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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第1章】マルマロン家編

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【第24話】良い人 悪い人

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

シロツメ・クローバー     ライカを殺したい貴族

ミル             ナース。

医院長            ミルが勤める病院の院

               長。

「はーい、ではこれからシロツメ・クローバーの処遇についての会議を始めまーす、礼!」

 俺はバッと頭を下げた。しかし俺以外誰も下げないし部屋の空気は凍っていた。

「いや、どうしたみんな、そんなお通夜テンションみたいだぞ」

「いや、この状況でなんでテンション高いのよ……」

 ミルは控えめにツッコむ。

「いやいや、物ごといろいろ楽しまないと損だろ? 人生楽しんだもん勝ちは俺のモットーさ」

「あんた以外そんなテンション上げれないから……」

 現在病院の一室。六人程度なら座れる長机があり、その周りに俺、ライカ、シロツメ、メアリー、ミル、医院長が腰を下ろしていた。

「ひとまず俺の方から今回あった出来事を説明させてもらおうか」

 俺は椅子から立ち上がり、みんなの前に立つ。しかし透明なので視線で追えるのはメアリーとライカだけ。

「まず今回襲撃したのはシロツメ・クローバー、狙われたのはライカ。理由としてはライカが昔シロツメの両親を殺害したからその仕返し。しかしライカはシロツメよりも強く返り討ちに合う、そのまま勝てずにメアリーが参上して降参した、と言う流れだな」

 これを聞くとシロツメ何もできてないな……。

「なるほど、やはりライカがいなければ安全だったと」

「そーゆーことですな」

 院長は顎に手をやり考えた後、顔を上げる。

「やはり私にはライカがどうしても悪く見えてしまう、ライカの対処も考えるべきだ。そもそもライカは山賊だろう?」

 ごもっともな意見。メアリーは俯いて返事はない。ライカは我関せずと椅子に足を伸ばして背中を丸め深く腰を下げて座っていた。

「はい」

 この空気を壊すように手を挙げたのは、ライカの監視役をしていたミルだった。

「ん、どうぞ」

「私はライカの対処としては、『何もしない』でいいと思います」

 それを聞くと、院長は目の色を変える。

「ミル君……君にはライカがもし変な行動したらすぐに報告するという責務を与えていたはずだ、なにかそう言うのはあったのかね?」

「いえ医院長、ありません。それどころかライカは私を守ってくれました。それに普段から話していて分かったんですが、ライカはとても普通の人です。悪人ではありません」

「ライカのせいで来た襲撃者から守ってくれたから良い、とは少し違わないかい? その守られることになった原因も彼にあるんだよ?」

「それでも、原因がライカにあっても守ってくれたのは事実です」

 ミルか確固たる決意で院長に言い返す。ライカは目を閉じて全てを任せた様子だ。

「……私はね、全部が大事なのだよ。ここは私の病院で、君たちはここの従業員、私にとって家族のようなものなんだ。それに他の患者さんもいる……ここは私が守る義務があるんだよ、だから……」

 院長は相手を納得させるためなのか優しい声音で話す。

「それは嬉しいことです院長、しかしライカは――」

「だからこそ! ライカは危険人物なんだ、ここに置いておくわけにはいかないんだよ」

 院長として、真っ当な意見だ。何も間違えていない。流石に年の功というやつか、よく見えている。

「あー、ちょっといいですか」

 俺は手を上げて話に割り込む。二人は話すのをやめ、こちらを見る。

「ぶっちゃけるんですけど、俺はライカがここにいてくれて良かったと思います」

 それを言うと、院長は眉をぴくっと動かす。

「なぜかね?」

「例えばライカが俺と出会ってなかったら優しくなってませんでした、のでシロツメは殺されてました。他に言えばこの村の病院以外に滞在してたなら他の誰かが被害に遭ってました、俺はこの避難にすぐ従える信頼関係があるみなさんだからこそ、被害が最低限になったと思います」

