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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第1章】マルマロン家編

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【第31話】義理の妹

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

「たっだいまー!」

 リビングに入ってきたのは、先ほどゲートを繋げに行ったメアリーと、その後ろから謎にテンションが高いシャル。

「おかえりー! どうだった?」

 ハルさんが聞くと、シャルはビシッと親指を立てて笑う。

「完璧だよ! メイト風に言うならKAN & PEKIだよ!」

「そう! よかったわ〜!」

 ハルさんはメアリーを抱く。それを横目にメアリーはソファに寝っ転がっている俺を見た。

 ……そうか、上手くできたか……。

 俺は安堵しながらメアリーを無視してシャルに近寄る。

「あ、メイト」

 シャルは足音で俺に気がつく。俺はシャルの頭を撫でた。

「お疲れ」

「……うん!」

 シャルはしわしわと撫でられる頭を触りながら微笑んだ。

「さて、ご飯にしよっか」

 ハルさんはそう、手を叩いて笑った。


――――――――――――――――――――


 食卓でシャルによる受験の話を聞きながらご飯を食べ終わり、各々(おのおの)まったり過ごしていた。

 俺はいまだに食卓に座ったままだった。

 ふと、隣に座るメアリーが俺の足を突いてくる。

 言うなら今ですよ……。

 覚悟を決めて、言うしかない!

「あーちょっといいですか? 集合」

 俺が声を出すと、ソファに座っていたシャルとハルさんは首を傾げながら食卓の椅子に座る。

「どうしたの?」

「あー、ちょっと言わなければならないことがありまして...」

「言わなきゃならないこと?」

「えーっと……」

 俺は深呼吸してハルさんとシャルを見据える。

「俺、学校に行くことにしました」

「……」

「……」

 二人は真顔で声の続きを聞く。しかしそれ以降声は聞こえない。

「へ?」

 シャルがやっと反応した。

「実は、この前言った悪魔と今日話したんです。その流れで俺は神聖……アルなんとかかんとか魔法学校に入学することにしました! 拍手!」

「えぇぇ!!」

 ハルさんがガタッと立ち上がり驚く。

「メイト君学校行くの!?」

「は、はい、だからもうすぐこの家を出ていく……」

 それを言った時、俺はチラッとシャルを見た。

「家を……出ていく……」

 シャルは心底驚いたように瞳を震わす。

 俺はズキっと心が傷つく。

「ごめんシャル、別れるのは嫌だろうけど……ホントごめん」

 俺は頭を下げた。

「え、いや、別にいいけど」

 あ、あれーーー?? なんか意外と大丈夫そうだぞ? 全然嫌そうじゃないぞー?

「え? あ、いやだってほら、もう会えなくなるんだぜ?」

「だって私が学校に受かったら全寮制だからここには帰ってこないから、もともと離れるよ?」

 えーー、聞いてないんだけどメアリーさん?

 メアリーは納得した顔つきで俺を見ていた。

「あー、メイトはシャルが悲しむと思って言いにくそうにしてたんですね」

「バレたん? いやーてっきり『行かないでぴえん』ぐらいはなると思ってたんだけど」

「は、はぁ……」

 まぁ、悲しんでくれなかったのはアレだけど、逆に心残りもなくていいかな?

「でもさ、今から入れるの?」

 シャルが言う。メアリーは予想通りという顔で答える。

「正直言います、アルディアの受験は昨日です」

 え?

