【第36話】ただの人間
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト 主人公。透明人間。
メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。
ハル・マルマロン シャルの母親。
「ゔぁ」
「お、おぉ……久しぶりだなぁ……」
俺はマルマロン家の前、簡易的な木製の正門を出てすぐの道にいた。
そして目の前に『ファラウマ』……。
『ファラウマ』とは、メアリーと俺が出会った時に乗っていた乗り物を引っ張っていた生物。
一見恐竜。てか恐竜、詳しくないから知らないけどくちばしや蹄、鱗なんてすごい恐竜。
「ちゃんと来ましたね、偉い子」
メアリーはファラウマの頬を優しく撫でる。ファラウマはネコのように目を細める。
「さて……」
メアリーは哀しむように小さく呟いた後、馬車の扉を開けた。
「これでさよならです」
メアリーは振り返り、ハルさんと俺を見据える。それでも、俺とは目は合わない。
「そうだな……まーなんだ、頑張れよ」
俺は自分の感情を隠すように道化る。
メアリーはそんな俺を見て、メアリーもまた、道化る。
「うんもちろん! それに、会いに来てくれるんでしょ? それだけで頑張れるから」
メアリーは太陽のような笑顔で俺に微笑みかけた。それはメアリーがメイトと過ごした一年間で身につけた、精一杯の道化であった。
俺はメアリーのその笑い方が、まるで、まるで、妹のように見えた。
「――――」
もう一年、妹と会えなくなってから一年。
「フッ、悪い……強がってた」
俺はフーと強がりを吐いてから言う。
「俺、人と別れるのがこんなに辛いもんだとは思ってなかった、今までそんな人いなかったから……メアリー、ありがとなホントに。俺はメアリーがいなかったら、"メアリーじゃなかったら"ダメだった」
「……はい」
「俺、メアリーに何もしてられなかった、ホントごめん」
俺は果たして、メアリーの役に立ったのだろうか?その疑念が今、心を満たしていた。
「では最後に、私のお願い聞いてくれますか?」
メアリーのお願い? そんなの初めてだ。
「いいぜ、なんでも」
メアリーは頬を紅潮させながら馬車に乗り込み、ゆっくり時間をかけて振り返り、内側のドアノブを掴む。
「では、ここに立ってください」
「え?」
メアリーは地面を指す。俺はススと移動しそこに立つ。
「ふむ」
メアリーは呟きながら目を開く。
光の反射や屈折は全くない。やはり全く見えない。でも、"分かる"。
「――――――」
メアリーは顔を下げて、口を出した。そして、メイトの頬に口を当てた。
「――!?」
メイトが何をされたか理解する前にメアリーは急激に顔を赤く染め身を引く。俺は頬を触りながら後ずさる。
うぇ!? え? えぇ!!? きき、"キス"!?
俺は驚きで全く声が出ない。
メアリーは照れて視線を惑わせた後、バンっと扉を閉めた。
「……ゔぁ」
するとファラウマが唸り、走り出した。俺は硬直したままそれを顔だけで追う。
そして、メアリーはもと来た道を引き返していった。俺はメアリーを睨んだまま、しっかり時間を置いてから、呟いた。
「――可愛いすぎるだろ……」
俺は意識が覚醒して、大きく息を吸い込み、叫んだ。
「すぅぅぅ……ゼッテー会いに行くからなぁ!!!!!」
メアリーに届くように、村中に響くような声で叫んだ。メアリーに届いたことを願って――――。
――――――――――――――――――――
メアリーを送った後、俺とハルさんは庭に来ていた。
「んで? こいつを壊せば転移魔法が発動すると……」
俺は手を中にある宝石のような石を見る。と言っても透明なっている。
「ハルさん、一年間ありがとうございました」
「ううん、こちらこそありがとね」
「なんか途中は殺させるかと思いましたけど、なんだかんだ楽しかったです」
「うん、私もシャルもそう思ってるわ」
ハルさんはそう微笑む。
「でもあれよね?」
ふと、ハルさんは顎に手をやり考える。
「やっぱり私の"そういうこと"は、見てないのよね?」
「みっ、見てないですよ!!」
俺は手をブンブン振って否定する。ハルさんは俺の反応を見て微笑む。
「うん、分かってる」
「……」
まるで、この一年で理解した、と言うように、ハルさんは俺を母親のような優しい瞳で見た。
「……ホントに、ありがとうございました」
俺はそう言って魔法で石を破壊しようとする、が。
「あのさ、メイトくん」
ふと、ハルさんが神妙な顔つきで呟いた。俺は魔法を止めてハルさんの言葉に耳を傾ける。
