【第46話】隣人ガチャ失敗トリオ
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン 透明人間。
ハキマ・クォーツ 温厚篤実。
スピネル 男性嫌悪。
イト メイトのゲーム相手。
いろいろあり、学園九位の奴と会った俺たち三人。
名前は『ゾイ』。他クラスなので今まで会ったことはなく、情報がないと心配したが、なんとスピネルの双子の妹らしく、詳しい話をスピネルから聞くとこである。
現在、授業が全て終わり、夜飯を部屋で食っている最中である。
「んで、じゃそろそろ話してもらおうか……お前の妹について」
「えぇ分かっているわ」
「お願い」
三人は固定になってきたそれぞれのソファに座りガラス細工の机を囲み、話す。
「まず、あの子はゾイ、私の双子の妹よ」
スピネルはコーヒーを啜りながら瞳を閉じ、語る。
「ゾイは生まれた時から私の少し前にいたわ、私より凄い魔法とかね……と言ってもほんと少しだけね」
「ほーん、やっぱり妹に対する劣等感か、あるあるだな」
前世でもう擦られに擦られ切った設定だな、と一考するメイト。
「あるあるなのかは知らないけど、私にとっては大きな問題だったのよ……例えば」
「例えば、両親の妹贔屓とか周りの視線とか、出来損ないの姉とか陰で言われたりなんてのもあるな、なんなら夜寝てたら村襲われてその最中姉の角切られたなんてのもあったり、いやそれは妹の話か……」
「ごめん、後半何言ってんのか全く分かんない」
「いや、全く関係ない話だから」
「あ、そう……」
スピネルは眉を歪めて俺を見るが、俺はテキトーにあしらう。
「まぁ冗談はさておき、実際どんなんなのよ?」
俺は話を切り、スピネルに訊く。
「そうね、私より凄い魔法ドヤ顔で見せてきて、私が次の日それをできるようになっても、それよりも凄い魔法をドヤ顔でまた見せてくるみたいな……」
スピネルはプルプル持っているカップを震わせる。
「モテるとか言って貰ったラブレター見せてくるし、彼氏できたとか言って男を私の前に連れてくるし……しかもその男に襲われそうになるし私、まぁ返り討ちにしたけど」
あー、だから男嫌ってんのか、てか――。
「なんか意外と陰湿というか……いや前半は分かるよ? 後半のモテるとか男って……」
「そうなのよ! あんのバカほんとに些細なことでも比べてイキってきて……! 私は男とか興味ないってのッ!!」
スピネルは湧き出る嫌悪を妹に向ける。
「ま、まぁ分かった、で本題なんだけど、どんな"ゲーム"を挑んでくると思う?」
俺は訊きたかったことをやっと質問できた。
「ゲーム? なんで?」
ハキマが話しかけてきた。
「考えたんだよ、そもそも学園順位ってのは入試点数らしい、つまりこれからどうやっても変わらないらしい」
「へー」
「だからそれをゲームで奪うしかない」
メイトはパンをガブッと齧る。
「あ〜、なるほど……え? 中間考査とかは反映されないの?」
「されないわ、そもそもここは特殊なのよ。本当に自由なのよ」
スピネルは冷静になり、コーヒーをまた啜る。
「授業に出るのも自由、テストを受けないのも自由、校則さえ守ればあとはなんでもいいのよ」
この学校は、普段の授業やテストなので個人の力を測らない。全てその自由という制約の中で行った事実よる結果によって決められる。
「つまり、授業に出てテストでいい点取っても、成績は一切上がらないんだよ、じゃあどうするか?」
メイトはニヤと笑う。
「上から奪うしかない」
そう、簡単な話だ。単に成績持ってるやつをゲームで倒して、その点数を貰えばいい。
「それって学校側はいいんですか?」
「あぁ、弱者は切り捨てられる、そういうとこだここは」
俺は飯を食べ終え、ソファの背もたれに寄りかかる。
「そして、その弱者とは、授業に出て、群れることしかしない人た……」
スピネルが呟く。ハキマはコクっと小さく固唾を飲む。俺は少し考えた後、ニヤと笑う。
「いや、弱者は俺たちだよ」
「?」
スピネルは首を傾げる。
「入試の時点で結果を残せなかった俺たちだ、『入試』が弱者と強者の別れるとこだったんだよ」
「……そう、確かにね」
「でも、自分たちを弱者って……」
ハキマは悲しそうに俯く。俺はバッとソファの上に立ち上がる。
「しかし二人とも、弱いことは悪いことか? 強いことは偉いことか? ――否ッ!!!!」
いきなり叫んだメイトに目を白黒させるハキマと、しっかりメイトの顔らへんを見るスピネル。
「人は基本的に上しか見えない! 自分より弱いやつなど気にしない! だからこそ、上へ上へと登る構図が生まれ、発展していく……!」
メイトはググッと拳を天高く掲げる。
「しかしだからこそ! "上の者"は"下の者"の恐怖に気が付かないのだ!! 底から這い上がる弱者の強さに気がつけないのだ! そして今、校内最低の点数を叩き出した、入試"一点"の最弱者がここにいる!!」
ハキマは目を輝かせ、スピネルはメイトの迫力にビリビリと肌を震撼させる。
「そう、この学校最弱の俺が、これから強者を穿つのだ!! 今この瞬間こそ始まりである!」
俺は掲げた拳を、強者に、上から見下す強者に、そしてロリ校長までに、何よりゲーム相手のイトに届くように、さらに高く掲げる。
「今! あの鼻を伸ばした強者を、あの上から目線で語ってくる強者に!! その足元をすくろうぞ!!!!」
