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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第54話】ゲームセット

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

 十年前――。

「グスッ……グスッ……」

「もー、泣くんじゃないわよ、魔獣は倒したから」

 暗い森の中、背中にゾイをおんぶするスピネルは、自宅に向けて足を進めていた。

「ごめんおねぇちゃん……ありがと……グスッ」

「別にいいってのー、それよりゾイ足大丈夫? 捻ったって言ってたけど、まだ痛い?」

「……ううん、痛くない」

 ゾイは一瞬止まってから答える。

「今の間は嘘ついた間だな〜、もしかしたら骨いってるかも知れないわね〜」

 スピネルはまだ、治癒魔法を会得していなかった。ので、早く家に連れて行かないと、しかし早く動けばゾイの脚が動き痛いだろう。

 スピネルはそう思い、なるべくゾイの足を動かさないように歩く。

「ごめん……」

「だからいいっての〜、それよりゾイ私より強いんだから自分でなんとかしなさいよね」

「だっていきなり出てきてびっくりしたんだもん……」

「はぁ、まぁ私が近くにいたから良かったけど……」

 スピネルは息切れをなんとか誤魔化しながら平然と歩く。

「それと、"強がり"は強くないからね、痛かったら痛いって言いなさい」

「う、うん……分かった、強くなる――痛い」

「ハッ、知ってる、ごめんね、まだ治癒魔法使えなくて」

「私でも、まだ、使えない……から、当たり前」

「なぜ私があなた以下なのが前提になってるのかしらぁ?」

 スピネルは振り落としてやろうかという感情を我慢しながら、笑う。

「全く、いつまでも変わらないわね……」

「それより、どうする?」

「ん?」

 ゾイは話していて落ち着いたのか、静かな声音で聞いてくる。

「『鬼ごっこ』……途中で終わっちゃった」

 鬼はゾイ、逃げはスピネル、今日はその魔法が介入しないただ走り逃げるゲームをして遊んでいた。

「あー……そんなの、明日やればいいじゃない」

「でも、足……」

 ゾイは自分の足を見ながら言う。

「そっか、それじゃ走れないか……ま、治ったらやりましょ、約束よ、次は絶対捕まえるから」

 スピネルは前を見たまま答える。その頬に汗が伝うのをゾイは見えて。

 血筋だな、と。

 そう思ったことは、誰にも言われず伝わらず、ただゾイの中で消えていった、些細なことであった。

「負けない……絶対捕まらない」

「ハッ、望むところよ――」


――――――――――――――――――――


 あぁ、なんでこんな大事なこと、忘れてたかな……ごめんおねぇちゃん――約束、忘れてて……。

 ゾイは、朦朧とする意識の中、そんな過去の一場面を映画のように鮮明に思い出していた。

 私、強くなれたかな……。

 その時、まるで誰かに手を引っ張られたように、浮遊感があった。

 そして、目を開けた。


 目の前には、若き日の面影が重なる、姉がいる。


「お、おねぇちゃん……」

 スピネルは、爆発に巻き込まれ前にゾイを助けていた。

 腕に抱きかかえて横になるゾイを見ながら、スピネルは呟く。

「こんなこと、いつかもあったかしら……最後はあなたを助けて、そのまま約束忘れて……」

 ゾイは、あぁ、姉はちゃんと覚えていたんだと、理解して、涙目になる。

「……ごめん、また助けられた……」

「……いいっての、これは"ゲーム"なんだから、それに今回は違う……ちゃんと終わらせる」

 すると、スピネルは、ゾイの手に手を重ねる。

 まるで、今までの恨み、嫉み、尊敬、憧憬などを含んだ上から目線で、宣言する。

 

