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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第68話】『社会』

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

イト

 放課後、ある教室の前にて。

「いい? 絶対バレるんじゃないわよ、私があんたの従者ってことバレたら、あんたを殺して私も死ぬから」

「はいはい、怖い怖い」

「ちゃんと聞けッ!」

「痛った!」

 また、脇腹を膝で殴られた。

「いい? 絶対だからね! 私もなるべく目立たないようにするから」

 "絶対"、なら俺も全力出さないとなぁ。

「ふぅー……分かった、じゃあ行こうか」

 メイトはローブの裾を持ち上げ、全てが透明になる。

 パーフェクトインビジブルマンに変身、だ!

 ガチャ、とアイカは扉を開ける。

「来たぜ! 今回の主役ー!!」

「待ってたぞアイカ!!!!」

「頼むぜアイカ、俺たちを学年一位にしてくれよ!!」

 いきなり、クラスメイト全員から注目されているアイカ。

 そうだった、学年五位のやつが祭り上げられれない訳なかった。


――――――――――――――――――――


「さて、じゃみんな集まったな!」

 リーダー的な存在の男が、教壇に立って大きな声で言う。

 アイカは、集まるクラスメイトたちに馴染めず、後ろの隅で壁に寄りかかっていた。

「じゃそれぞれ自分のやりたい競技に手を挙げてくれ、じゃあまず、『魔法ドッヂボール』の人ー」

 ちらほら手が上がる。チラッと横を見るが、アイカは腕を組んだまま動かない。

 後ろの書記ちゃんが黒板に書いていく。

「……よし。じゃあ『魔法リレー』」

 ちらほら手が上がる。ジロッと横を見るが、アイカは先ほどと同じ体勢で動く気配はない。

「次は『魔法綱引き』の人ー」

 さっきから『魔法』ってつければなんでもいいんだな。

 これもまたちらほら手が上がる。が、案の定。

「おい、早く手挙げないとこのままじゃ消去法で()()になるぞ」

「………」

 なんか言えよ……。

 しかし、これ以降もアイカは一切動かないまま時は過ぎていき――。

「じゃ最後なんだけど、『魔法勝負トーナメント』に出たい人は? これはクラスで四人だけなんだけど」

 その時、クラスメイト全員の視線がアイカに集中した。

「……教えてあげるわ透明人間、あなた、引きこもりで学校行ったことないんでしょ?」

「あ、あぁまぁ……」

 正確には行ってたけど……。ただし休日は部屋から出なかった、夏休みとか初日から最終日まで一歩も出なかったぐらいだ。

「これが『社会』よ」

 アイカは諦観した、色がない瞳でクラスメイトたちを眺めた。

「私の意見はこの人数の願望に勝てないのよ、多数派によって決められるの、それが社会」

 子供が『社会』を語るのに些か疑念はあるが、言っていることは理解する。

「……なるほどな、めんどいな」

「そうね、でも逃げることはできないの、あなたみたいに透明じゃないんだから、私は、ちゃんと"私"があるから」

 すると、アイカは壁から離れ、クラスメイトたちに近づく。

「分かったわ、私が出る」

「きたぁぁぁぁぁ!!!」

「待ってました!」

「よっ! クラス代表! 頼んだぜ!」

 メイトは、クラスメイトたちに紛れていくアイカの背中をただ呆然と、眺めていた――。

「あぅ」

 アイカはビタっと止まり、アイカが変な声を出す。

 あ、忘れてた。


――――――――――――――――――――


 話し合いも円満に終わり、それぞれ解散した後、メイトとアイカは寮に向かっていた。

 夕日がアイカの横顔を照らす。

「……なんか、気にいらねぇなあいつら」

「なに?」

 メイトが顎に手をやり呟くと、アイカは少し不機嫌な様子で振り返る。

「いや、なんか人任せっつーか、強制的っつーか……アイカの話も聞いてやればいいのにな?」

 メイトは軽く笑いながら言うが、アイカは口を尖らせ返す。

「聞いてどうすんのよ、私は『魔法が使えない』のをバレたくないのよ、それで『魔法が使えないってバレたくないから出ません』って言うの? バカ?」

「わ、悪い、頭足らずで……」

 人間関係に置いて、メイトは些か問題があることは自覚していた。

 嫌なことから逃げていい。責任なんて捨てていい。そんなこともを許してくれないなら、世界が悪い。そんな信念が、引きこもりになる大きな理由だった。

 メイトも、実際『社会』には勝てない。

 親や先生、誰かが言うから学校に行っていた。それは別にいいのだ、嫌じゃないから。

 でも、例えばそれが嫌な時、それを他人に強制されたくないのだ。

 みんな他人を許容することができて、優しく無関心なら――そんな世界を夢見ていたのだ。

「どの世界にも、こういうのはあるんだな……」

 メイトはアイカに聞こえないように呟いた。

 嫌われたくない。

 それは、どんな世界でも共通認識なんだろうな。

「それよりあんた、もっとちゃんとやりなさいよね、バレるとこだったでしょ」

 ふと、アイカが振り返る。その顔は全然怒っていない、むしろ晴れやかな顔をしていた。

 相変わらず言葉は荒いけど……。

「それはすまん……」

 メイトは変わらないアイカに苦笑しながら、頭を下げた。


――――――――――――――――――――


「じゃあ、そろそろ解放してあげますか……」

「うん、もう反省しただろうしね」

 夜、部屋でいきなり言われた。

 ソファでゴロゴロしていたメイトと、その近くでポカーンとしていたアイカは、のっそりハキマたちを見る。

「あー……」

「それねー……」

「な、なんだか全然興味なさそう……なんで!? あんなに嫌がってたじゃん!」

 反応が薄い二人に、ハキマは机にバンと手をついて詰め寄る。

「あーいやいや嬉しいよ? でも、もはや一緒にいすぎて別にもういいって言うか、慣れたっつーか」

「慣れたって、それじゃ全然罰ゲームになってないじゃん!」

「ゲームだったのかよ!!」

 通りで最初からニヤニヤ俺のこと見てたわけだ。

「大体これはメイトへの罰ゲームでもあるんだからね! ちゃんと分かってる?」

「はぁ? なんで俺が?」

 すると、スピネルがハキマの横に立ち、メイトを見下す。

「いくらゲームだからと言っても、自分の睾丸をブッ刺すなんて常識的にあり得ない、あなたは知らないかもしれないけど、回復魔法も全能じゃない、後遺症が残ることもあるのよ」

