【第26話】決別
暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!
「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!
メイト 主人公。透明人間。
メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。
シャル・マルマロン メアリーの教え子。
ハル・マルマロン シャルの母親。
ライカ 元山賊。
シロツメ・クローバー ライカを殺したい貴族
病院の前で、俺とメアリーが並んで、その前にシロツメが立っている。
「はい、じゃ頑張ってきてな」
「では」
俺は軽く手を挙げて、メアリーは少し会釈する。
おし、戻ろう。
そうして俺たちは病院の中に戻ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
シロツメはガッとメアリーの腕を掴む。
「早くないですか!? 軽くないですか!? こんなサラッと帰っていいんですか私!? 何か言うこととかはないですか?」
シロツメは動揺しながらメアリーに詰め寄る。メアリーはうざったそうに睨む。
「いえ……別に話すこともないので……」
「そうだぞ、そも俺は頑張ってって言ったから」
「それ意味ないから! 心に何も届いていてないから! そもそもその感情は心にあるのかい?」
「ないな、こちらとしては早く悪魔と交信したいし、とりあえず早く行ってほしい」
「ひどくない!? なんかとりあえず外出されてちゃんと行ったか確認する人一人だけって本気!?」
シロツメは誰もいない病院の前を見渡しながら言う。メアリーと俺はめんどくさそうな顔をする。
「いや俺いるから、透明だからっていない判定するな――」
「はぁ……早く出てもらわないとこの村出禁の魔法をかけれないので早く行ってください」
「メアリー様……」
「あと、私のことは屋敷の者には言わなくていいですから、内密に」
メアリーは人差し指を唇に当てながら言う。シロツメは頷いた。
「分かりました……もう行きますね……」
シロツメは不服そうに首を傾げながら振り返り、歩き出す。
暫し、その離れていく背中を見た後、俺はメアリーに話しかける。
「メアリー、シロツメに魔法かけるなら一緒に行かないとダメなんか?」
メアリーは振り返り、病院内に戻る、その隣を歩く。
「いえ、あれはテキトーです、早く帰って欲しかったので」
「メアリー意外と酷いことするよな……」
そんな会話をしながら病院内に戻った。
とりあえず、あっちに戻ったらライカのいい噂を流す……どうしたものか……。
シロツメはまだ村の土道を歩きながら、今後の計画を考え腕を組んでいた。
ここに辿り着くまで一ヶ月、帰りもそれくらいになるだろうか……――――。
「――おい!」
ふと、後ろから声が聞こえた。シロツメは振り返る。
そこにはライカが立っていた。ライカはシロツメに向かって何かを投げた。
それは空中を回転しながら飛んできた、シロツメは咄嗟にキャッチする。
それはシロツメが持っていた刀だった。
「な、なんで……これはお前が粉々にしたはず……」
ライカによって刃先から折られたはずの刀。
「メアリーが直してやったんだとよ、メイトが渡せって言ってきたからな」
「メアリー様が……」
シロツメはメアリーに感謝しながら刀を握る。ライカは遠くから叫ぶ。
「メアリーはお前に、俺のいい噂を流すという行為しかしなくなる呪いをかけようとしてたけど、メイトが止めたんだぜ?」
シロツメはそれを聞いて目を見開いて驚く。
「心まで干渉したら、楽しくないってよ! メイトに感謝するんだな!」
ライカはそれだけ言うと、踵を返し病院に戻って行った。
シロツメは何も言わずに、刀を腰のベルトに刺し戻すと、前を見て歩き出した――――。
――――――――――――――――――――
ライカが病院に戻る時、ある二人を見つけた。
その人間は、ライカと一時期共に山賊をしていたデブとチビだ。
「あ……」
ライカは立ち止まり小さい声を出す。すると二人はライカに気がつく。
「あ! ライカさん!!」
チビはライカの姿を見た途端笑顔になり近寄ってくる。その後ろにデブが歩いてくる。
「よう」
こいつら、名前なんだっけ……まぁいいか。
「ライカさんどうなってるんですか? 俺をやったあの小娘は殺しましたか?」
「さっき、誰かが俺の額に触れているような感覚がして……そしたら目が覚めてた。誰も額に触ってなかったけど誰かいた、その後に避難しろと言われて今外にいる状況だ、何があった?」
チビを横目にデブが説明する。
「……そうか」
誰か、おそらくメアリーだろう。今まで必要性を感じないから治さなかっただけらしいから、その気になればすぐ治せたのだろう。
「おい、お前ら」
ライカは二人に首で「来い」と倒して歩き出す。二人は顔を見合わせながらついて行った。