 院長は机に肘を立てて口を隠す。ライカを睨んだまま考える。

 暫しの長考、部屋に沈黙が流れ誰もが次の言葉を待つ中、院長が声を出した。

「メイト君、君は確か、動けなくなったライカを助けシロツメにトドメを刺したらしいね」

「トドメじゃないけど……まぁ俺が確かにシロツメに最後の一撃をやりました」

「なぜ、そこまでしてライカを守った?」

 俺は質問の意図が分からないが、パッと浮かんだ答えを出す。

「生きてて欲しいからです」

 俺の答えを聞いた院長は、少し沈黙した後、小さく笑った。

「そうか……君も同じか……」

 は? 同じって何が?

「ライカはなぜ、ミル君を守った?」

 院長は俺からライカに移る。ライカは俯きながら答える。

「正直わからん、ミルに特別な感情があるわけでもない、助けようと思ったわけでもない……なんか体が勝手に動いたっつーか……強いて言えば」

 ライカは顔を上げてミルを一瞥した後、院長を見据える。

「生きてて欲しいから」

 院長はメイトと全く同じ答えを出したライカがおかしくなり、笑った。

「はっはっは、そうかそうか……君たちは、正しい心の持ち主だ」

 へ?

「分かったよ……ライカ君、君を許そう、悪く言ってすまなかったね」

 院長は微笑みながら言った。その風貌は意地なんてなく、どこまでも人のことを想っての言葉だとその声音で理解できる。

「……」

 ライカはなんと返事していいか分からず、視線を逸らして沈黙を返す。

「はぁ、じゃーライカは悪くないってことでいいか?」

「異議なし」

「私も」

「俺はもともとそれを決める権利ないから」

 みんなライカが無実ということに反論はないようだ。

「はい、ならライカは無実決定!」

 俺はなんとなく机をバンと叩いて言う。

「さて、本題入りましょうか」

 メアリーはそういうと、目を瞑り一言も発さないシロツメに視線を向ける。

「あぁ、そうだな」

 シロツメの処遇について、本議会の本題である。

「まず議長の俺から、いいか?」

「いつの間に議長に……?」

 ミルは呟きながら汗を垂らす。俺は無視して進める。

「別にここは平等の場だから嘘はつかなくていい、自分の意見を言ってくれ」

 俺は前置きをする、みんな分かっていると言わんばかりに固い表情で返事はしない。

「実際、シロツメは殺した方がいい、と思う人」

 俺は少なくとも一人、医院長は手を挙げるかと思っていた。しかし、誰も一切動かなかった。

「……え? 誰もいないの?」

「え? 逆にいると思ってたの?」

「え? 思ってたよ?」

 ミルは驚いた様子で聞き返してくる。

「院長、挙げないんですか?」

 俺が聞くと、院長は真顔で当たり前のように言う。

「私は医者なのだよ、人を生かすのか仕事で本望なのだよ、たとえ襲撃者であってもね」

 ……そうか……この人はいい人なのか。

「院長! 俺は勝手に冷酷な人だと思ってました! 考えを改めました!」

 俺は院長に頭を下げた。院長は別段気にすることなく笑う。

「いいんだよ、私も、君のことを少し勘違いしていたらしいからね。人を心から生きてほしいなんて思える人に悪い人はいない」

 あぁ、この人はホントに俺に刺さる。つまり善悪無視してみんな誰かに生きてほしいと想ればいいってことだ。それは俺の夢みたいな世界だ。

「わかります、俺の同じなので」

 俺はやはり確信する。

 異世界にこれてホントに良かった。

「まぁそういうことでシロツメを殺したいと思う人はいません……が」

 メアリーが強めに言う。手を机の上に置き、指を組む。

「間違いなく村へ出入り禁止、そして金輪際ライカには関わらない、ということを魔法で契約する。くらいはするでしょうね」

「そうだな、今回の依頼は失敗したとかなんでも言えばいいし」

 メアリーの意見にライカが賛同する。

