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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第50話】ゲームスタートと爆発

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

 開始して数分……最初はできるだけ離れるが定石……。

 メイトは膝ほどまで伸びた草をかき分けて進む。その後ろに「待ってよ〜ふぇぇぇ」というように汗汗しながら追いかけてくるハキマと、すでに透明となったスピネルがいる。

「待ってよ〜ふぇぇぇぇ」

 本当に言った。

「悪い、できるだけ離れたいんだ、まぁゾイの選んだ魔法が"あれ"なら問題ないんだけど……それにしても離れたほうがいい」

 ガサガサと音を立てて進んでいくと、だんだん傾斜が大きくなってくる。

「いや〜、虫とか草とか……」

 ハキマは足元を見ながら顔を顰める。

「我慢しなさい、私も我慢してるんだから」

 ハキマの横の草が一人でに倒れる、そこにスピネルがいる証拠だろう。

 こんな分かりにくいのをメアリーは見てたのか……すげぇな。

 ちなみに"純"透明人間であるメイトは、ずっと裾をずらすローブを着ているので場所はわかる。

「きぁ! なにこの羽虫は!?」

「わかんない! はたき落として! メイトなんとかして! 動かす魔法でなんとかして!」

 ハキマが小さい羽虫を手で振り払おうとしている。

「そんな虫無視しろよ……別に害ないだろ……それにハキマは片田舎出身なんだろ? こういう野生には慣れてるもんだろうよ……」

「はぁ〜、田舎でも都会でも、嫌な物は嫌なの!」

 なんでここは"女の子"なんだよ。

「分かった分かった、今払って――」


「そんな悠長にしてていいの?」


 その声に、全員が顔を上げる。

 空中、俺たちの頭上に影を作りながら現れたのは、ゾイだった。

 おそらく走ってきたのだろう、ゾイは跳ぶように森を駆け、メイトたちの頭上に現れたのだ。そのことを誰よりも早く、刹那の瞬間に理解したメイト。

 ――――はっやッ!!!

 メイトは一瞬で反応し、声を出す。

「作戦通り!! ハキマ!!!」

「ハッ!?」

 ハキマはやっと現状を理解して、手を上に飛んでいるゾイにかざす。

 それに合わせてメイトも魔法を発動する。

 魔法の先入観、それは、なにか現実にアクション、つまり手をかざしたり手を振ったり杖を構えたり、そういうことをするのが当たり前だが、慣れた魔法や簡単な魔法はただ考えるだけでも発生する!!!!

「――」

 次の瞬間、ゾイはゾッと何かを感じる。

 それは、この世界の住人が生まれつき持ち合わせる、魔力を感じる第六感か、それとも強大な力を前にした生物的生存本能の一端か。

 避けなければ――。

 ただその本能が、全身の筋肉に信号を伝達する。

 そして、ゾイは空中で体を捻り、メイトの魔法を避けた。魔法はそのまま木の葉を揺らしながら天に昇っていった。

「――あっぶなッ!!」

 ゾイはそう反射的に言いながら地面に着地する。が、次の瞬間、地面は抉られた。

「!!」

 土や埃が辺りに舞い、ゾイは顔を隠す。

 なるほど、あの桃色の女の子……あの人が攻撃魔法持ちか……でもさっき……。

 ゾイは刹那の一瞬認識できた"二人"の様子を思い出す。

 おねぇちゃんがいない――。


 ゾイの考えがまとまる前に、土埃は消えて、視界が晴れる。

「……いないか――」

 そこにはすでに誰もいなくなっていた。

「……あの悪寒はなんだったんだろう...」

 ゾイはそう、呟いた後、気のせいだと考え、振り返り、山の頂上に向かって走り出した。


――――――――――――――――――――


「――――はぁ、はぁ、はぁ」

 ここまで、くれば、いいか――。

 メイトは酸素が足りない脳をフル回転させて考える。

 大丈夫なはずだ、スピネルにもちゃんと伝わってるはず――。

『――作戦通り! ハキマ!!――』

 最初の作戦とは、ゾイに初接触した後スピネルはその後ろに付くというもの。バレたら大変危険だが、スピネルならなんとかしてくれるだろう。

「はぁ、はぁ、はぁ、やばいよゾイさんめちゃ早いよ〜!」

 少し遅れてハキマが来る。

「なぁ、ちゃんと手をゾイに向けてたよな」

「え? あ、あぁうん、ちゃんと向けた」

「よし、ならあっちはハキマが攻撃役だと理解したはず……そして多分次するのは、いないおねぇちゃん探しか……また俺たちを襲いにくるか……」

 メイトは息を整えながら考える。

「とりあえず、今は逃げることだけに専念しよう」

「そ、そうだね」

 そうして、二人はまた草の中を歩き始めた。


――――――――――――――――――――


 何をしに来たのこんなのとこに……。

 メイトの指示通り、ゾイの遠く背後にいる、透明化したスピネル。

 ゾイは山を登り、岩肌が見えるような標高の高いところにいた。

 高いところから見渡す気? でも木が邪魔で見えるわけ……。

 スピネルは岩に隠れてゾイの背中を観察する。

 すると、スッとしゃがんだ。

「……?」

 なにをしている? 地面……いや、石? 石を見ているのか?

