【第50話】ゲームスタートと爆発
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン
ハキマ・クォーツ
スピネル
ゾイ
イト
開始して数分……最初はできるだけ離れるが定石……。
メイトは膝ほどまで伸びた草をかき分けて進む。その後ろに「待ってよ〜ふぇぇぇ」というように汗汗しながら追いかけてくるハキマと、すでに透明となったスピネルがいる。
「待ってよ〜ふぇぇぇぇ」
本当に言った。
「悪い、できるだけ離れたいんだ、まぁゾイの選んだ魔法が"あれ"なら問題ないんだけど……それにしても離れたほうがいい」
ガサガサと音を立てて進んでいくと、だんだん傾斜が大きくなってくる。
「いや〜、虫とか草とか……」
ハキマは足元を見ながら顔を顰める。
「我慢しなさい、私も我慢してるんだから」
ハキマの横の草が一人でに倒れる、そこにスピネルがいる証拠だろう。
こんな分かりにくいのをメアリーは見てたのか……すげぇな。
ちなみに"純"透明人間であるメイトは、ずっと裾をずらすローブを着ているので場所はわかる。
「きぁ! なにこの羽虫は!?」
「わかんない! はたき落として! メイトなんとかして! 動かす魔法でなんとかして!」
ハキマが小さい羽虫を手で振り払おうとしている。
「そんな虫無視しろよ……別に害ないだろ……それにハキマは片田舎出身なんだろ? こういう野生には慣れてるもんだろうよ……」
「はぁ〜、田舎でも都会でも、嫌な物は嫌なの!」
なんでここは"女の子"なんだよ。
「分かった分かった、今払って――」
「そんな悠長にしてていいの?」
その声に、全員が顔を上げる。
空中、俺たちの頭上に影を作りながら現れたのは、ゾイだった。
おそらく走ってきたのだろう、ゾイは跳ぶように森を駆け、メイトたちの頭上に現れたのだ。そのことを誰よりも早く、刹那の瞬間に理解したメイト。
――――はっやッ!!!
メイトは一瞬で反応し、声を出す。
「作戦通り!! ハキマ!!!」
「ハッ!?」
ハキマはやっと現状を理解して、手を上に飛んでいるゾイにかざす。
それに合わせてメイトも魔法を発動する。
魔法の先入観、それは、なにか現実にアクション、つまり手をかざしたり手を振ったり杖を構えたり、そういうことをするのが当たり前だが、慣れた魔法や簡単な魔法はただ考えるだけでも発生する!!!!
「――」
次の瞬間、ゾイはゾッと何かを感じる。
それは、この世界の住人が生まれつき持ち合わせる、魔力を感じる第六感か、それとも強大な力を前にした生物的生存本能の一端か。
避けなければ――。
ただその本能が、全身の筋肉に信号を伝達する。
そして、ゾイは空中で体を捻り、メイトの魔法を避けた。魔法はそのまま木の葉を揺らしながら天に昇っていった。
「――あっぶなッ!!」
ゾイはそう反射的に言いながら地面に着地する。が、次の瞬間、地面は抉られた。
「!!」
土や埃が辺りに舞い、ゾイは顔を隠す。
なるほど、あの桃色の女の子……あの人が攻撃魔法持ちか……でもさっき……。
ゾイは刹那の一瞬認識できた"二人"の様子を思い出す。
おねぇちゃんがいない――。
ゾイの考えがまとまる前に、土埃は消えて、視界が晴れる。
「……いないか――」
そこにはすでに誰もいなくなっていた。
「……あの悪寒はなんだったんだろう...」
ゾイはそう、呟いた後、気のせいだと考え、振り返り、山の頂上に向かって走り出した。
――――――――――――――――――――
「――――はぁ、はぁ、はぁ」
ここまで、くれば、いいか――。
メイトは酸素が足りない脳をフル回転させて考える。
大丈夫なはずだ、スピネルにもちゃんと伝わってるはず――。
『――作戦通り! ハキマ!!――』
最初の作戦とは、ゾイに初接触した後スピネルはその後ろに付くというもの。バレたら大変危険だが、スピネルならなんとかしてくれるだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ、やばいよゾイさんめちゃ早いよ〜!」
少し遅れてハキマが来る。
「なぁ、ちゃんと手をゾイに向けてたよな」
「え? あ、あぁうん、ちゃんと向けた」
「よし、ならあっちはハキマが攻撃役だと理解したはず……そして多分次するのは、いないおねぇちゃん探しか……また俺たちを襲いにくるか……」
メイトは息を整えながら考える。
「とりあえず、今は逃げることだけに専念しよう」
「そ、そうだね」
そうして、二人はまた草の中を歩き始めた。
――――――――――――――――――――
何をしに来たのこんなのとこに……。
メイトの指示通り、ゾイの遠く背後にいる、透明化したスピネル。
ゾイは山を登り、岩肌が見えるような標高の高いところにいた。
高いところから見渡す気? でも木が邪魔で見えるわけ……。
スピネルは岩に隠れてゾイの背中を観察する。
すると、スッとしゃがんだ。
「……?」
なにをしている? 地面……いや、石? 石を見ているのか?
