【第64話】×××しないと出られない部屋
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン
ハキマ・クォーツ
スピネル
ゾイ
アイカ
イト
「ちょ!ちょっと待ったぁ!!」
メイトはアイカの肩を掴み、押し返す。アイカはスルスル滑り、メイトの腰で止まる。
「だ、ダメですか……?」
顔面赤くして今にも泣き出しそうになるアイカ。
…かわいそうだけど、ここで負けるわけにはいかない。
「ごめん」
メイトはそういって、アイカをポイっと避け、立ち上がる。
と、目の前に。
「メイト…」
「お願い…私たちもう限界なの…」
おうふ、ハキマ&スピネルさん…いたんですか、そりゃいるか。
「お、おう、でもちょっと待ってね」
メイトは半ば逃げるように脚を掴むアイカの手を解き、扉に駆ける。
とりあえずここは逃げさせてもらおう…。
ガシッとドアノブを掴む。
が、動かない。
「あ、あれ?え」
ガチャガチャ動かそうとするが、動く気配は全くない。
こ、これはまさか……。
メイトはゆっくり振り返り、三人を見る。ジリジリ踏みよる三人は、微睡んだ瞳に熱った頬と荒い息。
これはいわゆる。
『×××しないと出られない部屋』
なのでは!?
――――――――――――――――――――――――
お、おおいちっおい、おつけれ落ち着け俺ぇ!
メイトは急激に激しくなる鼓動を抑えながら、ジリジリ踏みよる三人と対峙する。
――これはアイカの狙いだ。
その時、バッと飛びかかってきたハキマを避け、ソファの背もたれの上を走り、逃げる。
――状況をまとめよう。
始まりは三日前、アイカによるゲームが俺の知らないところで行われた。
それにハキマとスピネルが挑み、引き分けし、俺に惚れ、その近辺の記憶を忘れた。
「メイト!お願い!」
「女子の誘いを断るなんて生まれて初めてで絶対しないと思ってたのに…うぅごめん…」
メイトは泣きながら室内を移動して三人から逃げる。
そして次俺が会った時から二人は俺に惚れていて、さらにアイカもいきなり告白してきた。
そこはいい、重要なのは何を忘れたのか。
ふと、スピネルと今朝、話したことを思い出す。
『――忘れたことは――』
"ゲーム"しかねぇだろ!!
『記憶を忘れ、俺に惚れるゲーム』のことじゃない。
つまり、もう一つの、"今"絶賛開催中のゲームだ。
その記憶を『近辺』で忘れている。
このゲームの前提が『ゲーム開催中ということを忘れ、メイトに惚れた状態』、だから忘れる必要がある!
そしてその勝利条件こそが、精霊が言っていた『セッ』から読み取るに。
――セッ○ス、性行為しかない!
俺と付き合うとか、そんな簡単で不確定なものじゃない。
つまりこれは、『ドロドロ恋愛ゲーム』!
だからやけにみんな俺とヤりたがるんだ。
さて、ここまで前提をまとめた訳だが、次の問題はなんだ?
メイトはガラガラと部屋の備品を床に落としながら、タンスや机の上を飛んで逃げる。
ハキマとスピネルはまるで獣のようにメイトを捕まえようとする。
なんなら服がはだけ、だいぶ危ない(コンプラ的に)。
問題は。
性行為することが勝ちなのか。
性行為しないことが勝ちなのか。
『メイトと先に性行為すれば勝利』というゲームなのか逆なのか、それが分からないと俺もできることはない。
簡単だ、ハキマかスピネルとヤればいいだけの話だ、もしシた場合負けになるなら、アイカとヤればいい。
しかし…赤の他人といきなりヤるなんてハードルの高いこと、アイカは記憶の無くした自分ができると思うか?
それなら、同じ部屋で仲間のハキマスピネルの方が先にヤる可能性は高い。
ならば『先にヤったほうが負け』…アイカとヤる、か。
だか勝利条件に二人が口出さなかったとは限らない!あの二人が口出ししたなら『先にヤった方の勝ち』?
「――くそわかんね痛っだ?!」
メイトは考えに夢中になり、小指をタンスの角にぶつける。
イったぁ…あれ、てか…なんか違和感あるな。
メイトはふと、大事なことを思い出す。
――そうだ俺、勃たないんだった!
