【第30話】待ち合わせ
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト 主人公。透明人間。
メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。
シャル・マルマロン メアリーの教え子。
ハル・マルマロン シャルの母親。
ライカ 元山賊。
「んで、どうやって悪魔と話すの?」
シャルを送り出したあと、悪魔の返信がちょうど来た、ので一度部屋に戻って←今ここ。
「今、この光板は悪魔側と繋がっています」
メアリーはベットに座りながら空を指す。そこには平たい光が浮いている。
「なんほど……つまり文字だけと」
「はい」
会話は全て文字、ネットとおんなじか。いやネットよりも低性能か? まぁいい。
「分かった、俺はどうすればいい?」
「あなたは文字を書く魔法使えませんよね?」
あー、メアリーとかシロツメが使ってたやつか。
「使えないな、俺は変わらず動かす魔法しか使えん」
「それだけであんなに強いんだからすごいんですよあなたは」
「まぁまぁ、しかし使えないならどうなる?」
メアリーはポッと指先を光らせる。
「私が魔法を使えますから、あなたが私の手を持って書くしかないです」
「了解」
俺はメアリー手を掴む。メアリーは一瞬ビクッとした後、深呼吸して人差し指を伸ばす。
俺は息を吸い込んで、光板に文字を書いた。
――――――――――――――――――――
当たり前なことだが、時間は常に平等で、常に繋がっている。
それはどれだけ離れていても、同じ時を誰もが過ごすのだ――――。
――真っ暗な空間に浮かぶ光板の前に、その人物はいた。床にペタと足を外側に折り座るその人物は、顎に手をやる。
「まさか九ヶ月前とは……こんな早く反応があるとは思いませんでした……見逃してた」
その視線の先にはメイトが送った文字。
『貴殿は日本語が大丈夫ですか?』
その人物は眉を寄せて声を出す。
「……これ、なんと読むんですか?」
それは後ろにいる、もう一人に向けて発せられた。その人物は一人目の肩に手を置き考える。
「貴殿よ、意味はあなたと同じくらいだわ」
しかし、貴殿……なぜ「あなた」ではなく「貴殿」などと……。
その人物は肩を放し、歩く。
姿はメイトと同じぐらいの十代の女の子。健康的な体型にピンク色のブカブカのパーカー姿で下は履いていない。ポッケに手を入れながら暗い部屋の中を歩く。
……私はなるべくこちらの素性がバレないように英語を使ったけど、同時に地球人なら誰でも知ってる言語であるのも理由。
英語に対して日本語で返す時点で相手は間違いなく日本人。となると……。
「貴殿…………試した?」
わざわざ貴殿を使ったのは相手が日本人か探るため、伝われば高確率で日本人だ。
こちらから聞きたいことは山のようにあるが、まだだ。
暗闇で結論に至った女は喋る。
「あっちは何か考えている、わざわざ貴殿を使うなどという小癪な真似せずに普通に『日本人か?』と聞けばいいのを遠回しに探ろうとした、明らかに何かある」
女はポッケから手を出し最初の人物の肩に手を乗せる。
「今から私が書く、あなたはそこにいて」
「分かりました」
すると最初の人物は横に避ける。そして空いたスペースに女が腰を下ろし、あぐらをかき、膝に腕を立てる。
しかしなぜ探ろうと……ラプラスの悪魔による地球人を見つける作業、ラプラスの悪魔が関わること全てを英語表記にして、反応があるかを調べようとした……一見すればただの同類を連想するだけでなにも疑う余地はないはず。むしろもっと友好的に接するものでは……。
まぁそこも攻めるしかないか……。
俺はメアリーの指を借りて文字を書いていく。
最初に送るのはこれしかない。
これで相手がそうなら大成功だけど……。
女も光板に書き込んでいく。
それは同時に送られた。
『『あなたはこちらに来てどれぐらいですか』』
メイトは確信する。
間違いない、悪魔は日本人だ! しかしちょうど同じタイミングで同じ文章が送られてきたのか……。
女は余った袖を顎に当てる。
まさか同じとは……おそらくあっちもこちらが日本人だと気づいているだろう、ここは素直に返すか……。
『私はこちらに来て一年です、そちらは?』
一年……俺とおんなじか。
俺はメアリーの手を動かしてスラスラ書いていく。
「っと……送信!」
『私も一年です』
……一年、例のアレが復活した時とほぼ同時期スタートか、やはりこいつが……。
「え? もう二年くらい前ですよね来たの」
女の後ろの人物が声を出した。
「カマをかけたの、日本人特有の相手と同じだと良いの心理を利用して」
「ふ〜ん」
すると文字が送られてくる。
『なぜ返信に九ヶ月かかったんですか?』
……。
