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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第2章】神聖アルディア魔法学校編

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【第38話】入学式

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト・マルマロン      透明人間。

ハキマ・クォーツ       メイトの同級生。

イト             メイトのゲーム相手。

 大きな扉を開けて式場の中に入る。

 とても広い空間で、長椅子が並べられてあり、教会のような作りであった。

「うわ〜、やっぱり人もう結構いますね」

「そうだな……とりあえず座ろう」

 隣にいるのは薄桃色の髪の少女、ハキマ・クォーツ。俺は学校側から与えられた裾がずっと擦られるローブを着ているので透明化せず、俺の居場所は誰にでも分かるようになっている。

「そうですね、あそこ空いてますよ」

 ハキマが近くの空席を指す。

 ここは自由席なのだろうか、分からんがまぁみんな自由に話したりしてるしいいのかな。

「うし、じゃそこに座ろう」

 俺とハキマは式場の後方隅っこに座することにした。

 移動中、いろんな人から見られた。

 まーなんか浮いてるローブがあったら誰でも見るわな……別にいいけどハキマまで見られてたのは些か悪い。

「ごめんな、俺のせいでなんか変な目で見られて」

「いえいえ、大丈夫ですよ。それより結構人いますよね」

 ハキマは手をフリフリしながら微笑む。その後周りを見て人の多さに圧倒される。

「確かに、ザッと三百はいそうだよな……さすが最高峰の魔法学校……」

「そうですね、私の学校なんか一クラス十人とかでしたから……メイトさんの学校はどれくらい人いました?」

「いや、俺学校行ってないよ」

「え!? ほんとですか!? じゃどうやってここ入ったんですか」

 ハキマは口に手を当てて驚く。俺は考えた後答える。

「んー、強いて言えば家庭教師? まぁ俺の場合ちょっと違う受験だったから」

「へ、へー家庭教師ですか、家庭教師だけでここ受かるなんて相当すごい家庭教師なんですね」

「まぁな、あの、メアリー・フォレスト・レンズだからな」

 そう、あの天才にして最強の魔法使い、メアリーによっていろいろ指導された身、並の家庭教師とは違う。

「メアリー? 誰ですか?」

 ハキマは首を捻る。

「え、知らないの? ほらあのフォレストの」

「すみません、私田舎っ子なのでそういの詳しくなくて……」

 ハキマは頭を触りながら誤魔化すように微笑む。

「フォレスト知らないって結構田舎だな」

 まぁ俺もフォレスト以外なんも知らないから人のこと言えんけど……。

「親に応援されて、頑張って魔法勉強して、受かったんです。やっぱりこんな田舎もん、田舎で終わるべきだったんでしょうか……点数もマジでギリギリでしたし」

 ハキマは少し顔に影を被せながら言う。

「いや、そんなことないだろ。田舎とか関係なしに受かったんならすごいってことだろ」

「ですよね〜!」

 ハキマはパッと楽しそうに笑う。

 良かった〜、私みたいな田舎の人いて〜、みんな王都からだと思ってたから安心〜。

「にしても……今なんの時間なんだ?」

 ふと、周りを見れば、みんな新しい学校生活を共にする仲間と信仰を深める雑談をしている。

「そうですね、もう集合時間もとっくに過ぎてますし……」

 ハキマは自分の腕時計を見ながら呟く。

 あれか? 『皆さんが静かになるまで十分かかりました』ってやつか? 小学校?

「そもそも式場って何やんの? 入学――」

 次に瞬間、式場の前方にある祭壇のような場所に炎が立ち上った。

 渦を巻きながら高く巻き上がる炎、開場の全員がそれに釘付けになり、言葉を止める。

 やがてそれは薄く消える。そしてそこに残ったのは"幼い少女"。

 

「あーこほん。諸君らおはよう」

 