「魔法で契約なんてできるんですか?」

 ミルが身を乗り出して質問する。メアリーは少し考えた後言う。

「まぁ……はい。いろいろ魔法を組み合わせればできます、確か昔何回かやってみたことありますから」

「へ、へー……昔からやってたんだ……」

 ミルはメアリーに異様に驚く姿に変に感じる。

 あー、普通にメアリーの凄さに麻痺してんのか。そもそも俺は動かす魔法以外使えないしレベルの凄さが分かんないだよな。なんとなくヤバいのは理解できるけど。

「では、そういうことでいいですか?」

 メアリーの結論、シロツメはこの村に接近禁止とライカに干渉禁止ということでシロツメの解放。

 俺は納得できない。

「待て、俺は反論あるぞ」

 俺が言うと、部屋の空気が少し冷えたような気がした。ミルと院長の懐疑的な視線が刺さるが、気にせず続ける。

「前半は賛成だが、ライカに関わらないは反対だ」

「へぇ、それはなぜ?」

「意味ないからだ、ここでシロツメが関わらなくなったからと言ってライカを狙う人がいなくなるとは限らない」

 ライカはいろいろ人に迷惑かけただろうから、人に恨まれることはあるだろう。ならばまた依頼される人がいるかもしれない。

「そうですね、しかし、ならばどうしろと?」

「むしろ逆だ、積極的に関わってもらうんだよ」

 俺がニヤと笑いながら言うと、みんな揃って首を曲げる。

「つまり、シロツメにずっと主張してもらうんだよ。『ライカは改心していた、もう山賊をしていない』ってな、これなら襲ってくる人は少なくとも減るはずだ」

 メアリーは顎に指をやり考える。

「……ライカ、あなたが最後に一般人を襲ったのはいつですか?」

 メアリーからの急な質問にライカは過去を思い出した後、つぶやく。

「メイトと初めて会ったのが三ヶ月前くらい前か、となると……六ヶ月くらいは誰も襲ってない」

「ほぼ半年ですか……」

 メアリーは納得したように顔を上げる。

「半年あったら改心しても違和感はない、できるかもしれません」

「おぉ!!」

 これはホントに面白くなってきたな!!

「でもそれってライカが山賊やめないといけないよね」

 ミルが机に肘をついて手を顎を乗せながら言った。ライカは俯いて答える。

「俺は山賊をやめない」

「まぁこの前銭湯で言ってたしな」

 えぇ……いや分かってたけどホントにやめないのぉ?


「だが、もう絶対人に迷惑をかけないことは約束する」


 ライカは硬い声音で言い切った。その声音は曲がることない決意の表れだと理解できる。

「フッ、なら安心だな。できる」

 メアリーは納得したように頷いた。

「分かりました、ではシロツメの罪滅ぼしは、ライカは安全だと広めることでいいですね」

「あぁ、異議なし!」

 俺はグッと拳を挙げて言う。

「では、シロツメを起こしていいですか?」

「へ?」

 ミルはガタッと椅子を下げながら変な声を出す。

「今決まったことをシロツメに話さないといけないので……」

「あーでも危険じゃない? いきなり襲ってくるとか……」

「?」

 メアリーは小首を捻る。

「危険? ここにはライカと私、何よりメイトがいるんですよ? 安全に決まってます」

 なぜ俺が一番の安全要素みたいな言い方なんだよ、お前だろそれは。

「……そっか、二人は最強だもんね」

 ミルはライカとメアリーの強さを思い出し納得する。

 俺は? いや確かにミルは俺の魔法は見てないから仕方ないけど、なんか俺情けみたいじゃん……。

「では、起こしますね」

 そう言って、メアリーはシロツメに手をかざした。

ご精読ありがとうございました!

不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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