【第41話】別に見てませんから
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト・マルマロン 透明人間。
ハキマ・クォーツ メイトの同級生。
イト メイトのゲーム相手。
「ん、どうぞ」
小紫の髪の女の子は自室のドアを開けて、俺とハキマを迎い入れる。
玄関はやはり一般的なホテルと同じほどの広さで、パッと見る感じ、ホテルと同じである。
まぁロビーもホテルだし、部屋も意外と普通か?
俺は室内を観察しながら上がる。
「失礼しま――いや、ちがうな」
「……?」
俺は言いかけたことをやめて、訂正する。
「――『ただいま』」
「「……」」
二人は無言のまま俺を見る。
「……あ、え〜と、た、ただいま……」
ハキマも俺に合わせるように照れながら言う。女は少し真顔で戸惑った後、ため息を吐き、言う。
「お、おか、おかえり……」
「お前ら優しいな、別に合わせなくていいのに」
「ふざけんな」
女はキッと俺を睨む。
やはりメアリーのようにいかないか...メアリーだったら、「演技臭いです死んでください」ぐらいは言うぞ? 知らんけど。
「まぁ、それより……だ」
俺はギリギリ二人通れるほどの廊下を急足で歩き、扉を開ける。
「おぉーー」
扉を開けた先は、想像より空間が広がっており、ずいぶん綺麗になっている。木製の部屋でソファや透明な机、大きな窓に純白のカーテン。
海外の高いホテルのようだ、入り口とは逆に豪華な作りで、より豪華に見えてしまう。
「でっか、さすが一流学校、スケールが違うな」
俺はキッチンをいろいろ弄りながら喋る。
...なんで包丁が八本もあるの? 必要これ? まぁ食堂あるけど自炊してもええでってことか、しかし食料はどこで調達するんだ? 学園外に出れないし……ふむ……。
「はぁ、あんま弄らないでよね」
女は俺をジロッと睨んだ後、自分のローブの襟元を掴む。そして、あっ……と気がつく。
「……はぁ、ホント最悪」
何をイライラしているのかしらあの人は。
「どうかしました〜?」
ハキマはローブに手をかけたまま固まる女に声をかける。
「あなた一人ならまだしも、透明人間は男でしょ?ほんといや」
「あー、そうことな」
俺はテキトーに察する。
男の前で着替えるのは流石に嫌か……まぁそうか。
メイトは着替えだけに関してだと思っているが、普通に男と同室が嫌だとは気付かないところは、他人の感情に関しての鈍感さは健在の証であった。
「……マジで見ないでね」
女は俺を指しながら、隣の部屋に移動した。
「……あ、メイトも着替える? 私移動する?」
ハキマは俺に気を使い、女の後を追おうとする。
「いや、俺はいいや、てか服ないから着替えるとかないし」
「そうなんですか……え! 服ないって、今着てるそれしかないんですか?」
「そうだよ」
俺は室内を歩き回りながら会話する。
おやおや、ほらあった。
「それって汚くないですか?」
「大丈夫、こういう部屋にはあったりするんだよな、部屋着」
俺はタンスから取り出した、黒色のTシャツと半ズボンをハキマに見せる。
「あぁ、そんな――」
ハキマは一瞬納得したように呟いた後、固まる。
「あ。あぁ、俺の特質で、持ったものは透明になるんだよ、俺の特質ほんとゴミ」
「そ、そんな力が、凄いですね……」
「そうでもない、箸透明になって食いずらいし、本も持ったまま読めないし、「使えない」とはこれのことを言うんだなぁと思ってたよ一年前から」
「は、はぁ……」
俺は取り出した服をタンスに戻し、数歩歩いて部屋を散策した後、ソファに座る。
「さて……休むか」
「そ、そうですね!」
