【第65話】盲信
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン
ハキマ・クォーツ
スピネル
ゾイ
アイカ
イト
痛い痛い痛い。
目の前に羨望のメアリーがいる。
あークソ、結局俺は童貞のまま、自ら息子を刺して一生童貞か……すまない息子よ……まぁこんな人生も悪くない、か……。
てか。
「クッソ痛ぇんだよ!!!!」
「――いったぁ!」
微睡から目覚めると、部屋の電気がついており、目の前には額を抑えるハキマがいる。
「……! ハキマ……わ、悪い頭ぶつかったか?」
「あ、はは、大丈夫……久しぶりメイト」
照れ隠ししながら笑うハキマは、たった三日間見なかっただけなのに、なんだか込み上げるものがある。
「メイト泣いてる?」
「ばっかお前バカ待て!! 泣いてねぇよ!」
「はは、メイト、ありがとね、助けてくれて」
「た、助けた?」
ハキマはメイトに手を向けると、メイトは緑色の淡い光に包まれる。
「回復魔法だよ……ほんと、自傷行為するよね、ゾイゾイとゲームしたときもだったけど」
「……助かる、俺だってこんな痛いことやりたくねぇよ、仕方ないだろ……」
お互い、"ナニ"を治しているのかには触れず、気まずい会話で誤魔化す。
「はい、これで治ったね」
「あぁ、ありがとう……さて」
メイトは痛みがなくなったので、立ち上がり、ズボンを履く。
そして、アイカを見る。
「答え合わせといこうか」
アイカは絶句する。
ま、まさか……チ○コを切るなんてッ……!
信じられない行為に、後ずさる。
なんで!? あんなに言い寄られたら普通ヤるでしょ!? どうしてヤらないのよ!?
「……いやッ、信じられない!!」
「は?」
すると、アイカはバッと駆け出し、扉に触る、すると扉に纏っていた光が解ける。
『×××しないと出られない部屋』なんてメイトが勝手に言い出した誤解で、ただアイカが魔法で鍵していただけだった。
「ま、待て!」
メイトの静止も聞かずに、扉を開け廊下を走り、玄関を開ける。
「あっらー? こんばんわ♡」
「――ッ!」
扉の先には、ゾイが立っていた。アイカが反射的に避けるより先に、ゾイは手を向ける。
「逃がさないわよ、"性悪女"」
ゾイの手から鎖が現れ、アイカの体にまとわりつく。
「――」
「はい拘束ー、終わりー」
アイカは黄色い光の鎖を解こうとするが、全く解けない。
「あら、あなたレベルの魔法で私の魔法に対抗できるとでも?」
耳元で、口角を上げて微笑むゾイに気押され、アイカは抵抗を止める。
「ぞ、ゾイ……良かった声かけといて」
「うん、本当に今、仕掛けてくるとはね」
アイカは目を開き、顔を上げる。
「わ、分かってたって言うの?」
「ん? んまぁな、昼あんなことしといて、今日しかないだろ。そこも含めて、詳しく聞こうか」
メイトは透明人間でアイカを持ち上げ、部屋に運ぶ。
「え、ちょ嫌触らないで!!」
「俺は触ってねぇよ、俺はな」
「馬鹿ッ!」
「痛ッ頭殴んな!!」
後頭部をぶん殴る、すっかりキャラが変わったアイカを部屋に運んでいく。
――――――――――――――――――――
「始まりは、三日前だな?」
メイトが訊くと、アイカは拘束された状態で足を組ませ、上からメイトを睨む。
アイカは床に座り、その前にメイトがあぐらをかいている。
「そーよ」
「つまりあんたは、ハキマとスピネルにゲームを挑み、その後に新たなゲームを持ちかけた」
「そーよ」
横を見てぶっきらぼうに答えるアイカに、苦笑しつつ続ける。
「一個目のゲームで『俺に惚れる』と『ゲームと近辺を忘れた』と……してなんで忘れる必要があったのか、それは二個目のゲームに必要だから」
「……」
キッと、横を見ながら睨むアイカ、それで正しいと言っているようなもんだ。
「んで、その二個目のゲームこそが、アイカ、お前の狙いだな」
メイトが低い声で訊くと、アイカは諦めたようにため息を吐き、答える。
「そーよ、『メイトと先にセッ○スした方の勝ち』!そういうゲームよ!」
「そっちかー! 良かったーヤらなくて!」
安堵するメイトを睨むアイカ。
「ホント……なんでヤらないのよ……私にそんな魅力ないってことかしら……」
だんだんメイトを睨む瞳は陰り、足を上げて体育座りになり顔を隠す。
「んなことねぇよ、ゲームって分かってたからな」
「……すごい精神力ね」
「そうか?」
「……それで他になにかあるのかしら」
アイカはメイトを避けるように、顔を逸らす。
「当たり前よ、まぁ詳しい話は、当事者のお二人から聞かせてもらおうか」
メイトは後ろの床に手をついて、ハキマとスピネルに声をかける。
「うん、分かった」
ハキマはメイトとアイカの間に座り、説明を始める。
「まず、一つ目のゲーム……まず、賭けたものだけど『あなたの奴隷なる』を賭けた、アイカがその『忘れる』のと『惚れる』やつね、それで勝負して――"負けた"」
そう、これがメイトの読み違い。
メイトは最初から、両者引き分けと理解していた、が、違った。
「私たちは考えたんだ、アイカが何をしようとしてるのか、で、ゲームじゃないかってネルネルが言って、だからこのゲームはその、"次のゲームのためのゲーム"だってなって、だから、信じようって」
メイトは感心する。
「すげーな、よくそこまで読んだな」
「読んだのはほとんどネルネルだけどね?」
「天才ネルネル!!」
チラッとスピネルを見ると、スカした顔でアイカを睨んでいた。しかし、若干頬がプルプル震えている。褒められて嬉しそうだ。
「あんたたち、最初から分かってたのね」
アイカが悔しそうに呆れたように呟いた。
「うん、それで負けたのはわざと、なんだけどね」
「は?」
「いやー、多分負けるって確信してたから、わざと負けた」
多分、確信ってどっちだよ。
ハキマは頭をかきながら笑う。アイカは目を開いて固まる。
わざと負けたって……。
「あんたたち怖くないの? 記憶をなくすんだよ?」
言われて、二人はキョトンとする。
「なんで? 言ったじゃんメイトを信じるって」
「メイトを信頼しているからやったことよ、恐怖なんてないわ」
「……」
おかしかったのはメイトだけじゃない、この二人もだいぶおかしい。
要は、メイトは『絶対自分とヤらない相方とヤらない』という自信があったってこと、失敗すれば、永遠に記憶は戻らない。
こいつら、『絆』ってレベルじゃない、『盲目的信頼』。もっと他の人を疑いなさいよ!
