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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第48話】互いの読み

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン

ハキマ・クォーツ

スピネル

ゾイ

イト

 夜、風呂を上がったスピネルが、扉から入ってきた。

「あ、ネルネルこのお菓子貰ってい〜?」

「いいわよ別に、自由に食べて」

「ありがと〜」

 そして机の上のクッキーをポリポリ食べるハキマ。

 俺はいつも通り、俺指定の窓際のソファで腕を立てて寝転んでいた。

「……」

 しかし、二人とも風呂上がりで、だいぶ軽目で薄い格好だが、恥はないらしい。

 スピネルも、未だ少し意識はしているようだが、初日の卑下の目に比べたら全然丸くなったほうだ。

 『エロい』

 そんな感想しかないが、実在性欲がないのでそれ以上もそれ以下もない。

 俺が普通の人だったらあなたたち、もう膜破ってますからね? なんのとは言わないけども。

 そんな気持ち悪い冗談は脳内で完結させ、俺は口を開く。

「んでさ、ちょっと話がある」

 メイトが体を起こすと、ハキマとスピネルがこっちを向く。

「明日、ゾイと戦う」

 それだけで、二人は真面目な話だと理解する。

「早いね〜、ゲームするって決まってからもう二週間くらい?」

「あぁ、だから今の所の俺の見解を聞いてほしい」

「いいよ〜」

 ハキマはクッキーを食べたまま答える。スピネルはコーヒーを淹れ、ソファに座り、聞く姿勢に入る。

「……俺とハキマが昨日の昼休み、ゾイと話したことは言ったな?」

「えぇ、詳しい話は聞いてないから早く聞かせてもらいたいわ」

「分かってる、今から話すよ」

 そして、俺は昨日ゾイと湖沿いで話した会話をそっくりスピネルに伝えた――。


「――なるほどね、大体理解したわ」

 スピネルはコーヒーを啜り、答える。

「一週間森を見ていたということからゲーム会場はあの森、ね……森というより丘や山に近いわね」

 確かに、あそこは若干標高が高くなっている。

「あぁ、でもそれじゃどんなゲームか分からない。だからあえて『絆』という言葉を連呼して意識させた」

「あの、バカ妹ならそれを壊そうとするゲームを提案してくるはず……ね」

「そ、森を使って、尚且つ『絆』を壊すゲーム、おおかた予想できる」

「ふーん、できるの?」

 ハキマは単純な質問を投げかける。

「まぁ、絆は言わば信頼、それを手っ取り早く壊すのは、仲間内で潰し合うゲーム、誰か一人を犠牲とするゲーム、そんな感じだろ」

「はぁ〜、それに森があれば……え〜と」

 ハキマは顎に人差し指をやり考える。

「『実現人狼』……とかね」

 スピネルがボソッと呟く。それにハキマが聞き返す。

「なにそれ?」

「例えば私たちの誰かにバカ妹が変身する、それで残り二人と誰かに変装したバカの三人で妹を見つけるゲームとか……実際森で戦闘なんてできるしね」

 ふむ、実に面白そうなゲームだな、けど――。

「いや、まず三人だと人狼としてあまり適していないしそれにそれだとあまり絆を壊せていない」

「そう。あのバカ、変装は得意だからあるかもと思ったけど」

 スピネルはサラッと言いながらコーヒーを飲む。それにメイトはニヤと笑う。

「あぁー、"変装"得意なのか……」

「? まぁ、昔から私に変装してイタズラとかしてきたわ、忌々しいけど、双子だから似てたしね」

「なるほど……」

 メイトは腕を組み頷く。

「でもさでもさ、会場とゲーム内容の予測ができる、のは分かったけど、実際"ゲームで勝てるの"?」

 ハキマが訊く。それに対してメイトとスピネルは当たり前の反応をする。


「勝つわよ?」

「勝つぜ?」

 

 揃ったスピネルは少し恥ずかしがりながらコホンと、咳払いする。

「ま、まぁとにかく勝つわ、どんなゲームであってもね」

 スピネルは力強く答える。その瞳は、どこか遠く昔の存在しない、勝利した未来を羨望するように、遠くを見ていた。

 

