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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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78/264

【第78話】快楽主義

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

アリーテール

イト

 あんなこと言われたら、反応せざるを得ない。

 理性ではなく、本能で――感化されたのだろう。

「……好きなように、か」

 アイカは、控え室に向かっている。数分前とは打って変わって、光を取り戻した瞳で前を見ている。

「私の好きなように……メイトはあんなことしてまで私に伝えようとしてくれた」

 試合を任され信頼され、あんなに楽しそうだったのに、見捨てたのだ。

 全く、私と同じなんかじゃない。

 私は信頼されて、それを失うのが怖くて、だらだら引きずっていただけだったのに、メイトは信頼を失ってでも自分を貫き通した。

 浅ましい自分に反吐が出る。

 だが、そういう話でもないんだろう。ここで私がまた絶望したら、メイトがやった意味がない。

 そう言うことを伝えたかったんじゃない。

「もっと自由に生きろってことでしょ」

 『社会』に制圧されるな、『社会』が悪いと信じろ。『自分』のやりたいことをやれってこと。

「分かったメイト、楽しんであげる……絶対『社会』の害悪さに屈しないんだから!!」


―――――――――――――――――――――


 衝撃が冷めるまで、暫しの休憩タイムを設けた後、アナウンスが流れる。

「えぇー! それでは! 支援魔法科対治療魔法科の試合を、開始します! 両選手入場!!」

「うぉーーー!!!!」

 東、支援魔法科、アイカ。

 西、治療魔法科、ゾイ。

 学年五位と九位と試合に、全員が釘付けになっている。

 そして、フィールドである芝生の会場に、二人はゆっくり歩きながら入場する。

「来たんだ――感動しちゃった?」

 中央、一度礼儀で握手する際、囁かれた。

「あんた、ホントうざいわね」

「自覚ある〜♡」

 ゾイは前と変わらず、(おど)けながら首を傾ける。

 人間そうそう簡単に変わらない。楽観的な思考、メイトは本当にアイカが変わると思っていたのか?