『すみません、返事が来るなんて思っていなくて、見過ごしてました』
見過ごしてただけかい……ならもっと送れば良かった。
しかし……いや、まずは俺は転生か転移か知りたい。
『あなたはどうやってこちらに来たんですか?』
『どうやって、とは?』
『異世界なんて普通に生きてたらこれません、転生か転移か、それだけでも知りたい』
なんだと……。
女は眉を歪める。
「自分で分からない……のか」
私は召喚されたから、強いて言えば転移か……しかし知らないとなると……もしかして自覚がない可能性も……。
『分からないんですか?』
『はい、気がついたら森の中で目が覚めて、前世の記憶はあるんですが最後は曖昧で』
記憶が曖昧……やはり自覚がないのだろうか。なら、まだ、まだ戦争はしなくて済む。
『そうなんですか、しかしすみません、私自身もあまり記憶が定かではないので……』
もし、転移か転生時にこいつも私と同じことがあったとしたら、その記憶だけは思い出してはダメ。絶対。
『そうなんですか……ちなみに今までどうやって生きてきましたか?』
……これを教えるのも少し危険。あっちはどこまで知っているのか知らないけど、少しでもトリガーになりそうなものはダメ。
『適当に近くの村で――――』
女は誤魔化す文章を途中まで書いて、手を止める。
待って……これ使える。
女は一度書いたものを消して書き直す。
『何も分からないので、とりあえず魔法を習いました、あなたは?』
ほう魔法を、やはりみんな異世界来たら魔法習うよなぁ。
『私も同じです』
同じ……これをうまく使えば誘き出せる。
『いいですね、これからどうするかなにか考えていますか?』
これから? この異世界でやりたいことか? ……しかし論点が急に……。
『まぁ、のんびり生きていけたらと思うぐらいで特には』
女はその文字を睨みながら呟く。
「ねぇ」
「はい?」
後ろの人物が答える。
「学校行きたくない?」
「……へ?」
女は後ろのあどけた返事を無視して文字を書く。
『私は学校に行こうと思っています』
学校だと……? これは……――――。
『どこの学校ですか?』
やはり食いついた。
『それはまだ決めてないんですけど……どこか良いところありませんか?』
いいところだと? ……そうなのか? いいだろう、ノってやる。
「メアリー、俺が行けると思う最高ランクの魔法学校ってどこ?」
「え? 魔法学校ですか?」
急に話しかけられて困惑するメアリーは、少し考えた後答える。
「『アルディア』……『神聖アルディア魔法学校』とかですかね」
「……分かった」
『神聖アルディアってとこですが、ご存知ですか?』
アルディア……。
「神聖アルディアという名前が入る魔法学校をあと十秒で調べて」
「え!?」
けど……わざわざ名前まで丁寧に……まさか勘付かれ...いやまさか。
「ありましたよ、神聖アルディアてとこ、今から三千年前に建てられています、でもここって魔法学校の最高級ですよ?」
「なら一層、"説"が強まった」
たった一年で魔法をそんなレベルにまで上げるなんて不可能。こいつは間違いなく特別な力を持っている。
『あそこってだいぶレベル高いですよね、私には到底無理ですよ』
ラプラスの悪魔の力があるのに無理?そんなこと……それともバレたくないから人の前では使えない? 違和感はある。
……ここは、攻めるしかない。
『そんなことないですよ、それよりどうですか? 一度顔を合わせませんか?』
会いたい、と。
女は口に手をやり顔を顰める。
まさかそんなこと言ってくるとは……いや、考えてみれば会いたいと考えるのは当たり前か……こいつが最初から警戒気味だったから無断していた。しかし私が会うことは危険すぎる。仮に違う人に行かせてもすぐに日本人ではないとバレる……かな? とにかく無理。私以外に日本人もいないのだから。
会いに行くのは確定だけど、こちら側の存在はバレては絶対にダメ。
『ごめんない、私もいろいろ大変で……いつ会えるか分かりません、でも会いたいですね』
……。
メイトはメアリーの手の甲を無意識に口につける。メアリーは赤くなる。
……地球人に会わないかと聞かれ、「大変」を理由に断るか? それほど前世に興味がない? しかし異世界を生きてくなかで前世の話が通じる人に会いたいのは絶対のはず。
メイトは光板の文字を睨む。
なぜ会いたくない……やはり、そうとしか……。
『あれならどうですか?』
『なんですか?』
『私も学校に入ります、あなたの入る学校を教えていただければそこに入学しますよ』
来た……釣れた。
『それはいいですね、ですがどこの学校にしましょう』
ノってきた……このムーブ、間違いなく俺と接触しようとしている! それも隠密に……ならばこちらから攻めまくる。
『もしかして、私と接触したがってますか?』
!!
