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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第98話】メイトの行方

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン


スピネル

ゾイ

アイカ

アクロ・アイト

イト

「ヤバすぎるわあの人……」

 爆轟魔法により吹っ飛ばされた後のキアナ、スピネル、アイカ。キアナは手をプラプラしながらジトっと図書室を見上げる。

 私は校則で適当に近くにいたキアナ・ローゼになっている、メイトの作戦の一つだ。

 とりあえず作戦は終わった、もう解除してもいいだろう。

 キアナは腕を前に出し、ルールを開き『キアナになる』を選択し、削除する。するとキアナは光出し、光が収束していくと、姿はゾイに戻っていた。

「何が起きたのよ、メイトはどこに行ったのよ」

 少し怒りと混乱を覚えていたアイカが立ち上がり、ゾイと同じように見上げる。

「おそらくイト側にこちらの作戦が漏れていた、もしくは急遽乗り込んできた、後者ならやはりアクロと繋がっていたと考えていいでしょうね、メイトもきっとイトの場所でしょう」

 仮面を外したスピネルが体についた埃と土を払いながら考察した内容を話す。

「だね、まぁイトとのゲームはメイトに任せるとして、こちらはあの"ロリ"をやりますか」

 ゾイがニヤと、しかしどこか強がった顔で笑う。

「いくよ、ちなみに作戦とかないから」

「でしょうね、あなたは作戦なんて考えるような人ではないからね」

「でもどうするのよ、さっきの攻撃防ぐのでも精一杯だったじゃない」

「あんな攻撃連発できるわけない、むしろ私たちの威勢を削るための一撃必殺の一回限りの技かもしれない……攻めていこう」

 すると、大きなローブを着ている校長が図書室に開いた穴からヒョコッと顔を出した。

 先ほどあの劇的な攻撃をした人間とは思えない、十歳ほどの少女である。それでも、その顔と立ち方、諸々の雰囲気が、まるで仙人かのように感じる。

「校長ー!賭けるもの設定はー!?」

 遠くから叫ぶゾイ、校長はふむと、徐に長く伸びた髪を手で翻しながら言う。

「単純に『退学する』でいいだろう、君たちは?」

 校長も同じように下にいるゾイたちに叫んだ。

「私たちが賭けるもの……? どうしよっか」

 アイカが二人に問うと、ゾイが一瞬口を開けて固まった後、また驚いたように感嘆したように微笑む。

「私に任せて……」

 ゾイは手を二人に向けてから、一歩前に出る。

「『メイトの要求に従う』!! それでいいわ!!」

 それは、メイトが聞いてしまう瞬間、近くにいたゾイが微かに耳にしたメイトが残した言葉だった。

 メイトは校長が乗り込んできた時点で、ゲームになることを予想したのだろうか……。

 ゾイの疑問に解が浮かぶ前に、校長から返事が叫ばれる。

「いいだろう」

 それを聞いて、ゾイはチラッとスピネルを見る。

 見られたスピネルは、ゾイがこっそり手をクイっと動かしていることに気がつく。双子姉妹としての絆なのか、それで理解したスピネルは、コクっと頷く。

「え、なに?」

 アイカが訊いたその瞬間、スピネルは転移魔法を使った。自身の真下に生み出された黒い渦に、自由落下するスピネル。


 繋がる先は図書室の本棚の裏、天井から落ちてきたスピネルは渦から顔が出た瞬間視線を動かす。

 校長はいない、あの穴にいる。バレる前にキアナを回収して戻る、そういう指示。

 その時、真下に力無く倒れているキアナを見つける。陰が被る瞳に、ゾッとした。

 地面に着地すれば音が出る、なら着く前に床に転移魔法を発生させれば気配なく回収できる、と踏んでいたが、想定外。


 死んでいる――。


 スピネルはつい、転移魔法を発生せずに床に着地してしまった。

 口から一筋の"液"が漏れ涙を流し、元々人間だったソレは、物凄く残酷で残忍で醜悪で、無機質的な悍ましさがあった。

「――!」

 足音に気づいた校長はバッと振り向き、手を向ける。

 魔法を使い、大きな本棚を意図も容易く横に吹っ飛ばした。大きな本が散乱し、空を舞う。

「……」

「――」

 そこにいたのは、先ほど雷魔法で殺したキアナを抱きしめて、自分を敵意に満ちた瞳で睨むスピネルがいた。

「皮肉ですね、これでも、あなたを信じないといけないなんて」

「――……理解が早いな、さすが姉といったところか」

 スピネルは短い会話を残して、転移魔法を床に発動させ落ちていく、大事そうにキアナを抱えて――。


 ゾイ側の地面に渦が生まれ、スピネルと抱かれたキアナが出てくる。

「ゾイ! 戻ってきたわよ!」

「りょーかい!!」

 その瞬間、ゾイは腕を大ぶりに振った。手に雷を纏わせて。

 自然発生した雷よりも、莫大な魔力を孕んだ雷撃魔法。閃光と爆音と共に放たれたソレは校長に一寸の隙も与えない。

「――ハハ、才能が凄いな」

 もはや防ぐことも出来ず、諦めの声音で呟いた校長。そこに雷撃は直撃した。


――――――――――――――――――――


 転移魔法石、接触した対象を強制的に任意の場所に転移させる魔具の一つ。

 別に関係ないしどうでもいいことだった。

「……わざわざそっちから連れてきてくれるんだな」

「……」

 メイトはポッケに手を入れて立っている。眼前のソファには優雅に飲み物を飲んでいる、深くローブを被っている女の子がいる。

 こいつが、"イト"……――!

