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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第51話】勝利と命の天秤

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

「はぁぁぁぁ……」

 あからさまに落ち込むメイトを、ハキマとスピネルは横で見ていた。

「メイトの予想、外れたね……」

「えぇ、まぁそんなうまくいく物でもないでしょう」

 二人は落胆するメイトに、心配の目を向ける。

 そう、それはメイトの考えを意見交換した時の話だ。


 ――遡ること、寮内、スピネルの部屋。

 メイトは頑張ろうと意気込む二人に言ったところから始まる。

 メイトは口を開く。

「て、とこまでゾイは読んでるよ」

 二人が揃って首を傾げる。

「『絆を壊そうとするゲームを森でやってもらいたい』ってのも読まれてるはず」

「じゃ今までのは何だったの……てか、なんでわかるの?」

 ハキマが訊く。

「んー、まず、湖を一週間眺めるって全然雰囲気に合ってなくね? そんな風情ないだろゾイに、だからあれは尾行していた俺に湖から森を意識させる為にしてた行為だな」

 メイトはソファにあぐらをかく。

「あと、俺が『スピネルは落ち込んでいる』って嘘にも気づいたはずだ、なんせ十何年戦い続けて一度も諦めなかった姉が茶々入れられたくらいで落ち込むわけがない」

「は、はぁ……」

「多分ゾイは最初からゲームを決めてたと思う、おおかた得意なゲームをできるように準備進めてて、俺たちの動きで何にするか決めたはずだ、そしてそれは多分――」

 メイトはフッと笑いながら言う。

「『誰かが追う追われるゲーム』だ、と仮定した時に、尚且つ『絆』を壊せるルールとは」

 ビシッとスピネルとハキマを指す。

「『一人につき使える魔法は一つ』だな、他は分かんないけどこれだけはあるはずだ、んでゾイが選ぶ最良の魔法は――」


 場面は切り替わり、ゲーム途中に戻る。

「『変身とか変装魔法』……のはずなのに……」

 ハキマはボソッと呟いた。

「それで私に化けて、いわゆる裏切り、そうでなくとも疑心暗鬼にさせ、負ける。そこに信頼という名の『絆』はない……」

 スピネルは補足するように呟いた。

 メイトはそんな二人の言葉は聞こえず、座り込んでいた。


 ――なんで爆発魔法なんて選んだ? 単に攻撃? 脅し?

 いや、まずは現状を整理しろ。

 まずあっちは爆発魔法で攻撃してきた、スピネルが俺たちを庇うことを理解しててか?