「捕まえた」


 そして、ゾイの腕に拘束魔法により、黄色に光る鎖がかけられた。

 そうして、メイト一向と学年九位ゾイによるゲーム『鬼ごっこ』は、幕を下ろした。

 一人の、命と共に。


――――――――――――――――――――


「ごめん……メイトが……私の……せいで……」

 ゾイはなんとか起き上がる。

 酷く混乱するゾイに、スピネルは一笑。

「ハッ、バカじゃない? あの頭のおかしい奴ならあそこよ」

「え?」

 そうして、スピネルが指した場所には、こちらに歩いてくるボロボロのローブがいた。

「いやー! マジで死ぬ寸前だったな! ガハハ!」

 そう、何の気なしに平然と笑うメイトは、ゾイの手を見る。

「おし、これで鬼は拘束...俺たちの勝ちだな」

「な、なんで……あんな至近距離の爆発……耐えれるわけ――」

「ゾイ、考えてみて、メイトが狙っていたことは?」

 スピネルがした顔は、長きに見ていなかった"姉"の顔であった。

「え、え〜と、私を捕まえることは前提で……『絆』の証明?」

「そう、だからメイトは"あえて"自爆したのよ」

「"あえて"?」

 ゾイはまだ理解できずに首を捻る。

「いいか、まず、俺が信じる『絆』は"三種類"ある」

 メイトは親指と人差し指中指で三を見せる。しかし今は透明なので意味はない。

「まず、スピネルが勝利ということだけを目的として、俺の命なんざ捨てる"協力者"としての『絆』」

 だから、スピネルは自爆するゾイを瞬時にメイトと決定して、もう一人のゾイに走り、捕まえた。

「んで、スピネルは妹であるゾイを必ず助けると言う"家族"の『絆』」

 捕まえたとしても、助けなければ意味はない。だから爆発の範囲外まで運んだ。

「そして、最後」

 メイトは振り返り、その人を見る。


「俺の命を何が何でも助けてくれる、"友達"としての『絆』……助かったぜハキマ!」


 メイトが手を振った先にいるのは、今にも泣き出しそうな顔でメイトを睨むハキマだった。

「――な、なんで、ハキマさんは頭に石が当たって気絶したはず……」

 ゾイはなぜか平然と立つハキマに、驚きを隠せない。

「ゾイ、ホントにハキマは"気絶"していた?」

 スピネルは諭すようにゾイの肩を掴む。

 拘束されたままのゾイは、考える。

「……確認してない……メイトが言っただけ――」

「はい、つまり、ハキマは気絶なんかしてなかった、と言うのがオチですね、ハキマの治癒魔法がなきゃ死んでた」

「死んでた、じゃないよメイト!!」

 いきなり後ろから怒鳴るハキマ。

「もぉ〜! ちょっとタイミングズレてたらダメだったんだからね!! ホントに死んでたかもしれないんだよ!?」

 メイトのことをポカポカ叩きながら、涙ながらに怒るハキマ。

「わ、悪かったって……大丈夫! ルールに"自殺"は含まれてなかった! 失敗しても俺たちの負けにはならん!」

「そういう問題じゃなくて〜!!」

 さらにボカボカ叩かれるメイトを眺めながら、ゾイは呟く。

「おねちゃんは、ハキマさんが気絶してないって分かってたの?」

「えぇ、メイトが教えてくれたわ」

 サラッと言うスピネルに、ゾイは一歩踏みよる。

「ど、どうやって!? 岩が当たった風に見せる為に最初からあの崖を選んだの?」

「そうなのかもね……方法は簡単、あらかじめ『嘘』を言うって言ったのよ、メイトは」

「嘘を……言う?」

「そ、『次の次言うことは嘘』、そうメイトは私に伝えたわ、そして、その言葉とは『ハキマはもうゲームに参加できない』だったかしら」


「だ、だから『ハキマはまだゲームに参加できる』……」


 メイトは本当に、どこまでが計算通りなのだろうか。

「じゃ、じゃあ血は? あのハキマさんの頭についていた血はどうなるの?」

「……それはメイトしか分からないわ」

 スピネルはメイトに訊く。メイトは「ん?」と気がつき答える。

「あー、あれは俺の血だよ、実際岩が当たったのは俺の頭な、俺の頭から出た血をハキマの額に付けただけ。ゾイが走り去った後にすぐ治して貰ったけど」

「ホント! それで死んでた可能性もあるんだよ!?」

 さらにボコボコと叩くハキマ。

 だんだん力が強くなるのはなんでかな?痛いんだけど。

 ゾイは、驚いていた。

 頭に岩がぶつかり、血が出るほどの怪我で、あれほど冷静でいられたのかこの男は。

 しかし、実は岩はそのまま落ちればハキマに当たっていた、しかし、メイトは土埃や爆煙が舞う中、なんとか動き、した行動、つまりメイトがハキマを庇ったことは、爆煙と共に無に消えた。

「ま、まぁとにかく!!」

 ハキマの説教なのかただの罵詈雑言なのか分からない言葉を押し除けて、メイトが声を出す。

「『鬼ごっこ』……その裏に隠れた『絆』を破壊するゲーム。その両方に勝利したのは――」

 メイトはビッ! と自分を親指で指す。

「俺たちだ!!」

 その瞬間、本当にゲームの終わりとなった、ような気がした。

「……」

 ゾイは、感激していた。

 自分の命すらゲームの駒として、『絆』を証明するものとして捨てることも厭わない精神。

 相手の裏をかくことのできる聡明な頭脳。

 ただ純粋に、"勝ち"と"楽しむ"ことを重点とするゲーム心。

 その全てが、とても、愛しく思え……それは『尊敬』となった。

「私、メイト様についていきます!」

「は?」

 いきなり、ゾイはそう言って、メイトの腕を掴んだ。

「私を捨て駒やらにしていいです、なのでぜひ私をついていかせてください!」

 近距離まで迫られたメイトは、ここぞと言う時に発動する童貞チキンパワーのせいで上手く返事できない。

「あ、あぁ、えーと……」

 な、何言ってんのこの娘は、ついていく? 仲間になるってこと?

「ん、んーと、えと、まぁ、そうだな……」

「ありがとうございます!!」

 ゾイは跳ねてメイトに抱きつく。

「うおっ!」

 メイトは抱きつかれ、石になる。

 すると、隣のハキマのスピネルがジトーと見てくることに気がつく。

「な、なんだよ」

「メイトハーレムでも作る気なの?」

「別にいいけどそれに私が含まれてないことを心から願っているわ変態さん」

「そんな気は断じてない! てかどうにかしろよ妹だろ! なんか性格変わってないか!?」

「さぁ?」

 さぁ? って……。

 メイトは腹に抱きついたままのゾイを見る。

 これが、ゾイの本心なのか、それとも贋物なのか、不明だが、別に悪意がありそうにも見えないし...。

「ま、まぁ仲良くやってこうな」

「はい〜♡」

 そうして、メイトは新しい仲間を手に入れた!

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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