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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第47話】湖の辺りで

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン      透明人間。

ハキマ・クォーツ       温厚篤実。

スピネル           男性嫌悪。

ゾイ             スピネルの双子の妹

イト             メイトのゲーム相手。

 俺とハキマとスピネルの三人で叫び合った日の数日後。

「おぉー見たまえこの景色を!」

「わぁー綺麗ですね〜!」

 俺とハキマは、校内にある人工的なのか自然的なのか分からない湖の周りを散策していた。

 柵の先にある、淡いブルーの湖に感嘆しながら歩く。

「これが学校の所有物なんて信じらんねぇよな?」

「ですね〜、もしかしたらここで泳いだりとかあるんですかね〜」

「それは流石にないだろ……あくまで景観用だろう、てか俺泳げないわ、普通に苦手だし、波があるし実質海みたいなもんだしな」

 海で泳ぐのとプールで泳ぐのは全く違う。

「ウミ……? ってなんですか?」

 ハキマは首を捻る。俺は少し驚いたあと、納得する。

「あー知らんのか、まぁバカでかい湖みたいなもんだ」

 メアリーのいつかの話でこの世界は高い山脈によって囲まれている、とは聞いていたし、海がないことも納得できる。

「まぁ、んなことどうでもいいけど……それより……」

 メイトは振り返り、湖の辺りに建設されている湖を一望できるような高台を見る。

「あそこ、行ってみようぜ」

「あ、いいですね。景色も良さそう」

 と言うことで、スタスタ向かった。


――――――――――――――――――――


 ――しかし、なぜメイトはこんなところに来たのだろう。

 ハキマはメイトの横を歩きながら考える。

 しかもなんで私だけ? ネルネルにはなんで「部屋で待ってて」なんて……休み時間だからいいけど。

 メイトは学園九位のゾイと初めて会った日から授業に出ていない。

 何やってるか聞いても、「勝つため」とか言って誤魔化すし、ほんとはメイトと一緒に授業やりたいのに……。

「ほら、ここ開いてんだよ」

 メイトは少し朽ちた木製の扉を開けて、中に入っていった。ハキマはその後ろをついていく。

 扉の先は暗くてよく見てないが、階段のようだ。人一人が通れるほどの階段を上がっていく。

 そして、上がり切るとさらに扉があり、メイトは開けた瞬間、光が差した。

 ハキマは反射的に顔を顰める。そして光に目が慣れてくると、その美しさがわかる。

「わぁ……」

 そこからは、とても透明で綺麗な湖が、一望できた。とても壮麗な景色に言葉を漏らした。

「え?」

 しかし、そこには先客がいたようだ。

 ハキマはその後ろ姿に、思い当たりがある。

 メイトはスタスタ歩き、屋根を出て、バルコニーに出る。

「よ、いい湖だな」

 メイトは木製の柵に肘をかけながら、その人に話しかける。

「数日前から尾けてたの、あなたか……」

 その人は、分かってたけどたった今納得したように呟いた。

「え、ゾイさん?」

 その姿は、小紫色のショートヘアーにローブ姿。間違いなくゾイである。

 ハキマは確認と混乱をメイトに伝えるためにその名前を口に出していた。するとゾイはハキマに気がつき首を傾げた。

「ん? あぁ、あなたは確か、おねぇちゃんと仲がいい……ハキマだったっけ?」

「あ、はいそうですけど……」

 なんで私の名前を……ちょっとメイト?

 ハキマはメイトの腕を掴み質問しようとする。

「――いやー、尾けてたのバレてたか」

 メイトはそう、たははと笑う。その雰囲気はいつもと少し違い、なんだか演技っぽかった。

 だから、ハキマは話しかけるのをやめた。

「そりぁね、普通に気づくでしょ」

「悪い勝手に尾けて……でも話がしたくてな、タイミング狙ってた」

「話?」

「――ここの湖いいなぁー!」

 メイトは聞き返したゾイを無視して、最初と同じことを声を上げて言う。

「……まぁね、私ここの景色好きなのよね〜。すごいわよね、この湖も、あの森さえも、この学園のものなのよ」

「――だろうな、敷地内だし。綺麗なのも知ってる」

「えぇ、だから毎日来てるの、と言ってもまだ一週間ぐらいだけどね」

 ゾイは誤魔化すように薄紅色の舌をペロッと少し出し笑う。

 そんなゾイにメイトは笑いながら話す。


「どんなゲームが好き?」


 ハキマははてなと一瞬理解できなかった質問だが、ゾイはすぐ答える。


「私が勝てるゲーム♡」


 さも当たり前のようにニヤと笑うゾイ。

 どうやらここからが本題のようだ。

「……なんてね、ジョーダン」

 ゾイはフッと呆れるように笑い、振り返り、肘を柵にかける。

「私とのゲーム、どんな内容か気になるんでしょ?」

「あぁ、そう、なんとか教えてくれないかな?」

「ん〜、教えてもいいけど……どうしよっかなぁ〜」

 ゾイはわざともったいぶるようにニヤつく。すると、ふと気がつく。

「……そういや、おねぇちゃんは?」

 ゾイは周りを見渡しながら訊く。


「あぁー、あんたのせいですっかり気を落としてるよ」


 ハキマはメイトの言葉に詰まる。

 へ? いや、ネルネルは全然そんなこと……むしろ元気になったと言うか……。

「……へぇーそう」

 ゾイは目を細めてメイトを見る。

 私はどうしたら……てか、もしかしてメイトはすでに"戦っている"?