「なぁ、スピネル、お前の尾行バレたか?」

 当然話しかけられたスピネルは少し戸惑いつつ答える。

「……いいえ、バレてないわ」

「そうか」

 となると……単に俺たちの動きを見るために、か。そこに予想外のところからスピネルが出てきて庇ったと。

 まず、スピネルが透明化魔法、ハキマが回復魔法、俺がなんらかの攻撃魔法、と全部バレたわけだ。ハキマがスピネルを回復する時を見たならな。

 と、なってしまうと……。

 メイトははぁー、とため息を吐いて項垂れる。

 拘束可能者はスピネルだと、気づかれたな。一人だけ透明化魔法なんて戦闘で使えない魔法なんだし……。

 とりあえずスピネルには透明になってもらおう。

 そう考え、メイトが顔を上げると、スピネルはすでに透明になっていた。

 スピネルとてバカではない。この状況の大変さは理解していた。

 ――よし、ならもうそれかない。

「お前ら、作戦を言う」

 メイトは立ち上がり、二人に話しかける。二人は真剣な顔で聞く。

 メイトは諦めのため息と共に言う。


「普通に勝つ、それだけ」


「「……」」

 二人は目を点にして固まる。

「はぁ、できればカッコよく勝ちたかったけど難しそうだ、このまま普通に頑張って逃げる」

「ちょっと待てぇ!!」

 ハキマがビシッとメイトを指す。

「作戦じゃないよそれ! 普通のことだよ! 今まで何してたの!?」

「あ? あー、こう相手の考えを読んでだな、こうカッコよく勝利したくて……」

「あんたこのゲーム楽しみすぎでしょ……退学かかってんのよ?」


「楽しまないのをゲームって言うの?」


 メイトは当たり前のように言う。そんなメイトに、二人はため息が出る。

「本当おかしい人」

「ホント、メイトはすごい人だから簡単に退学とか張れると思ってたけど、意外とただ危機感がない人みたいな感じ」

 おうふ、ハキマさんすごい良いとこ突きますね……。

「すごい人なんていない、みんな考えてやってるだけ」

「はぁ〜、あっちはあんな本気なのに……」

 ハキマは呆れ笑いのようなもの混じりで呟いた。

 メイトは目を開く。

「……本気?」

 ハキマは聞き返されたと理解して、もう一度言う。

「あっちはあんな本気なのに……ってどうしたの?」

 ハキマとスピネルは首を傾げる。

「……なんで本気なんだ、いや、なんで本気って"分かるんだ"?」

 メイトが質問すると、ハキマは焦げた辺りを見渡す。


「だって、こんな大きな爆発魔法、本気じゃなかったら選ばないよ、完全にこっちの怪我は最低限仕方のないことにしてるよ」


 メイトはハッとして、固まる。

 ――そうだ……問題はなぜ変装魔法を選ばなかった、ではなく、なぜ"こんな大きな"爆発魔法なんだ?

 メイトはすぐ答えに行き着く。

「――これしか、ないから……」

 その瞬間、ある仮説が、メイトの脳に爆誕する。

 天啓、ハキマの言葉から連なった奇跡が、メイトの頭で一筋の道となる。

「お前ら、聞いてくれ、作戦が――」

 メイトが言うとした瞬間、音がした。

「――ッ!」

 メイトはすぐに反応する、それを見て二人もそちらを見る。

 時間はないか……仕方ない。


「スピネル、次の次言うことは嘘だ」


「は?」

 スピネルは本当に理解できずに声が漏れた。しかしメイトはお構いなしに声を出す。

「逃げろ!!!!」

 その瞬間、目の前にゾイが現れた。ゾイはまっすぐ透明なスピネルに向かう。

 スピネルはすぐ反応し、後ろに下がり走り出す。

 それに合わせて、メイトとハキマを駆け出す。木々の隙間を縫うように走る。

 信じるしかない……スピネル、そしてハキマを。

 

 メイトは近くにいる二人に切願しながら、走った。


――――――――――――――――――――


 逃げること数分、走り回った結果、辿り着いたのは崖。

 すぐ横を見れば絶壁の崖で、足を滑らせそうになる。反対にはゴツゴツした岩肌が露出する崖。

 俺の前を走るハキマとスピネルも、崖に恐怖心を抱いているようだ。

 そして、後ろにゾイ。

 魔法を使ってないにも関わらず、跳ねるように走るゾイから逃れることは難しい。

 これが異世界パワーというやつか……異世界人は大体運動神経高めなんだよ。

 ――だが、ここしかない。

 俺はズザザと土埃を立てながら足を止め、振り返る。

 俺がここで……。

「メイト!!」

 メイトを足を止めたことにいち早く気がついたハキマが声を上げる。

「――」

 メイトは喋ろうとしたことをギリギリでやめる。

 ダメだ、今喋っては。

 メイトはハキマを無視して、こちらに走ってくるゾイに手を向ける。

 ゾイもメイトに気がつき、足を遅める。


「やってみろよバクハツぅ!!」

 

 メイトは叫ぶ。ゾイはニヤと嫌みたらしく笑った後、懐から何かを取り出した。

 ――? なんだ? あれはなんだ?

 メイトには遠くかつ小さいのでよく見えない。

 すると、その何かに火がついた。

 そして、ゾイはそれを"投げた"。


 やはりあれは……――。

 こちらに投げられたそれは、弧を描き、俺の頭上に来る。

 やばい、逆光で見えな――。

 メイトの思考はことで終わり、あとは爆音によってかき消された。

 

「――ど、どうなったの!?」

 スピネルは爆発による煙を手で払いながら辺りを見渡す。

 ケホケホと咳き込む声が聞こえた。

 声の方向を見ると、ハキマが口を抑えながら自分と同じように煙を払っている。

 良かった……メイトは?てかゾイは――。

 スピネルがゾイの姿を探そうとした瞬間、目の前の煙が割れ、ゾイが飛び出した。

「――ッ!」

 スピネルはすぐに反応し、手を合わせて、魔法を使う。

 手を離すと、両手の平から繋がれた黄色く光る鎖が現れる。

 戦うしかない。ここで拘束すれば――。

 スピネルは手を器用に動かして、ゾイに鎖を巻き付ける。――がゾイは流れるように体を低くして鎖を避ける。

 ――はっや!

