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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第1章】マルマロン家編

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【第22話】最良の手

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

シロツメ・クローバー     ライカを殺したい貴族

 ライカは見て分かるように限界、当たり前だ。この部屋中に飛び散った血は全てライカのもの、左腕がない状態であれほど動けば体力的にも限界。

 俺がやるしかない。

「やってやるよばーーーーか!!」

 こいつがライカと同レベルなら避けられるだろう、ならば二手だ、避けられた後を考えろ。

「どらぁ!!!!」


 キーーん。


 俺はほぼ絶対避けられると自覚しながらも、シロツメの陰部を思いっきり魔法で殴った。

 しかしシロツメは避けず、陰部にぶち当たる。

「あ――――」

 シロツメは急所をやられ、情けない声と共によだれを垂らしなら気絶した。

 あ、これはダメだ、男としてダメだ。

 俺は先ほど用意した二手目を止めようと思ったが間に合わず、全力でシロツメの顔面を殴る。

 そも一手目と二手目の間隔はないに等しいんだ、止めることは無理だ。

 シロツメは殴られそのまま壁に吹っ飛ばされる、しかしそれだけで止まらず、壁をメキメキと音を立ててぶち破り外に飛んでいった。

 縦回転をしながら吹っ飛び病院の庭の石壁に当たる。石壁はヒビが入り瓦解する、シロツメはその瓦礫の下敷きなりやっと止まる。

 や、やってしまった……。

 病院の一室の壁は人が通れるほどの穴が空き、石壁は崩れた。

 てかシロツメ生きてる?勢いで顔面を振り切らなかったから実際顔面を押され続けた感じだろう。

「やべー……おいライカ、俺やばいことしちゃった――ライカ!?」

 俺は振り返る。と、そこにはライカがうつ伏せに倒れていた。俺はすぐに駆け寄る。

「どした!! おい気をしっかり!」

 俺はとりあえずライカの体を返し仰向けにする。ライカは目を瞑り気絶していた。

「……」

 ……貧血? てか出血がヤバいのか。

 よく考えればこの部屋中を染めている純血は全てライカのものだ。血が圧倒的に足りない。

「やば、輸血しないとヤバい、てかなんなら今までこの傷であんなに動けたのがチートなんだ」

 何度も言うがライカは左腕がないのだ、出血量もすごいことになるのは自明だ。

「誰か、治癒魔法使えるやつ……」

 あ。

 部屋の外から歩く音が聞こえた、いつものブーツの音だ。


――――――――――――――――――――――――


「あ、クッ……!」

 シロツメは瓦礫の中で蠢いていた。瓦礫を退け、空を仰ぐ。立とうとするが、体が言うことを聞かない。なんとか腕を使い上半身を起こす。

「……」

 体の二箇所に激痛、陰部と顔面。特に顔面がひどい。

 あのメイトとかいうやつ、俺の股間と顔面をあのスピードとパワーで殴ったのか?

 シロツメは痛みを耐えながら一考する。

 その速さはライカに届くと言っても過言では……いや、今はいい。それよりもこの痛み、おそらく股間は骨盤が折れたし鼻も粉砕した。何より背骨を強打した。

 シロツメは、メイトがしてきたことに驚愕する。

 あの、殴られた瞬間の感覚、あれは生身を殴られた時とおんなじだ。つまり、身体硬化魔法も防御魔法も貫通した訳だ。

「ど、どういう力だ……いや」

 だが、それどころではない。

「この怪我では動けない、治すしかない……しかし……」

 シロツメは眉を寄せて考える。シロツメは逆行魔法以外の治癒魔法なるものは使えなかった。


 真実、禁忌魔法である『逆行』は、使用は禁忌ではない。禁忌なのは、"二度目の使用"である。


 一度目はセーフだが二度目にはペナルティーがある、そう古代の指導者に書いてあった。それは痛みか何かは知らんが、この状況だ……耐えるしかない。

 シロツメは自分の手を強く握る。

「耐えて、必ず殺してやる……!」

 発動、逆行魔法!!


 

「..........」

 シロツメは目を瞑り痛みを我慢しようとするが、特に何も起きない。それどころか、逆行魔法が発動したのかも分からない。

 なんだ? なぜなにも起こらない。

 シロツメは目をゆっくり開き、自分の体を見る。相変わらずの傷だらけ、痛みも健在、変化はない。

「な、なんだ」

 シロツメが呟くと、ふと地面に目がいった。

 地面が削れていた。ガリガリと棒で削ったように何かが書かれている。

 それはだんだんちゃんとした"形"になっていく。

 それは字だ。

≪あなたは禁忌を犯しました≫

 察する。これは誰か、この逆行魔法を作ったものか、それとも禁忌として設定した人からのメッセージだ。

≪よって、ペナルティーを課します≫

 ペナルティー……なんだ?

 シロツメは食い入るようにガリガリ削られる地面を目で追う。

≪これより二十四時間、全魔法の使用を禁止します≫

 な、なんだと……。

 次の瞬間シロツメの体に鎖が巻き付けられるイメージが浮かぶ。シロツメはすぐに体を見るが鎖なんてない。

 が、気づく。

 ば、バフが切れた……!

 シロツメはすぐに試しにと、手を前に掲げ魔法を発動しようとする。が、案の定、出ない。

 こ、こんな魔法初めてだ、これほどの高等技術……これを作った人は天才だ。

 魔法はその発動時間や場所が不明瞭になれば格段に難しくなる、故に時限爆弾などもってのほか、それが古代からこの魔法を用意したとなると、それはもはや神の域に達している。

「これは参ったな」

 シロツメはもはや打つ手なしと諦め、ため息を吐く。すると、また地面が削られる音がした。パッと見ると、続きがあるようで字が書かれていた。

≪だだし、これであなたの命に危機があるようならこちらとしても、まぁ罪悪感があるので、慈悲としてあるものを残します≫

 あるもの……だと?