メイトはフカフカのソファにて、宙を浮く感覚を覚えながら顎に手をやる。ハキマは部屋に一つあるベットに寝っ転がる。
「あ〜〜、フカフカ気持ちぃ〜〜……」
……。
俺は羨ましいという気持ちを、後で、と言う答えで決着しながら考える。
……部屋と協力者は手に入った。ならばここから本格的にイトを探し始めることになるんだが……。
イト……ラプラスの悪魔、未来を読める悪魔……正確には過去全ての事情を知っていて、そこから未来を予測することができる悪魔だが、ここは簡単に未来が読めると言わせてもらおう。
……探す、そのためには絶対その力をどう攻略するのかがキーとなってくるが……その力の使用に条件があるのは分かっている。
ならばその条件を割り出すことが優先か……。
俺は大きな窓から、傾く西日を見る。俺は座ったまま魔法でカーテンを閉める。
しかし、思い出しても、あいつは力を条件なんかないように使っていた。分からん。
そもそも、イトに関する情報は、『おそらく女』しかない、完全に情報不足だろう。
メイトはソファに寝っ転がる。
とりあえずアレだ……なんとかしてまず"イト候補"を見つけなければ……どうするか。
なんて考えている間に、女は着替えが終わったらしいく、扉を開けて出てきた。
「ふぅ……」
印象と変わらない黒系統のTシャツにショートパンツ。女は恥じらうこともなく、俺をただ睨んでいた。
「ほんと最低」
女はこんな短いショートパンツしか持ってこなかったことを後悔していた。
なぜ俺は"最高に低俗"の烙印を押されたのか理解できないが、とりあえず褒めよ。
「おー、かわいいな」
女はビクッと驚いた後、俺への視線を卑下から殺意に変わる。
「ほんっとキモい!!」
えぇ……メアリーならそこまでは……なんか反応が若いな、メアリーなら凍る瞳で「キモい」と一言だな。まだ初い。
「ちがっ、本当に可愛いと思ったから!! 別に下心とかないなら! 俺に性欲ないから!」
俺はとりあえず誤解されまいと訂正する。
「尚更キモい! 性欲ないとか嘘ばっかり、性欲ないのがかっこいいと思ってる童貞死ね見るな!」
「べ、べべべつに見てねぇし!? なんなら見てんのはあんただろ、自分が見てるから見られてるかもと言う疑心感が生まれるんだ!」
「うっさい意味不明! はぁ、なんで男なんかと……男ほんとキモい」
女は額に手をやって、ため息を吐く。
「それは女尊男卑か、良くないなそういうの! 俺さん嫌いだな!」
「だっていつも下のことばっか考えてるじゃん、なにより馬鹿じゃん?」
「それは人によるだろ。てか、あれれ〜? 馬鹿って言うけど、あんた俺に負けたよなぁ〜?」
「それは屁理屈ででしょ!? もっとちゃんとしてたら負けないわよ!」
「はいはい、負け惜しみな」
バン! と、クッションをぶん投げなれた。
「あんたホントにっ……マジウザい!」
「そう怒んなってっ、"短気は損気やで"」
メイトは見えない透明な目を光らせる。
「……はっ? 何その変な喋り方」
――……ふむ、怒りで冷静さを欠けているからチャンスだと思ったが、ボロは出さないか……イトではない?
「いやなんでもないよ、それより悪かった言い過ぎた」
わざわざ変な喋り方に触れるのは自分が"関西弁"を知らないということを暗に示しているのか……? いや、しかしそれは相手の地元の口調なのか? とかは察せる物だと思うが……"嘲笑"か。
演技臭くはないが、言葉を選んだ感はある。
でもここで触れないのもそれはそれで違和感はあるか?
ここでの最適は「何それあんたの地元の口調?」ぐらいが正解だと思うが……地元から連想する"日本人"を悟られたくなかった……?