「じゃ無理じゃん」

「まぁ普通そうなんですが……私が推薦状を書きます」

 メアリーは覚悟を決めた顔で言う。

「推薦状?」

「私がフォレストの名前を使って推薦状を書けば、いくらか考慮はしてくれるでしょう」

「でもそれってメアリーが……」

 メアリーがそんなことをすれば間違いなく足が浮く。フォレストの人たちに自分のことがバレてしまう。

「いいんです、私はあなたのために出来ることは……したいので」

 メアリーは髪を耳にかけて笑った。

「それに、逃げるのはもうやめました、私はあなたが学校に入学する時、家に帰ります」

「――……メアリーが決めたことならいいと思うぜ」

「はい、まぁもともとハルさんとは一年契約で、ちょうど今日、契約が終わりました。ので、これから暇になるので、帰ります、家庭教師も多分辞めますね」

「そうなんか……」

 別に、メアリーと別れることは決まっていたんだ。それにメアリーがどう生きようと勝手、しかしなんだか悲しい。

 俺がメアリーを好きだからか? 恋しく感じるのは……。でも好きなら相手のことを尊重するもんだろよ。

「メイトのおかげです、メイトが私と会ってくれたから、変われました」

「……フッ、まぁな」

 俺はなんと返事していいか迷い、誤魔化した。

「でも一番の問題は他にあります」

 打って変わってメアリーが神妙な顔つきで口にした。

「なに?」

「名前です」

「名前? メイトって名前があるじゃん」

「それは分かります、しかし家系の名前は持っていませんよね、それに生まれも言えないなら、そんな人を学校側が認めるとは思えません」

 ふむ、名字に出身か。俺はいろいろ個人情報が少ないな。

「……メイト君は何か考えてる?」

 ハルさんはいつもより怖い顔で聞いてくる。俺は少し迷った後、答える。

「ないです、強いて言えば全部でまかせとか」

 ないなら作ってしまえばいい、テキトーにいい感じの地名を生まれにして、いそうでいない家系の名前を作る。

「ならここを名乗りなさい」

「え?」

 ハルさんは俺の反応を見た後、フッと笑った。

「あなたはもう家族よ、あなたが良いなら『マルマロン』と名乗りなさい、生まれもこの村でいいわ。きっと村のみんなも良いと言うわ」

 その言葉にウルッときた。俺は我慢して平然と答える。

「……ありがとうございます、使わせてもらいます」

「うん、じゃあ、あなたの名前は今から?」

 ハルさんはニヤと笑いながら俺を指す。

「『メイト・マルマロン』です」

「はい正解〜!」

 ハルさんは体を左右に揺らしながら拍手する。

 隣のシャルはピコーんと気づく。

「てことは私のお兄ちゃん!?」

 お、お兄ちゃん!?

「そうよ〜、血の繋がっていない兄ってことだわ〜」

 なにそれラブコメ? 義理の妹系? くそっ! あとシャルが八歳、年取ってたらいけたのに! これじゃただのシスコンでロリコンじゃねぇか!! ツーアウト決まってんじゃねぇか!!