 少しばかり高揚した気持ちを落ち着かせてから、ゆっくり歩み寄る。


「さて――ゲームしようか」

 

 ソファに座るイトの前に、あぐらを描いて座ったメイトは低い声音で告げた。

「……あなたは……?」

 するとイトは、メイトの後ろにいたアクロに問う。

 先にアクロか……やはり繋がっている……。

「お前らの仲間だろ、別に自由にしろよ」

 どうせ最後は二人とも倒すんだ、イトアクロVS俺でも大差ない。

「……分かっているんですか……」

 イトはあんな啖呵切っといて"対象"にバレたアクロに落胆した。

「それはいい、さっさとゲーム始めるぞ、はよルール説明しろ」

「そう急かさないで、というかゲームするんですね」

「……お前らが呼んどいて白々しいな、はぁ……――お前は日本人と会いたかったんだろ、それで俺を標的してこれまでやってきたんだ……でもそれなら普通に俺の元に来ればいい、なのに来ないしこうやってわざわざ遠回しに引き摺り出そうとしたことから……――俺と戦いたいんだろ」

 下からイトを睨む。無言を返したイトから図星と感じる。

「ならさっさとゲームを始めろよ、今更下らない芝居打ってんじゃねぇ」

 さらに言えば、八階は一位以外立ち入り禁止、つまり俺がここにいることがイトの思惑、言わば手のひらの上というやつだ。

 『八階以降、一位以外立ち入り禁止』にプラスで『メイトは可』が追加されているのなら、俺が何かそぐわないことをすれば、プラスの校則を削除され退学にされかねない、そこも含めているのだろう。

 ――ここに転移された時点で、もはや俺の逃げ道はない。

「そうですね……――では始めますか」

 すると、イトは机の下から魔具を二つ取り出した。

 ……"水晶"……?

 イトはその一つをメイトに差し出した。メイトは魔法で受け取ると机に置く。イトもガラス製の机に置き、真顔でメイトを見つめる。

「これから始めるのは、事実を互いに賭け合う天秤ゲームです」

 これは、アクロの話通り…。

「あなたは一回でも私に勝ればいい、事実の大きさが大きければ勝ち、小さければ負け、です」

「大きいの基準は?」


「……どれだけ相手の心を揺さぶるか」


 つまり、その事実に動揺するかどうか。認知の事実なら動揺はないだろうが、未知の事実なら、きっと動揺してしまう。それが、イトとのゲーム関係のことなら尚更。

 やはり、イトとのゲームの為のゲーム……イトが"ゲーム相手(イト)"であると確定させてもいいだろう。

「なるほどな」

「事実が負ければ、その事実はなくなり、なかった世界に改変される、そしてその記憶はなくなる。勝てばその相手が賭けた事実を覚えている」

 これも、アクロの言葉通り……言葉通り、か。

 チラッとアクロを見る。

 アクロは本当にイトの仲間なのか……? アクロのあの時の話が事実で、その時のゲームで色々事実を改変させられたのなら……――。

 アクロは"被害者"の線が浮かんでくる。

 メイトは新たな可能性に不服そうにニヤと笑う。

「……それで? 一回だけ勝る、とか言ってたが回数制限でもあるのか?」

「いえ、これはお互い賭けるものがなくなるまで続けます」

 それはつまり。

「事実、つまり記憶と記録、自身にまつわる全ての存在、自信が残した功績……畢竟、互いの存在が消えるまで続きます」

「……へぇ、それって例えば『腕がある』って事実を失えばどうなる? ゲーム中に腕が無くなるのか?」

「いえ、ゲーム中は世界に影響はありません、ゲーム自体の勝敗がついた時蓄積された事実の改変が行われます……が、記憶だけは無くなります」

「分かった」

 二人とも、抑揚のない平坦な声音で喋り、感情がないようにも見える。

「それで、何を賭けるんだ? このゲーム自体に」

「私は『退学』でいいです」

「へぇ……じゃあ俺も『退学』でいい」

「――……分かりました、ちなみに校則の効力は世界改変が行われる前にやります」

「だろうな、そうじゃないとその時には既に相手が消えてるんだから」

「――では、始めましょう」

「あぁ」

 どちらも視線は見えない、深く被ったローブに透明人間。しかし、睨み合っていることは雰囲気で掴めた。

 手持ち無沙汰のアクロは、ただそんな二人を見ていた。

 メイトの思考によぎる、新たな可能性。

 ありえるだろうか、違和感の正体が、既視感の正体が、このゲームによるものだって……つまり、既に"誰か"消えてしまったのではないか?

 刹那、そんな疑問を抱いたメイトを置いて、ゲームは始まっていく。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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