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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第40話】女の子の部屋に住みたい

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン      透明人間。

ハキマ・クォーツ       メイトの同級生。

イト             メイトのゲーム相手。

 女は寮内の廊下で、自室の前で腕を組む。その前には浮かぶローブと睨んでくる桃色髪の女。

「いいわよ、勝負」

「助かる」

 俺はビシッとカッコつけていたポーズをやめる。

「じゃ移動しましょうか、ここじゃ他のみんなの邪魔になるでしょ」

 濃い紫色の髪の女は、髪とおんなじ小紫色の中に潜む紅い闘気をメイトに向けながら、横を通ろうとする。

「いや? すぐ終わるしいいだろ」

 それをメイトは止める。

「……すぐ終わる?」

「あぁ、あんたが馬鹿じゃないなら終わらないけど……まー見た感じ馬鹿っぽいし、どうせすぐ終わるからここでいいわ」

 女は眉をピクッと動かす。

「あら、そういうことはちゃんと相手を見てから言うものよ? まぁいいわ、ここでやりたいようだし、わざわざ相手の土俵に合わせるのも辛いわね〜」

 女は口に手を当てて嘲笑う。桃色髪のハキマはメイトに口を寄せる。

「勝負って、何するんですか?」

「なに、心配すんなって」

「質問に全く答えていないこの人……」

 俺はハキマに軽く返事してから、女を見る。

「んで、あんたはこの勝負に何賭ける? まぁ俺たちの、欲しいもの分かってるよな?」

「……えぇ、部屋でしょ? だから『この部屋をあなたたちに譲渡』でいいかしら」

 女は負けるわけないと、平然と言う。

「いや、別に欲しくない。ただそこに住ませてくれればいい、俺とこいつ」

 俺はハキマを指して言う。ハキマはグッと女を睨む。

「……そう、なら『私とあなたとその子以外立ち入り禁止』……などでどうかしら」

「ふむ……」

 メイトは顎に手をやり考える。

 正直、部屋を同じにしたのは監視していたいから。こいつがイトなら接触する回数が多い方が絶対隙を見つけられる。

 わざわざ透明人間の俺に話しかけてきたのも、単なる興味からか、それとも俺が日本人なのかを探りに来たのか、定かではないが、要注意人物ではある。

 ……結果、こいつもハキマもイトではなかったとしても、それはそれで信頼できる奴ができるのなら良し、とするか……。

「いいぜ、それで」

「そう、ならあなたは何を賭けるのかしら、私のに見合う物じゃなければ認めないわよ」

「そうだな……」

 俺はチラッと横を見る、ハキマは俺の言葉を聞きたそうに俺を見ていた。俺はフッと笑う。

「俺とこいつを自由に使っていい。捨て駒やら召使やら、奴隷のように使ってくれ。『俺とこいつはあんたの所有物になる』でどうだ」

「――なっ!!」

 隣のハキマが驚いて俺の腕を掴み、小声で話しかけてくる。

「マジですか!? 私この人の奴隷なるんですか?」

「大丈夫だ、多分……」

「なにが大丈夫なんですか……多分って……」

「んで? どうなのこの賭物、悪くないと思うけど」

 女は俺とハキマを一瞥する。

 奴隷……なるほどね、私に協力者がいないことを見越しての提案かしら。

 実際この学園生活は仲間が必ず必要。でも仲間なんて流動的な物より、このゲームで手に入れた奴隷の方が絶対安心できる……。

「いいわよ、その賭物で」

「よし、まとめりゃ俺は『学園生活あんたの所有物』。あんたは『この部屋を俺とこいつに使わせる』だな」

「えぇ、それでいいわ」

 実際、賭物なんてどうでもいい問題はゲーム自体……一体どんなゲームを……。

「なら早速ゲーム始めるか」

