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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第45話】双子の妹

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン      透明人間。

ハキマ・クォーツ       温厚篤実。

スピネル           男性嫌悪。

イト             メイトのゲーム相手。

「なに? なんの騒ぎ?」

 メイトが衝撃魔法の練習をしていたハキマとスピネルの元に戻ると、スピネルが眉を寄せて訊いてきた。

「ん? いや俺がさっきの奴ぶっ飛ばしたら盛り上がってな……なに、気にすんな!」

「……は?」

 スピネルは首を傾げた。

「どした?」

「いえ、あのさっきの黒髪と金髪に別れたあの男を?」

「そうだけど?」

 スピネルはめんどいものを見るように俺を上から見た後、ため息を吐く。

「はぁ……あんたあいつが誰だか知ってる?」

「知らんけど……なんかすごい奴なのか?」

 戦った感じ、全然すごくなかったけど。

「すごいも何も、あいつが入試点数、うちのクラストップよ」

「へぇ〜」

 メイトは興味ないのか、テキトーな返事だけする。それにスピネルは少し意外で首を傾ける。

「あら、意外と驚かないのね」

「あぁ、まぁそうだな」

 メイトは自分の首を触った後、答える。

「俺はそんな奴越えて、学園トップに、増してや校長とも勝つんだからな。こんなとこで負けるわけにはいかねぇし」

 スピネルは絶句した後、ハッと嘲笑う。

「あんたそれ本気で言ってたの? 馬鹿じゃない? あんたなんかができるわけないでしょ」

「できるできないは論点にするまでもない。"できる"し"する"。そうじゃなきゃ、俺はここに来た意味無いんでね」

 メイトは愉快そうに微笑む。それは誰に見えるわけでもないが、なんとなくそれが見えてしまうような、力強さがあった。

「なんの話ですか?」

 すると、スピネルの後ろからハキマが入ってきた。

「俺が学園トップになって校長も倒す。ってことを話してたてだけ」

「――」

 ハキマは目を開いて驚いた後、手を挙げた。

「え"ぇ"!!」

 その驚き具合にスピネルが驚いた。

「すごい! メイトってそんなに志し高いんだ! 私は別に中間ぐらいでいいと思ってたから……」

「あんたねぇ、アルディアでトップになるってことは、ただの学校のトップになることと天と地ほどの差があるのよ」

 楽観的なハキマにスピネルが説明する。

「いい? ここは魔法の最高峰の学校、世界中から天才が集まるの。その中で、家系も庶民で大した実績もない、そんな凡人がトップ? 無理に決まってるでしょ」

 スピネルは肩を上げ、失笑する。

「ネルネル……確かに言ってることは間違ってないよ、でも――」

 ハキマはバッと自分の胸に手を当てる。

「夢は誰でも見る権利はあるよ! それがどれだけ無茶でも、夢を見ることは悪いことじゃないよ!」

 その言葉に、スピネルはハッとした後、考えるように右下を見てから呟く。

「――……そうね、ごめんなさい。私がとやかく言うことでもなかったわ」

「いいよいいよ〜、じゃ頑張ってねメイト」

「いや違うんだよ」

 グッと拳を作り応援するハキマに、俺は宣言する。

「俺は! 絶対! トップになって! 勝つ!! ……これは夢じゃなくて目標だから、達成するさ」

 これが断固たる決意というものだ。

「……そんなに?」

 ハキマは感心した様子で呟く。俺はそれに軽く返す。

「大マジ」

「……ま、せいぜい頑張ればいいわ」

 スピネルは髪を逆手でバサっとやりながら言う。俺はそんなスピネルに話しかける。

「スピネル、お前がここに入った目的はなんだ?」

「私はここに何しにって……」

 スピネルは答えに困る。そんなことは自分で分かってるが、それを口にすることは、メイトと同じことだから。

「校長が言っていた、『最上位魔法使い』の称号……」

 スピネルはピクッと反応する。ハキマはあー、と思い出す。

「そう言えば言ってたね、最高の魔法使いには与えるみたいな……」