スピネルはゾイの行動に理解が追いつかない。
――ゾイは懐から小袋を取り出した。
この辺りにあるはず――。
ゾイはキョロキョロ辺りを見渡す。
そして――。
――あった。
ゾイはそれを掴むと、小袋に入れていく。
あれは……"黒い砂"……――?
ゾイの背中で隠れてよく見えないが、それは確かに、漆黒の砂であった。
――――――――――――――――――――
……そろそろ最初の攻撃から三十分くらいか……。
メイトは木の背後に身を隠しながら辺りを警戒していた。隣ではハキマがキョロキョロしている。
三十分、制限時間は一時間、つまり折り返し。
焦るはずだ、半分になっても顔を合わせた回数はたったの一回。
もしかして、本当に逃げ切れ――?
そこまで考えて、思考をやめた。
「もしかして、このまま逃げ切れるんじゃないですか!?」
隣のハキマが目を輝かせて言った。
「言っちゃったよこの人! フラグになるから言わないようにしたのに普通に言っちゃったよ!?」
メイトは盛大に頭を抱える。
そうだ、こう、うまくいく時に限って、うまくいかないのが現実なのだ。
そして、実際。
「メイト!!」
頭を抱えて俯くメイトに、ハキマが声を出した。
メイトはすぐに顔を上げると、木々の隙間からメイトたちを見つけるゾイが遠くに見えた。
ヤバ! ほらきた!
「さっきと同じように地面を!」
「うん!」
ハキマは地面に手を向ける。メイトは透明人間を創り出し、地面を殴ろうとする。
――が、それは予想外の人によって止められた。
「――ダメ!! 逃げて」
「え?」
「きゃっ――」
メイトが反射的に声を出した頃には遅く、すでにハキマの体は誰かによって突き飛ばされ、その後ろにいたメイトも後ろに飛ばされる。
メイトの脳内は加速して、時間がゆっくりになる。
誰かだって? そんなもの、この場の透明な人間、スピネルしかいねぇだろ!
なら、"透明とバレない"ということを捨ててでも、俺たちに逃げろと言った。
それは危険だから、勝てなくなるから――。
メイトは刹那、腹を押す透明のスピネルの背後、遠くのゾイを見る。
……なんだあのポーズ――。
メイトは、人生の記憶を辿り、一つの解を瞬時に出す。
魔法を使う時、手を向ける。それと同じ物だ。
――いや、ありえない……そんなはずはない、ゾイが攻撃魔法なんて使うはずが――。
しかし、メイトの予想は外れる。
次の瞬間、ゆっくり流れていた時は正常に戻り、"音"が聞こえる。
轟音、あたりに地響きがなるような爆音と共に、目の前に発生したのは、紛れもない火花を散らし綺麗に残酷に光る、"爆発"である。
豪快な音とともに広がったそれは一瞬でメイトたちに迫る。しかし、それはスピネルによって守られたのだ。
「あぁぁぁぁ!!!!」
「ネルネル!!」
――やがて爆炎が晴れると、ハキマは、スピネルに押し倒されていた。
「ネルネル! 大丈夫!?」
しかし、実際腹に乗っかる透明化が解かれたスピネルの背中は焼けており、痛々しく血や傷がひどい。
「今、回復を……」
ハキマはスピネルの背中に手を当てて回復する。その横でメイトは呆然としていた。
ば、爆発ッ魔法だとッ!?
メイトは想定外の事態に頭を抱える。
なぜ爆発魔法を……まさかバレて……いやバレてもあれ以外の魔法は選ばないはずなんだ。なのになんで――。
メイトは二人を一瞥してから、辺りを見渡す。
そこにゾイの姿はない。
いない? ……ま、まさか――。
バッと振り返ると、スピネルは治療を終えて、背中の傷がなくなっていた。
や、やられたッ!
メイトはすぐに念入りに辺りを見渡す。しかし、やはり姿は見えない。
メイトは絶句する。
まさか、爆発魔法なんて――。
「スピネル……ゾイが使う魔法をなんで予測できた?」
メイトは顔を俯かせてスピネルに質問する。
「詳しくはよく見えないから分かんないけど……ゾイの手から火が現れて、それを投げて……遠くから投げたから絶対範囲的な魔法って分かって……」
「そうか……」
メイトは答えるが、できれば無視したほどに、気分は落ち込んでいた。
ゾイが攻撃魔法を選んでいるならもう、本当に総力戦だろう。とりあえず、スピネルが拘束可能者の知られるのだけは避けなければ……――いや、それももう――。
メイトは、そう、煙が上る焦げた地面をただ、見つめていた。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




