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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第66話】従者アイカ

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

イト

 ゆっくり、そして確実に太陽の日差しの強さを増す今日日。

「それと、もうすぐ『校内魔法運動会』があるから、出場する種目決めとけよー」

 報告担当の教師が、暑さで浮き足立っていた生徒たちの前で、言った。

 一瞬の沈黙――そして。

「きったぁぁー!!!」

「運動会ーー!!!」

「ちょー楽しみなんですけど!」

 各々、近くの席の友達と話したり、騒いだり、はしゃぐ。

 う、運動会……だと……!?

 今までそういう物に参加してこなかった少年は、蘇るトラウマ(妄想)に手が震える。

 それってアレか? 足遅い奴は叩かれ、コミュ障は「声出せ!」も罵られ、功績を残せなければ嫌な目で見られるあの絶望的な、愚脳どもが嘘っぱちで恥を隠し合い、喜びという名の征服欲を満たす、あの狂気的な、アレ!!??

「ま、まずいぞ……」

 そうつぶやいた少年の周りには、誰もいなかった。


――――――――――――――――――――


 スピネルの部屋にて。

「運動会楽しみだね〜」

 いつも通り、スピネルの隣に座るハキマが身を乗り出して笑う。

「いえ全く? あんなの、大した功績を残したとしても、それが順位に影響しない……昔参加したことあるけど、ただの馴れ合いを行うくだらない場よ」

 スピネルは流石に暑いのか、最近はアイスコーヒーを飲んでいる。

「え〜?」

「大丈夫だよハキマ、おねぇちゃん昔から運動音痴だったからね〜♡」

「ッ……あんたも大体同じでしょ? 自分を棚に上げないでほしいわね、そもそも魔法が使えれば運動神経なんて必要ないわ」

「強がっちゃって〜♡ それに忘れたの〜? 私とゲームした時、おねぇちゃんだけだったら三秒で終わるくらい格差があるんだよ?」

「あんた殺す」

 そんな、なんともない微笑ましい会話がここ数ヶ月でルーティーンとなっている。

「メイトはどう思う? 運動会楽しみ?」

 本を片手に、コーヒーを啜るメイトは、きっぱり言う。ちなみにどちらも透明になっている。

「俺はそういうの参加したことないから分からん」

 前世でそれなりの引きこもりだったので、学校行事には参加したことがなかった。

「あ、なんかごめん……」

「メイトは運動得意? まぁ私とのゲームの時で大体分かるけど」

「舐めるな、引きこもりだった俺が運動できるとでも? そりゃあもう、すぐバテる」

「そんな自信満々で言われても……」

 まぁ、こちらに来てからのメアリーとの闘いでまぁまぁ動けるようになったものの……だ。

「てか、運動会ってなにやんの?」

 すると、スピネルがアイスコーヒーを受け皿に置き、ソファから立ち上がり、何やら紙を持ってくる。

「そうね、『マラソン』『魔法の勝負トーナメント』『障害物競走』などなど」

 運動会についての紙らしい。

「へー、なかなか楽しそうだな」

 メイトは全く参加する気がないので、他人事のように言う。

「……そうね」

 スピネルは紙を机に投げると、色がなくなった瞳で下を見る。

 なんだ?

「おねぇちゃんはもちろん参加するよね? ここで参加しなかったら、それ私に勝てないって言ってるようなもんだからねぇ♡」

 ゾイとスピネルは変わらず、互いに競い合う仲である。

 それは良いのだが、そのせいでいかなる場合も逃げることは負けになっている。

 故に、スピネルは不本意ながら、学校の行事によく参加していた。

「大丈夫ネルネル! 私も参加するから!」

 ハキマがグッと親指を立ててスピネルに迫る。

「そ、そう……ありがとう……」

 スピネルは悔しそうに顔を逸らしながら、ハキマから離れた。

「みんな元気だなー……まぁこの歳の人間は騒ぐのが好きだからなぁ……」

 メイトはソファに横になり、腕枕をして、ベストポジションを見つける。

 あぁ……最近幸せだなぁ……一個除いて――。

「ちょっと待って、あんたたちなんか忘れてない?」

 ふと、メイトの座っているソファの横に立っていたアイカが手を挙げた。

 アクア色の髪、最初は両目を隠していたが、今はピンで止め、両目が見えている。

「え、なんだろ……」

「……?」

「……」

 みんな分かってない雰囲気だった。それにアイカは手をプルプル震えさせる。

「『私』よ私!! 私はいつまでこいつの従者じゃないといけないの!?」

「――……あー」

 アイカは、校則でメイトの従者となった。

 それは別に、メイトがなにも命令しなければ良いだけの話だが、なぜかアイカが離れようとすると脳が支配されたように足が動かなくなり、メイトが離れても勝手についていく仕様になっているらしい。

