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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第56話】無くしたモノ

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

「しかし――なかなか上手いんだねメイト」

「ま、まぁな……」

 神聖アルディア魔法学校、一年寮内。

 その高級ホテルのような外装かつ、レッドカーペットが敷かれた床。ここに無料で生活するためだけに入学する者もいるとかいないとか。

 その寮の二階には、公共温泉や食堂、休憩スペースや自習スペースなどが存在している。

 そして、その娯楽施設の一つ。

 ゲームコーナーである。

 チェスやオセロ、トランプから、ダーツやビリヤード、将棋まで、多種多様なゲームが取り揃えられてある。

「それで、つまり俺を透明じゃなくすることは無理ってことね」

「うん、"変幻魔法"で変えられるのはその場近くに同じものがある場合だけだからね」

 今、授業をサボりゲームコーナーにて、ダーツをして遊ぶメイトとゾイ。

 ……過去の俺の姿になれると思ったが……過去の姿がないとなれないのか……まぁ仕方ない。

「あと、気になったけどメイトってちょっと変だよね」

「変? なにそれ罵倒?」

「普通さ、変幻魔法は対象と形とか大きさが大体同じじゃないとできないんだ〜、人とかの姿変える時は同じ身長同じ体型とか、いろいろ大変なんだよ」

「……なるほど、じゃあなんで俺はゾイになれたのかって話か」

 メイトは透明になったダーツを投げる。トリプルの20、60点である。

「うん、私とメイトは身長も体型も、なんなら性別すら違うのにどうしてメイトは私になれたのかな」

 メイトはダーツの前を避けると、そこにゾイが立ち、構える。

「さぁな、やっぱ透明人間てのが関わってんのかな」

「そうかも、固定された形はないからできたみたいな」

「でも実際手はここにあるぞ、透明なだけで」

「う〜ん、まぁだからメイトは変だよねとしか言えないな〜」

 ゾイはダーツを空に浮かせ、腕を構える。

「衝撃魔法、なるべく尖らせて……打!」

 ゾイが腕を振るうと、発生した紫色の球体は、稲光を放ちながらそのエネルギーを一点に放出する。

 それは浮かんでいたダーツに当たり、ダーツはものすごい速さで突き刺さった。

 辺りには風が吹き、ダーツの先からは煙が上がっている。

「そうか……ええと、なんかすごい魔法使ってたけど、このゲームは俺の勝ちだな」

 得点はど真ん中のブル、50点である。

「ん、なんでそんなダーツ上手いの? やったことあるとか?」

「まぁ故郷でちょっと、な」(大嘘)

「へ〜、それで要求はなに?」

 互いに同じことを賭けたこと、それは『相手の要求に絶対従うこと』であった。

「今日お前に手伝ってもらったのは、この『"一"に反しない限り、勝負に賭けるモノは問わない』という校則、"一"とは『生徒間での殺害禁止』だから生死関係でなければなにを賭けてもいいということ」

