表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/264

【第67話】魔法が使えない事

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

イト

「あ、アイカさん、ちょっといい?」

「あ?」

「へ?」

 廊下を歩いていると、いきなり知らん女子から話しかけられた。

「え、あ、透明人間か、うわ〜すごー……あ、初めまして、私アイカさんのクラスメイトです」

「あ、初めまして」

「……」

 その人はチラチラメイトとアイカを見比べる。


「ラブラブ?」


「違うわよ!!!!」

 アイカはガシッと胸ぐらを掴み、女をブンブン揺らす。

「あぅあぅ、分かってる分かってから冗談だからぁあぁぁ揺らさないでぇえぇえ――」


「――で、何か用?」

 落ち着いたアイカは、腰を手を当てて、相変わらず高圧的な態度で訊く。

「あぁ、うん、もうすぐ運動会あるじゃん? アイカさんはなんの競技やりたいか決まってる?」

「かはッ――」

 アイカは石になる。

 それを見て、昨日のアイカを思い出す。

 確かこいつ運動会参加しないんだったな。

「あーこいつ運動会には――」

「――ンッ!!!」

「フグッ――!!」

 なぜか脇腹を肘でどつかれた。しっかり痛いところ突いてくる。

 な、なぜ……。

「いや、別に決まってないけど」

 アイカはバサっと髪を逆手で翻しながら、上から答える。若干笑顔が引き攣っているのは、メイトだけにバレる。

「そっか、それでさ、今日の放課後にみんななんの競技出るか決めるから、放課後教室に来て?」

「――」

 アイカはまた石になった。

 おい、これじゃ半ば強制参加みたいなノリじゃないかおいおい。

「そ、そう、ありがとう……分かったわ」

「うん、ちゃんと来てね、ここ最近ずっと授業に来てないでしょ? みんな心配してるから」

「そう……」

 それは俺のせいですね、俺から離れることができないから。

「じゃ放課後、またね」

「え、えぇまた……」

 そう言いながら去って行った女の子に、アイカは力無く手を挙げて、小さく手を振った。

 見えなくなっても、手を上げたまま固まるアイカ。メイトは慈悲の目を向けていた。

「まぁ頑張れよ。大丈夫だって、何もできなくても許してくれるよ」

「……キモイ」

 なぜ罵倒されたのかな……もはや口癖じゃないですかそれ。

「はぁ……言われた以上、仕方ないわ」

 アイカは諦めて肩を落とす。メイトはそんなアイカに提案する。

「逃げちまえば良いんじゃねぇ?」

 それに、アイカは心外で、少しカチンとくる。

「あんたバカぁ?」

 いやア○カじゃねぇか。

「そんなことしたらクラスで私の立場がなくなるでしょ、せっかく五位という地位があるのに、それを捨てるなんてバカじゃないの?」

「は、はぁ……」

 メイトは不服そうに相槌を打つ。

 アイカは今までなかった、数ヶ月常に隣にいたメイトだからこそ、本音が漏れた。

「私は、魔法ができないのよ」

「え?」

「……大した魔法を使えない、体力も運動神経もない…ただチェスとかオセロとか……あと演技が得意だったからこれまでなんとかなってきただけ……」

「……へー」

 メイトはアイカを見るのをやめて、アイカと同じように、何もない、廊下の壁を見つめる。

「だから、多分ここで終わる、誰もゲームを挑んでこないように五位をキープしてきたけど、これでバレる」

 魔法を使えないことがバレたら、間違いなく五位の立場が揺らぐ。

 ――だけじゃない、単に学校生活でも、『あいつは何もできない』と、認知されてしまう。

 だから、終わりなのだろう。

「……なんか、めんどい生き方だな」

「あ? ……はぁ、あんたのそういう見下す癖、やめた方がいいよ、死ぬほど――いや、殺すほどウザいから」

「殺されちゃうのかよ……てか見下してなんかないぞ」

 メイトが否定するも、聞いてないように歩き出す。が、ピタッと止まる。

「……?」

 メイトが首を捻り、何かあるのか待つ。すると。