 そういや昔ナースの誰かが言ってたな、傷があるからって無闇に回復魔法使うのは危険って。

「確かに私たちはあなたがゲームを引き分けで終わらせることを信じて、あなたに託した……でもブッ刺す前に行為をしないことを宣言したり、もっと時間を置いてみたり、いろいろできることは合ったはずよ」

 うーん、ぐうの音もでない正論……。

「そ、それはそうなんだが……いや俺もな? ついこう、アドマイヤベガ? それが過剰分泌されてな」

 気がつくとメイトはソファの上で正座をしていた。アイカは気まずそうに身を捩らせる。

「アドレナリンと言いたいのかしら? 一体なにがどうなったらそんな間違いになるのよ……まぁとにかく、これからあんな自傷行為は控えることね」

 スピネルはため息混じりに怒った様子で言うと、メイトは顔を上げる。

「それは了承しかねる、言っただろ、俺は最弱なんだ、だから、命でもなんでも賭けなきゃ、勝てない」

 その言葉に、ハキマもスピネルも、ムッとメイトを睨む。

「あんた、こっちは善意で言ってやってるのにまだ理解できないの? そんなんじゃ、長生きできないわよ」

「落ち着け、まずな、俺は『賭ける』つってんだ、『捨てる』わけじゃねぇ、それに、俺は勝算のあるゲームにしか賭け事はしないんでね」

 メイト自身、好きで身体張るわけじゃない。ちゃんとした理由と根拠、それに足る保証がある場合にしか、痛い思いはしたくない。

「そう……ならいいわ」

「絶対無理しないでねメイト」

「分かってる、ありがとうな心配してくれて」

「ま、まぁね、仲間として当然……」

「うん、友達が傷つくのは見てられないし」

 心遣い感謝だけど……お前たちが俺に任せなければ俺はそんな思いせずに済んだんだけどな?

 罰ゲームを受けるのはそっちの方なのでは……まぁいいけどさ。

「で、解いてくれるんだったな? じゃ早くしてくれ、久しぶりプライベートを楽しみたい、このお嬢様がまた暴言吐き散らす前に早く」

「あんた……私はそんな酷いこと言ってないわよ!」

「無自覚だったのかよ……」

「まぁまぁ、アイカは何も変わってない感じするけど……まぁメイトが辛そうだしいっか」

「失礼ね、私だって反省したわよ」

「はいはい、じゃ今から校則消すね」

 『ルール』から、『メイトの従者になる』を選択する。

「はい、削除ー」

 そして、校則は削除をされた。

 メイトとアイカは、少しの間、この数ヶ月を惜しむ沈黙が続いたが、アイカが意を決し、立ち上がる。

「はぁー、これでやっと一人ね」

 結局、メイトは一度もアイカに命令しなかった。

 アイカはススと、離れる。そこに謎の力は発生しない。

「はぁあ、これでトイレも風呂も睡眠も一人でできるわけだ、自由っていいなー」

 メイトはソファに寝っ転がり、腕を思いっきりの伸ばす。

「ハッ、それは私のセリフなんだけど」

 そう、上からメイトを見下ろすアイカは、今まで見せたことない顔で、微笑んだ。

「ホント最悪だったわー! あんたみたいな変態と一緒なんて無事離れられたのも奇跡じゃない?」

「俺はどんだけ性獣だと思われてんの? 俺はあの誘惑を乗り越えた超紳士だぞ? 手ェ出すわけねぇだろ」

「自分で言う辺り、訂正するわ、変態ってより変人ね」

「大して変わってねぇよ……」

 その会話に、アイカはホッと頬を染める。

 でも、まぁ……なんだかんだ、楽しかったかな……。

 そんな、微笑むアイカを見て、メイトにニヤッと笑う。

「まぁこれで、足におしっこ引っ掛けた女と離れられるぜ」

「あんたそれは言わない約束でしょ!?」

「約束してねぇよ〜、これまで散々暴言吐いてくれたからなぁ、一つや二つ仕返ししても文句ないだろ!」

「そんなこと言うなら、あんただって女子トイレ入ったじゃない!!」

 ビシッと指差されるメイト。

「は、はぁ? それはお前が――」

「それに、なんかやけに女子風呂行かないの? とか言ってくるし、変態!」

「いや違ッ、それはお前も身を清めたいだろうなっていう親切心で――」

「ただ女子風呂行きたいだけでしょ!? 合法となれば迷いなくそういうことする変態!」

「――てめぇそれは言わない約束だろうが!」

「約束してない!! ホントキモい! ノンデリカシー! 蹴るわよ!」

 アイカはそう言いながらメイトの横腹を蹴った。

「ふぐはっぁ!! ――的確に蹴ってるじゃねぇか……」

 メイトは激痛が走る脇腹を抑えるが、耐えきれず気絶した。

「なんか、めっちゃ仲良くなってない?」

「仲良いの? コレ……」

 ハキマとスピネルは、ただ呆然と二人を眺めていた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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