「そだね、『事実の永続』なんてのも賭けれるぐらいだし相当自由だよね」

「あぁ、だからそれの限界を知りたい」

「あー、なるほど」

 メイトはルールをしまうと、ゾイを見る。

「もしかしたら退学になるかも知れないが、ホントにいいのか?」

「いいよ、なんでも」

 ゾイはニマと笑う。彼女なりの強がりであることはメイトには伝わらない。

「ありがとう、じゃ要求する」

 メイトは微笑み、ゾイの姿を確認したしながら言う。


「"男"になってくれ」


 一瞬、固まったゾイだか、次の瞬間光に包まれた。

「あ、あぁ……え? ちょ――」

 メイトには分からないが、ゾイは急激に起こる体の変化についていけない。

 あるものはなくなり、あるものは生え。筋肉や骨格、毛量などまで変わっていく。

「――」

 ゾイは突如生まれた股関節部分の違和感を隠すようにスカートを下に引っ張る。

「どうだ? 男になったか?」

「――ッ〜〜〜!」

 ゾイは顔を急激に赤くして涙目になる。

 まじかこの男……――。

「んー、ちょっと顔変わったか? 中性的な顔つきに……それに体もなんか大きくなったな。で、なんでスカート引っ張ってんの?」

 スカートで足を隠すようにするゾイは、顔を逸らしたまま答える。

「"ある"んだよ……なにか……」

「ある? あるってなにが? 具体的に頼む」

「そ、その、おそらく、いわゆる、あの……ち、ち――かな」

 ボソボソ喋るゾイにメイトはニヤと笑う。

「触ったほうがいいな、触るぞ」

「え?」

 メイトはゾイの股間部分に手を伸ばす。

 そう、これこそ合法的に女の子(男)の股間を触る方法……完璧だ。

「ちょ、ちょっとマジで?」

 ゾイはススと後ろに下がる。

「大真面目だ、これも校則がホントなのか確かめることのに必要なことなんだ、我慢してくれ、てか触られせくれ」

「最後願望漏れてんじゃん……まぁ……メイトならいっか...」

 ゾイは観念し、メイトに近寄る。スカートから手を離し、メイトにあとは任せる。

 任されたメイトは、深呼吸する。

 ――我が妹よ……お兄ちゃん異世界で少し大人の道を進むよ...少しズレた道だけど――。

 そして、メイトはしゃがみ、スカートの上から優しく"そこ"を包む――。


 むに。


「お、おぉ……」

 確かに、そこには"男の証"が付いていた。

「ッン――……」

 ゾイは口に手の甲を当て恥を我慢している。

「イヤらしい声出さないで?」

「――ッ、イヤらしいことしてるッ、メイトが言わないで?」

 確認は済んだにも関わらずモミモミするメイト。それにゾイは。

「あのッ、もういいんじゃ……」

 色っぽさが混じる声音で呟く。

「いやいや、確認するべきことはまだある」

 さらにモミモミするメイト。

「ちょっ――もう――……」

 ――。

 その瞬間、メイトはその機微を見逃さなかった。

「! さて、"大きくなった"ことを確認した、どうやら形だけでなく生物的にホントに男になるらしい」

 メイトは手を離し、立ち上がる。

 ゾイははぁはぁと息切れしている。赤く染まった頬に伝う汗を拭う。

「ホント、おねぇちゃんたちが言ってた変態って意味分かった気がする」

「そうか。んで、これで校則は生物的に限界は無さそうだ……筋肉とか骨格まで作り変わるのか……すごいなこりゃ」

 男になったゾイを眺めながら呟く。ぺったんこの胸や短くなった髪、全体的に中性的に変化した。

 例えばゴリラになれとか言ったらゴリラになるのか? 多分なるだろうな、生物的に変化するらしいし。

「よし、実験終わり、今校則を消すな? ルール」

 そしてメイトは"ルール"から今作った『男になる』を選択し、そして削除を押す。

 するとその校則は消える。

 顔を上げると、光に包まれたゾイがいる。盛り上がる胸や肩ほどまで伸びる髪、いつもの可愛い顔に戻る。

「は〜、疲れた……なんか――疲れた〜」

 肩を落としため息を吐くゾイ。

 ……校則を削除すれば戻る、か、最初この校則を作られた時に勝手に男になるのは親切設計だからか? わざわざこっちが性別変換魔法を使わなくてもいいなんてな。

「付き合ってくれてありがとな、まぁ昼食奢るよ」

「いや奢るって全部無料だから」

 ゾイは頭の後ろで手を組む。

「まぁまだ時間あるし、遊んでこうぜ」

「いいね、私アレやってみたいんだよね〜」

 そうして、昼時までゲームをして時間を潰すことにした。

「あ、そうだ」

 ふと、ゾイは振り返り、メイトにニヤーと嫌みたらしく微笑みかける。


「さっきのやつ、気持ちよかったよ」


 固まるメイトを置いて、ゾイはスタスタ歩いて行った。メイトは顔を抑えてゾイを睨む。

「いや、俺は別にそう言う趣味ないし……」

 男の子を触って嬉しいなんて、考えないし――。

 メイトはそう、男の"それ"は絶対に二度と触らないと、決意した。


――――――――――――――――――――


 メイトがゾイ(男)の陰部を触りセクハラをした日の夜――。

 すっかり暗くなり、街灯が淡く照らすレンガ造りの寮までの道を歩くハキマとスピネル。

「――ねぇネルネル〜、どうする? このあとお風呂行く?」

「そうね、行こうかしら」

「やた、じゃ私も〜」

 ハキマは手を合わせて喜ぶ。そのとき「あ」と、ふと思い出す。

「そういえばメイト今日も来なかったね……」

「……そうね、普通の生徒でいろって……あいつが授業出たの一日だけじゃない、あいつが一番普通じゃないわよ、ホントゲームだけしに来たのね……それにゾイもいないし」

「"ゾイゾイ"となにやってるのかな? ゲーム――」

「ちょ、"ゾイゾイ"?」

 スピネルはハキマの言葉を止める。

「え、あだ名だよ? いいでしょ?」

「ん〜――いいわねそれで、どんどん呼んであげて」

「? うん、分かった」

 ハキマは首を捻りながら頷く。スピネルはニヤと微笑む。

 フッ、ネルネルなんて呼ばれている私、一人だけじゃアレだったけど、ぞ、ゾイゾイ...w。

「フッ――プクク……」

 謎にニヤニヤぷークスクス笑うスピネルに困惑するハキマ。

 その時――。


「ねぇ、そこの二人」


 いきなり、前の木の陰から人が出てきた。

「え、あぁはい」

 ハキマは答える。その人は暗くて顔はよく見えない。しかしそれだけでなく、本当に"分からない"。

「私と――――」

 その人はこちらに不気味にゆっくり歩み寄りながら口を開く。しかし、その内容は"分からない"。

「……何故?」

 スピネルが口を開いた。


 そこから先はまるで空白、または漆黒。

 夢のように朧げで、思い出そうにも記憶に残らないで霧のように消える。

 ハキマは突然の悪寒が全身に駆け巡る。



「――なんだっけ?」

 意識は覚醒すると、そこにはスピネルが一人、隣に立っていた。

「? 急にどうしたの?」

 スピネルは眉をハの字にしながら首を捻る。

「え? えと……あれ? なんだっけ?」

 ハキマは説明しようとしだが、頭に文字が浮かばない。

「ううん、ごめんなんでもない」

「そう、さ、早くお風呂行きましょ」

「う、うん……」

 スピネルは寮に入っていくの後を、ハキマは早足で追う。その時、玄関で振り返る。

 ……。

 なにか大事なことを忘れた、その違和感そのものを、どこかに置いて隔離するように、ハキマは玄関と扉を閉めた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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