 俺は悔しさで涙を流しながら拳を、悔しさを込めて強く強く握る。

「うわーお兄ちゃんかぁ〜変な感じ」

「――ッ! ……ま、まぁそんな自覚もないし、今まで通りいこうぜ」

 俺は自分の悔やまれる気持ちを押し殺して、努めて冷静に返事をする。

「まぁね」

 そんなことで、妹ができた。

「これなら問題ないな! 俺はメイト・マルマロン! 生まれはこの村! 義理の妹もいる! これで行けるな!」

「ま、まぁそうですけど、まだ受験できるとは決まってませんからね、そもそもあなたが受験合格できるかどうかすら...って妹関係あります?」

「大丈夫だって! 俺なんだから!」

 俺はメアリーの肩を叩く。

「その自信はどこからくるんですか……」

 メアリーはため息を吐いた後、立ち上がる。

「……分かりました、では今すぐ学校の方に推薦状を送ります」

「おお! 頼んだ!」


――――――――――――――――――――


 マルマロン家での会話の後、数時間後――――。

 神聖アルディア魔法学校では、昨日行われた受験者のチェックが行われていた。

 はぁ……やっと半分か……今年は何人落ちるのやら……。

 ある部屋で一人で作業していた女性、仕事中とは思えない部屋着のような軽い服、浮き上がる胸、翻るボサボサの髪、眠そうな瞼。

 部屋は社長が座るような大きな椅子と机だけで壁には本棚が置かれてある。机の前には大きな空いたスペースがある。

 すると、コンコンと、優しくドアが叩かれる。

「どうぞー」

「失礼します」

 入ってきたのは若い男性、その手には一枚の紙が持たれていた。

「どうかしたかね?」

「はい、実はちょうど先ほど、こちらのようなものが届きまして……」

 男は困惑した様子でその紙を机に置く。

「なんだこれは……?」

 女は眉を顰めながら紙を手に取り、広げる。

「『推薦状』だと? ハッ、馬鹿馬鹿しい、こんなものに意味はない、そもそも受験は昨日終わったんだぞ?とんだ馬鹿がいたものだ」

 女は一番上の文字だけ読んで察し、机に投げる。

「捨てておけ」

「し、しかしシーラ審査長……」

「私は忙しいのだ。即刻廃棄し、仕事に戻れ」

「しかしその差出人が……」

「差出人?」

 女は紙を持ち上げなにやら書いてある文字をすっ飛ばして一番下を見る。

『メアリー・フォレスト・レンズ』

 め、メアリーフォっ……――。

 その名前を見た途端、目を開いて固まる。

「フォレストってあのフォレストか?」

「はい、そうでしょう……」

 女は顎に手をやり考える。

 あの王家直属の魔法使いの家系から、推薦を受けた人物がいるのか? それは誰?

 女は紙を上から読んでいき、その名前を見つける。

「『メイト・マルマロン』?」

「はい、一応調べたんですが、どこの学校にも名前がなく、どんな人物なのか全く情報がないんです」

「なんだと……」

 そんな人が...フォレストから推薦? 絶対何かある。

「それと、意味不明なことが書いておりまして……」

「意味不明?」

 女は男の話を聞きながら読み進める。

「『その男は、透明人間です』だと?」

「はい、そこは唯一謎の部分でして……」

 透明人間...相手がそういうならそうなのだろうか、しかし透明人間など本当に……?

 まぁ、この状況だ。ここは……。

「分かった、受理しよう」

「ほ、本当ですか?」

「えぇ、フォレストからの推薦状なら断るにも断られない、それに、もしかしたらとても優秀な生徒かも知れないしな」

「そ、そうですね、では承認の手紙を送りますね」

「えぇ頼んだ」

 そう言って、男は急足で出て行った。

 女は椅子を回転させ、窓の外を見る。

 しかし、いくらフォレストの推薦とは言っても手加減はしない、しっかり点をつけさせてもらう、それで落ちたとしても何も責任は負わない。

「さて、どんな奴が来るのやら」

 女は面倒くさくなり今日の仕事は切り上げて帰ることにした――――。


――――――――――――――――――――


 翌日、マルマロン家の庭にて――。

「では、昨日受験の承認の紙が届いたので、あなたをこれから受験会場に飛ばします」

「あぁ」

 俺はシャルと同様に、庭に描かれた魔法陣の上に立っていた。

 シャルの魔法陣とは模様が違う。おそらく転送場所によって模様が変わるのだろう。

 それは学校から送られた承認の紙に描かれていた。

「おそらく学校側は私が使ったフォレストの名前であなたを認めました、けど多分それだけで、あなたを合格にするとは決まっていないです」

「だろな、まぁ頑張ってこいってこったろ?」

「はい」

 俺は親指を立てて自分に向ける。

「フッ、この俺だぜ? メアリーに勝った俺だぜ?」

 そういうと、メアリーは眠そうな瞼を少し開かせた後、微笑んだ。

「そうでしたね」

「あぁ、だから心配はない……オレは信じるぜ。メイトの奇跡ってヤツを――」

「あなたそれ好きですね……」

 メアリーは何のこっちゃと汗を垂らしながら笑う。

「ご武運を――――」

 するとメアリー手を魔法陣に向ける。魔法陣は眩く光出し、俺を包む。

「まぁ、安心して待っ――――」

 俺は言い切る前に飛ばされた。

 メアリーは誰もいなくなった魔法陣を眺めて、呟いた。

「――頑張って――」

 そうして、メイトの受験が始まる。

ご精読ありがとうございました!

不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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