「メイトくんが来てから、この村は明るくなった気がするの、それにシャルも明るくなった。メアリーちゃんには悪いけど、メアリーちゃんだけだったこうはなってない気がする……」
ハルさんは魔法陣の外側で、俺を見る。
「メイトくんがこの村を一つにした気がする……メイトくんって"何者"なの?」
ハルさんは、俺を懐疑的な視線で俺を見る。俺は考えた後、口を開いた――――。
――――――――――――――――――――
――王都、アルディアに聳え立つ、城のような屋敷のような建物。
その建物の、最奥にして最も上位の人間、つまり支配人が私用とする部屋、そこに、メアリーは平然と立っていた。
誰もが萎縮してしまう鋭い瞳や有無を言わさない雰囲気、威厳さの塊のような図々しさ、その全ては彼自身の功績からくるモノで、それはメアリーも承知の上であった。故に、"あえての対等"。
「……今までどこに居た」
男は低い声音でメアリーに問う。
「……家庭教師をしていました」
「――はぁ……くだらん、お前はフォレストの代表であり威厳そのもの。弱者に構うなぞ、とんだ恥晒しだ」
男は酷く落胆した後、メアリーを睨む。
「我々は王と国に全てを捧げる身、弱者など、弱者同士で助け合えば良い。世界とはそういうものだ」
「それは間違いです、"お父さん"」
この、威厳と尊厳の塊こそ、天才メアリーの父親。
「私は弱者です」
メアリーは父親を蔑むような瞳で言う。
「……私はこの屋敷を出てから数年間で、いろんな人と出逢いました。みんな優しかったわけではありません、世間からフォレストがどう見られているのかよくわかりました……」
メアリーは目を細めて、孤独だった過去を思い出す。しかし、笑う。
「そんな中、ある人と出会いました。その人はまるで子供のように何も知らないで、魔法を使えない、お父さんの言う"弱者"でした、が、"私より強かった"です」
メアリーは机に肘をつき座る父親に歩み寄る。
「弱者とは、強者と関わることで気づけるのです。自分の弱い所や、強くなり方を。私はその人によって弱さに気がつけて、変わろうと思えました」
メアリーは、メイトのことを想い、胸に手を当て微笑んだ。
「その人は私に会いに来てくれると言ってくれました、だからそれまでに、強くなるんです」
「……できるわけない、メアリー、お前はもう逃がさない」
「それでも、彼は来ますよ」
「……無理だ、お前は今からここの監視下に置く、簡単に接触させない」
父親は脅すように言う。メアリーはすまし顔で笑う。
「あら、何か勘違いしていますか?」
「……?」
メアリーは上から父親を見下す。
「この屋敷の誰よりも強いですよ彼は……もちろん、お父さんよりも」
「…………」
父親はギロと下から睨む。メアリーはそれを横目に振り返る。
「では、私は部屋に戻ります」
「待て」
父親は立ち去ろうとするメアリーを止める。メアリーは分かっていたと言わんばかりに微笑みながら振り返る。
「はい?」
「ありえない、過言が過ぎるぞメアリー……世界最高峰の魔法使い一家を上回るやつなど存在しない。どんなやつなんだ?」
父親の問いに、メアリーは間を置いてから口を開く――――。
「ただの人間ですよ、身体が透明なだけの――」
「ただの人間です、身体が透明なだけの――」
時間と場所、相手や空間、全てが異なるが、それでも俺たちは――。
――同じようなニヤついた顔で、そう言ったのだ――――――。
俺は目を丸くするハルさんを横目に、魔法石を上に投げる。
形状、大きさ、回転、重量、力量、角度……。
「フッ」
メイトの予測は正確で、透明な手のひらサイズの魔法石に魔法を当てた。
全方向から殴られた魔法石は、パキッと音を立てて砕けた。すると魔法陣から光が発せられる。
すると、魔法は俺の体を包む。
次の瞬間、言葉が聞こえた。
――実は、ヤったというのは噓でした――。
それは、もう何ヶ月前かも思い出せない過去の話。俺が童貞だかなんだか話していた時にメアリーが言った、一言の嘘であった。
……全く、やっぱり処女じゃねぇか――――。
その思考を残して、俺の体は微粒子レベルに分解され、学校に転移された。
そうして、俺の学校生活は始まった。
ご精読ありがとうございました!
いや〜、タラタラ投稿して、第1章終わりました!
一話から見てくださった方も見てない方も、読んでください本当にありがとうございます!
はてさて、明日から2章始まるのでぜひ!!
毎週平日の朝、投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




