表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/264

【第60話】忘れたこと

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

「メイトあなた何人部屋に連れ込めば気が済むの?」

 メイトとその他女子三人は、ゲームコーナーを後にし、スピネルを部屋に来ていた。

 部屋にいたゾイはまた新しい女子を部屋に連れ込んだメイトを睨む。

「いや、だって外は誰が聞いてるか分からんし……」

「あ、ゾイさん先ほどはありがとうござました」

 瞳が隠れるほどの前髪に、テキトーで整えられていない髪、幼い顔つきの女の子、"アイカ"。

 先刻、メイトに告白し、無事付き合うことが決まった人である。

「ん、ほんとに付き合うことになったんだね」

「は、はい! メイトさんがいいよって言ってくれましたので」

「すごいわねほんと……」

 ゾイとアイカが喋っている間に、ハキマスピネルがメイトの肩を引っ張る。

「ほんとに言ったの?」

 眉を歪ませながら訊くハキマに、メイトはスパッと答える。

「あぁ、確かに付き合うと言ったぞ。それが何か?」

「……別に」

「なんだか意外だったから」

 二人ともツラッと横を見る。声音も沈んでいる。

「……ハキマ、スピネル」

 メイトはそんな二人に声をかける。

「なに?」

 すると、メイトは無言で両手を二人の頭に乗せ、撫でる。

 二人は目をパチパチさせ、状況が飲み込めない。が。

「うぇ!?」

 ハキマはボッ! と顔を赤くして変な声を出した。一方スピネルは声は出ないが、顔を俯かせて恥じらいを我慢しているようだった。

 メイトは少し、二人の頭を撫でた後、手を下ろす。

「どうだ?」

「どうって……えと……嬉しかった……?」

「べ、別に照れてなんかないから……ッ」

「……ふん、そうか」

 メイトの望んでいた返答は来なかった。

「変わらない、かぁ……となるとやっぱり違うのか?」

 メイトはブツブツ考える。すると。

「ちょっとメイトさん、なにしてるんですか?」

 後ろからアイカが肩を掴んできた。メイトは顔だけ半分振り返り、アイカを見る。

「いや、なんでも。てかなんでここに集まったんだっけ?」

「それはハキマさんとスピネルさんがちゃんと聞きたいって言ったからですよ」

 そうだったそうだっだ。と、メイトは顔を戻し、二人を見据える。

「で、なにを聞きたいんだ?」

 言われると、二人は言葉に詰まる。

 真実、二人はただメイトが誰かのものになったことが信じられなくて、ただそれを否定したいだけなのだ。

「え、と、まずなんで付き合うことになったの?」

 ハキマの質問を聞きながら、メイトはソファに座る。横には当たり前のようにアイカが座る。

「好きだから」

 メイトは答えた。

「どこが好きなの?」

「可愛いところとか……」

「……」

「……」

 ハキマとスピネルは無言でメイトの言葉を待つ。しかしそれ以上言葉はない。

「え、それだけ?」

「え、足りないかな? じゃあ……優しいとか?」

 これには隣に座るアイカもちんまり。

「サイテーじゃないメイト!? それただ可愛いからって理由じゃん!」

 メイトの頬に汗が垂れる。

 マズいな……正直アイカは全然好きじゃない、なぜ付き合ったのか訊かれたら「告白されたから」しかないぞ。

「サイテー? それで結構! "可愛い"だけは全世界共通で正義なんだ(ノーゲーム・ノーライフ『空』より参照)! 人が人を助けるのは正義で当たり前、なら可愛いを求めて生きるのもまた正義で当たり前なんだ!」