 呟くようなその声は、式場内を反響し全ての耳に残る。

 地面についてしまうほどのボサボサのオレンジ色の長髪。重く今にも閉じられそうな瞼。式典とは似合わない薄いTシャツ。

 何より、幼い。シャルと同年代かそれ以下。間違いなく小学一年から二年だろう。

「あー、なんだっけ……あーとりあえず入学おめ」

 その軽い言動に、場の全員が固まる。生徒たちを囲んでいた職員らは当たり前のように話を聞いている。

「えー、私はこの学園の最高責任者、いわば校長である、名前は伏せさせて貰おう……長ったらしい祝賀の言葉は面倒なので割愛する」

 校長と名乗った少女はボソボソ続ける。

 名前を伏せる……? なんのために……。

「まずこの学園のルールを言う。まず一」

 校長は人差し指を立てて言う。

「一、生徒間での殺害の一切を禁ずる」

 な、なんだそれ、当たり前のことだろそんなの。

「ニ、この学園の全ては魔法による勝負で決定する」

 校長は指を二本立てて言う。ザワと会場の空気が揺れる。

「あー、つまり、友達から恋人、部屋割りや役割を決める際、それに異議を唱えることができ、それは話し合いではなく魔法の勝負によって判断するということだ」

 全てを魔法の勝負で決める。

 話し合うことすら許されないルール、事前に話し合い、勝負でわざと負けるとかして決めるということか? わざわざめんどいな。

「三、"一"に反しない限り、勝負に賭けるモノは問わない」

「四、勝負によって決まったことは絶対厳守である」

 なるほど、だから友達とか部屋割りとか、そんなモノまで賭けれるのか……。

「以上である。このルールは私の名の下のルールである」

 つまりそれは、『このルールに異議があるなら私と魔法で勝負をせよ』と言うこと。

 もちろん、この場で反論する人などいない。

「あー、それと学園外に出ることは禁止だ」

 校長は頭をかきながら付け足すように言う。そして、静かになった式場全体を一瞥に後、宣言する。


「では諸君、ゲームをしようか」


 ゲームだと……?

 メイトは気持ちを切り替えて校長をゲーム相手として見据える。

「題して……あーそうだな……」

 校長は小さい手を顎に当てながら考える。そして、呟く。

「『誰が一番カスなのかな? 自分かな? ゲーム』だ」

 なんだそれ、ネーミングセンスが終わってる。しかし嫌いではない。

「ゲーム内容は、"自分は受験点数が最も低い、と思う人は挙手せよ"。挙手者が一人な場合諸君らの勝利、二人以上もしくは零人場合私の勝利である」

 それを言われ、ドキッとする。

 間違いなく俺、たったの1点で入学など俺しかいないはず。

「私はこの勝負に『校長という肩書きを棄てる』を賭けよう。諸君らには『先ほどのルールを絶対厳守』を賭けてもらう」

 ……こちら側の賭けものまで決めるのか。それはいいのか? まぁ別にいいけど。

「では今から一切の文言を禁止する、喋ったら君の敗北、"五分後に君の答えを聞こう"」

 全員に言われたはずの最後の言葉がまるで俺だけに言われたように錯覚する。

 ……手を上げるのは簡単。しかし俺以外に誰も手をあげないとも限らない。いや、限られるわけがない。

 メイトは顎に手をやり考える。

 もし、全員が自己肯定感高いやつだったら上げないだろうが、そんな訳もない。もしかしたら俺が一番? なんてみんな考えること。

 意思疎通が図れないなら、協力不可。よってすべきことは、"全員が熟孝の末に行き着く一つの答え"を考えること。

 まず、自分は手を挙げないと考えるのが大体。挙げるリスクを考えれば挙げない一択。

 問題はどうやって"一人だけ"が挙げるか。

 校長は"最低値の点数を取った人"が挙げるではなく、"取ったと思う人"と言った。つまり点数関係なくただ"一人"だけが挙げれば良い話。

 なら全員、その一人を決める方法を模索するはず。

 次の瞬間、大きな音がした。それは誰かが音を立てて立ち上がった音である。

「俺は俺が低いと思う! 2――――」

 次の瞬間、瞬いた瞬間、その男は消えていた。

「あー、失礼、ペナルティを言ってなかった。もしルールを破った場合、"即刻退学"、だ」

 じゃ、今のでさっきの男は退学になったのか?なんと言う鬼畜。南無。

 しかし、二――……"2"か"2?"か"2??"……もし2点だとしても俺は一点だから変わらない、しかしそれは19点の人間も思うこと。

 一番低いと思うやつが2――となったことで、最高ライン200点となった。つまり199点までは自分が最低という可能性はあるわけだ。

 ……いや、本当に200点が最低値で、本当に最低のやつが消えたなら200点より上の可能性もある。と、普通は考えるか……。

 結局変わらない。

 どうやって、たった一人が手を挙げる……。

 その時、その場の全員が声にならない驚きの"何か"を発した。

 それは校長の頭上、そこに大きく炎が浮かんでいた。


『私は手を挙げる』


 それは校長が現れた時の炎に対して煽るように、渦巻いていた。

「おやおや、これは……」

 ずっと眠そうにしていた校長は、首を捻り後ろ上を見て、ニヤと笑う。

「失礼、魔法による意思疎通も禁止とする」

 まぁ既に遅いだろうが……。

 そして、炎による文字は消える。

 私は手を挙げる……まさか魔法で文字を書いてくるとは、確かに校長はルール説明の時禁止にしなかったが、普通はダメと判断する危険な行為だ。

 ――勇者がいたか。

 そうなるともう誰も手を挙げないだろう、その文字を出した人を信じて手を挙げないのが得策。

 だが、このメイトは疑うことは一人前であった。

 ――本当にあの文字は"生徒の誰か"が書いたのか?