――――歩くこと数分。
「ライカさん、どこ行くんですか?」
ライカはチビを無視して立ち止まる。
「おう、久しぶりだな」
ライカの前にいたのは、幼い茶髪の女の子。昔、ライカ一向が襲った女の子である。
「へ?」
シャルは突然後ろから話しかけられて、パッと振り返る。
シャルは病院の出来事なんて知ってるわけもなく、庭でずっと魔法の練習をしていた。今はたまたま道にいた。
「……誰ですか?」
シャルはあの時、豪雨とライカの被っていたフードによりライカの顔は見ていなかった、が。
「あ――」
シャルは後ろの二人を見て思い出す。その二人は、自分を襲っていきた人間、そして、自分が殺しそうになった人間。
シャルは恐怖で後ずさる、こっそり手をライカたちに向けながら。
「な、なんですか……?」
「この二人、目が覚めたから来た、本当はもっと早く来るべきだった、すまない」
「え……?」
シャルは突然そんなことを言われ、反応に困る。
「俺はライカ、お前を襲った人間の、まぁ一応ボスだ」
「――っ!」
シャルはそれを言われた瞬間、目の前の男があの時メイトを殺そうとしていた人だと勘繰る。
シャルはバッと手をライカに向け……ようとする。
だがライカはシャルが魔法を使う前にシャルの手を握る。
「すまなかった」
ライカは手を握りながら頭を下げた。シャルはどうしていいかわからずたじろぐ。
「あ、え? えと……」
するとライカはシャルの手を離し、後ろを見る。
「……」
「ら、ライカさん?」
「ライカ、これは一体……」
二人が呟いた瞬間、頭を後ろ上から押された。気がついたら顔面は地面に叩きつけられていた。
地面は衝撃でヒビが入る。
ライカは二人の後頭部を地面に押し付けながら再び頭を下げた。
「ホントにすまなかった、こんなものに意味はないと分かっているが、それでもやるべきだと考えた」
二人は頭を上げようとするが、ものすごい力で抑えられ一切動かない。二人は土下座するような形になる。
「……いや、え?」
シャルは狼狽える。突然の謝罪に戸惑っている。
「あ? なにやってんのお前ら」
ふと、ライカたちの後ろから声が聞こえた。シャルはパッと見る。
そこにはメアリーがこちらに歩いてきていた。しかしシャルだけは察せる。
「あ、メイト!」
「おう、今日も魔法やってたか偉いな……で、この人たちはなにしとると?」
「私にごめんなさいしにきたって……」
「へー」
メアリーはシャルの横に近寄る。シャルは若干メアリーに寄る。
てかこの二人起きたのか、どう見たってライカに頭押さえつけられてるだけだと思うけど……。
「ライカ、一旦その手を離してもらうことできるか?」
ライカは俺に従い手を離した。二人は顔を上げる。
「まず、ちゃんとシャルの話を聞きなさい」
メアリーが言うとシャルの肩を掴む。シャルは意を決したように一歩前に出る。
「……えと……」
二人は身体を起こしてシャルと同じ視点に立つ。
「す、すみませんでした!」
シャルは手を膝に当て頭を下げた。二人は呆ける。
「私、あの時魔法制御できなくて……もしかしたら死んでたかもしれないって……本当にすみませんでした」
シャルはとても良い子だ。相手が山賊で自分を襲ったのにも関わらず、ちゃんと罪悪感は持っていた。
「……」
デブとチビはなんと言って良いのか分からず、ただ頭を下げるシャルを眺めてただけだった。
「と言うことで、シャルはあなたたちの謝罪を欲しがっていません、なので謝る必要はありません」
メアリーはそう言うと、シャルは顔をあげた。そして誤魔化すようにはにかんだ。
「……そうか、突然押しかけて悪かった」
ライカはそう言って謝り、そのまま二人の首の後ろの襟を掴み上げる。
「ちょ! ライカ!?」
「引っ張らないでください!」
そのままズルズル引っ張りながら歩いて行った。
ライカは暫し歩き、シャルたちから離れたあと、とある家の陰に入り二人を離した。二人は転びそうになる。
「ちょ! どういうことですか!? なんで俺たちはあのガキに謝られてるんですか? なんでライカさんは謝ったんですか?そしてあの透明人間は……!」
チビはライカに詰め寄る。
「ライカ、俺たちが寝ている間になにがあったんだ?」
デブはチビの肩を掴み静止させながら聞く。
ライカは優しい顔で言う。
「お前たちの俺に対する尊敬の念は嬉しいが、もう俺はお前たちの望むようなことはしない」
ライカはたった三ヶ月の日々を思い出す。それは今までずっと一人で生きてきたライカにとって、刹那の一瞬のような、美しい日々だった――――。
「お前たちとはここで決別する、お前たちは自由だ」
ライカは二人が見たこともないような微笑みで、そう言った。
ご精読ありがとうございました!
不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!
シャス!




