【第74話】アルディア対抗魔法試合
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン
ハキマ・クォーツ
スピネル
ゾイ
アイカ
アリーテール
イト
「さぁてお前ら! これまでのは余興に過ぎない、お前らが本当に見たいのはコレだろう!?」
バッ!
「『アルディア対抗魔法試合』!!! 始めるぞー!!」
「うぉーーー!!!!」
ドーム中から歓声が湧き上がる。ただ垂れ幕が垂れただけのにこの盛り上がり様、本当に世界最高峰の魔法学校なのか疑いたくなる。
「みんな盛り上がり過ぎじゃね? テンションついていけねー」
選手控室にいるメイトは、チームメイトであるスピネルに声をかける。
「無理もないわ、ここは魔法に特化した学校、皆魔法に対する意識が高い、つまりこれで優勝したクラスは魔法最高峰の学校でそのクラスは最高であるという証拠になるのだから、みんな盛り上がるのは明白だわ」
「なるほど……」
控室は客席の下にある。つまりこの部屋は客側から見えないと言うことだ。
まぁ反対側の奴らは頑張れば見えるだろうけど。
「よしお前たち、簡単に作戦のおさらいをしておこうか」
すると、この四人の中でなんとなくリーダー的な存在となっている男が三人の前に立つ。
隣に書き込みができる板を運んできて、図を描く。
「このトーナメントは四回戦ある。前述べた通り、一人が試合に出られるのは一試合限り。つまり、誰をいつ出すか、それが鍵になってくる」
相手の得意な魔法との相性や、弱いのか強いのかで、色々探らなければならない。
「俺が自主的に相手の情報は網羅しているからその辺りの指示は俺に任せてくれ」
「あいあいさー」
メイトがテキトーに相槌を打ちつつ、男は続ける。
「正直、最初誰を出してくるかは分からない、だから様子見と言うことになってしまう」
「まぁそうだな」
相手の相性とか言っても、相手が誰なのかは事前に知ることはできない。対策の手はないのだ。
「相手が何出してくるってのを予測しないとな」
「そう、俺の見立て、あっちも最初は様子見だと思うんだ、だから……リリアン辺りを出してくるか……」
男はドームの反対側にある相手の控室を睨みながら、顎に手をやる。
「まぁどのみち、最初に出るのは私でしょ?」
手を挙げたのはもう一人の女の子。
「うん、全体的に中レベル魔法が使えるエルフィアで様子見する」
「分かった、大丈夫勝つから」
エルフィアは立ち上がり、髪を後ろで束ねながら言う。その顔は、覚悟が決まった顔だった。
エルフィアね、名前が分かんなかったから助かった……まぁ男の名前は知らんけど。
と、その時
「まもなく入場ですので準備お願いします」
と、部屋にアナウンスがかかる。
「じゃ、行ってくる」
「あぁ!」
男はガシッと、エルフィアの手を握る。
「……」
次にエルフィアはスピネルに手を出す。スピネルは若干戸惑ったあと、ぎこちない動きで手を握る。
「うん!」
さて、残るのは俺だけか……まぁ任せとき、パワー魂入してやろう。
――しかしエルフィアはメイトには手を伸ばさず、扉に手をかけ、振り返る。
「じゃあ、行ってくる!」
「おい待て!!」
「――ふ、はははは!!」
メイトがガバッと椅子から立ち上がると、エルフィアは腹を抱えて笑った。
「な、なんだよ」
「い、いやごめんッ……はい、頑張ってくるね」
「……たくっ、ほら」
ふふふと微笑を残すエルフィアは、メイトに手を向ける。メイトはジトと見たあと、握手する。
「頑張ってくれ」
「ありがと」
手を離し、エルフィアは自分の、握られた手を見る。
「な、なに? 不愉快だった? 手汗気持ち悪い? そうなら死んでくるけど」
「いやいや、違くて」
エルフィアは手を握りしめる。
「なんか、落ち着いた!」
そう微笑んで、エルフィアは部屋を走り去っていった。
……強がってたのか。
このトーナメントは、一敗で終わり。だから責任がとても大きい。いくら強い人だとしても、コレに耐えれるのはすごいと思う。だから、あえていつも通りの、少しふざけた会話で心を落ち着かせたのだ。
と、男は端っこで考えていた。
