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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第74話】少年は手を挙げる

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

アリーテール

イト

「あ、あの……いろいろ悪かったわね……」

 気絶しているメイトを置いといて、玄関でもじもじ身を捩らせるアイカ。

「あら、それが謝罪の言葉? 一体どんな方言なのかしらね」

 スピネルは腕を組んだまま、上からアイカを見下す。

「……ごめんなさいでした、はいコレで満足?」

「あなた、本当に癪に障るわね。私たちに負けたことを忘れたのかしら?」

「負けたって言っても、私が負けたのは実質メイトに、みたいなとこあるし? あなたに負けた気しないんだよねー」

「――ッ……」

「ハッ! まぁまぁまぁ……」

 ピキピキ額に血管が浮かぶスピネルを宥めながら、ハキマはアイカを見る。

「……正直、ちょっぴりアイカは苦手だけど……もう許したから」

「ハキマ……」

 ハキマの言葉に、スピネルは眉を歪ませる。

「それに、メイトもまんざらじゃない感じだったし……もういいかなって」

「……ありがと、ハキマ」

「うん、それにここはゲームをする学校、行動は何もおかしくないもんね」

 もともとゲームをするのが当然な場所、仕掛けてきたら仕返しするが、仕掛けてくることはなんら問題はない。

「『人の罪を許せる事、それが人として持つべき力だ……』なんてメイトも言いそうだし?」

 ハキマは想像上のメイトの顔真似をしながら、男らしい口調で言う。

「……はぁ、そうね……私も許すわ」

 スピネルは諦め、腕を解き、肩を落とす。

「……ありがとねスピネル」

 アイカは小さく、柄でもない事を呟いた後、後ろ歩きでドアノブを握る。

「じゃ、じゃあ私はコレで……」

「うん、まぁたまに遊びに来てね、メイトも喜ぶだろうし……」

 ハキマはチラッと寝ているメイトをニヤニヤ見る。

「……ま、まぁ考慮するわ――!」

 不意に優しくされ、照れたアイカはそそくさ扉を開けて出て行った。

「なんか、言葉は荒いけどそこまで悪い人じゃないよね」

「そうね、メイトが気にいるのもなんとなく分かるわ」

 スピネルとハキマは、誰いなくなった玄関を眺めた後、部屋に戻る。

「……さ、もう夜ご飯にしますか」」

「だね、でもメイト気絶してるけど、どうする?」

「……ま、いいでしょ」

「……だね!」

 二人はローブを掴み、羽織る。

「そういえば食堂で今日から冷やし中華始めたって、食べない?」

「いいわね、私は冷やし中華にはちょっとした矜持があって――」

 なんて会話しながら、部屋を出て行った二人。

 部屋は静寂に包まれる。

「……冷やし中華、か……」

 メイトは傷む脇腹を抑えながら、頭の後ろで手を組む。

 天井を、ボーと眺める。西日が部屋に差し込み、オレンジ色に照らしている。哀愁漂う雰囲気に、メイトは鼻から小さい息を漏らしながら、呟く。

「俺、普通に置いていかれてるんだよなぁ……」

 心配、してくれてもいいんじゃないかな……。


――――――――――――――――――――


 トボトボノソノソと学食に入ってきたメイトは、キョロキョロ見渡した後、ハキマとスピネルを見つける。

「よぉ、だいぶ混んでるなぁ」

「ふぁ、へいおおひはんは」

 ハキマはスルルルルと麺を啜りながら、話す。なんて?

「おう、いやー俺も冷やし中華にしようかなぁ。今日から始まったみたいだし」

「あ、はは……聞いてたんだ……」

「まぁな。たくっ……全く心配せずに行きやがって……

 メイトはハキマの隣の席に腰を下ろす。すると、手前の席に座るスピネルが、耳に髪をかけながら、チュルチュル麺を啜る。

「……モグモグ……」

「……」

「――ごぐっ……ふむ……」

 スピネルは満足したように微笑む。

「チュルチュル……」

「おいなんか言えよ、俺を置いて行った事に関してなんかないのか?」

「……ごぐっ……食事中に話しかけないでくれるかしら?」

 スピネルはメイトのことを全く見ずに、冷やし中華を啜る〜。

「えぇー……まぁいいけどよ、さて、俺も買ってくるか……」

 まぁ全品無料で、買うと言うより貰うだけど。いやーアルディア生徒特権最高ー!

 メイトは「この席を空けといて」と言った後、人混みに紛れつつカウンターに向かった。

「はい、何にします?」

「冷やし――……醤油ラーメンひとつ」

「はいよ」


「な、なぜこの夏に熱々ラーメンを……」

「よく考えたら俺、熱いも冷たいもなかったわ、今日はラーメンの気分だ!」

「最近ラーメンしか食べてなくない? 栄養大丈夫?」

「栄養〜? そんな小難しいこと言われても俺っち分からん」

 メイトは机の隅にある箸置きから箸を取り出す。

「全然難しいことじゃないけど……ホント、変な人!」

 ハキマは失笑しながら冷やし中華を啜る。

 夏場にラーメン食うだけで変な人扱いされるのか、『社会』こわ〜……暑い時に熱いのがいいんですよご主人。

「さて、いただきまーす」

 まずは、この圧倒的存在感の麺を啜――。

「――ねぇ透明人間!」

「はい?」

 いきなり話しかけられた。透明になった箸で掴む麺は、宙に浮いたまま静止する。

 顔を上げると、知らない女子がいた。

「えーと……?」

「あ、キューちゃん! どうしたの?」

 キュ、キューちゃん? 誰?

