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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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72/264

【第72話】だから彼女は

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

アリーテール

イト

 ゾイは正真正銘の魔法使いである。

 魔法が使えるということは、メイトの従者をやっていときに見ていた彼女(ゾイ)の私生活の端々から窺えていた。

 正直言うと、勝てる見込みはない。

「……はぁ……めんどくさ」

 ベンチに座り直したアイカはため息と共に、気怠さを吐く。

 そもそも、魔法が使えないことがバレるのは時間の問題だったので別にいいのだが、ゾイに負けることはなんだか腹立たしかった。

「うっざー」

 アイカは足を組んで肘をつく。遠くにいる三人はゾイとの会話を見ていなかったようだ。

 ……もういっそ――。

 その時、肩をポンポンと、叩かれた。

 アイカはうざったいと思いながら振り返る。

「誰――?」

 プニッ。

 顔を返すと、何かが頬に当たる。そしてそこに立っていたのは透明人間で、着ているローブだけ見えるメイトだった。

「……め、メイト…」

「おう、何してんだ?」

 メイトが肩を離すと頬に当たる感覚は消える。同時に、それはメイトの指だったと理解する。

「――あ、あんたまた変なことをッ……!」

「お、怒んなよ……んで、なんか怠そうな顔してたけど、なんかあったか?」

 メイトはベンチを回りアイカの隣に座る。

「……別に、大したことは…」

「あそう? じゃ俺の愚痴聞いてくれよ」

「え?」

 全く深追いしないメイトに若干戸惑いつつ、聞く体勢に入る。

「俺、アルディア対抗……なんとかかんとかに選ばれてさぁ……怠いんだよ、この後なんか会議するらしいし」

「へ、へぇ〜、そうなんだ……」

 メイトは腕を背もたれにかけて、空を仰ぐ。そんなメイトを見て、不覚にも安堵したアイカは「フッ」と笑った。

「あんた、確か魔法使えないんでしょ? 終わったわね〜」

「それはお前も同じだろが、人のこと言えんだろ」

「……ふふ、あんたと私って似てない?」

「どこが? 俺はお前みたいにバイオレンスじゃない」

「そこじゃなくて……」

 アイカもメイトに倣うように背もたれに寄りかかり、青い空を見る。

「魔法が使えなかったり、選手に選ばれたり……どっちもめんどくさかったり?」

「あぁー、確かにそう言われると……」

「あんたも逃げれないんでしょ? ホント、『期待』ってめんどくさいわよねー」

 アイカが呆れたように肩を上げながら苦笑するが、メイトの反応はない。

「……なんか言ってよ、あんた顔が分かんないから無視されたのか心配になるんだけど」

「……いや、悪い……なんかイラついて」

 メイトは空から視線を逸らし、遠方にいるアイカのクラスメイトを見る。

 ……勝手に期待する人たちがイラつくってことね……あーびっくりした…私のことかと思った……。

「確かにね、でもそれが『社会』なんじゃない?」

「『社会』ねー。……なんか、想像と違うなぁ……まぁ仕方ないのかぁ……」

 メイトはどこか虚しそうに、虚空に呟いた。

「そうね……まぁ想像通りいかないのが人生でしょ? それに、うまくいかない『社会』を、うまくいかない学校で学ぶことも、学校の役割の一つなんじゃない?」

 やけに大人びた思考のアイカに、メイトは訂正しようと口を開く。

「俺の言ってるのは、いせ――」

 と、これは言わないほうがいいと思い出す。

「――いや、悪い、なんでもない」

「……?」

 首を捻るアイカを横見に、メイトは立ち上がる。

「じゃあそろそろ行くわ、愚痴に付き合ってくれてありがとな」

「――あ、まっ、待って……」

 去ろうとするメイトを、咄嗟に立ち上がり、腕を掴む。いきなり掴まれ、呆然とするメイトは体の向きを直し、アイカを見る。

「……どした」

「あ! いや……その――」

 気持ちで掴んでしまったアイカはバッ !と腕を離し、後ろで手を隠す。

「あの、私も選手に選ばれたんだ」

「あ? あ、あぁ知ってるけど……」

「あ、そ、そっかそっか――」

 なんかいつもと雰囲気が違うアイカに、メイトは首を傾けながら言葉を待つ。

 なに、この気持ち……なんで引き留めたの私。

 風が吹き、二人の間を駆ける。優しいそよ風が、アイカの髪を靡かせる。

 多分、知ってて欲しいから、同じだったから。

 鼓動が激しく大きくなっていって、視界が霞んでいく。

 言っておきたい、メイトも、意識して欲しいから。


「――お互い、頑張ろ――」


 上目遣いで、メイトを覗き見るアイカの、隠した手は震えている。熱った頬と潤んだ瞳は、アイカが身につけた"演技"では、なかった。

 暫しの静寂の後、反応がないメイトが、やっと口を開く。

「おぉ……――デレた」

 かちん。

「べ、別に頑張れなんて思ってないんだからね!!!!」

「どういうことそれ!?」

「もういい!!」

 アイカは羞恥心で駆け出し、三人の元に戻った。

 残ったメイトは、殴られなかったことに多少驚きながら、アイカの背中を見つめていた。


――――――――――――――――――――


 とある教室。

 扉には魔法で鍵がかけられ、カーテンが閉められ光の届かない薄暗い室内で、二人がいた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 机に寝転ぶ女は、意識が途切れたように虚ろな瞳で涙を流していた。

