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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第63話】神の一手

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

アイカ

イト

 目の前に、花弁に乗るほど小さな女の子がいる。

 名は『サン・アレク・ライト』。

 年は十代半ばほどだろうか、小柄で細身の体。

 赤青黄色、その他のあらゆる色が混ざる虹色の髪に、宝のように輝き、そして石のように硬い、射殺さんとする瞳。

 黒い、露出の多い服を着ている精霊は、恥じらうことは全くなく、丈の短いスカートで足を組み寝っ転がる。

「して、余に訊きたいこととはなんぞ? 雑種」

 あからまさに人間を侮辱しているが、この際どうでも良い。

「三日前、ここで女の子二人がゲームをしたはずなんだ、知ってるだろ? そのゲームについて知りたいんだ」

「……」

 しかし、アレクは興味なしと言うように、頭の後ろで手を組み、目を閉じている。

「あの……アレクちゃん?」

「その名で呼ぶなと言っているだろう"不快害虫"、それに、この愚人は不愉快だ、余と話す時なぜ姿を見せない?」

「お、ぐ、グフゥ……」

 精霊に罵倒され、気持ち悪い笑みを溢すのは精霊と唯一干渉できる人間である。補足、少年は罵られるのが好きな、いわゆるMである。

 精霊はどうやらメイトが透明人間であることに不服らしい、しかしメイトも、できれば透明じゃない状態でいたいとは常々思っている。

 そこを突かれると、些か苛立ちを覚えてしまう。

「そうか、まぁ仕方ね、ゾイ頼んだ」

 メイトが交渉することは諦め、後ろにいたゾイに任せた。

「分かった……――クレア様」

 ゾイは精霊の前に膝をつき、頭を下げる。

「貴女様が我らのために善処してくださること、誠に遺憾であります……無礼も承知でお願い事がございます。先日、この場で桃色の髪の少女と紫色の髪の女の子が、ゲームをしたと思われるのですが、そのゲームについてお教え頂けないでしょうか?」

 普段の彼女からは想像もできない慇懃な態度に、メイトは少し驚愕した。

「ふむ……確かに余の記憶では、そのような生娘がゲームをしていたな」

 精霊は相変わらず寝転んだまま、上から目線でゾイを見る。

「僭越ながらお聞きするのですが、そのゲームの勝利条件はご存知ですか?」

 ゾイの言葉に、精霊は冷たい視線をゾイに向ける。

「なぜ、そのようなことをに(うぬ)ら伝えなければならんのだ、余にとってのメリットは?」

 メリットね……打算的なお嬢様だこと、しかしそう言われればどうしようも無い、ここは正直に――。

「ないです」

 メイトはゾイの横から割り込む。

 言うのそれ!? ここは嘘でもメリット言っとかないとダメじゃない!?

「ならば論外だ、去ね」

 ほら〜……。

 精霊は、完全に興味なしと判断して、姿を消し始める。


「ですが、良いことじゃないですか!? "手伝う"って」


 薄くなり始めていた精霊に、メイトは地面に手をついて叫ぶ。

「良いこと……」

 精霊は、メイトの言葉に既視感があり、目を開く。そのまま威圧的な視線のまま、メイトを見る。

「…………汝、その言葉にどこで……?」

「……?」

 メイトはなんのことか分からず、一瞬戸惑うが、答える。

「えと、これは別に誰の言葉とかではなくて、自分の言葉です」

「……」

 精霊は足を組み直し、顎に手をやる。その瞳は畜生を見る瞳でなく、考え込み、仮定を辿る瞳だった。


「汝、目覚めた場所はどこだ?」


 寝覚めた場所、その言い方を使う奴なんて、俺が普通ではないことを知っている人だけだ。

 なら、伝わるのか?

「……超大きな木の下で」

 メイトが瞳を細めて精霊を睨みながら答えると、精霊の顔は瓦解する。

「フッ――フハハハハハハ!!!!」

「……」

 突如の爆笑。腹を抱えて、花弁の上を転げる精霊の目尻に涙がたまる。

 ゾイと少年も、ポカーンと呆ける。

「はぁ、はぁ――そうかそうか……ほんと面白いこと考えるなぁ……」

 精霊はひとしきり笑った後、指で涙を拭いながら呟く。

 なんのことだか分からんが、なんかご満悦のようだしいいや。

 すると、精霊は上から目線でメイトを見て、口角を上げる。

「気に入ったぞ、メイトやら」

「そ、そうですか、それはありがとうございます」

 何を気に入られたんだ……俺が木の下で目覚めたこと?