 そう疑うゾイは細く目を開ける――しかし杞憂であった。

「楽しみましょうね」

 霞が晴れ、太陽のように明るい微笑を、アイカが浮かべていた。

 ゾイは目を丸くして固まる。予想外の顔つきに思わず素で驚いてしまった。

「――ふーん、あなた、あっち側だったんだ」

「は?」

「楽観主義で、刹那的快楽主義。その場その場で楽しいことをしたい人、ちょうど、メイトかな」

「あっそ、あんたは(こう)的快楽主義なの? つまんなそうねー」

「あはは、そういう人の特徴教えてあげる――悲観的にならない自分がすごいと思ってるけど、それはただ危機が予測できない馬鹿ってだけだからね?」

 メイトは異例だけど……。

「あんたにも教えてあげる、あんたは今は我慢すれば快楽を得れるって思ってるけど、それ意味ないから、ソースは私」

「うわー、ソースが信頼ありすぎるんですけど〜♡」

 そんな煽り合いを交わした後、二人は満足そうに微笑んだ後、振り返り、離れる。

「……さぁ! ではこれより、アルディア対抗魔法試合、二回戦、支援魔法科対治療魔法科の試合を開始します!」


――――――――――――――――――――


「メイトを探せーー!!!!」

「吊るせ!! 処せ!! せっ! セッ!!」

「あのバッカどこにいるよの!!」

 その頃、メイトのクラスメイトたちは廊下を走り回っていた。メイトを問い詰める為に。

「あいつマジで……――なんとか言えやー!!」

 なんとも言えない苛立ちは全員共通だった。そして姿を出さないメイトにさらにむかつく。

「ま、まぁまぁ、ほらメイトもなにか意味があるのかも……」

「ハキマぁ、まさかメイトの味方すんのかぁ? あいつのせいで俺たちは終わったんだぞ? ――これで負けた!! もう試合もない」

「あんたはどうでもいいからいいよね、運動会ガチで参加してないから……私たちはみんな本気でやってたのよ!?」

「そ、それはそうだけど……」

 男女二人に怒られるハキマ、愛想笑いしながら後ずさる。

「大体あんたはいつも――!!」


「おいやめてくれ、関係ない奴に当たんないでくれ」


 その時、二人の後ろから当然現れたのは、メイトだった。

「うわっ! め、メイト! おま、お前何してくれてんだ!! お前自分がしたこと分かってんのコラァ!」

 ガッと、激昂した男がメイトのローブの胸ぐらを掴む。

「……あー……言ったろ、俺はめんどくさいからやんないって」

「じゃあなんで試合に出るって言ったんだよ! 最初から参加しないって言っとけばよかっただろ!」

 正論である。

 胸ぐらを掴まれたメイトは、ライカの方が強いな……なんて関係ないことを考えていた。

 そして、男の腕を掴む。

「悪かった、俺の事情があった」

 その曇りなき澄んだ声音を聞いた途端、なぜか怒りが消える。否、それ以上の別の感情が生まれる。

 生物的生存本能なのだろうか、『こいつに深く関わってはいけない』と、脳裏に浮かんだのだ。

「そ、そうか……」

 男はメイトを刺激しないように、ゆっくり胸ぐらを放し、離れる。

「ちょ、ちょっと! それだけ!?」

 後ろの女が男の肩を引っ張り(とが)める。しかし、男はメイトの顔を見て、戦慄していた。

 全く見えない。しかし、感じる――怒りを。

 『見えない恐怖』とでも、言うのだろうか。

「――……こっちも、熱くなって悪かった……」

「あ? え、あぁ、まぁ……」

 なぜ謝罪されたのか少々疑問だが、まぁいいや。

「じゃ、俺はこれで――」

「いたぞぉ!!!!」

 その時、メイトの姿が違うクラスメイトにバレる。

「みんなー!!」

 クラスメイトは仲間を呼んだ!

 やっば……謝罪するべきなんだけど、今は忙しい!

「悪い、謝ってたって言っといて!」

「え」

 男にお願いしてから立ち去ろうとするが、クラスメイトたちが両方の廊下から来ており、仕方なく。

 壁を魔法でぶん殴った。

 その場の全員驚愕して足を止める。即席で作った建物とは言え、コンクリート製、その事実に皆、目を疑う。

 吹っ飛んでいった瓦礫は、外にある。

 壁の向こうは外。

 壁はメイトにより瓦解して、壁に大きな穴が空いた。

「わり、逃げるわ! ハキマ、助けてくれてありがとうな!」

 その瞬間、メイトは外へ飛び降りた。

「なッ!?」

 高さで言えば、ビルの三階ほど。いち早くハキマが、遅れて他の生徒が飛び降りた壁穴へ駆け寄る。

 鍛えてる人なら余裕の高さだろう。しかしメイトにそんな素振りはなかった。間違いなく怪我では済まない。

「メイト――!」

 ――そこには、壁を破壊した時の瓦礫が、階段状に浮かんでおり、そこをメイトが降りていた。

「来ない方がいいぜ、流石に後ろのやつ浮かせるのは無理だわ」

 メイトの脳内。

 透明人間三十人ほど。下が肩車し、そいつがさらに肩車して、連なって、瓦礫を持ち上げる。それが地面まで。

 足場も不安定で、気を抜けば透明人間は消えて、瓦礫ごと落下する。

 しかしメイトは一切の焦りなく、スラスラ降りていく。

 地面に到着すると、全ての瓦礫がゆっくり地面に落下した。

 だいぶ高所から降りてきたメイトは、まだ呆然と自分を見ていたクラスメイトやハキマを見て。

「じゃあな!」

 そう元気に言って、逃走した。

「……マジか」

 もはや、誰もメイトを捕まえる気にはなっていなかった。


――――――――――――――――――――


「さぁて、試合どうなったかなぁ」

 せっかくクラスメイト達を巻いたのにも関わらず、再び試合を見に来たメイト。

 バレないように周囲を警戒しながら階段を上がり、中央下の会場を見る。

 だか、"見る"なんてものではなかった。

「なんじゃこりゃ……」

 抗ってでも、視界に入るほど巨大な氷塊と、燃える芝生。抉れた地面や、人工的に尖った地面に、幾何学的な模様が刻まれている。

 修羅場、である。

「え、えーと……」

 その圧倒的な差に、司会人の女生徒も言葉を詰まらせる。

「ふぅーー……――」

 白い息を吐き、前を睨むゾイ。その髪は雷魔法により、逆立っている。

 視線の先には、氷塊に埋もれていた、"これまで防御魔法のみ使っていた"アイカが、氷塊が崩れたことにより姿を現す。

 土まみれで、着崩れした服を直す余裕がないほど、防御に徹底していた。

 息を切らし、汗が滲んでいる。

「……」

 気がつくとメイトは、手すりを握りしめていた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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