 その女の体を(いじ)るのは、醜悪に下劣に笑う男。

「やめ、て……お願い……」

「クク、やめてって? それが人に頼む態度、かぁ!?」

「――んッ!!」

 男は言葉に合わせて、腰を振る。女は反射的に口を抑えて顔を顰める。

「ほら、体は正直だ、こんなに濡れてる」

「……お願いします……もう、やめて…」

 涙ぐんだ、掠れた声だけが部屋で聞こえる。

 男は沈黙し、入れた場所を眺める。


「ばぁ〜か、お前の彼氏がゲームで負けるのが悪いんだろぉ? 恨むなら頭が悪くて魔法の才もない彼氏を恨むんだなぁ」


 女の顔に、色が戻る。

 顔をひしゃげて、止まらない涙を放置して、乱された心と身体すらどうでもよくて。

 ただこの男が、怖かった。

「た、助けて……」

 しかし、彼女に差し伸ばされる手は、なかった。

「楽しもうぜ? ちなみに音は対処してないから声は抑えろよ? 廊下にいる誰かに聞かれちまうぜ?」

 男は舌を出し、女の耳元で囁く。女は逃げられない恐怖に声もかすみ、もう何も見えない。

「い、嫌……――――」


 ――数刻後。

「はぁ〜ぁ、今回も当たりだったなぁ……次はどれイこうかなぁ」

 ことが済んだ男は、スッキリした様子で廊下を歩く。

「にしても……クク、あんなこと言っといてあんな声出しやがって……やっぱいいなぁ、感覚増長魔法……」

 男はチラチラ周りの女を見ながら歩く。

 ……はぁ、どれもダメダメつまんねぇ、もっとハリのある奴いねぇのかなぁ。

 ふと、窓の外を見る。日が暮れ、夕日が自分を照らしている。

「ん? あれは……」

 下を覗いた時、中庭に人影があることに気がつく。

 それは、メイトと会話が終わった後のアイカと、残り三人だった。

「あー、運動会の練習ね……」

 男は察した後、ジッとある人を見つめる。

 肩ほどまでのアクア色の髪、いつも不機嫌そうな鋭い顔立ち。

 アイカである。

 確か、五位だったか……勝てないだろうなぁなんて思ってて今まで無視してたけど……。

「……たまには無理しちゃうか?」

 多分、ゲームにしたら勝てない、なら……そもそもゲームにしなければ……。

 男はアイカの胸や尻を舐め回すように眺めた後、口角を上げる。

 決めた、次はアイカにしよう。

 男は、アイカの身体を想像したあと、跳ねる心に、チョロと舌を出した。

 楽しみだなぁ……――――。

 と、その時。

「ねぇ、そこの人」

 後ろから声をかけられた。男は眉を寄せながら振り返る。

「あなたが、コーラル・リーフ、さんですか?」

 ……なぜ俺の名を……いや、それより……。

 男基リーフは、下卑(げび)た視線で、男の夢が詰まったような女の爆発的な豊満な胸とウェーブがかかった本能を誘う腰つきを見る。

 過去最高に、いい女……――。

「そうだが、なにか?」

「良かった、なら一つお願いがあるんですけど……」

 女は目を細め、薄く口角を上げながらリーフに歩み寄る。リーフは若干警戒しながら、動かず構える。

「私と、ゲームしませんか?」

 女は、上目遣いで、少し微笑みながら、リーフの胸を撫でた。


――――――――――――――――――――


 時は過ぎ、数週間が経過した。

 アイカは、メイトとの会話を境に何かを決心したように、魔法の練習をしていた。例え気休めだとしても、やることに意味があると考えて。

 スピネルやハキマは、それぞれができる運動会に対する用意を進めていた。

 ゾイは、特に練習をせずに、毎日他クラスを回って、何かを調べていた。

 アリーテールは、仲間と口下手ながら協力していた。噂の発端以降、あのレベルのことはしていなかった。

 そして、メイトは。

「あぁ、今日かぁ……」

 朝起きたメイトは、静かな部屋で呟いた。ハキマとスピネルはまだ寝ていた。

 特に、何もしていなかった。

 そして――――。


「『アルディアの魂が人を救う! 同胞なら踊り狂えバカ共が!! 精神と魂と肉体の、全てが共鳴する情熱に――!!!』」

「『神の加護をーー!!!!!』」


 アルディア校内で、最大の原っぱに集まった全校生徒六百人ほど。

 その大きな力が、爆発するように咆哮を上げた。

 いや、そんなフレーズ初めて聞いたわ、なんで浸透してんだよ。

 騒がしく叫ぶ生徒たちの中、メイトは小さくため息を吐いた――。

「では! 只今より『アルディアの魂が人を救う! 同胞なら踊り狂えバカ共が!! 精神と魂と肉体の、全てが共鳴する情熱に神のご加護を!!!!』、始まります!」

 早口で復唱した司会の、マイクを持つ女の生徒は、ビシッと天を指し、言い切った。

 てか長ぇよ。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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