 スピネルはすぐに体勢を直そうとするが、間に合わない、すでに間合いに入られた。

 ゾイもスピネルと同じように手を合わせて鎖を出す。

 ――……ごめん、ハキマ……私のせいで……。

 スピネルが咄嗟に思ったのは、初めての友達であるハキマに対する謝罪であった。

 これで負ければハキマは退学。

 ごめん……ホントに――――。


 ゴッ――!


 その瞬間、音が聞こえた。

 何か固いものが固いものとぶつかる、鈍く、酷く生々しい音。

 ゾイも攻撃をやめて、音の方向を見る。

 そこには――。


 頭から血を流し、地面に倒れるハキマがいた。

 

「――ハキマ!!!!」

「――」

 スピネルとゾイは事態の緊急性に気づく。

 そして、倒れるハキマの隣には這いつくばるローブ、メイトがいた。

 その手元には、血のついた拳サイズの石が落ちていた。

 ゾイとスピネルは固まったまま理解する。

 さっきの爆発で、脆くなっていた崖が崩れて、ハキマの頭に当たった。

 どれほどの高さのものが当たったのか分からないが、血が出るほどなら相当だろう。

 ハキマの額から血がどんどん垂れてくる。

 今すぐ治療しなければいけない。

 しかし。

「――スピネル!! ハキマはもうゲームに参加できない!! 逃げてくれ!!」

 ゲームを中止とも休止とも言わずに、それだけ言ったメイトは、だらんと力無く腕を垂らすハキマを抱き抱えた。

「あんたっ! ゲームとか言ってる場合じゃないでしょ!」

「ゲームルールには殺害が禁止だった! つまり"まだ息のある"ハキマはそれ以外! 何があろうと制限時間内にお前を拘束したらゾイが勝つ! こんなチャンス逃すと思うか!?」

「――その通りだよ」

「――ッ!」

 戸惑うスピネルをお構いなしにゾイは拘束しようとする。

「あの人に悪いけど、私はおねぇちゃんを捕まえる……なんならあの人を助けたいなら早く負けて、回復魔法を使えばいいんじゃない?」

 ゾイは鎖を避けるスピネルに話しかける。

 スピネルは葛藤していた。

 ……ハキマがあの状態なら間違いなくその選択が正しい、しかし、そうすると、退学に――。


「おねぇちゃん、友達の命の危険を無視してゲームを続行することが『絆』なの?」

 

 その言葉に、スピネルは唇を噛み、顔を顰める。

 そう、命がかかっているのだ。死んでしまえばゾイの負け、でも、死んだ人は戻らない。

 メイトには悪いけど、私は――。


「スピネル」


 その言葉は、ゾイとの攻防で、風や魔法の鎖の音が錯綜する状況で、透き通る透明な声のように、よく聞こえた。


「俺は信じてる」


 スピネルは、ほんの刹那、無になった後、口を開く。

「勝手にしなさいよもう!!」

 スピネルはそう言った後、振り返り、全速力で駆け出す。それは人間にはできないほどの跳躍で。

 おねぇちゃん――そんな速かったの?

 ゾイは少し驚きながら体勢を整える。

「おい、ゾイ!」

 メイトに呼び止められる。

「なに?」


「決闘しようぜ、この俺と」


 突然の、全く意味のわからない言動に、ゾイは言葉を詰まらす。

「ハキマをこんなことにしてくれた落とし前、ちゃんとつけてもらう」

 確か、メイトの魔法は何らかの攻撃魔法……。

「ごめん無理」

 ゾイはそう短く言って、走り出す。

 メイトは息を吸い込み、叫ぶ。

「絶対ぶっ倒しにいくからなぁ!!」

 それは怒りなのか、何なのか、分からないゾイは、なんとなく悪寒がし、走る方向を変えた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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