っても何度も繰り返る作業に、若干の気疲れをしてしまった。


「これ、どこが素材になるか聞いてなかったね」

「そう言えば…」

そんなことを言いながら、結局さっきと同様に2枚の布に半分ずつ包んで2人でギルドまで背負って帰ることにした。


当然周囲にはドン引かれたが、そのまま解体所へ運び込む。


あの角持ちの大きな赤毛猿は予想通りではあるが進化した個体、赤毛角猿という魔物だということも判明。

そして赤毛猿の買い取れる素材は心臓にあたる部分にある魔石と毛皮部分とのこと。その他の部分はゴミだと言うのでまとめて迷宮に捨て、吸収させるのだとか…


肝心の赤毛角猿についてだが、通常の3倍程度で買い取りするとのことで、依頼の分についても3倍出す、という嬉しい返事を頂いた。

さらに角部分が魔力通りが良いということで、魔道武器に利用できるため、さらに銀貨5枚で買い取ってくれるようだ。


通常の赤毛猿が素材売却で銀貨1枚と、駆除依頼の報酬で銅貨5枚の計15,000ロゼ。それが23体で345.000ロゼ。赤毛角猿が45,000ロゼとその角が50,000ロゼだった。

総計440,000ロゼ、金貨4枚と銀貨4枚。


素材買取分の事は考えていなかったので、びっくりな成果だ。

結果、貢献ポイントにより2人してDランクに上がってしまった。スピード出世である。


当初は一番小さな魔法の袋を買うはずが、金貨3枚のリュックサックぐらいの物を購入した。大きさは大きいがまだまだ携帯を考えた軽い奴だ。とは言え力自慢の冒険者が背負って使うものらしくかなり重い。

およそ10kg程度なのでタンク職なんかが背負ったり、荷物持ちが必要な重さだ。その分容量は2m四方程度の物が入る。これがあれば今回の猿の半分は収納して運べただろう。


今回の件で魔物の必要素材などの情報も重要だと反省し、明日から暫くギルドに併設されている図書室で、魔物の素材のお勉強をすることになった。

主要な素材に関する知識を得たなら、僕たちはさらに効率よく稼げるようになるだろう。多分ではあるが…

座学はつらいが今後を考えれば必要な知識だ。


特に僕たちはこれからドンドン先に進めると思っている。だからこういった情報をしっかり押さえ、無駄な手間暇を減らす努力をしようとカタリナを説き伏せた。


結局、次の日には飽きてしまったカタリナは訓練場で汗を流し、僕は知識を詰め込む作業に没頭することになった。まあ、良いんだよ別に。適材適所。分業というやつだ。そう思って諦めた。


一流冒険者への道は遠く険しいものだ。

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