 メイトは全力の屁理屈を並べて何とか誤魔化す。屁理屈と言えないくらい理屈が通っていないのは、ここだけの内緒である。

「それに可愛いという理由だけで付き合っていけないのか?」

 メイトの言葉に、照れるアイカ。

 ゾイは口を尖らせ怒った様子で言う。

「別にいいけどさ、それじゃハキマさんとおねぇちゃんは可愛くないみたいだよね」

「そんなことない、『可愛い+俺のことが好き』が条件なんだよ」

 その瞬間、何かが切れたように、ハキマがバン! と机に手をつき、メイトの顔に顔を近づける。


「私だってメイトのこと好きだもん!!!!」


 メイトは憤怒を悟られないように、冷静になり、ハキマを見る。

「ごめん、もう遅い」

「――ッ!」

 メイトが言った瞬間、ハキマは涙目になり、走りながら扉に駆け寄る。

「ハキマさん!」

 ゾイが呼び止めても、構わず出て行った。

「……」

「……」

 部屋には嫌な雰囲気が流れる。

「メイト、言い方考えてよ、流石にハキマさん可哀想だよ」

 ゾイは冷たく言い放つ。しかし、実際はそんなこと考えていない。

 メイト、私はあくまでも"知らないふり"だからね。

 ハキマさんとおねぇちゃんが誰かによって洗脳させられてメイトを意識するようになっている。

 だから今のハキマさんは本物じゃない、それはメイトにもわかっているはず。

 でも、アイカさんを彼女にして、ハキマさんを振って……メイトはちゃんと考えているのかな。

 その時、空気が変わった。

 地面が揺れるような、内臓を甘撫でされいるような気色の悪い恐怖心が、心に生まれた。

 それはこの場のアイカスピネルゾイ全員が同時に感じていた。

 なに? この気持ち……恐怖? なにに?

 その違和感の場所は、一つ。

 メイトである。

 メイト? でもメイトは魔法で感知できない、だから例えば『相手に威圧感を与える魔法』なんて使っても意味はない。はずなのに。

 ゾイの頬には汗が伝う。

 じゃあなんなのこの威圧感は……!?


「……悪いアイカ、今日はもう帰ってくれないか?」

 メイトが言葉を口にした瞬間、枷が外れたように心が軽くなった。

「――は、はい……ごめんなさい……」

 アイカはそう言いながら、後ろ髪を引っ張られる思いで、部屋を出ていった。

 暫しの沈黙の後、メイトが声を出す。

「……スピネル、"分かるか"?」

 その質問の意図は不明だが、スピネルは答える。

「……分からないわ……」

「そうか……」

 メイトは残念そうに呟き、ソファに寝っ転がる。

「はぁ、めんどくせーことになったなぁ……」

 メイトは頭の後ろで腕を組んで、寝る。それを見ながら、スピネルは考える。

 ……メイトはアイカという知らない人と付き合った。それは「可愛い」から。

 だったら、私は可愛くないってこと?

 私は付き合うに値しない女ってこと?

 私はメイトのことならなんでも分かるのに、あんな女のよりも、何でもできるのに……。

 スピネルはその行き場のない怒りは、胸中で蟠る。

 それで、そう思うことしかできない自分が、嫌い。

 スピネルは、どうしようもない感情の吐き場を探して、ただ俯いていた。


――――――――――――――――――――


「な、なぁそこのあんた、三日前のハキマとスピネルが誰かとゲームしたのを知らないか?」

 翌日、ガヤガヤする学習棟の廊下にて、メイトは同じクラスの奴(話したことはない)に話しかけていた。

「え? うわっ透明人間……えとー、知らねぇな……そういや今日はその二人いないな」

「そ、そうか、悪い邪魔した」

 メイトはそう言いながら立ち去る。

 あークソ、なんで学校の同級生っていう前提があるだけでこんな会話が疲れるんだ……。

「これで同じクラスのやつ全員に聞いたけど、みんな知らないのか……」

 メイトは周りを見渡しながらため息を吐く。チラチラ透明人間を気になる視線があるのは変わらない。

「あ、メイト、何やってんの?」

 ふと、後ろから話しかけられた。

「おぉゾイ、いやハキマとスピネルとゲームをしたところを見てた人いないかなって」

「あー探してたんだ、なんだちゃんとやってんじゃん」

 ゾイはほんの少しメイトを見直す。

「そういや、ハキマは? 昨日帰ってこなかったけど」

「ハキマは私の部屋に泊まったよ、流石にメイトとは一緒に入れないからね」

「……そうか、悪いな迷惑かけて」

「いいよいいよ、メイトも反省してるみたいだし」

 ゾイは手を振りながら微笑む。

「それで、なにか分かったの?」

「いーや、なんにも手がかりがない。どうにかしてゲームの"勝利条件"だけでも知りたい」

 メイトは頭をかきながらため息を吐く。ゾイは少し疑問に思った。

「"ゲーム相手"じゃなくて"勝利条件"なの?」

 そう、真顔で訊くゾイに、メイトは「は?」と振り返りゾイを見る。


「馬鹿か? ゲーム相手なんて"アイカ"で確定だろ、わかんねぇのはそのゲーム内容だっつーの」


 メイトは少し苛立ちながら答えるが、ゾイは首を少し捻っていた。

「え? アイカがゲーム相手?」

「あん? そうだろ、モテ期なんてほんとに来る訳ねぇだろ、さっきからたくさんの人とすれ違ってるけど、俺を意識してんのはハキマスピネルアイカの三人だけだ、ならあの三人で完結してんだろ」

