【第82話】多勢退場
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン
ハキマ・クォーツ
スピネル
ゾイ
アイカ
アリーテール
アクロ・アイト
イト
ハキマたちが巻き添えになって、もし死なれたら大いに困る。
メイトは攻撃の場所、土埃の中に入っていく。床はヒビが入っていて今にも崩れそうだ。
煙の中を進むと、一歩止まる。その先は、床が崩壊していた。
「マジでか」
メイトは覚悟を決め、凸凹の壁面をゆっくり降りていく。
――――――――――――――――――――
悪魔が現れた試合会場。
悪魔による最初の一撃は、確実に審判女生徒も巻き込むものだった。
しかし、誰よりも早く動いたアクロが守っていた。悪魔の手から放たれた漆黒の斬撃を、鞘から抜かないままの剣で一瞬遅らせた。
その間に、アクロが動いたことを見たアリーテールが跳び、審判を押す。
よって、アクロが生んだ一瞬の遅れと、アリーテールの迅速な対応により、審判の命は助かっていた。
「いっ、た……」
斬撃を防いだことにより遥か後方の壁まで吹っ飛んでいったアクロが、頭を抑えて立ち上がる。
アリーテールは戦おうと、刀に手を置く。しかし、それ以上は動かない。
「――ッ!」
恐怖である。悪魔といざ戦おうと対峙すると、『死んでしまう』という警告が全身に駆け巡る。
ふざけんな、今ここで僕が立ち向かわなかったら、人が死んでしまう。
ガチガチ音を立てる歯を食いしばり、刀を握った。
と、その時。
「アリーテール君! そいつは俺が対処するから審判の人を頼む!!」
「――、アクロ君は大丈夫なの!?」
「あぁ! 俺はいいから早くそいつから離れろー! "戦うな"!!」
叫ぶアクロ、アリーテールは背を向ける覚悟を決め、振り返り、審判の手を掴む。
「逃げます!!」
「は、はい!」
そのまま出口へ走る二人、悪魔は横目で見た後、顔を巡られせる。
そして、ある方向を見つめる。
「……、!」
その時、アクロが鞘から抜かない剣で、悪魔の首を狙う。悪魔はその剣を軽々しく掴む。
「てめぇ、何しに来たんだ!」
アクロが自分の倍ほどある悪魔の腹に足を置いて、掴まれた剣を利用して、悪魔の顔面に近寄る。
「失礼、どこかでお会いしましたか?」
悪魔は低く、悍ましい声音で慇懃に聞き返す。
「あぁあるぜ、いつだかの会議でてめぇの顔面ぶん殴った奴だよ! 今は色々あってこんなんだが、忘れたとは言わせねぇぞ」
「――あー、そうですか……あなたでしたか……なら分かるでしょう? 私の邪魔をするのなら、それは"議会"に逆らうことなんですよ?」
「私は元々あんたら議会にはうんざりしてんだよ、それに邪魔してんのはお前だ! とっとと失せろ」
アクロは足を上げて、悪魔を横から蹴る。悪魔をはそれを避け、剣を離す。
「そうですか……膨大な神的魔力を感じたので来てみれば……まさかあなたが裏切りをしていたとは――」
「違う! なんで分かんないんだよ! 関係ない人を巻き込んでじゃダメなんだよ!」
「またそのような戯言を……もうそのような世界は終わったのです、今は、世界は危機に瀕しているのです」
「違うな、お前らの言う危機はお前らの危機だ! "民衆"の危機じゃない!!」
アクロは怒りと憎悪に満ちた瞳を、悪魔に向ける。
「……はぁ、これは子供が口出しできる物ではない、邪魔をするなら……――殺します」
その時、悪魔の瞳に明確な殺意が宿った。そして再び黒い渦が生まれて、そこから一本の剣が出てくる。
「こっちのセリフだ……この作戦が成功したら世界は変わる――お前らは邪魔だ……死ね!」
そして、アクロの剣と、悪魔の剣が、衝突した。
――――――――――――――――――――
はぁ、はぁ、はぁ。
アリーテールが、審判を外の安全な場所へ送った後、帰り道。
なんで僕はまたあそこに戻っているんだ……逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ。
それでも、足は止まらない。焦燥感が止まらない。
あの時、アクロ君が先に動かなかったらなにもできなかった、じゃあ、ちゃんとお返ししないと!