透明人間のメイトは、何故か性欲がなかった。異世界に来て一年、いかなる状況でも息子は元気にならなかった。
「え、それどうなんの?無効試合?」
メイトは安心しながら股を見る。その時、久しぶりの感覚を覚える。
は、え?ん。
「お、おっきくなっとる――――!!」
メイトは驚愕しながら、自分の"モノ"を触る。
おぉ…なんと久しぶりの感覚…約一年振りか。前世ではいつも世話してたけど、懐かしいなぁ…――。
「いや感傷に浸っとる場合かー!!」
そうか、ゲームによる校則は絶対執行される、ならゲームの前提も魔法で再現可能状態になるはずだ。
クソ!なんで気づかなかったんだ。なんで興奮しなかったんだクソぉ!こんなチャンス、久しぶりに"発散"する好奇だったろぉがよぉ!!
メイトは血の涙を流しながら、後ろから飛びついてきたハキマにローブを投げ、逃げる。
これで俺は完全に透明、場所はそう簡単には気づかれない。
最悪捕まったとしても勃たなければできない、なんて思ったが…これじゃヤバい。
でも、誰かとヤらないと出られない部屋…誰かとはヤらなくては…それならやはりアイカ…いや――。
「メイトー///!!」
すると、スピネルはメイトに飛びかかってくる。それを見て、メイトは眉間に皺を寄せる。
……あの時の同じだ。
俺は洗脳が嫌いだ。自分を他人に決められるから。
なんの権利があって、彼女の人格を変えれるのか、ゲームだとして、許せない。
スピネルはもっと知的で冷静だ、ハキマはもっと優しくて正しいはずだ。
それが俺に惚れて、まるで人が変わった。
俺がハキマを振った時、ハキマは涙を流した。
なんでハキマが傷つかなきゃなんねぇんだ――。
メイトはスピネルを受け止めて、肩を掴む。暴れるスピネルを押さえつけて、低い声で呟く。
「…本気で嫌いだぜアイカ…」
その言葉は、メイトの"皮"から漏れた、心からの言葉であった。
そうだ、ここまでが、『お前の想定内の思考』だろ?
「なぁアイカ、お前ホントは記憶失ってないんだろ」
アイカは、口を開けて、固まる。
メイトはそれを見ながら、ハキマとスピネルを透明人間で拘束する。
「メイト!!」
「私とシて!!」
暴れる二人に沈黙を返した後、アイカを睨む。
「このゲームはするかしないか、俺に選択肢がある、正直、どっちが正解か分からん…」
「な、なんのこと?」
おどけるアイカに、メイトは変わらず睨みながら移動する。そこはキッチン。
覚悟が決まった、やってやるよバカアマ、舐めんなよこの俺を。
メイトは棚を開け、包丁を取り出す。
「はぁ、はぁ…アイカ、このゲームの攻略法分かるか?答えは簡単、行為を拒めばいい」
このゲームを審査する神的な存在すら唸らす、絶対的な性行為の拒否。
それを示すために、俺ができる最大限のことは――。
「これが、『覚悟』だ!!!」
メイトは透明となった包丁を握りしめ、ズボンを下ろす。そして、自分の息子目掛け、包丁を振り切った。
その刹那、白髪で半眼の少女が浮かんだのは、何故だろうか。
――――――――――――――――――――――――
「――――――」
激痛が、下腹部から発生し、それは全身を廻り、脳に到達する。
声にもならない痛みで、メイトの脳は危険信号は発する。
痛い。
あぁ、でもアレだ、昔ライカに足の骨折られたことあったなぁ…痛い。
昔メアリーの魔法で血反吐吐いたことあったなぁ…痛い。
ライカは腕を切り落とされても剣を振っていた。それに比べれば、こんな痛み。
…大丈夫、俺なら耐えれる、大丈夫だ。
「ほ、ほら…見てろよ…」
「…」
メイトは包丁を床に捨て、シンクに手をつく。鈍痛が増す中、下を見る。
血溜まりができてる。
やっば…――これ全部俺の血かよ…よし、冗談言えるなら問題ない。
「なぁアイカぁ!耳カッポジってよぉく聞け!!」
メイトはバッとジャンプして、シンクの上に乗る。
「俺は――絶対ヤらない!!!」
メイトはそう痛みで揺れる世界の中、宣言した――瞬間ぶっ倒れて、シンクから落ちた。
途中、机がひっくり返り、部屋に大きな音が響く。
――ハキマとスピネルの脳裏に、記憶が駆け巡る。
そして――。
「――なんだか、酷い悪夢を見ていたようだわ」
「うん、でもメイト、やっぱり頭おかしいよ…まさかほんとにするなんて」
「あら酷いわね、それに賭けたんでしょ?」
「そ、そうだけど…ホントにやられるとびっくりするよ」
アイカの後ろから、二人の声がする。
アイカは驚きを隠せないまま、目を見開いたまま、機械のように振り返る。
「あら、性悪女さん久しぶり」
「この勝負、私たちの勝ちだね」
完全に正気を取り戻した、ハキマとスピネルは、勝ち誇った笑みで、アイカを見下した。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