 つまり、ずっと一緒にいるのだ。

 寝る時も風呂の時もトイレも、病めるときも健やかなる時も、常に隣にいた。

 それが、アイカ。

 そんなアイカに、メイトはいつからか、特別な感情が……そう、アイカにだけ向けている、特別な――。

「ホント、すみません……」

 メイトは疲れ切った精神から漏れた声で、謝罪した。


『なんであんたなんかと寝ないとなんないのよ、キモいのよ』

『変態の癖に生意気ね、死ね』

『あんた、お風呂覗いたらマジで殺すから変態』

『私のトイレの音、どうせ耳澄まして聞いてるんしでしょキモ変態、ほんと気持ち悪いわ』

『――本当に、気持ち悪い――』


「……ごめんなさい、変態でごめんなさい……――――」

 本来、メイトに逆らえず、エッチな命令の一つや二つやらさせる立場のアイカなのだが、メイトがプライドをかけて絶対命令をしないので、日常的に暴言を吐かれ続けてきた。

「な、なぁ、そろそろアイカを解放してやってもいいんじゃないか?」

 メイトはハキマとスピネルに切願するように訊く、が、二人は真顔で返答する。

「いや? だってメイト"あんなこと"までしたんだよ? もっと罰を与えないと」

 それに、メイトは自分の"股"を触る。

「それはそうだけど……その罰で俺がもっと苦しんでるんですけど……」

 ルールを作ったのはハキマとスピネルだ、だからこの二人に削除してもらう以外ないんだけど……。

 ジッとアイカを睨むハキマとスピネル。

 頑なにゲームにもノってこないし、全然許してる感じしないし。

「ホント最悪、もう何日プライベートがないのよ……」

「それは俺のセリフなんだけど……寝る時、なぜ俺が床で寝てあんたがソファで寝るのかな」

「は? それはあんたがじゃんけんで負けるからじゃない? 悪役にしないでくれる?」

「あんたは負けたんだけどなハキマたちとのゲームに……なぜそんな偉そうなんだよ」

 腕を組み、高圧的な態度のアイカに、すっかり気を落とすメイト。

「それは良いとして、あなたは運動会についてどう思うの?」

 ふと、スピネルがアイカに問う。

 ビクッと、反応する。

「……アイカさん?」

 メイトが固まったアイカに声をかけると、ハッとしていつも通りのアイカに戻る。

「なに? そんなものに出るわけがないでしょ? 私は学年五位よ?」

 それは関係あるのだろうか。

「……」

 アイカは顎を上げて、余裕そうに振る舞う。しかし、その頬に汗が伝うのをゾイは見逃さない。


「なるほどぉ、怖いんだ」


 呟いた瞬間、部屋が一瞬凍った。

「な、な、な――」

 ガクガクと震えて、顔面真っ赤にして、視点が定まらないアイカ。

「そ、そんなわけないでしょ!! バカじゃないの! バッカじゃないの!!!!」

 アイカの怒号は、部屋中に響く。

「ウルセェわ!!!!」

 と、同時に横の部屋の住人から壁ドンと共に怒号が送られてくる。

 通常一人で住む部屋、多くても二人。そんな部屋に五人がいるのだからうるさくなって当然。

 これにより、部屋は一度クールダウン。

「うるさいな〜、あんたのせいで怒らせちゃったじゃん」

「うるさい、あんたが変なこというからでしょ、私が怖い? ふざけんな、私はそんなこと全然ないけど?」

 プルプル震えて強がるアイカに、四人はジト目を向ける。

 こいつ、もしかして弱い?

 その時初めて、四人の思考は完全に一致した。

「言っとくけど、私は別に怖いとかそう言うわけじゃないから、ただそんな物に参加する意義がないから参加しないのよ!」

 全然信じようとしない四人に力説するアイカは、顔を赤くして涙目になる。

「……ま、まぁそうだな、うん……別に良いと思うぜ、強がらなくて」

「強がってないから! 変な同情しないでよね!」

 その口調に、前世のアニメの記憶が過ぎるメイトは、苦笑しつつ宥める。

「はいはい、ツンデレは分かったから、もう何も言うな、どんどんキャラが変わってく」

「ツンデレじゃねー!!」

 メイトは本の角で頭をぶっ叩かれた。

 ツンデレ伝わんのかよ……ば、バイオレンスツンデレ……怖い。

ご精読ありがとうございました!

今日だけ投稿時間変えてみました。ので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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