メイトは、すぅぅぅ...と息を吸い込む。
「――うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
メイトは自分の全てを出し切る鼓舞の咆哮は、部屋に轟き乱反射し、反響する。
「――はぁ、はぁ、はぁ……――さて、勝ちに行こうか」
俺は腰に手を当て、言う。
二人は驚愕したまま動けないで、目をパチパチさせていた。
あー楽しかった。こういうことやってみたかったんだよなー、でも流石に喉痛いわ、てか最後の咆哮入らなかったな……でもああいう演説の後にはそういう叫び声は定番だし、うんまぁいいや。
「はぁ、あんたほんとにおかしいわね」
「う、うん……やっぱりメイトって普通じゃないよね……」
「そうか? 別にそんな気はないけど」
てか意外と盛り上がってなくない? 逆になんか冷めてない君たち。
「お前らも叫んだらどうだ? 意外と気持ちいいぞ」
「絶対に嫌ッ」
スピネルはプイッと横を向き拒否した。
「あはは……流石に私も……」
ハキマは愛想笑いしながら頬をかく。
「いやいや! ハキマならいけるだろ! やってみて!」
メイトはハキマに狙いを定めた。
「ぅえ? え? いやでも、恥ずかしいし……」
「そんなことな――いやあるけど、大丈夫! さっき俺がやった演説よりかは恥ずかしくないから!」
「恥ずかしい自覚あったんだ!?」
そりゃあるだろ、なかったらほんとに痛い人だろ。その恥ずかしいことをやって誰も咎めないこの世界だからやってんだよ。
「うぅぅ……分かった、やる――」
ハキマはピンクの髪をいじった後、答えた。
「やるの? 本気でやる必要性分かんないけど?」
スピネルは単純に疑問そうに訊く。ハキマはスピネルを無視して息を吸う。
そして――。
「うおおおおおお!!!!」
ハキマは腕を脇腹で構えて、可愛げに叫ぶ。
おぉ!! ナイス声量!!
「うおおおお!!!!」
俺も合わせて弱目に叫ぶ。
「はぁはぁ……楽しい!!」
ハキマは息切れしながらパー!と笑う。
「気持ちいいよネルネル! やろ?」
「絶対いやだって!!」
スピネルは断固拒否する様子。
「お願い……」
ハキマはスピネルに懇願するように上目遣いで見る。
スピネルは頬を赤くしながら視線を逸らした数秒後――。
「――あーもう分かったわよ、やればいいんでしょ?」
スピネルは目の前のハキマに負け、ススと移動してから言う。
「やったぁ! じゃあ一緒にさけぼ?」
「えぇ、それなら……」
そうして、ハキマとスピネルは息を吸う。俺はそれを横から見ていた。
「よし、なら俺が叫ぶタイミングを示そう、はい! せー……のッ――!」
「うおおおおお!!!!」
「――――――――――」
「いや叫んで!?」
ハキマはガビーんと驚く。スピネルは頬をぷっくり膨らませ紅潮させたままプルプル震えていた。
「何やってんの!?」
「ぷぁーーー……ごめんなさい、あのやっぱり自分のタイミングでいいかしら?」
「べ、別にいいけど……」
そして、ハキマはスススと横に避ける。スピネルは覚悟を決めて、息を吸い込み始める。
「すぅぅぅ……――――」
そして、限界まで息を吸い込んだ。
よし、あとは叫ぶだけだな。
しかし――――。
「見てんじゃないわよ!!!!」
「ブホォッ!! ――な、なぜ!?」
いきなり俺に衝撃魔法を放ってきた。それは俺の下腹部に直撃し俺は悶絶する。
「はぁ、はぁ、はぁ……ダメ、私やっぱりこういうの……」
「ネルネル、それならさほら、妹さんの対する気持ちを乗せたらいいんじゃない!?」
ハキマは指を立てて提案する。
「妹に……。分かったわ、やってみる」
スピネルは再び前を向いて、息を吸い始める。
この様子じゃ、何やってもダメだろう。まぁこういうの強制するのはダメだし、やめさせるか。
「――死ねええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
スピネルの咆哮はハキマを軽々凌駕する声量と気迫で、心の臓を揺らした。
「えぇ……」
流石の俺もこれにはドン引き。
死ねって……いや別にいいけど……うぅん。
「きゃー! いい声量!!」
ハキマはぴょんぴょん跳ねながらスピネルに抱きつく。
「私にかかればこれくらい楽勝よ」
内容最悪だったけどな。
「でも、確かにちょっとスッキリしたかもしれないわね」
スピネルは明るくなった顔色で微笑む。
確かに頬が赤いな、いやそれは照れからか。
「でしょでしょ!? じゃ一緒にさけぼ?」
「いいわよ」
今度は二人で叫ぶようだ。俺も混ざった方がいいのか迷ったが、女子同士の方がいいだろう。
ということで、俺は掛け声だけする。
「せーのっ――!」
「うおおおおおおお!!!!」
「死ねええええええ!!!!」
「うっっせぇんだよ!!!!!!!!!!!!!!」
すると、いきなり壁がぶっ叩かれた。
部屋の空気は一気に凍る。
どうやら隣の部屋に住む奴が壁をぶっ叩いて叫んだらしい。
「……ご飯、片付けよっか?」
「そうね……」
そうして、叫ぶものがいなくなった部屋は随分静かに感じた。
何か大事なことを忘れているような気がするが、特に気にすることなく、食器を片付け始めた。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