「あぁ、スピネルはそれ欲しくないか?」

 メイトの言葉に、スピネルは察する。

「つまり、手伝えと?」

「……あぁ」

 メイトは深呼吸して、あくまでも対等でありながら、お願いする。

「俺がトップになれば、お前にトップの座を譲る。だから俺がトップになれるように手伝ってくれないか?」

 スピネルは俯き、考える。

 なぜ私が……確かに最上位魔法使いの称号は欲しい。でもなぜこいつの手伝いをして、その後に譲られるのか、それなら自分で取り入った方がいい。

 スピネルは断ろうと口を開いた瞬間、メイトが被せる。

「俺はスピネルにしかできないことだと思ってる、だからこうして交渉を持ち込んだ……俺たちは協力者、"パートナー"だからな」

 メイトは優しく微笑む。

 ――私にしか、できない……。

 スピネルはほんの一瞬、笑った。そして顔を上げていつも通りの感じで言う。

「分かった。あなたがトップになれるよう手伝うわ」

 メイトはニヤと、嬉しくて笑う。

「ありがとな」

 ふと、隣で見ていたハキマがむーと唸る。

「メイト私は?」

「え?」

「私だって手伝うよ〜、なんでネルネルだけなの〜?」

「あ、あぁ分かってるって、ハキマは優しいから手伝ってくれるのは分かってたから後回しにしたの! ちゃんとお願いする予定だったから」

「……な〜んだそかそっか、もち! 私も手伝う!」

 ハキマは優しいと言われたことに照れながら、親指をグッと立てる。

「よし! これで結束力高まったな!」

「うん! なんか本当になれそうな気がしてきた〜!」

 ハキマは満面の笑みで手をブンブン振る。

「ほんと、軽すぎでしょあんたたち……」

 これが、ガチでトップを狙う人とは思えないぐらい、軽く語る二人に、スピネルは少し苦笑した。


「ホントにトップになるんだ〜……ワオ、ほんとに透明だ」


 ――気がつくと、メイトの肩に顔が乗せられていた。

 ハキマとスピネルは理解できず、固まる。

「……」

 メイトは驚愕しながら、チラッと横目で見る。

「ん?」

 小紫色のショートヘアーで、子供じみた顔立ち。紫色の瞳の奥に見える血のような赤い光彩が、俺の心の臓まで届き握りしめるような不気味さがある。

 その人は、一切俺たちに悟られることなく、俺の後ろに立ち、俺の肩に顔を乗せた。

「……そういうことされたらうっかり惚れちまうからやめてほしいな」

 俺は務めて冷静に返す。

「あはっ、いいね。私好きよ」

 すると女はススっと俺から離れ、距離を取る。

 俺は振り返り、女を見据える。そして、固まった。

「え、スピネル?」

 その姿は、スピネルとほとんど同じ、違うのは髪型や表情くらいで、他は瓜二つ。

「えぇ!? すごいそっくり!!」

 ハキマが声を上げた。スピネルを見ると、俯いていて表情が見えない。

「いやー入学式ぶりだからー、えーと……あはっまだ二日か! 久しぶり、"おねぇちゃん"♡」

 女は可愛く首を傾げて言った。だかその細められた瞼は明らかに見下している表情だった。

「お、おねぇちゃん?」

 俺はそう言いながら振り返ると、スピネルは睨みながら顔を上げていた。

「なんの用、『ゾイ』……」

 ゾイ? ゾイってこの人の名前か……え? おねぇちゃんってまさか……。

「なんの用って、そこにいたから来たんだよ?あのおねぇちゃんが人と話すなんて珍し〜と思ってさ」

「だからって、人の会話を盗み聞きなんて、酷い悪癖ね」

「え〜? 別に聞こうと思ったわけじゃないよ、私強いから勝手に聞こえちゃんだよね〜」

 二人は言い合う。その横で俺はハキマに話しかけられる。

「あの二人、そっくりですね……」

「あぁ、これは完全にあれだ」

「あれ?」

 俺はガシィッ! とポーズを決める。


「双子キャラ来たコレ!!」


 くぅ〜、姉妹かもしれんがこんなそっくりなのは双子だろ! いいなぁこれ、異世界モノの定番!

「双子、確かなんだか雰囲気も似てますもんね」

 それは分からんが。

 スピネルはあんま元気じゃないクール系だけど妹さんの方はよく笑うタイプだ。まぁ良い方の笑い方じゃないけど、そこはスピネルに似てるか。

 しかし、おいおいこれはもしかしたら、レ○とラ○みたいな話なんじゃねーかおい!