 学校側の誰かが俺たちを騙すために仕組んだことかもしれない。

 ……誰も手を挙げないなら俺たちの負け……なら手を挙げるのも一手。実在生徒がこんな危険な行為、できるだろうか?

 メイトは顎に手をやり、眉を寄せる。

 その人が挙げるかもしれないが、それは生徒じゃないかもしれない。生徒ではないなら誰も挙げずに負ける……しかし……。

 手を挙げる……挙げよう!!!

 俺は決心する。

 結局堂々巡りだ。疑ってばっかじゃなにもできない。手を挙げよう!!

「あー、そろそろ五分か、では私が腕を下ろす瞬間に手を挙げよ。挙げる気がない者は微動だに動くな、動いた者は挙手したと判断する」

 校長は短い手をみんなに見えるように挙げる。

 ――ごくっ、と誰かが固唾を飲んだ。

 そして、手は振り落とさせた――。


――――――――――――――――――――


 なん、だと……。

 俺は手を挙げた、勝つために。だが――。

「な、なんで"挙げてんの"……!?」

 隣に座ってるハキマに小声で聞く。ハキマは平然とその手を挙げていた。

「へ? いや、なにがですか?」

「何がって……」

 俺はハキマをひとまず置いて周りを見る。

「ふむ、"五十人ほど"か……悪くない」

 校長は"手を挙げた人"を見て、呟く。

 そう、手を挙げたのは一人二人ではなく、もっと多くの人が手を挙げていた。そしてその人らはそれが当たり前と言うように澄ました顔で動かない。

 それと対照的に"手を挙げなかった人たち"は動揺している。

「な、なんで手を挙げたんだよ! 普通あの文字があったら挙げない一択だろ!?」

 俺はハキマに視線を戻す。ハキマは汗を垂らしながら小声で答える。

「え? じ、じゃメイトはなんで挙げたんですか?」

「俺はみんな挙げないことを見越して……!」

 ま、まさかハキマもそれを見越して……。

「あ〜、私は"負けてもいい"と感じたので……ダメでしょうか?」

「負けても、いい?」

「だって負けたときのペナルティはあのルールの絶対厳守ですよね? なら別にいいかなって」

 それを言われ、ハッとする。勝ち負けにこだわり、そこまで気にしなかったが、勝つ必要性がない……?

「多分、私以外に手を挙げた人も同じ考えだと思いますよ、それにあの文字を見て思ったのは、『私と同じ考えの人いるんだ』ですよ?」

 同じ考え……勝ちにこだわらないということか。あぁ、だから「私『は』手を挙げる」なのか。つまり、言わば、"私はこのルールに異議はない"ということ。

「あーでは、これで諸君らの敗北だ、ということで、先ほどのルールを絶対厳守というのが適応された」

 校長は眠そうな目をこすりながら宣言する。

「君たちの聡明な頭脳を最大限に発揮し、殺害せず魔法で勝負し勝ち上がれ。弱き者は淘汰される排他的な構図で生きてみよ」

 校長は上から生徒たちを睨みながら、その体が燃え始める。

「そして、この学園の最高の魔法使いになれれば、『最上位魔法使い』と称号を与えよう。それに届くよう、せいぜい励みたまえ」

 すると、炎は校長を包み、渦を巻きながら立ち上る。

「君たちは自由だ。さぁ、次は何をするのか、考えよ」

 校長の言葉は最後まで式場に響いた。そして炎が消えると校長の姿も消えていて、残ったのは静寂だけだった。

「自由だと……」

 俺が呟くと、それに反応したように職員の誰かが声を上げる。

「式典は以上です。授業は明日からですので、今日のうちに生徒寮にて自分の部屋を決めてください、学園内の地図は入口にて配布いたします」

 それを言い終えると、声はなくなった。すると先ほど手を挙げていた生徒らが先陣を切り立ち上がり、スタスタ歩いて行った。

 それに続くように他の生徒もざわざわ移動し始める。

「私たちも行きましょう」

 隣のハキマは立ち上がり俺を見る。

 どうやらこの学校は、俺が思っていた以上に打算的らしい。

「"勝ちたい"と思うだろゲームなら、普通……」

 俺の囁き声は誰にも聞こえず、ただ喧騒の中に消えていった――。

ご精読ありがとうございました!

毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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