 しかし、メイトは違う。

「いや、聞いてくれ。どんなゲームとか関係なしに、俺たちの勝ちは"確定"してる」

 そう言い切るメイトに、二人は固まる。メイトは構わず続ける。

「いいか? ゲームってのは情報が全てだ、内容、会場、相手、戦法、それらが分かっているだけで勝てるんだ」

 みたいなこと、前世のなんかの本で読んだし。

「つまり?」

「俺たちはもう分かってるだろ、場所も相手も内容も、なら勝てるさ」

 なんと言う暴論。しかし夢があり、信じたくなる。

「……はは」

「ふっ」

 ハキマとスピネルが笑う。

「そうだね! 私たちなら勝てるよ!!」

 バッとハキマが立ち上がる。

「そうね、勝てるわ」

 スピネルはそう確信しながら、コーヒーを飲み干した。

 そんな二人に、メイトは笑って言う。


「――――――――」


 ――二人が揃って首を捻るのはこれで何回目か、分からなかった。


―――――――――――――――――――


 暗く、夜になったとしても、ゾイは今日もまた、"ここ"に来ていた。

 誰もいない湖沿いの建物の二階、聞こえるのは波の音と虫の音色。見上げれば満点の星空。

「『絆』……か〜♡」

 ゾイはわざとらしく憎く笑う。

「そーなると、森でやれる絆を壊せるゲームかぁー、うーん、なんだろなぁ……」

 顎に手をやり、考える。

「『人狼』とかかな? おねぇちゃんに化けて……いや、これじゃ絆壊せないか――"なんて言ってそう"。メイトはどんなゲーム望んでるのかなぁ?」

 立場が下のメイトたちが、ゾイに挑む、つまりゾイの提示したゲームに挑むと言うこと。だがメイトはそのゲームの内容を知りたい、だから、ここに来て、探りに来たのだ。


 いや、違うか、メイトは私にゲームを"示してきた"。


 ゾイは満手の青空を見上げる。

「メイトかぁー、今まで上手くいってただけで、大した実績もない素性も分からない透明人間……やっぱ意外とかな?」

 ゾイはメイトとここで話したことを一字一句覚えている。

「"勝ち逃げ"……ね。私、逃げてないんだけどなぁ……」

 それはメイトが別れ際に言った言葉だった。

「逃げる……か、つまり追いかけたいと、変装が得意なのもおねぇちゃんからバレてるだろうし、わざとだよね」

 メイトの暗に探ったことは、全てゾイにバレていた。


「私はメイトの『絆』の言葉を意識して、さらに森をゲーム会場にする……」

 ゾイは独り言でメイトの考えを並べる。

「さらに『勝ち逃げ』から、『私が逃げる』のゲームを意識させる、ということを私が理解して逆に裏をかいて、『私が追うゲーム』にする。まで考えてかな?」

 ゾイはメイトの狙いを語る。

「うーん、私の立場のプライドを逆に利用したか〜♡」

 ここでゾイが『ゾイが逃げるゲーム』にしても、メイトにとってそれは予想外の低脳で、対策を考えているだろうし『ゾイが追うゲーム』にしたらそれはそれで想定内だろう。

 ならばもはや『追う追われるゲーム』をしなければいいかと言われれば、そうなると、『ゾイは想定していたゲームを弱者に読まれて変えないといけなくなった』ということで、九位としてのプライドがない。

 メイトの最後の言葉。

『――ゲーム、期待してるぜー――』

「逃げ道ないなぁ〜、うまいな〜」

 ゾイは最初から分かっていたことで尊敬する。


「まぁ、いいけどね、正面から受けてあげる♡」


 ゾイに期待か好奇心か、それ以外の悍ましい何かを運んできた夜風が、駆ける。

「ゲームは『鬼ごっこ』にしようか♡」

 ゾイは、そう呟いて、明日のゲームを考えた。

 メイト、あなたの思考は読めている――。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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