「用ないなら早くどっか行きなさいよ、あんたあっちのクラスでしょ」

「え〜!」

 スピネルはゾイの背中を押して帰そうとする。ゾイは渋りながら抵抗する。

「せっかく面白そうな話してるのに〜?」

「あんたには関係な――」


「ないわけないよね」


 次の瞬間、ゾイはスピネルの目の前から消えた。

「ね、透明人間さん♡」

 そして、一瞬でまた俺の後ろにいた。

「……何が?」

「さっき、あなたがぶっ倒した男は学園十位だよ?」

 ゾイは軽々しく言う。

「……あいつが十位……弱」

「あはっ、そうだよあいつ雑魚だよ、だから、実質今はあなたが学園十位だよ」

「そうか? そんなちゃんとした試合でもなかったろ、これで順位変わらんだろ」

 別にそんなことどうでもいいがな。

「そうだね、でもあなたは十位に勝ったって事実は残る」

 ゾイは俺の肩に手を乗せる。

「だから、もしあなたが本当に学園トップになりたいなら、次は"私"と、だね」

 メイトはやっと察する。

「――あぁ、あんたが"九位"なのか」

 俺が言うと、ゾイは肩から手を離し、振り返る。

「そうだよ、私が学園九位、『ゾイ』。本当にトップになりたいなら、あなたは私を越えないといけないよ」

 そして、ゾイは心底憎たらしい顔で笑う。

「頑張ってね透明人間♡」

「……あぁー、近いうちに行くから準備しとけよ、俺に負ける準備をな」

 俺も臭いセリフで言い返す。しかしゾイは触れることなく言い返してくる。

「そっちこそ覚悟してね、九位より上の人に挑むときのリスク――」

 ゾイは少し間を置いてから、続ける。


「"退学"にするから、もちろんおねぇちゃんももう一人の女の人も」


 メイトは一瞬止まった後、誤魔化すように笑う。

「ハッ! そらこえーな!」

「あはっ、楽しそうでいいね」

 そう言って、ゾイはスタスタ自分のクラスの方に歩いて行った。


 残った三人は、暫し沈黙したあと。

「ど、どうします? これから……」

 ハキマが呟く。スピネルは気分悪そうに下を見ている。俺は考えた後、喋る

「やることは変わらん。俺は絶対トップになる、そのために退学になるかも知れなくともな、でも――」

 俺はハキマとスピネルを見る。

「お前たちは無関係だ、退学になる可能性があるなら、無理にとは言わない。別に手伝わなくて良い」

 俺のせいで、2人とも退学なんてことになったら悪すぎる。

「確かに、退学は嫌だよ……」

 ハキマはそう呟いた。メイトは一瞬ザワっと胸が痛んだが、すぐ冷静になり、納得する。

「うん、分かった。じゃあ――」


「でも! 友達を裏切るようなことはもっと嫌!!」


 ハキマは自分の胸に手を当て、力強く言う。

「私はメイトと最後まで一緒にいる。だって私は約束したもん! 手伝うって!」

 メイトはやっと、ハキマを理解した。

 この人は、"良い人"だ。誰かのために自分を危険に晒せる、"凄い人"だ。

「ありがとう」

「うん!」

 そして、必然的に残るのは、先ほどから俯いているスピネル。

「……」

「スピネル、お前がゾイになんか嫌な感情があるのは分かっている。ごめん、それでも、協力してほしい、お前がゾイの姉なら、強い戦力になる」

 スピネルは俯いたまま、答える。

「私は、あの子より弱い……だから無理……」

 その弱々しさは、普段の彼女からは想像もできないモノで、相当妹にコンプレックスがあることが分かる。

「ネルネル……そんな弱いなんて……――」


「なぁスピネル、弱いままでいいのか?」


 ハキマが投げかけた励ましに被せるように、俺は言う。

「お前と妹の間に何があるのか知らんが、大体双子なのに姉であるお前は妹に劣る、みたいなところだろ。そんなの俺の故郷の漫画やらアニメで死ぬほど見てきた設定なんだよ」

 スピネルは後半全く理解できなかったが、前半は当たっていた。

「そう、あの子は天才……昔からあの子に勝てたことなんて一回も……」

「それでいいのか!? 一矢報いてやりたいだろ!」

 メイトはスピネルの肩を掴む。

「俺と一緒なら勝てるさ、ハキマもいるんだし、大丈夫! 三人なら勝てる!」

 スピネルは、メイトとハキマを交互に見た後、俯いて、囁く。


「――たい……」

「え?」

 スピネルはバッと顔を上げる。

「勝ちたい!! いつもちょっと私より先にいるだけの奴になんで、上から見られないといけないの!!」

 お、おぉ……いきなりだな。

「あー! なんかムカムカしてきた! あんの馬鹿妹、ちょっと才能あるくらいで良い気になって!」

「お、おぉ! そうだよなぁ!? うざいよなぁ!?」

「えぇそうよ! あの馬鹿のちょっと可愛いだけの顔面をグチャグチャになるぐらい泣かせるわよ!!」

「え、いやそこまでは……」

 スピネルは憎たらしくない、生気に満ち溢れた、怒りによって笑う。

「楽しみだわぁ、十七年間の恨み晴らしてやるわよ……」

「あ、あぁそうだな……」

 どうやら俺が思っていた以上に、姉妹の溝は深かったらしい。

 そんなスピネルのことを見て、俺とハキマは苦笑したのだった。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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