女は目を開く。
バレた……学校に誘い込み、そこにこちら側からも潜入させ……なんて考えていたけど……バレたなら仕方ない。
『はい、そうです』
メイトはそれを見て、ニヤと笑った。
『ならば会いに来ればいい』
なんだろう? 口調がいきなり……。
女が動揺している間にも次々と返事が来る。
『俺はアルディアに入学する』
『楽しくなりそうだな』
『これはゲームだろ?』
『いいねこういうの、好きだよ』
なに? 何言ってるのこいつは……。
『どちらが先に、「お前がそうだ」と証拠を出せるかゲーム』
相手の変わりように対応できない。
なんなの? 何いってるのこいつ、ゲームですって?
『どういうことですか?』
『言った通りだ、俺はアルディアに入るから、あんたも来ればいい、会いたいんだろ? 俺はあんたの姿声名前何も分からない、あんたも俺を知らない、対等だ』
『あんたの悪魔の力は、詳しいことは分からないが何か条件があるだろ? 俺が最初の返信をした時、見過ごしてたと言ったがあんたの悪魔の力があるなら俺からの返信があることすら予知できたはずだ、それをしなかったのは何かが足りないからだろ』
……確かにラプラスの悪魔は"顔と名前"がなければその対象の過去と未来を見ることはできない。
無機物に関しては名前だけで見れるけど……生物は名前と顔……。
やられた、失敗した……先に名前を聞くべきだった……。
「名前聞けばいいんじゃないですか?」
後ろの人物が声を出す。
「いや、ここで名前を聞いたら、その条件に"名前"というのがあることがバレてしまう、なるべくこちらの力は見せたくない」
「な、なるほど……」
しかし、こいつ、なかなかキレる、そして大胆。自分の状況を理解していないのかしら?
考えてみれば、今までこいつがラプラスの悪魔に触れなかったのもおかしい……。
「チッ――」
女は舌打ちした。
『分かりました、ではこちらからあなたに隠密に接触して、あなたが"そう"であると絶対暴きます』
「ははっ」
急に笑ったメイトをメアリーは眉を寄せて見る。メイトは嬉しくなっていた。
こいつ、ノリいいな。
『おう、俺もあんたが俺に接触しようとしてる奴だって絶対暴いてやるよ』
『分かりました、ではアルディアで、またいつか』
『あぁ首を長くして待ってるからいつでもこいよ、アルディアで、またな』
それから光板に文字は書かれなくなった。
――――――――――――――――――――
女は頭を抱えていた。
なんなのあいつは、まるでこの状況を楽しんでいるような……それほど勝ちに自信があるの? それとも馬鹿なの?
いや考えても仕方ない。今すぐ行動に移らなくては……。
「いやーなんかすごいことになりましたね……こんな人が本当に例のアレなんですかね」
「あなた、今すぐ準備して」
「え?」
「あなたがアルディアに入学します」
「え!?」
言われた人物は口に手をやり後ずさる。
「私が行けば必ずバレるし危険です、あなたはまだ比較的弱いからバレませんし、『ラプラスの悪魔』を使えるあなたは私よりもいろいろ長けている」
「本当ですか?」
「えぇ、あなただから頼んでいるのよ」
女は人物の肩に手を置いた。人物は何も言えず、ただ頷いた。
「――あなたがあいつを暗殺するのよ」
――――――――――――――――――――
「どうでした? 何を話してたんですか?」
ずっとやりとりを見ていたメアリーだが、日本語は分からないので何も理解していなかった。
「おうメアリー、めっちゃおもろいことになってきたぜ」
暗殺されるなど知らないメイトは無邪気にはしゃぐ。
「俺、アルディアに入学することにした!!」
「は!?」
メアリーはなんとなく危惧していたことを言われて驚く。
「急でごめんなホント、で、どうやったら入れるかな?」
「えー……」
メアリーは何の気無しに笑うメイトに困惑しながら、顔を逸らす。
もし、メイトが学校に行くなら……気持ちを伝えるチャンスが……。
メアリーはキュとなる心臓を我慢しながら、メイトに向き合った。
ご精読ありがとうございました!
不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