……いや、ともかく『要注意人物』というのは変わらないか。
「ふん、まぁいいわ、喧嘩は同レベル同士でしか怒らないし……」
「今更すぎませんかね……」
ずっとオロオロ聞いていたハキマが、やっと落ち着いた女に言葉をかける。
「ほらほら、せっかく友達になったんだから! もっと仲良くいこうよ!」
「友達なんかじゃないわ! ただの協力者よ!」
「と、まぁ彼女はプライドが高いようだ、理解してやってくれ」
「あんたっ!」
「まぁまぁまぁ……! メイトもまんまりそういうこと言わないで? でさ! 名前、まだ言ってなかったよね?」
ハキマは女の手を握る。女は突然のことすぎて呆気に取られる。
「私、ハキマ・クォーツ! 趣味は美味しいものを食べること! 得意な魔法は"複写"! よろしく!」
女は怒涛のハキマの言葉に驚いた後、顔を逸らす。
「えと……ごめん、私"こういうの"あんまり得意じゃないから……テンションが苦手」
ふむ、まぁ分からんこともない、いや分かる。陰と陽だな。女は陰の雰囲気だし、ハキマは陽っぽいし、あまり合わないのか。しかしなんか態度が俺と違いすぎませんかね。
「いいよ〜ゆっくりで、どうぞ!」
ハキマは女から離れ、手で「あなたの番です」と、示す。
「……『スピネル』……そうとだけ言わせてもらうわ」
女基スピネルは、そう、素気なく言う。小紫色の髪を逆手でバサっとやり、上から俺を見る。
なぜ俺は睨まれているのだろうか……。
「スピネル……下の名前は? いや上?」
「スピネル、言えるのはそれだけ、世の中名前だけでデバフをかけれる人なんているぐらいだし、名前はなるべく伏せたいの」
「名前だけ、で……」
メイトは体を起こし、目を開く。
名前か……イト……『名前』の可能性か……。
「そうか、俺メイト、俺もメイトだけ言わせてもらう、メイトって呼んでくれ」
「分かった『メイト』、それでスピネルちゃんはなんて呼べばいいかな?」
ハキマは俺に微笑みかけた後、スピネルを見る。
「なんでもいいわ、勝手に決めて」
「う〜ん……」
スピネルは一人用のソファに腰を下ろす。ハキマは腕を組み考える。
「『スッピル』!」
「嫌すぎるんだけど」
スピネルは即答した。
「え〜ダメェ?他には『ネールピ』とか『ピルルー』とか……」
「ごめん候補が全部最悪すぎるわ、早急に考え直して」
「え〜! ……メイトは何かないの?」
ハキマは散々拒否され、メイトに頼る。
「ふむ、『ピスのん』とか」
「嫌、あんたに言われるともっと嫌だわ、なんだかあんたの存在は私とそりが合わないみたい……最悪だわ」
スピネルは額に手を当てて嘆いた。
「じゃあお手上げだよ、これ以外ない」
俺は手を挙げてお手上げポーズをする。
「放棄すんの早〜……えぇ〜困る〜」
ハキマはガラス造りの机にペタッとする。
「てか、別にいいんじゃない? わざわざ考えなくても名前でいいでしょ」
「ダメだよ!」
スピネルは興味なさげに言うが、ハキマはどうやら何か大きな理由があるらしく、血相を変えて体を起こす。
「だって名前言いにくいし覚えにくいじゃん! スピネル!」
「あなたナチュラルに酷いこと言うわね!? 親がつけた名前よこれ!?」
親、つまり下の名前か……まぁ使える情報か知らんけど一応覚えとこ。
「スピネル! スピネル〜!」
ハキマはなんとなくスピネルに抱きつく。
「なに? なんなのこの子は!?」
スピネルは理解不能そうにハキマを引き剥がそうとする。
「……なんか仲良いな……」
こんなトリオでやっていけるのだろうか...。
そんな疑問は俺の体内で完結し、俺は本日の疲れに脳が限界で、再びソファに倒れ込んだ――。
ご精読ありがとうございました!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