アクロ君がピンチになるなら、手伝わないと!
と、その時、最初の攻撃より崩れた客席、その瓦礫が落下した廊下に行き当たる。
こっちは行き止まりか――。
踵を返した時、ガラッと音がした。
「あ、アリーテール、逃げねぇのか?」
振り返ると、瓦礫の上に立つのはローブ、メイトである。
「メイト、なんでここに……」
「大切な人を助けに来た――けど、いなかったみたいだ、もっとたくさん人が被害にあったかと思ったけど、まさかの誰もいないんだよ、びっくりした、流石に最高峰魔法学校だな」
メイトが瓦礫を裏返したり色々探したものの、ハキマたちはおろか、人一人いなかった。
「そんなバカな……――いやそれならいい! ならメイトも逃げて!」
「あ、あぁ、そうする気だけど、お前はどうすんだ」
「僕は――――忘れ物を取りに行く」
ピコーんと察する。
うん死亡フラグだな。
「なら俺も行く、ここまで来たってことはこっちから行った方が早いんだろ?」
「いや、それは悪いよ――」
アリーテールの許諾も聞かずに瓦礫から飛び降りると、振り返り、透明人間を想像する。
瓦礫を退かす、か。
計十人ほど、同時にそれぞれが岩を退かす身体の挙動と仕組みを想像して、頭の中で動かす。
「……」
アリーテールが唖然とする中、瓦礫はほんの数秒で避けられ、道が開く。
「さ、行こうぜ、どこに行く気なんだ?」
「――……あ、えと、僕のクラスの控え室だよ、この奥なんだ」
「分かった! 走るぞ!」
「う、うん……――あ」
アリーテールは視線の先に何かを見て、足を止める。メイトも振り返り、見る。
教師である。誰かは知らないが薄く無精髭を生やしたおじさんが立っていた。
「せ、先生……」
「……あー、そう」
メイトは教師をジロッと睨んでから、苛立ちから頭をガリガリかく。
「先生! どうなってるんですか!? アクロは――いやあいつはなんなんですか!」
アリーテールは、冷めた瞳で諦観する教師に詰め寄る。
「……」
しかし、教師は動く気配はなく、沈黙を返す。
「あー、アリーテール、先生に何かを頼るのは無駄だと思うぜ」
返事がなく、たじろぐアリーテールに、後ろから声をかける。アリーテールは「え?」と振り返る。
「アルディアの先生なら、初手の攻撃ぐらいなんとかできた筈だしもっと迅速な判断ができる筈だよな、まぁだから……『勝手に対処してろ』ってことだろな」
「そ、そんな……先生、人が死ぬかもしれないんですよ? 今も外でアクロ君が戦っています! 助けてください!」
「……」
アリーテールの必死な訴えも儚く、教師は無関心を貫ぬき、無言でアリーテールの横を歩いていく。
そして、メイトの横を通り過ぎる時。
「人が死んだら、学校の沽券に関わりますよ、それとも、人が死んでも関係ないと――?」
メイトが小さく問うが、教師が変わらず前を見たまま返事はない。
メイトは顎に手をやり、再び問う。
「――なら、そもそも死ぬことがないと?」
耳を疑った。それに気がついた生徒は、過去類を見なかった。
「……噂通りだな……」
教師はそう、細い目で透明なメイトを見る、その視線は尊敬の念が含まれていた。
そして教師は微笑んだまま、歩いて行った――――。
「……図星か、ふむ、なるほどなぁ」
「な、なんの話だよメイト……それより早く行こう」
「悪い――だな!」
そして、去る教師に後ろ髪を引っ張られる気持ちのまま、走り出した。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