「どんなゲームにするの? ここでやるなら、大きな魔法攻撃は使えないけど」

「心配するな、そんなもんじゃない」

 俺はニヤと笑う。

「『私は今、何を考えてるでしょーかゲーム』だ!」

「ネーミングセンスないですね!?」

 ハキマに言われた。俺は小声でハキマに耳打ちする。

「――――――。別にいいだろ? 名前なんてどうでも……で? この勝負受けんの?」

 数秒の耳打ちの後、俺は平然と会話を戻した。

「……ごめんだけど、なにも内容が分からないわ」

 俺ははぁ、とため息を吐いてから説明する。

「あんたはこの世にある誰もが知っているような何かを一つ想像し、紙に書く。俺はあんたに"三つの質問"をするからあんたは"はい"か"いいえ"だけで答える。それで俺が答えれなかったら俺の負け」

 女は大体理解した。

「"はい"か"いいえ"以外で答えたり、嘘言ったりしたら反則負けな」

「……へぇなるほど……いいわ受けて立つ」

 女はポッケからペンと紙を取り出し、書いていく。

「よしゃ、俺見てないから書き終わったらこいつに渡して」

「も、貰います」

 ハキマは女から紙を受け取る。ハキマは内容を確認した後、俺の肩を叩く。

「よし、あとは俺が三つ質問すると」

 俺は固唾を飲む。

  ……いけるか? いや、いけるはず、ルール上間違いはしていない。あとは俺の屁理屈が勝負だ。

 女はニヤニヤしながら考えていた。

 何この勝負、私の方が圧倒的に有利じゃない。でも、不正がないか確認するのがあっち側の女……。

 私が嘘でも言ったらあの女にバレて私は反則負け……けど、魔法で文字を"書き換える"なんてことできないわけではない。だから――。

 バレないように、もう一枚書いたのよ魔法で、同じ物を紙に。

 これならあの女に渡したものに細工されても、私が持つもう一枚で言い返せる。

 女は笑いそうになるのを堪えて、メイトを見る。

 あなたの狙いは勝負に夢中になる私を他所に、あの女に紙に細工させ不正勝ち、なんでしょうけど……。

 甘いわね透明人間。さっき耳打ちしてたし、あの女と何か企んでいるのは丸わかりなのよ。やっぱり馬鹿だわ。

 女はメイトのことを上から嘲笑う。そしてメイトの最初の質問が発せられる。


「あなたは残り二回の質問に、"いいえ"と答えますか?」


 ? ……? は? え?

「はい?」

 女はそれを口にした直後、反射的に口を抑える。

「はい?」

 メイトはニヤと笑いながら聞き返す。

 危なかった……もしあのまま続きを喋っていたら、私は''はい"か"いいえ"以外で答えて反則負けだった。

 でもこの質問、ふざけている。"分からない"という選択がないならもうテキトー言うしかない。でも嘘は言えないからそれは絶対になる。

「……いいえ……」

 女はメイトのことを睨みながら答えた。

「いいえ、な。じゃあ二個目の質問。俺がこの勝負を降りても俺の勝利になりますか?」

 なっ!? それは……し、しかしこれは……。

「――……はい」

「じゃ最後、俺はこの勝負を降りますが、あなたは許可しますか?」

 女は抗えない負けの一筋に、感情を押し殺し答える。

「――っ〜〜――……はい」

「はい俺たちの勝ちな、じゃありがたくこの部屋使わせてもらうな」

「ちょ! ちょっと待ちなさいよ!!」

 女は怒りでメイトのことを睨みながら指差す。

「どうした?」

「完全にインチキじゃない! 認められないわ!」

「えぇ……いや勝負だし……」

 ムカムカとする女にメイトはため息を吐く。

「いいか? あんたの敗因は、『"はい"か"いいえ"』に疑問を持たなかったこと、"分からない"の選択がないことに気づけなかったこと」

 俺はハキマをチラッと見る。

「それと、俺があいつと耳打ちしたのを見て、あいつが何か細工をするもんだと思い込んだこと、実際俺はあいつに言ったのは「紙に細工する"風"にしてて」だったから」

 な、なに……?