「早く来なさいよ!! あんたが来ないとこれ以上進めないでしょ!」

「は、はいすみません!」

 怒鳴られたメイトは、よそよそアイカの後ろをついていく。

 ――終わる、か。

 なんだか漠然とした違和感に、メイトは心を惑わせていた。

 それは分かる。人間関係的に印象が悪くなるのは理解できる。でも、それでもなんだか変だ。

 なんだろ、アイカかな。

 メイトは、スタスタ扉を開けて入ろうとするアイカの背中を見つめる。

 どこか、悲しげだった。

 やっぱ……"嫌われたくないからか"――。

「なに突っ立ってるのよ、早く来なさい」

「あ、悪い悪い」

 メイトは頭を振り、雑念を払いアイカについていく。

 まぁ俺には関係ないことだな。

 その部屋は、左側に個室が並んでおり、右側に洗面台が並んでいる。


「女子トイレじゃねぇかぁ!!!!」


 その瞬間、雑念が消えたメイトの脳に、煩悩が浮かび出た。


―――――――――――――――――――――


 待て待て待て待て、ひとまず落ち着け。

 なぜ俺は女子トイレにいる?

 アイカについてきたからだ。

 じゃなぜ俺はついてきた?

 離れることができないから。

 じゃなぜ離れることができない?

 ハキマとスピネルが作った校則のせい。

 つまり、俺が女子トイレに入ったことはハキマとスピネルのせいであり、俺は一切悪くない!

「なに入り口で突っ立ってるのよ、早く来なさいよ」

 アイカは特に気にする様子なく、振り返る。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ、ここ女子トイレだぞ?」

「そうよ、文句あるの? それとも私に男子トイレを使えと?」

「そうじゃねぇけど、大丈夫なのか?」

 メイトは後ろを確認し、誰か来てないか見る。

「何言ってるの、トイレに付き合うなんて最近ずっとじゃない」

「お前の話じゃねぇよ! 俺の世間体の話だよ! ここに誰か来て、俺がバレたらどうする? 完全に『透明人間=変態』のレッテルが貼られるに決まってる」

「間違ってないじゃない。とにかく早く来る! 個室入れないでしょ」

 メイトは周りを確認しながらアイカに近づく、アイカはそれで前に進めるようになり、個室に入る。

「いい? できるだけ扉に近づいて」

 壁の向こうからの声が、上の隙間から聞こえる。

「分かった……早めに頼むぞ」

 メイトはアイカが入った個室の扉をぺったりくっつく。

「もう、無駄に広いからギリギリじゃない……ちょっと! もっと近づけないの!?」

「無理言うな限界だよマジで、これ以上はマジで無理〜くおぉぉキツい」

 メイトは壁に張り付きぺったんこになる。

「私も便座ギリギリなのよ……くっ……もうこれでいいわ……」

 アイカはなんとかギリギリ座ることができ、用を足そうとする。

「あ、あとあんた絶対音聞くんじゃないわよ!」

「分かってるから……早くしろ……こっちも長くは持たない」

 お前の放尿の音なんて聞きたくねぇよ、でも仕方ないよね……緊急事態だ。

 メイトが無意識に耳を澄ました時――。

「――っきの授業ほんとだるかったよねー」

「ほんとー」

 女子の声がした。一気に肝を冷やすメイトは息を止め、祈る。

 ――が、案の定女子たちはトイレに入ってきた。

「あの先生何考えてんのってーの?」

「分かるー」

 ……あ、あぶねー!

 メイトは女子が入ってくる瞬間、ローブを裾を持ち上げ、ローブを透明にしていた。

 幸い、道は広い、よっぽどのことがなければこの一つだけ使用されている扉に近づこうなんて考えないだろう。

 このまま心を無にして、乗り切ろう。

「そういえば運動会何出る?」

「えー? まだ決めてないー」

 そう言いながら、女の子たちはメイトの後ろを通っていく。

 ホッ……良かった……。

「私は、単純に魔法で戦い合うトーナメントに出る!」

 その瞬間、女の子の一人が思いっきり、足を切り上げた。

 そして、それは綺麗に弧を描きながら、メイト向かって――。

 いや俺に当たる!!