「して、その生娘のゲームの勝利条件だったな? それは――」

 バッと、精霊の言葉にメイトとゾイが近寄り、聞き入る。

「セッ――」

 その時。

「あ、あれ……メイトさん何してるんですか」

「――」

 突然、後ろから声が聞こえる。その声音には心当たりがある。

 メイトがおおよそ算段をつけて振り返ると、そこにはアクア色の髪で、前髪で瞳が隠れた女の子。

「アイカ……いや、なんでもねぇよ」

 メイトはローブで精霊を隠しながら身体をアイカに向ける。

「アイカはどうしたんだ?」

「私はこれから授業ですので、移動しようかと……メイトさんは――」

 その時、アイカは隣の男に気がつく。

「あれ? この方って確か……"せ"――」

 ピクッと、ゾイとメイトの眉が動く。

「……先日変なことしてた方じゃないですか、なんだか道の隅でうずくまって」

 …………。

「そうだよ、まぁ変な奴だ、気にすんな、それより急いだほうがいいぜ、あの先生少し遅れただけで入室禁止にするから」

「そ、そうなんですか!? で、ではこれで!」

 アイカはハッとして、パタパタ走って行った。

「……"せ"、か」

 メイトは振り返り、精霊に被せていたローブを避ける。

「メイト、余に薄汚い布切れを被せるとは随分の狼藉だな……」

「わ、悪かった……それより続きを」

「……」

 すると、精霊は目を細め、メイトを見定める。


「気が変わった」


「ん?」

 精霊はフッと消えた。

 メイトとゾイは固まる。

「え、ちょ……なに? ……分かったよクレアちゃ――ごめごめごめんなさい」

 唯一、精霊のお力添えなしに精霊とコミュニケーションを取れる人間の少年が、ボソボソ話す。

「あの、二人とも……もう話すことはないってさ」

「な、なんだそりゃー……」

 メイトはガックリ地面に腰をつく。

「なんで? なにが気に食わなかったの? あの、サン・クレアなんとかさんは」

「いや、そうじゃなくて……本人曰く、『メイトがそうなら、これでいいだろう』だって……」

 ……俺が、"そう"なら――。

「な、なにそれ……」

 ゾイは意味不明と呟き、メイトをチラッと見る。

 相変わらず透明で表情は伺えない。

「……まぁ仕方ねぇなぁ、な」

 メイトは一切後に引かず、納得し立ち上がる。

「さて……帰るか」

「え、帰るの? まだ答え聞いてないよ?」

「……大丈夫、精霊からちゃんと聞けたから、俺たちが勝てるさ」

 そう、当たり前のように言うメイトに、ゾイは苦笑する。

「あ、はは……メイトほんとに意味不明……どこで言ってたの?」

 多分答えてくれないと、知っていながら質問する。

「……ちゃんと思い出せば分かるさ」

 ほら、やっぱり。

 メイトは楽しそうな声音だ。

 きっと、分かったのだろう。

 ならば、メイトを信じよう。

「そっか〜、思い出せばね〜……あ、ありがとね、助かったよ」

 ゾイはポカーンとしていた少年の肩をポンと叩いた。少年はなんと返答して良いか分からず、固まったまま、ゾイを見る。

「またね」

 そう言って、ゾイはその場を離れた。メイトもその場を「じゃまたな」と言い残し去る。

 少年は、初めて人の頼りになることができて、達成感に満たされており、しばらくその心地よさに浸っていた――。


――――――――――――――――――――


 夜、いつも通り風呂へ行き、帰ってきた。

 扉の前で止まり、浅く深呼吸してから、ゆっくり音を立てないように部屋に入る。

 暗い廊下を進むと、部屋に電気は灯っていなかった。

 寝てんのか……?

 メイトは電気ゆっくり歩き、部屋の間接照明をつけようと、ランプに手を伸ばす。

 その時。

「ウワッ!」

 誰かに押し倒された、正確には足を掛けられしっかり技で倒された。

「いった……」

 床に打った頭を摩りながら、前を見る。

 暗がりでよく見えない。が、人が自分の上に乗っていることは分かる。

「……誰?」

 メイトが抵抗を諦め、声をかけると、暫しの沈黙の後、声がする。

「だ、だーれだ?」

 メイトは耳を疑う。

 いや、アイカじゃねぇか……。

「あーそういうことね、確かにこの部屋は立ち入り禁止ルールを別に作ってなかったからなぁ……」

「う、うん、ごめんねメイト――だから、さ……」

 すると、アイカは身体を倒し、メイトの上で寝っ転がる。

 メイトは胸の辺りに柔らかい感覚がある。

「私、もうッ、我慢の限界ッ……!」

 アイカはそう言って、メイトの身体に抱きついてきた。

 メイトはチラッと顔を見ようとすると、だんだん暗闇に目が慣れてきて、顔が見える。

「メイト――私と、シよ?」

 とろけるような、熱った顔で、アイカはそう言った。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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