「そ、そんなの……屁理屈だわ! 実際あなたは私が書いたものを当てれなかった! それは勝利の前提条件に反するわ!」

 女はメイトに詰め寄る。メイトは一切動かずに前から女を見据える。

「思い出してみろ、"当てたら"なんていってないよ、俺は"答えられなかったら負け"って言ったんだ。これは敗北条件であって勝利条件ではない」

「そんなの、同義でしょ!?」

「いや〜? 俺が言ったのは、俺が訊いた質問に対する"あんたの回答に対して答えれたら"って話だよ。だから俺は、一、二回目のあんたの返事に対して沈黙を返してたら負けてたってこと」

 なんと言う強引な勝ち方。女は怒りでプルプル震える。

「な、なんと言おうと、あなたの勝ち方はゲーム性に反してる、簡単に行ってセコいわ」

「なんと言おうと、俺たちの勝利に間違いないけどな」

 女はギロと、メイトを睨む。

「あの〜、僭越ながらいいですかね」

 ふと、ハキマが控えめに入ってきた。

「なに?」

「私にはこの勝負、いやもはや勝負とも言えないこれは、最終的には絶対メイトの勝ちになりませんか?」

「……は?」

 女は首を捻る。

「そうだよ、俺たちは部屋が欲しかっただけだから」

 メイトは答える。

 実際、奴隷になろうとも部屋の使用が許可されようとも、この部屋に入れるようになるのは同じ。

 しかし、女は反論する。

「いや、私が『外にいろ』って命令したらいいじゃない?」

「それは無理だよ、だって俺たち、あんたの所有物じゃないから」

「い、いや、今はそうだけど! 負けてたらそうなってたでしょ!」

 メイトは腕を出してルールと言い、現在のルールを見る。

「いや、ならないよ、だってこのゲーム……『"魔法"の勝負』じゃないから」

 女は目をパチパチさせる。

「学校のルールだったら、『全て魔法による勝負で決定する』ってなってるから、魔法が関与しない勝負は無効になるんだろ、あんたは魔法で文字書いたみたいだけど、それはただのイカサマに対する手段だからな」

 女は驚いた。この男は、最初から全て考えていたらしい。

「ほら、ルールにも、この部屋は俺とハキマとあんた以外立ち入り禁止なんて登録されてない。だからこの勝負は無効って訳」

 それを言われ、女は後ずさる。

 最初から、何も始まっていなかった。さらにこいつに全て読まれていていた。

 メイトは賭物が決定した時点で、"勝って"いたらしい。

「それで、じゃあどうなるの?」

 女は俯いて、負けた事実に悔しがりながら訊く。

「結局、この勝負が全て無効になるなら、あなたたちも部屋がない、何も変わらないじゃない」

「いや……どうかな、俺たち」

「は?」

 いきなり変なことを言われて顔を上げる。

「俺たち、なかなか優秀だろ?」

 そ、それは自分で言うのか……。

「よければ、協力しないか?」

 そして、メイトは女に手を差し出す。女は差し出された手を見る。

「? ……きょ、協力?」

「あぁ、あんた一人なんだろ? 協力者は多いほうが絶対良いからな」

 女はその手を数秒眺めた後、メイトを見る。そして腕を組み、ニヤと笑い上から見下す。

「勘違いしないでよね、協力すると言っても馴れ合う気はないから」

 メイトは差し出した手を無視されたことに驚きつつも、すぐにこれが彼女の"普通"なんだと理解した。

「フッ、あぁこっちもそんな感じだからよろしく」

 俺はポッケに手を突っ込む。ハキマはまだ彼女を懐疑的な視線で見ていた。

「ほ、ホントに協力するんですか?」

「まぁな、悪い勝手に」

「いえ、別にいいんですけど」

 ハキマは不服そうに口を尖らせる。それには悪いと思いつつ、俺は再び彼女を見る。

 肩甲骨ほどで揃えられた小紫の髪に、髪と同じ色の濃い瞳、その中に潜む紅。大人びた顔でありながら幼なげもある中立の顔。あと、胸が小さい。

 かくして、メイトは部屋と協力者(要注意人物)を手に入れた!

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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