≪これからあなたがするべき最良の手を、『ラプラスの悪魔』に聞き、掲示します≫

 ラプラスの悪魔……?

 シロツメが初めて聞く言葉に眉を寄せていると、地面に新しい文字が書かれる。


 ……? なんだこれは? なんて書いてあるんだ?


 それはシロツメの知らない言語で書かれていた。

≪これがあなたの最良の手です、健闘を≫

 それを最後に、地面に文字が書かれることは無くなった。

 これでどうしろと……まぁいい。分からないものは分からない、どうしようもない。

 シロツメは激痛を感じながら前を見る。

「ライカ……!」


 シロツメは立ち上がった。


 ライカは左腕がないのにあそこまで俺と戦った。なら俺もこれくらいでへばる訳にはいかない。

「殺す、たとえ俺がどうなってもお前だけは……!」

 シロツメは立っているだけでも鈍痛が強くなる腰を歯を食いしばり我慢しながら歩く。

 殺せる。殺してやる――――。

 五分ほどかけて五メートル程を歩き切り、病室の中を覗いた。そこはシロツメの完全に予想外のことになっていた。

 ライカは壁に背をつけ気絶していた。

「な、なに――――」

 ふと、シロツメはライカの隣を見ると、そこには黒い服を纏い純白の白髪、サファイアのような青い瞳。

 シロツメはその威圧感に足がすくみ、膝をついた。

 魔法を少しでも噛んでいたら分かる、この人とは戦ったらダメだ。この人の全てがオーラを醸し出している。

 ――――異次元だ。

 勝てるわけない。底知れない魔素量に飲み込まれそうになる。この人に敵意を向けられたら自害する自信がある。

 シロツメは恐怖で震えながらその人のことを見る。

「……まぁ、後回しで、まずライカの治療ですね」

「あぁ、結構ガチでヤバいから巻きで頼む」

 その言葉に詰まっていた息が漏れる。

 ――はっ!! 息が詰まる。息するのも気が引ける。

 するとその人、メアリーは血だらけの部屋を見渡し、手を振った。

 すると部屋に飛び散りもはや乾燥していたはずの血が動き出した。その血は空中を回転した後、ライカ肩に入っていく。

 シロツメは驚きで固まる。

 そして全ての血が肩に入り終わった。

「ん、あの腕はライカのものですよね」

「え? あ、あぁそうだけど……」

 するとメアリーはその落ちているライカの左腕を掴み上げた。

 メアリーはそれをライカの肩につけると、そのつなぎ目に手をかざす。

 すると白く光った、そして肩と腕の肉が繋がる。

 シロツメはさらに驚き腰を落とした。

 ありえない、あそこまで完璧な治癒魔法など……いや、これは治癒魔法じゃない……!

「それは、逆行魔法……?」

 シロツメが呟くと、メアリーは振り返りシロツメを睨む。

「……えぇ、そうです」

 な、なぜこの人はペナルティーを課されないんだ、さっき血を戻したのも逆行魔法だろうから腕を治した時ので二度目のはずだ、ペナルティーがあるはずだが……。

「とりあえず怪我は全て治しました、血も元通りですよ」

 メアリーは自慢げに俺に言う。俺はグッと親指を立てる。

「さっすがメアリー! 天才だな!」

「やめてくらさい、私はそんなんじゃ...」

 メアリーは噛みながらも否定する。やはりメイトに言われるとどうも照れてしまう。

「メ、メアリー?」

 シロツメはその名前に聞き覚えがあった。それはフォレストにいた時に聞いた名だ。

 確か、家出した娘さん……メアリー・フォレスト・レンズという名前だったはず。

 シロツメは全てを察した。

「も、もしかして、メアリー様ですか?」

 シロツメが呟くと、メアリーは眉を寄せて迷う。

「あ、こいつフォレストに弟子入りしたとかなんとか、多分メアリーのことを聞いてんじゃないか?」

 俺が横からフォローを入れるとメアリーはなんとなく理解して返事する。

「あぁ、なるほど……確かにあなたの言う天才メアリーとは私のことです」

「んなこと言ってなかったくね?」

 シロツメは納得する。

 そうか……この人が本当にメアリー様なら納得だ。なんせ随一の天才、今まで消息不明だったが、ここにいたなんて。

「まぁ、そんなことはいいので……め、メイト?」

「ん?」

 メアリーは照れながらメイトを呼ぶ。

「この人の処遇を決めます。関係者全員呼んでください」

 お、おぉ……おぉ!!

「なんか面白くなってきたな!! 刑事みたいだ!」

「け? なんですか? てか面白くは……」

「分かった! そうだな……とりあえずライカと俺は確定で、あと立会人でメアリーだろ? あとは赤髪のナース、ミルだっけ? あいつもいるな、あとは病院代表として医院長のおじさんも欲しいな……わかた! 今すぐ連れてくる!」

 俺は会議に必要な人を考えながら歩き出す。それをメアリーが止める。

「いやここじゃなくて適当に座れるとこに」

「ん、あー……いいなそれ! ナイス!」

 何がナイスなのか分からないがまぁいいや、とりあえず言っとこう。

「へ? まぁどうも」

 メアリーは曖昧な返事をした。それを横目にメイトは歩き出す。

 さて、とりあえず病院出てミル探すか、あと医院長か。なんならついでにマリアでも誘うか? 人は多い方が楽しいだろし。

 なんて考えながら俺は病院の入り口から外に出た。

ご精読ありがとうございました!

明日も朝に投稿すら次回もぜひ読んでください!

シャス!

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