 メイトは刹那で察知して、壁から離れ、女の子の足を横に避ける。

「――ふぐうッ!」

 その時、個室の中から悲痛の声が聞こえた。女子たちは一瞬、見つめ合った後、個室をノックする。

「……あ、あの大丈夫、ですか?」

 メイトは女子の真隣で息を殺す。

 やばいやばいやばい、これ以上離れたら……。

「だい、大丈夫よ……ちょ、ちょっと転んだだけだから……」

「そ、そうですか」

「……」

 女子二人は、周りを見渡す。

「なんか、変な感じしない?」

「うん……実は最初から変な雰囲気があるよねここ……」

 あっぶねぇーバレてた!

「もう行こ?」

「う、うん……」

 女子は何かに恐怖を覚え、トイレを出て行こうとする。

「怖〜、なんかいるよね絶対」

「もしかして幽霊とか?」

「ちょっとやめてよ〜――」

 そして、二人は出て行った。

 すみません、幽霊より怖い人間です……ホントに怖いのは人怖系と言いますしね。

「お、おい大丈夫か?」

 メイトは小声でアイカに話しかける。返答はない。

「……は、早めに済ましてくれ、俺も次来たらマジで危ないから」

 と、メイトが再び壁に張り付いた時、微かに声がする。

「……失敗した……」

「は? なんて?」

「……足にめっちゃかかった……」

 え、えぇ……。

「それは……ごめん、どれくらいかかったんだ?」

「話しかけんな変態」

 え、えぇぇぇ……。

「どうしよ、これじゃ外出れない……」

 その声は、震えていた。涙ぐんでいるのかとか、どうなっているのかとか、そんなことはどうでもいい。

 困っているなら、助けなければ。

「……俺たちの部屋に紙ってあったけ? それに透明人間で書けばハキマかスピネルが来てくれると思うけど」

「あんた、ここから部屋までどんだけ離れてと思ってるのよ、魔法が届くわけ――」

「届くぞ?」

「――」

 確か、この学校に来る前は村一個分ぐらいの距離は魔法は届いていた。

 ここから部屋まで、道のりじゃなく距離で考えれば、届かない距離ではない。

「……ダメ、紙の場所とか分かんない」

「そうか、悪い、俺も覚えてなくて」

 ……誰かに伝えることができない、俺もここを離れられない……。

「……もし、許してくれるなら、俺がなんとかできる、かもしれないけど」

「……できるの?」

「正直、この場を収める方法が、これくらいしかないんでな、俺も、"魔法使えねぇんだ"」

 その無意識の言葉は、アイカに取って重要な言葉だった。

「分かった、許す」

「おし、ならここ開けてくれ」

 メイトと言葉を信じ、アイカはゆっくり、扉の鍵を開けた。


――――――――――――――――――――


 生徒が行き交う廊下を、メイトは歩いていた。

 背中に、アイカを背負いながら。

 メイトは周りの生徒に聞かれないように、小声で喋る。

「俺、今まで人間は持ったことなかったんだ……」

「初めて、持ったってこと?」

「そう、だからまだ確定してなかったんだよ、『人は透明にならない』ってこと」

 メイトは、自分が透明にできるのはモノだけだと思っていた。

 メイトが背負うのは、透明となったアイカ。

「にしても、あんましかかってなかったじゃん、足だけだろ?」

「それでもよ、靴下とかパッ、パン――とか、ほんと最悪よ」

 そこは俺が濁したんだからいちいち言わなくていいっつーの。

「まぁまぁ、それも俺が透明にして、透明人間で浮かして持ってきてるから」

 メイトの腹のあたりで浮かび、移動するのはアイカの靴と靴下。パ――はアイカが持っている。

 裸足で背負われるアイカは、メイトの首を少し、強く抱きしめる。

「透明って、こんな気分なんだね……まるで、この世にいないみたい、こんなことしてるのに、誰も気づかない……誰も見ない」

 アイカは、どこか嫉妬するように、羨ましく思うように、つぶやいた。

「まぁな、慣れればそんなだよ」

 軽く答えるメイトに、アイカはバレないように小さくため息を吐いて、顔をメイトの背中につける。

「ホント、変態――」

 誰にも見られないからこそ、赤く染まった、瞳が微睡んだ、顔だった。

 心臓は、メイトに気づかれるじゃないかと疑うぐらい、ただ、激しくなっていた。

 アイカが気がついたころには、スピネルの部屋についていた――。

 メイトが背負っている時、ノーパンの感覚をめっちゃ意識していたことは、墓まで持って逝こうと、決心した。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