「なんなんだあいつ、訳わからんこと言って……俺と握手して落ち着くって、"そういうこと"? "そういうこと"ってこととして受け取っていいの?」
「バカじゃないの?」
メイトは残念なことに、全く理解できていなかった。スピネルも流石にぶっきらぼうに返した――。
――――――――――――――――――――
「さぁ、両者、入場!!!!」
ドームに響く拍手喝采の中、中央では芝の上に登場する、二人の生徒。
東、俺たちのクラスメイトであり、一回戦目の選手、"エルフィア"。
西、自然魔法科に属する女生徒、"リリアン"。
両者は煩い歓声の中を、無言で歩き、お互い指定された位置で立ち止まる。
フィールドの広さはサッカーコートほどで、戦う場に問題はない。
「さぁ、選手が揃いました! 東が通常魔法科エルフィア、西が自然魔法科リリアンです」
司会の女の生徒が言うと、また知らん生徒がフィールドに入る。
「では、私がこの腕を下ろした瞬間、開始です」
両者に一切のぶれなき腕を見せる女生徒、二人は頷き、戦う体勢に入る。
チラッと、腕を上げた女生徒が監視塔と教授がいる部屋を見てから、司会の生徒に目配せする。
その合図を受け取り、司会の生徒がマイクを持つ。
「――では! 第一試合……――始め!!」
それと同時に、腕が振り落とされた。
先制相手、自然魔法と言えば、火とか水だろう。そして案の定。
先手の火球による攻撃、威力は危機すべきレベルではないが、侮れない。
「防御魔法!」
エルフィアは咄嗟に防御魔法を貼り、飛んできた火球から身を守る。
しかし、火球が防御魔法に当たった瞬間、爆発し煙幕を周囲、広範囲に放つ。
火はフェイクで、本当は煙が狙いか……。
「煙がどうっていうのよ、コレくらい――」
エルフィアはすぐ風魔法を使おうと、手を出す。しかし、それも遅く、リリアンはすでに手を打っている。
その煙は、ただの煙じゃない。
リリアンは手をエルフィア含む、煙幕全体に向ける。
その煙は、"急激な温度変化に対応する煙"。
要するに――。
「フロストバイト!!」
すると、無数の小さな氷の結晶が発生する。そして、それを、煙幕に高速で撃つ。
――氷に反応すると、急激に収縮して、凍る。
氷に触れた煙は、異様な動きをしながら凍っていく。それを運良く、煙の隙間から目視できたエルフィアは、さらに早く、風魔法を使う。
「ぐっあぁぁ!」
竜巻のような風魔法が発生し、凍ってゆく煙は巻き上がっていく。
――――視界が晴れてくると、戦況が見えてくる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「……」
相手は、一切傷もなく、動じない凛とした様子で立っている。
一方こっちは、息を切らし、低体温症かつ、体の節々が薄く凍っている。
たった数十秒で、戦況は一気に傾いた。
「うぉー!!!」
「早い! リリアンの高速先手攻撃にエルフィア対応できない!」
そのリリアンの攻撃を称える喝采が、響く。
誰もが、この勝負決まったなと、察するような雰囲気が裏で流れ始めた――。
――その頃、メイトは控室の窓から試合を見ていた。
レ、レベル高ぁ……。
予想以上の魔法試合に唖然としていた。
そういや俺、今まで誰かと誰かがしっかり魔法で戦ってるの見たことなかったな…。
メイトは椅子の背もたれに寄りかかり、顎に手をやる。
でも悪いけど正直、俺勝てるな……。
メイトの脳裏あるのは、約一年挑み続けて、それでもイカサマのような形で勝利した、メアリーの姿。
あの、リリアンとかいう生徒も、強いのは分かるけど……言ってしまえば、メアリーに遥かに劣る。
と言っても、現状負けているのは事実だ。
メイトは足を上げて、片足に乗っける。
でもまぁ、勝てるでしょ。
そう、スピネルもあのリーダーの男も全く心配していない。スピネルは何気ない無表情で試合を眺めていた。
メイトはジッと、遠くに見えるエルフィアを見つめる。彼女のその白い息を吐く口元は――薄く笑っていた。
「弱そうなほうが逆転的に勝利するってのは、どの『社会』でも熱くなる」
メイトは笑っていた。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