 ハキマは一つの可能性を導く。

 メイトはこの話すら、勝負の一つなのではないか、と――。

「んで、教えてくれんの?」

「……やっぱ嫌、わざわざ敵に手の内明かすのも悪手でしょ」

 ゾイはフッと失笑しながら言う。

「そうか、まぁだろうなとは思ってたけど」

 メイトは柵から手を離し、歩く。

「……俺たちは絶対あんたに勝つ。俺たちの『絆』でな」

 メイトは振り返り、ゾイを見据える。

「あんた、妹だかなんだか知らんが、スピネルのこと舐めすぎ。勝ち逃げできるとでも思ってんのか負けるぞ」

「あら、私に茶々入れられたぐらいで気を落とすおねぇちゃんに負けるとでも?」

 ゾイは綺麗な小紫の瞳を細め、メイトを睨む。憎らしく上げられた口角が、その不気味さを相乗させていた。

「……負けるさ、俺とハキマは、スピネルと深い『絆』で結ばれている、俺たちが勝つ」

「『絆』ね」

 ゾイは少し蔑むようにメイトを見る。

「……面白そうね、『絆』」

 ニマと微笑むゾイは、下から舐めるようにメイトとハキマを見る。

「……ゲーム、期待してるぜー」

 メイトはそう言って、ハキマに近づく。

「じゃ行こうかハキマ」

「え、あぁ、そうですね」

 ハキマは突然話しかけられて困惑しつつ、答える。

「じゃーねー、おねぇちゃんによろしく〜♡」

 ゾイは相変わらず憎らしい笑顔で、メイトたちに手を振った。

「……あぁ、じゃーな」

 そして、メイトとハキマは、ゾイの前を立ち去った。


――――――――――――――――――――


「なんだったの今の!?」

 ハキマは出てきた建物が見えなくなるほど離れた時、話しかける。

「ん?」

「あの数分の会話に意味あったんですか?」

「あー……」

 前を歩くメイトは、振り返らず返事をする。

「意味ね……まぁあるわ」

「そうですか? 結局ゲーム内容もわからないし、どうしましょう」

「あ? いや、わかるだろ」

 は? いや、え?

 当たり前のように答えたメイトに、ハキマは首を捻る。

「な、なんでなの?」

「……ゾイは幼稚で負けず嫌い、特に姉であるスピネルに対してな、じゃないと十何年も勝ち続けないだろ」

 メイトは歩きながら話し始める。

「は、はぁ……まぁ」

「なら今回も絶対勝つ気だろ、なんなら"俺たちへの勝利"は前提で、"姉に対する勝利"が一番レベル。ならどう姉を貶めるか、ということになる」

「てなると……さっきなんか言ってた『絆』?」

 ハキマは思い出す。謎に強調していた『絆』と言う言葉。

「そ、あっちは俺の『絆』って言葉が印象に残ってるから、それを破壊すればスピネルの尊厳破壊できるって考えるわけ。スピネルは人と話すのは珍しいらしいから、あんま人と関わってこなかったんだろ、ならそんな姉にできた初めての仲間、その『絆』を壊すことが最大の"勝ち"ってこと」

「な、なるほど……それでもゲーム内容は分からなくない?」

 結局それはゾイがスピネルをどうするかの話で、ゲームには一切触れていない。

 だか、メイトは。

「分かるよ、あいつはあの湖を眺めてたけど、見てたのは奥の方にある森だろ。俺が尾けてるの分かってたから悟られないように遠くのあそこから確認してたんだろ」

 サラッと、答える。

「え? どういうこと?」

「最初言ってたろ、湖さえも森さえも私有地みたいなこと、それは森を意識してたからだろ、実在、俺がつけてた時もあそこから森、見てたしな」

 ハキマは細やかな疑問を抱く。

 どうやって森を見てたと分かるのか。遠くの森のことを見る時魔法を使ったのは分かるが、なぜ森に限定できた?

「なのに森を見てたことは言わないなら、なにか考えがあるんだろ……おおかた、あの森がゲーム会場なんだろ。それが分かれば大体ゲーム内容も予想できる」

「はー……」

 ハキマはポケーと呆ける。

 森を見ていた、と言う前提と。

 『絆』と言う言葉をゾイを意識させる。

 この二つでゲーム内容を予測すると言う。

 あの何気ない会話も、全てゲームを当てるためにしたことで、"無意味"なんてないのだ。


「あと、俺の中でゲームはほとんど終わったし」


 メイトは振り返り、固まるハキマを見据える。

「多分、俺たちが勝つよ」

 その、なんの確証もない言葉を、メイトは確信を持って言う。

「なんか、メイトはやっぱり普通じゃないよね!」

 ハキマはそう、優しく笑った。

「んなことない、俺は凡人だよ、凡人ながらなんとか頑張ってるだけ。よし、もう行こうぜ」

「うん!」

 そして、二人はスピネルが待つ寮へ戻って行った。

 しかしハキマはこっそり疑問を持っていた。


 ――すっかり気を落としているよ――。


 なぜメイトは、一つ嘘をついたのか。

 その疑問は、ハキマの心だけに蟠った。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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