アイカはそう、嫌悪を向ける。
「で、記憶をなくす寸前の二人に次のゲーム、『俺と先にヤったもん勝ちゲーム』を持ちかけた、と。んであんたは自分も記憶を無くしたふりして俺に近寄ってきた」
「……そうよ、あのか弱い系でいけばあんたみたいなタイプ落ちるからね、あ、痴女タイプのほうが良かったかしら?」
「別になんでもいいけど、アレで記憶あったなんてすげぇ演技力だな、アイドルとかなれるんじゃねぇの?」
「ハッ、バッカじゃないの? 別にそんなんじゃないから」
んんー、ツンデレ、なんていう隙もないほどの敵意しかない視線、痛いです。
「で、何を賭けたんだ? 二個目のゲームに」
「私たちは『記憶の返却』、そしてアイカは――」
ハキマはそのまま続きをアイカに送る。アイカはため息を吐き、もうどうにでもなれという感じで強く答える。
「はぁ……『メイトの従者』!!」
「……は?」
え、は、ちょちょと待て? 俺の従者? アイカが?
「な、何賭けてんだお前!!」
「……絶対負ける訳ないって、思ってたから……」
「……――いや! ルール!」
メイトは腕を出して、校則を見る。
「えーと……!」
そこには、電子的な文字でしっかり書かれていた。―
『メイトの従者になる』
"なる"ー!
「『なる』ならなっちゃうだろうがー! せめて『ならなければならない』にしとけよー!」
校則は絶対、ならば、『心』も変わってしまう。
てことは――それこそ洗脳じゃないか。
「試しに……俺の足舐めて」
「分かった」
バッと体を倒してメイトの足をペロペロしようとするアイカ。
「――ちょ、や、やめっ! やめて!」
「はい――え、私今何してた? え、足を、何?」
自分でも制御が効かなくなる、つまり、俺の言うこと絶対死守。
マジかよぉ。
メイトはハキマにルールを見せる。
「取り消せこのルール! 俺はこんなの望んでない!」
「なんで? せっかく従者手に入ったのに?」
「そうだよ、心まで干渉するのは俺の中で御法度なの!」
「でも、アイカの順位、分かる?」
ハキマはニヤと可愛く笑う、メイトはにじり寄るのを止めて、訊く。
「……何位?」
「五位」
「ご、五位!?」
メイトは想像以上に高くてびっくりし、後ろに下がる。
マジか、五位でこのゲームで挑んできたんだ……。
「でも、いつ分かったの、私が記憶を失ってないって」
ふと、アイカが問う。メイトは「あぁ」と思い出し答える。
「お前が昼、あの少年を外で見た時、『せ』って言ったろ? アレは『精霊』って言おうとしたんだよな、それでこの場所はゲームをした場所って気がついて、つまりメイトはゲームについて精霊に聞いている、って勘づいた訳」
メイトはその時のアイカを思い出しながら、続ける。
「同時に、あんたは精霊の対処を考えていなかった、そもそも精霊が存在するなんて信じてなかったよな、でも実際俺は精霊と話していた、だから焦った」
メイトはニヤとアイカを見る。
「もし精霊からゲームのことを知れば、絶対私とはヤらない、だから早めに手を打つ必要があった、だから今日、今なんだろ? お前があの時『せ』で止まったから、気がついたんだよ、別に精霊は知ってても違和感なかったのに……周到すぎたな」
なんという、細い糸。それを手繰り寄せて、メイトは答えに辿り着いて見せた。
嫌いだけど、尊敬した。
すごいな、この透明人間。
「ま、まぁ賭けみたいなもんだったけどな……まぁつーことで、このゲームは、引き分けて、両者の賭けたものが適応、つまり『記憶の返還』と『アイカの従者化』にて決着ってことだな!」
メイトは親指を立てて、力強く言い切った。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




