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【完結】異世界唯一の透明人間、好き放題生きていく。  作者: 秋田
【第1章】マルマロン家編

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【第21話】純粋

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

シロツメ・クローバー     ライカを殺したい貴族

 ライカは床に壁に背をつけ座るシロツメに振り上げた刀を上に掲げたまま止めた。

 シロツメはギロリと紅瞳を動かしてライカを睨む。俺の立っている位置ではライカの顔は見えない。

 ライカは一瞬俺の方に顔を向けた後、前を見た。

「……あるやつに、人に幸せになってほしいと思える人になれと言われた」

 ライカは小さく呟いた。それはシロツメに言っているのか自分に言い聞かせているのか、分からない。

「俺は今まで人の言うことを聞いたことがない、まず誰かが関わってくれたことがない……だから正直言ってることが分からなかった。俺には無理だと思ってた」

 ライカは刀を下げた。

「でも、初めて俺みたいなやつに優しくしてくれたそいつを悲しませたくない」

 ライカは手から滑らせるように刀を離す。金属音を立てながら刀が床に落ちた。

「だから、俺はお前を殺さない。偽善かも知れないが今だけは殺しちゃダメだと、俺の"感覚"が言うんだ。生きてくれ」

 その言葉に、シロツメは痛みが引けてきた頬を摩りながら立ち上がり、答える。

「な、なんだと……?」

 何言ってんだこいつ、本当に理解できない。

「なぜそれを俺の両親の時に思わなかった?」

「お前の両親を殺したことは悪いとは思っていない、だが、お前は殺さない」

「い、意味不明だ……じゃお前は俺に幸せになってほしんだろ? じゃぁ俺に殺されてくれ」

「それもできない」

「?」

 シロツメは顔を青ざめ、口を抑える。

「じゃ、じゃあお前は、「殺さないから殺すな」ってことか?」

「……そうだ」

 ライカは頬に汗を一つ流しながら言う。シロツメは後ずらり壁に当たる。

「そ、そんな話が許される訳ない。これはガキの喧嘩じゃないんだ、勝った方が生きて負ければ死ぬ」

 シロツメはライカを指差しながら言う。心の底から憤怒している顔だ。額に血管が浮かぶ。


「……それでも納得できないなら……俺が俺を殺す」


 ライカは自分の首を触りながら呟いた。俺はドキッとする。

「ラ、ライカ、それだけはダメだ、絶対許さない――」

「認める訳ないだろ、なんだよそれ」

 シロツメは俺の言葉に被せてくる。

「なに勝手に死んでるんだよ、俺はお前を殺したいんだよ」

 ……。

「ライカ、ちょっとシロツメと話していいか」

 俺はどうしても、シロツメに言いたいことがあった。

「……勝手に話せ」

「おう」

 俺はゆっくり歩き、怒らせないようにシロツメの前に立つ。ライカは隣に避ける。

「……透明人間……メイト……まだ透明魔法は解かないのか」

 シロツメも当たり前のように俺が立っている位置がわかるらしい。

「俺は生まれつき透明なんだ、ちなみにさっき殴ったのは俺の魔法だ」

「生まれつきなんて信じられるか、それは置いといて……だろうな、ライカは左腕ないんだからな」

「あぁ、んであんたに聞きたいことがあるんだけど」

「?」

「あんたってライカに罪を償ってもらうために来たんだろ?」

 俺はなるべくシロツメを怒らせないように優しい声音で言う。シロツメは声の方向を睨みながらつぶやく。

「そうだ、だからなんだ」

「いや、さっきライカが自殺するって言っただろ? もちろうさせないけど、自殺って一番罪滅ぼしの行為だと思うんだけど、なんで許さない?」

「そんなの、自殺じゃなんの意味もないんだよ。俺が殺さなきゃ何も復讐にならない」

 俺の脳はまた復讐という言葉に反応する。

「どうでもいいけど俺、仇とか復讐とか、そういうの暗くて嫌いなんだよね。お前、ホントに復讐したいの?」

「は?」

 シロツメは低い声で言う。俺は務めて冷静に続ける。

「ライカを殺したい理由ってホントに復讐なの?」

「……」

 シロツメは一歩前に出て答える。

「当たり前だ、それ以外ない」

「マジで?」

「そもそもそこを疑う必要などないだろ」

 シロツメは肩を上げながらため息を吐く。

「いや、マジで?」

「……なにか納得いかない理由があるのかな?」

 シロツメは額に血管を浮ばせながら言う。だいぶ頭に血が昇っている。

「俺は復讐なんてよく分かんないからアレだけど、人を殺すために人生を捧げるなんてできるか?」

「は?」

「だってあんた、ライカを殺すために剣技一年で習得してフォレスト入って……そこまでできる?」

 俺は例え殺したいほど憎いやつがいても、まぁそんな奴いないが、例えいたとしてもそいつの為にこんな頑張れる気がしない。

「ホントに復讐のためだけにここまで来たなら、俺はあんたが嫌いだ、けどもしかしたらまだ俺の好きなタイプかも知れないから、もっと話がしたい」

 なぜ、一回きりの人生を嫌いなやつに使うのか理解できないが、それがもし"そう"なら納得せざるを得ない。

「どうだ? あんたはなんで、ライカのために頑張れたんだ?」

 俺の言葉にシロツメはだんだんと冷静になり、落ち着く。頭を下げて考える。

 すると、暫しの沈黙の後、シロツメは硬く握り拳を作る。力で手が震えている。

 そしてシロツメは顔を上げると、低い唸るような声で言った。

「確かにそうだな、俺は復讐しに来たんじゃない...」

 シロツメの顔はさっきよりかはマシの、顔に光があるように見えた。

「俺はどうでもいいんだ、親もライカの気持ちも第三者の意見も俺の人生もどうでもいいから、ただ――――」

 シロツメはギッと俺の後ろにいるライカを睨んだ。

「ハッ! 俺は"ただ"殺したいんだよ! 理由なんてない、ふとした時、いつもいつも、あの時の俺を見下す顔が浮かび上がりやがる!! 復讐なんて後付けだ、俺はお前を"ただ"殺したいんだよ!!!!」