「でも、誰かがいて、その人対三人って可能性も……」

「……なぜ?」

 メイトはスピネルとハキマを思い出す。それはまだ洗脳される前のこと。


「あの二人が、アイカと協力しなければ勝てない相手とのゲームにノるか?」


 ゾイは、やっと理解した。

「あと、ゲームの引き分けは、両者の賭物が適応させるらしいぞ」

 メイトは補足と言うように続ける。それでゾイは答える。

「つまり、おねぇちゃんとハキマがアイカと戦って、引き分けた?」

 確認するように言うと、メイトは大きく頷く。

「そう、つまり両者とも、そのゲームの記憶は忘れてるって訳、んで、俺のことを意識するハーレム状態な訳」

「な、なるほど……」

「……ゾイ分かってなかったのか?」

「え」

 呆れたように呟くメイトに、ゾイはギクっと身を固ませる。

「わ、分かってなかったよ、でもメイトが分かるから問題ないよね〜」

「何ちゅう理屈……まぁいい、まだ考えられる余地はあるだろ、なんだか分かるか?」

「え? まだ何かあるの?」

 メイトは戦ったときのゾイの知能が帰ってきて欲しいと思いながら、近くの壁に寄りかかる。

「あの三人は引き分けた、じゃなんでそんなことする必要がある? そもそもアイカの狙いはなんだ?」

 ゾイはブカブカの袖の腕を組んで唸る。

 今更だけど萌え袖可愛い。

「狙い……アイカが九位以下ならメイトの立場を狙った、九位以上なら危険因子を排除したかった、とか」

「そうだな、で、ゾイはあいつが"どっち"だと思う?」

 ゾイは、アイカのチェスの時の雰囲気を思い出す。あれは"強者"の雰囲気だった。

「ほんとに単なる予想だけど……"上"、だと思うわ」

「上か、ならそれで決定して動こうか」

「え、いや単なる予想だよ?」

 ゾイは安易に決定するメイトに忠告するが、メイトは言い切る。

「別にアイカの順位がどうとか関係ないしな」

「関係ないんだ……じゃ、じゃあなんで聞いたの?」


「問題は、"なぜ忘れる必要があったのか"だ」


 メイトはこめかみ辺りをクルクル指して表す。

「忘れる必要……メイトを意識することに対して違和感がなくなるようにじゃない? 恋はいつ落ちるか分からないものだし」

「ふむ、"それ"もあるな、けどもっと重要なことがあるはずだ」

 なぜか上から語るメイトを無視しながら、ゾイは考える。

「……ゲーム……だから、えと、なんだろ」

 迷うゾイに、メイトは腕を前に出して「ルール」と言い校則を見せる。

「ここだここ、この『ゲーム内容、賭物内容、対戦相手など、このゲームに関する情報含め、近辺全ての記憶を無くす』という校則、違和感あるだろ」

「い、違和感?」

 ゾイも自分の腕でルールを見るが、特にそんなの感じられない。

「『"近辺"』だ、ゲーム自体だけでいいのになんでその近辺も無くす?」

 ゾイは固まった後、理解する。

「あー、それは……――確かに」

 ゾイは顎に手を当てて瞳を輝かせる。

「そっか、アイカの狙いはゲームで『メイトを意識させてそれを忘れる』だけなら『近辺』は必要ないんだよね……」

「そ、つまり確信は『近辺』にある」

 メイトはその光板に映し出される、電子的な文字を睨みながら、呟く。


「大切なのは、『近辺』により、"何を忘れたのか"」


 ゾイはそのメイトの変わらない疑心感による聡さに、詠嘆の息を吐いた。

「メイトなら、それが何か分かってるんでしょ?」

「予想ならな」

 メイトはそう、全くの根拠もない仮説に、思わず失笑しながら言う。

「――忘れたことは――」

 その言葉は、学園の生徒の喧騒により、かき消される。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