「ハキマさんこんばんわ、あ、私同じクラスのキューちゃんね、でさほら、もうすぐ運動会じゃん? それで、出たい競技を聞き集めててさ」

「あらあら、お疲れ様ね」

「スピネルさんはなんだっけ? 『魔法綱引き』だっけ?」

「なんで私があんなむさ苦しいことしなきゃいけないのよ!」

 おぉ、どうやらスピネルの扱い方も分かっているようだ。

「あぁ、俺のやつ聞きにきたのか……」

「そ、なんか出たいやつある?」

 問われ、メイトはやっと、冷めた麺を下ろした。

「んー……まぁどうせあれだろ? 決まってんだろ?」

「んふふふ、察しが良くて助かるよ」

 キューちゃんはニヤニヤ楽しそうに笑い、椅子に座る。

「透明人間……いやメイト! 君には『魔法勝負トーナメント』に出場してもらう!」

 アイカも選ばれた『魔法勝負トーナメント』。

 運動会の中で最も大きなビックゲームであり、これでクラスの総合順位まで決まる、実に白熱する、前世で言うところの『クラス対抗選手リレー』レベルに熱狂するゲームである――。

 ――知らんけど!!

「そうか、まぁいいよ」

「やったぁ、期待してるからね、九位を負かしたメイト」

「……ん」

 まぁ、九位どころか五位までに勝ったんだけどね……にしても、意外と早く了承するのねメイト、こういう責任感は持ちたくないタイプかと思ったけど。

 スピネルは、意外と聞き入りのいいメイトに違和感を抱きながら、啜る。

「それじゃ、私はこれで〜、じゃあねー」

「おう」

 キューちゃんは、楽しそうに笑いながら、去って行った。

「……『魔法勝負トーナメント』か」

 メイトは、思い出したように麺を持ち上げ、口に近づける。が、口が開かず、麺は空中で静止する。そして「はぁ」と小さくため息を吐いて、呟く。


「めんどくせ」


――――――――――――――――――――


 逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……。

 とある教室、ここでも競技の選手を決める会議が行われていた。

「だからぁ? あと一人足りないんだって! 誰か出てくんないの!? 『魔法勝負トーナメント』」

「つってももうみんななんかには出てるよな? この中で出ていいよーって人いないのー?」

 クラスリーダーの女子二人が、教壇でクラスメイトたちを見渡す。

 ずっとこの状況、四人出場の『魔法勝負トーナメント』、あと一人が出てこず、数分経過。

 みんな少しずつイライラしてる感じだ。

「もう強いやつ四位まででいいだろ?」

「だめよ、嫌々出しても悪いじゃない」

「じゃどうするだよ? もうみんな出たい競技は決まってんだよ!!」

「だからそれを話し合いで――」

 すみません……僕まだ決まってないんです……ずっとここに座ってるけど、影が薄すぎて忘れられてるんです。

 この謎のプレッシャーに押しつぶされている少年は、この前、メイトたちに助力した精霊と話せる人である。

 流れるままこの場にいたら、僕だけ何にも選ばれなかった、なら今あそこに入るべきは僕。

 でも『魔法勝負トーナメント』なんてビックゲームに参加できるほど強くないし……そもそもあのリーダーの人。

「てかさ、クラスの人数と出る競技の人数合わなくない?」

「あぁ、まぁこのクラスだいぶ退学者いるからねー、他のクラスに合わせると、どうにも二つ出る人とか出てくるの」

「へぇー、なんか不公平だなぁ」

 金髪で目が鋭くて声が大きくて、自分をいじめてきた人に似ている。

 怖いんだよなぁ……――。

 少年はバレないようにため息を吐いて、挙げようとする手を押さえる。

 ……マジでヤバい。いっそこのまま寝たふりで乗り切ろうか、てかなんで僕に誰も気が付かないんだよ…-。

 少年は、そう、机に腕を組み頭を埋める。

 そうだ、ここはアルディア……参加するのもしないのも自由……なら問題はない――。

 ――でも、ここで逃げたらきっと、同じだ。

 少年はキッと教壇に立つ女の子を睨み、顔を上げる。

 変わらなきゃ、例えどう思われようとも。

 関わることから逃げちゃダメなんだ!


「あ、いいあああの、よよかったら僕が出ようかッ?」


 その時、クラス中の視線が自分に集まった。急な発言に、誰もが呆気に取られる。

 あ、ミスった――――。

「えいいの? ありがとう!!」

「……え」

 予想外に、女の子は満面の笑みで、自分を見てくれた。

「ぇと、アリーテール君だったよね?」

「う、うん……」

 女の子はスラスラ手元の紙に名前を書き込んでいる。

「いや、ナイス」

 と、隣の知らない人からグットが向けられてくる。

「あ、どうも……」

「てかアリーテール完全に忘れてた! ごめんな!」

 遠くの明るい人が軽く手を上げて謝罪する。アリーテールは少し呆然とした後、ハッとする。

「あ、い、いえ……」

「マジでありがとな!」

 どうやら、自分は勘違いをしていたらしい。

 この人たちは、優しい人たちだったみたいだ。

 アリーテールは、鳴り響く鼓動に気を取られながら、不意に、自分が笑っていることに気がついた。

「――やっぱ、人間って分かんないなー……」

 アリーテールは、そう呟きながら、席についた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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