 シロツメ笑いながらは自分の本心を曝け出すように、心の根を全て吐き出した。その顔は、重い『復讐』という枷が外れたことにより、とても愉快に見えた。

 ライカは後ろで壁に手をついて聞いていた。一見普通そうだが違和感がある。最近ほぼ一緒にいたから分かる。

「お前を殺さなきゃ気が収まらん」

 シロツメはライカに近寄ろうとする。俺はその前に立ち塞がる。

「お前はどうでもいい、もう何でもいい。ライカを殺して俺も死ぬ。だからどけ」

 シロツメは俺に冷たく言い放つ。俺はカチンとくる。

「たくっ、どいつもこいつも俺の嫌いな言葉ばっか言いやがって……お前なに? シロツメって言ったか」

 俺はシロツメに近寄る。


「お前のやってることは嫌いだが、行動理念は好きだ!!」


 俺はビシッとシロツメは指しながら叫んだ。シロツメもライカも同じように目を丸くして固まる。

「よって! 俺が相手する!」

 シロツメはその言葉でやっと理解したのか、ハッと我に返り笑う。

「お前の出る幕じゃない、少なくとも殺さないが、動けないぐらいには怪我させるぞ、それにお前がやってることは人殺しを生かすと言うことだ、それはお前にとって正しいことか?」

「確かに、ライカは人殺しだ、そこは否定しない。けどな、ライカは俺の大切な人で師匠なんだ……お前はライカがあの時親を殺さなければ……あの時死んでくれればなんて思ってるかもしれないが――」

 俺は背後にいるライカを守るように腕を伸ばす。

「俺は、お前の親を殺してでも生きてくれたライカに感謝している、ライカは生きてなきゃダメな人だ。ライカの人生はなにも間違えていない、お前がライカを人殺しと言うなら俺はこう言う!」

 俺は人生で出したことのない、全力の声量で叫ぶ。


「人殺しになってくれて、ありがとう!!」


――――――――――――――――――――


 ライカは過去が走馬灯のように駆けていた。

 物心つく前にゴミ捨て場に捨てられ、誰が食ったか分からないゴミを食べて、空腹で死にそうな時も魔獣に襲われた時も、誰も助けてくれなかった。

 だから人を嫌った、こちらも嫌えば負けじゃない。

 森に入り強くなった、誰にも負けない強さで絶対生き抜くと決めた。死ななければ負けていない。自分を捨てた親に負けない。それだけを考えていた。

 死にたい時も負けそうな時も、親にだけは負けたくなかった。何も与えなかった親に一矢報いてやりたかった。

「俺はたった独りでも生きていけるんだ。お前たちからなにも与えられなくとも生きていけるんだ」と。

 十歳の時、故郷に帰り、親に会おうとした。どんな顔するのか楽しみだった。驚きか喜びか慄きか、なんでも良かったがただ一言、「生きてやったぞ」と言いたかった。


 親は数年前に死んでいた。


 親を知ると言う人から話を聞いた。曰く、もともと裕福な家庭でもなく毎日ゴミを漁るような生活をしていたという。

 そしてある日、町に魔物が襲ってきた。両親は日に日にやつれていって、もうろくに動けなかったらしい、誰も両親を助けずに先に逃げた。

 両親は子供の俺だけは、と、俺を運んだ。

 俺は捨てられたんじゃなくて、ゴミの中に"隠された"んだ。

 そのまま親は死んだ。

 俺はそんなことを知らないまま、勝手に負けないようにとかほざきながら生きていただけだった。

 俺の人生は何だったのか分からなくなった。

 それと同時に、ある考えが浮かんだ。

「持ってるやつからは奪っていい」

 親を助けなかった"持ってた"奴らは俺の憎むべき対象だ。俺は決めた。

「負けない、最初から持ってた奴らに"俺たち"は負けない」

 俺が生きていれば、両親も負けていない。負けない。

 負けないことが、俺の生きる目的だった。今思えば、負けたくないと言うのは言い訳で、ただ欲しかったのかもしれない、生きる理由が。


――――――――――――――――――――――――


「俺は、お前と逢えて、ホントに良かった」

 ライカは気がつくと呟いていた。その見えない背中に多大な感謝を込めて呟いた。

「……それは俺だよ」

 メイトは振り返らずに答えた。前にはシロツメが相変わらず笑いながらメイトを見ている。

「感動のセリフだが、退かないと本当に怪我するぞ」

「シロツメ、俺はお前みたいに純粋じゃないけど、これは心の底からだ――――」

 俺は手をシロツメに向ける。

「俺は"ただ"ライカを生かしたいだけだ!」

 シロツメは一瞬固まる。その後口角を上げて笑う。

「ならば、覚悟するんだな」

 俺はニヤけながら言い返す。

「いいのか? 俺はライカの弟子だぞ? そんな甘く見てたら一発KOだぞ?」

「? 知らんが、できるもんならやってみろ」

「やってやるよばーーーーーか!!!!」

 俺は全力の魔法を発動した。

ご精読ありがとうございました!

明日も朝に投稿するので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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