 スピネルはゾイの行動に理解が追いつかない。

 

 ――ゾイは懐から小袋を取り出した。

 この辺りにあるはず――。

 ゾイはキョロキョロ辺りを見渡す。

 そして――。

 ――あった。

 ゾイはそれを掴むと、小袋に入れていく。

 

 あれは……"黒い砂"……――?

 ゾイの背中で隠れてよく見えないが、それは確かに、漆黒の砂であった。


――――――――――――――――――――


 ……そろそろ最初の攻撃から三十分くらいか……。

 メイトは木の背後に身を隠しながら辺りを警戒していた。隣ではハキマがキョロキョロしている。

 三十分、制限時間は一時間、つまり折り返し。

 焦るはずだ、半分になっても顔を合わせた回数はたったの一回。

 もしかして、本当に逃げ切れ――?

 そこまで考えて、思考をやめた。

「もしかして、このまま逃げ切れるんじゃないですか!?」

 隣のハキマが目を輝かせて言った。

「言っちゃったよこの人! フラグになるから言わないようにしたのに普通に言っちゃったよ!?」

 メイトは盛大に頭を抱える。

 そうだ、こう、うまくいく時に限って、うまくいかないのが現実なのだ。

 そして、実際。

「メイト!!」

 頭を抱えて俯くメイトに、ハキマが声を出した。

 メイトはすぐに顔を上げると、木々の隙間からメイトたちを見つけるゾイが遠くに見えた。

 ヤバ! ほらきた!

「さっきと同じように地面を!」

「うん!」

 ハキマは地面に手を向ける。メイトは透明人間を創り出し、地面を殴ろうとする。

 ――が、それは予想外の人によって止められた。

「――ダメ!! 逃げて」

「え?」

「きゃっ――」

 メイトが反射的に声を出した頃には遅く、すでにハキマの体は誰かによって突き飛ばされ、その後ろにいたメイトも後ろに飛ばされる。

 メイトの脳内は加速して、時間がゆっくりになる。


 誰かだって? そんなもの、この場の透明な人間、スピネルしかいねぇだろ!

 なら、"透明とバレない"ということを捨ててでも、俺たちに逃げろと言った。

 それは危険だから、勝てなくなるから――。

 メイトは刹那、腹を押す透明のスピネルの背後、遠くのゾイを見る。

 ……なんだあのポーズ――。

 メイトは、人生の記憶を辿り、一つの解を瞬時に出す。

 魔法を使う時、手を向ける。それと同じ物だ。

 ――いや、ありえない……そんなはずはない、ゾイが攻撃魔法なんて使うはずが――。

 しかし、メイトの予想は外れる。

 次の瞬間、ゆっくり流れていた時は正常に戻り、"音"が聞こえる。

 轟音、あたりに地響きがなるような爆音と共に、目の前に発生したのは、紛れもない火花を散らし綺麗に残酷に光る、"爆発"である。

 豪快な音とともに広がったそれは一瞬でメイトたちに迫る。しかし、それはスピネルによって守られたのだ。

「あぁぁぁぁ!!!!」

「ネルネル!!」


 ――やがて爆炎が晴れると、ハキマは、スピネルに押し倒されていた。

「ネルネル! 大丈夫!?」

 しかし、実際腹に乗っかる透明化が解かれたスピネルの背中は焼けており、痛々しく血や傷がひどい。

「今、回復を……」

 ハキマはスピネルの背中に手を当てて回復する。その横でメイトは呆然としていた。

 ば、爆発ッ魔法だとッ!?

 メイトは想定外の事態に頭を抱える。

 なぜ爆発魔法を……まさかバレて……いやバレてもあれ以外の魔法は選ばないはずなんだ。なのになんで――。

 メイトは二人を一瞥してから、辺りを見渡す。

 そこにゾイの姿はない。

 いない? ……ま、まさか――。

 バッと振り返ると、スピネルは治療を終えて、背中の傷がなくなっていた。

 や、やられたッ!

 メイトはすぐに念入りに辺りを見渡す。しかし、やはり姿は見えない。

 メイトは絶句する。

 まさか、爆発魔法なんて――。

「スピネル……ゾイが使う魔法をなんで予測できた?」

 メイトは顔を俯かせてスピネルに質問する。

「詳しくはよく見えないから分かんないけど……ゾイの手から火が現れて、それを投げて……遠くから投げたから絶対範囲的な魔法って分かって……」

「そうか……」

 メイトは答えるが、できれば無視したほどに、気分は落ち込んでいた。

 ゾイが攻撃魔法を選んでいるならもう、本当に総力戦だろう。とりあえず、スピネルが拘束可能者の知られるのだけは避けなければ……――いや、それももう――。

 メイトは、そう、煙が上る焦げた地面をただ、見つめていた。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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